【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~ 作:北条 ゆう(いすわーる)
その夜、アルフレッドは魔動機片手に王宮をうろつく駆の姿を目撃した。
『闇の深淵より来たれ。影の絆を結び、世界を一つに!』
謹慎中の身でありながら、なぜ駆を発見することが出来たのだろう?
『――視界を、響きを共にせよ! シンクロビジョン!』
その答えは《思念体》。
暗黒魔法の使い手である彼は《シンクロビジョンの魔法》を使い、意識だけを私室の外に飛ばし、《透明な思念体の体》で、まるでその場にいるかのように自由気ままに散歩していたのだ。
思念体の体であれば、壁の一つや二つなど何のその。簡単にすり抜けることが出来る。
「(なぜこんなところに駆が? もしや? ……いや、そんなことあってはならない)」
最初はただ興味本位で後を付けていた。
暗黒魔法は空間を歪めることで、様々な超常現象を起こす魔法。日中ならともかく、視界の利かない夜間であれば追跡対象に察知されることは、まずありえない。
色々な意味で
もちろん『何か後ろ暗いことをしているのなら、弱みを握ってやろう』という気持ちがあったことも、否定は出来ないが。
「(母上、一体何を考えておいでなのです……)」
駆がエレアノールの私室の前に辿り着いて、アルフレッドの心に『もしや……』と不安が渦巻いた。
壁に手を当て通り抜けようとして……気づいた。
「(……魔力灯の明かりで気づかれないとも限らない)」
思念体の存在する場所は、物理法則が
魔力灯とは、現実世界でいうところの電灯に近い。高価な代物ではあるが、王宮の個室には大体設置されており、エレアノールの私室にも、もちろんある。
「(万が一に備えるか)」
よく目を
だが今のアルフレッドは謹慎中。これ以上の面倒ごとは避けるべきだ。
彼は部屋の外壁に耳を当てる。
「(……何も聞こえないか)」
アルフレッドはシンクロビジョンの魔法により、視覚と聴覚を思念体と共有している。
だが、何も聞こえない。
しばらく待ってみるが、やはり何も聞こえない。
このままでは
彼は部屋の中に入ろうかと考えるが、物は試しと、壁よりは厚みが薄そうな部屋の扉前までやってくると、そっと耳を当てた。
「はぁはぁ……駆……わたくし、あなたが好きよ……」
「エレアノール様……ふぅ……僕も……んぁ……あなたが好きです……」
激しい嫉妬と怒りを覚えた。ドアを
「(やはり父上は間違っていたではないか!!)」
しかし、彼はその場で感情に任せて暴発することはなかった。彼は冷静に考えた。
今のアルフレッドは霊体だ。目で見、耳で聞くことしか出来ない思念体に何が出来るというのだろう。
「(……それに今ここで騒ぎを起こせば、私が謹慎中に出歩いていたことが父上にバレてしまう)」
どうにも身動きが取れない状況だからこそ、頭を回転させるしかなかった。良くも悪くも、アルフレッドは凶行に走らなかった。
「(そう……もっと巧妙に立ち回らなくてはならない)」
あくまで紳士的に、事を為さなければならない。
アルフレッドは、扉から離れた。彼は、深呼吸して怒りを抑え込んだ。
「待っていろ――」
彼の心には冷たい決意が宿っていた。
駆に、自分より遥かに重い喪失感を味合わせてやると。
「必ずお前を、絶望の
・あとがき
お楽しみいただけていたら幸いです(^^)
今週土曜日(11月1日)に『登場人物紹介(第四章)』、来週日曜日(11月2日)から『第四章』を連載開始する予定です。
引き続き、よろしくお願いいたします。
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それでは、またお会いしましょう。