【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第五〇話:黄金の橋》

 国王エドアルトによる使節団は、転移の結晶でライヘンバッハ近郊の都市までテレポートの後、早馬によりライヘンバッハに辿り着く。ライヘンバッハの反乱より一週間も経たない素早い対応であった。

 使節団を迎えるは一揆勢首脳部。ゼオン教幹部を筆頭に、都市と農村の代表者たちであった。

 

「我らはホノリア国王エドアルト陛下の名代として参上した。陛下は平穏なる治世の再建を願っておられる」

 

 使節団の長である外交官:ローレンスは、慎重ながらも毅然(きぜん)とした口調で一揆勢首脳陣に呼びかけた。

 

「我ら王国軍に市庁舎を明け渡し、此度(こたび)のライヘンバッハの反乱を収束させることを条件に、王領地とベルギガ辺境伯領間の関所廃止を無期限に延期する手筈(てはず)を整えている。陛下はライヘンバッハの平和と繁栄を願っておられる。是非熟慮(じゅくりょ)願いたい」

 

 『一揆の目的が達せられた』そう考えた都市と農村の代表者は、顔を見合わせ、ローレンスに言葉を返そうとするが――

 

「何ゆえに偽りを並べ立てんとするのか」

 

 ゼオン教筆頭幹部:アモス。豊かな顎髭(あごひげ)を蓄え、その顔には厳粛(げんしゅく)な信念と、獰猛(どうもう)な怒りが併存する筋骨隆々(りゅうりゅう)の中年。

 アモスは都市と農村の代表者らに威圧的な視線を投げつけた。

 押し黙る代表者たち。

 アモスは冷ややかな薄笑いを浮かべながら、突き放すようにローレンスへと言葉を返す。

 

「我らゼオンの信徒は、魔物排斥の理念の下に結集し、長きにわたり抑圧されし民の苦悩を訴えている。我々の要求をお伝えしよう。モンスターマスター制度の廃止、ベルギガ国の独立承認、王国全土におけるゼオン教布教の自由。以上だ」

 

 部屋の空気は、一瞬にして(こお)りついた。

 

「貴殿の要求は、王国の政治体制と統治の根幹(こんかん)を揺るがすもの。民の安寧と国の繁栄を守るため、容認することは到底できませぬ」

 

 ローレンスは、想定を超える無理筋の要求に舌を巻きながらも、交渉の継続を試みた。(つつし)みながらも強い口調で訴える。

 

「民と国の平和と繁栄こそが最優先と心得る。どうか、理性ある判断を」

 

 

 

 王都へと帰還した使節団の報告を受け、エドアルト王は決断を下した。

 

「ゼオン教……我が国の法と秩序が脅かされるのならば、断固としてこれを討伐する他ない。武力によって現状を打破し、民の安寧を再び取り戻す……!」

 

 重苦しい様相で。

 一揆はゼオン教徒によって主導され、市民や農民たちに発言権はないにも等しかった。

 アモスは交渉の場で一切の譲歩を見せず、エドアルトがローレンスに託していた最大限の譲歩『ライヘンバッハにおけるゼオン教信仰の自由』ですら一蹴(いっしゅう)にふしてきた。

 互いの譲れない理念と正義がぶつかり合う。そして場の緊張は極限に達し――交渉は打ち切られた。

 

 

 

 王都のウォーリアーズクランハウスの一室。

 王の名代として、王太子アルフレッド=ヴァレンタインが今、美香子に対面する。

 

「桐島 美香子殿。国王エドアルトの御名(みな)により勅命(ちょくめい)が下されました。ライヘンバッハ国一揆終息のため、ウォーリアーズ傭兵団団長:信彦殿を討伐軍傭兵軍団長に、副団長のジェイク殿を副軍団長に国王は任じられました。王宮へと速やかに参内(さんだい)して頂きたく」

 

「承知いたしました、アルフレッド殿下。両名の王宮への参内、早急に手配いたします」

 

 美香子は、アルフレッドの事務的な伝達事項を聞きながら、その内心、心の奥底では秘めた複雑な感情が静かに揺れ動いていた。

 かつて情熱的な恋仲の関係にあった男(ヴァレンタイン)との淡い記憶。

 

「信彦とジェイクに魔動機通信により直ちに伝達いたしますわ。両人とも遠方にてクエストに従事中では御座いますが、中途で切り上げさせ、可能な限り早急に王宮に参内させます」

 

 だが今や、お互いすっかりドライに職務に(てっ)している。

 美香子がヴァレンタインのプロポーズを断ったあの日の、彼の意気消沈した姿。昨日のことのように思い出せる。

 しかしそれも今は昔。目の前の彼の面持ちは冷静沈着そのものであった。

 

「奥村君、団長と副団長に魔動機で連絡を取ってくれる? 二人とも魔動機は使えないけど、パーティには魔動機を扱えるメンバーを入れてるから」

 

 元彼の元気そうな姿にほっと一安心する一方、かすかな寂しさを感じずにはいられない桐島 美香子夫人なのであった。




・あとがき

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 それでは、またお会いしましょう。
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