【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第四五話:魔娼の女 後編》

「あっはぁーっん! あはははははっーん!」

 

 漂う官能な空気に溶け込むように、サキュバスの淫靡(いんび)な高笑いが響き渡る。赤き瞳が鋭く光る。

 

「男とは愚かなモノでありんすな~。わっちの前では、あまりに無力だわいな」

 

 艶やかで挑発的な声。

 部屋のそこら中で、(あや)しげな魔法陣が輝き、彼女の眷属たちが次々と召喚されていく。

 

「くそ……どこまで増えるんだ」

 

 ウォーリアーズの男性陣は疲労(ひろう)の色を隠しきれなかった。信彦は盾で次々と迫る魔物の攻撃を防ぎながら、息を切らせつつサキュバスに向けて再度の前進を試みていた。

 剣筋は未だ力強さを見せるが、額には汗が(にじ)み出ていた。

 

「アニキ、これじゃキリがねぇよ!」

 

 ジェイクが息を荒げながら魔物を迎え撃ち、その鋭い拳が音をあげてサキュバスのシモベと化した男達を()ぎ倒していく。表情には苛立(いらだ)ちが見え隠れする。

 駆やレオンは後方から魔法や矢を放つが、次第に疲労が積み重なっていく。彼らはサキュバスの眷属を確実に戦闘不能にしていったが、それでも増援が途切れることはない。表情に焦りの色が垣間見える。

 

「歯がゆいわ……!」

 

 一方、美香子を始めとしたウォーリアーズ女性団員たちは、サキュバスの巧妙な指揮により彼女に近づくことすら出来ずにいた。

 サキュバスの魅了の術は、女性には効果がない。それゆえのサキュバスの戦術だ。

 美香子たちは回復魔法や飛び道具を使いながら、ウォーリアーズ男性陣の援護を続けていたが、隠しきれない歯がゆさが表情に滲み出ている。

 

「うふふっ!」

 

 サキュバスが浮上した。背中に生えたコウモリのような(つばさ)で。宙に浮かび、さながら椅子に座っているかのように妖艶(ようえん)に足をくむと、優雅に指を弾く。

 彼女の姿を目に納めた眷属たちは、雄たけびを上げ、士気を高めていく。

 

「ほれ、大チャンスでありんすえ」

 

 ウォーリアーズ男性陣が、無防備に見える彼女に攻撃を加えようとするも――上手くいかない。

 力は抜け、呪文は空へと霧散していく。

 サキュバスは余裕たっぷりに挑発的な笑みを浮かべている。

 

「これでもくらえ!!」

 

 その時、一人のウォーリアーズ団員が槍を投擲(とうてき)した。ガタイが良く、筋骨隆々とした体格を持つ槍使いだった。

 瞬間、彼の槍が風を纏い、一直線にサキュバスを目指して飛んで行った。

 サキュバスはその攻撃に気づき眉根(まゆね)を寄せ、回避(かいひ)を試みる。

 

「少しは……やるようでありんすな」

 

 槍は、彼女の肩をかすめるように抜けて行った。華麗なドレスがわずかに裂け、サキュバスは驚きと苦痛の色を表情に見せる。

 

「でも、この程度でわっちを倒せると思ったら大間違いでありんすえ!」

 

 サキュバスが声を上げると、再び部屋の魔法陣が光り輝き始めた。

 倒れた眷属たちが立ち上がり、再び彼女を守るために結集していく。

 サキュバスの顔色からは余裕の色は消え、再び地に舞い戻る。

 守りは一層強固なものとなった。

 

 

 

 サキュバスの妖艶な笑みがついに崩れた。

 件の槍使いの一撃が彼女の脇腹を(とら)えた。眷属の壁を搔い(くぐ)った一槍。

 サキュバスのしなやかな身体は哀れ、倒れ込む。艶やかな髪が無惨(むざん)、流血と共に無造作に床へと広がる。

 

「どうして……? わっちが……このわっちが――」

 

 その顔には驚愕(きょうがく)と混乱が浮かび、その充血した瞳が槍使いをまっすぐに見上げ見据(みす)えている。

 

「男なんかに……」

 

 かすれ声のサキュバス。

 揺るぎない自信を誇っていた彼女の心は完全に打ち砕かれていた。

 

「それはね……」

 

 受けて、槍使いはゆっくりと自身の被る(かぶと)を脱ぐ。

 その下から現れたのは――

 

「私が――」

 

 (にじ)色のロングヘアーが流れるように肩まで降りた、中性的な顔立ちの人物。

 

「《体は男、心は女(トランスジェンダー)》だからよ!」

 

 ウォーリアーズ五強が一人:セイラ。その人であった。




・あとがき

 お楽しみいただけていたら幸いです。
 高評価、お気に入り、感想など頂けると、嬉しいです(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)

 それと、実はYouTubeの方で『異世界かぞく!』のショートアニメを投稿いたしました!
https://youtube.com/shorts/OFNtfnjgaLs?si=fK654SKIqV1lXBGr

 冒頭部分を今後もアニメ化予定ですので、宜しければそちらも是非よろしくお願いします(⁠^⁠^⁠)

 それでは、またお会いしましょう。
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