【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第五三話:光と闇》

 市外へ通じる秘密通路の入り口。

 信彦は堅実(けんじつ)な剣技で、ジェイクは身のこなし素早い拳技で、一体また一体と警備兵を倒していった。

 全て撃破し終わると、信彦とジェイクは息つく間もなく、秘密通路へと突入する。

 

「まるで迷宮だな」

 

 秘密通路は、複雑に入り組んでいる。

 本来であれば案内役が必須である。だが、通路入り口が警備兵に押さえられていたことからも、信彦達の侵入が一揆側に察知されたと見て間違いない。となれば狭い秘密通路で乱戦になることは必定であり、非戦闘員であり、かつ信彦たちの脱出を遅らせるために案内役の命が真っ先に失われることが容易に想像できた。故に信彦達は案内役のその職を解いたわけである。

 

「さて、タイムアタックだ。アニキ、このダンジョン行き道ってどれくらい時間かかってたっけか?」

 

 信彦たちは歴戦の冒険者としての経験から、自力でこの迷宮を抜けられると自負していた。冒険者として数々のダンジョンに挑んできた。

 魔物が生息していない分、たとえ信彦が少女を担いでいる影響で左腕が使えないとしても、ちょうど良いハンデと思えるぐらい。

 道は細く、時に曲がりくねり、数多の分岐(ぶんき)が待ち受けていたが、二人は記憶を頼りに、慎重かつ迅速(じんそく)に先へと進んで行く。

 

「……ジェイク」

 

「あぁアニキ。ミスったかもな」

 

 壁に刻まれた暗闇で微かに発光する古びた文様や、不思議な記号。それらを頼りに二人は通路を進んでいた。

 だがしかし、遂には二人ともの記憶のない場所へと辿り着いてしまった。迷い込んでしまった。

 

「チッ!」

 

 そんな時、迷宮のどこからか反響する口笛(くちぶえ)

 追っ手だ。どうやら気づかれたらしい。痕跡(こんせき)は残していないつもりであったが……

 信彦は右手に持った松明(たいまつ)二股(ふたまた)に別れた一方に投げ込んだ。ジェイクの持つもう一本の松明の灯りを頼りに、松明を投げ込んだ通路とは別の通路に向かって二人は駆け出した。

 

 

 

 乱戦。

 狭い通路で、信彦とジェイクは互いの背中を守り合いながら、敵兵たちの鋭利な得物と撃を交わす。

 ジェイクは敵兵の突き攻撃をかわし、盾と剣の隙間に拳を捻じ込んだ。

 信彦もまた敵の動きを見極め、右手に構えた剣一つを矛と盾とし、敵兵を倒していく。

 長年共に戦った盟友ならでは。まるで二人で一つのように。

 

「おいジェイク、光だ!」

 

 敵の増援は容赦ない。だが二人は遂に通路の先に、(わず)かな光が差し込んでいることに気づく。

 一目散に走りだす。

 悠久の時を感じさせる暗い洞窟迷宮に、信彦とジェイクの足音が響く。

 

「……」

 

 迷宮を抜けた二人を、朝の陽ざしが照らし出す。

 

「なんてこった……」

 

 しかし、二人を待っていたのは出口ではなかった。

 ライヘンバッハの旧市街が鎮座する崖から突き出た大きな岩の出っ張りであった。出っ張りの崖下、(はる)か下方では急流ボスポラス大河が波しぶきをあげて流れている。

 陽の光が二人を照らしている。

 

「いたぞ!!」

 

「おい見ろ、ラファエラ様もいるぞ!」

 

 二人の背後から、秘密通路から次々と押し寄せる一揆勢の兵士たちの足音と叫び。

 まさしく崖っぷちに追い詰められた。

 

「さて……どうする、ジェイク」

 

 信彦は呟く。通路から湧き出るように現れる兵士たちを(にら)みながら。

 ジェイクもまた、(けわ)しい顔で兵士たちを睨みつけながら、どこか苦悩が混じった口調で答えた。

 

「アニキ、策がある。こっちに来てくれ」

 

 『もはやここまで』

 ジェイクはアルフレッドより授けられた魔動機を握った。テレポートの魔法が込められているという。

 

『可能な限り信彦殿と近づいて使ってください。魔法には有効な効果範囲がありますので』

 

 アルフレッドの助言に従い、信彦がジェイクの側に近づき耳をそばだてたその時、握力で一息に魔動機を粉砕した。

 

「「「「「グワゥゥォォォァアアア―――――ッ!!!!!」」」」」

 

 大爆発。

 ジェイクと信彦を爆心地として。

 (まばゆ)閃光(せんこう)。激しい熱風。爆発は、石造りの大岩を一瞬のうちに粉々に粉砕した。

 エクスプロージョン。炎属性の、超威力を誇る大魔法。

 爆風はその場にあった全てのものを容赦なく巻き込んだ。

 岩は粉塵(ふんじん)と化し、激しい轟音(ごうおん)は遠く王国討伐軍の本陣にまで響き渡った。

 信彦、ジェイク、奇跡の少女。通路に詰めた一揆勢の兵士さえも、あっという間に荒れ(くる)う爆風の渦中(かちゅう)()み込まれた。

 すべて惨烈(さんれつ)藻屑(もくず)と化して、消えていった。




・あとがき

 とんでもないことが起きてしまいました……
 黒幕は――

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