【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~ 作:北条 ゆう(いすわーる)
夕暮れ時。
ライヘンバッハの新市街の門が
一月初旬より一月半、固く守られてきたその門が唐突に開かれ、包囲中の王国軍を驚かせた。
流れ出る群衆は、剣やマスケット銃といった武器を一切所持してはいない。
民間人であった。
「王太子殿、ゼオン教徒に
助けを
王国軍斥候の傭兵冒険者たちは武器を置き、彼らを保護していく。
王太子アルフレッドが現場に急行してくる。
群衆の中から一人の人物が姿を現し、アルフレッドの前に立った。かつて一揆軍の襲撃により捕縛された市長に代わり、現在はゼオンの指針に従い、市の事務処理を行う市民の代表者であった。
「ラファエラ――彼女はゼオン教徒たちの精神的主柱なのですが――彼女が何者かに暗殺されたらしく、『街の内通者が暗殺したのだ』とゼオンの者どもはそう主張して、彼らは街の非ゼオン教徒たちを無差別に
彼は街の代弁者として、混乱する状況を伝える。
「身勝手なのは百も承知……ですが、どうか、どうか我らをお助け下さい……!」
アルフレッドは代表者の訴えに対し、静かに頷くとその肩に手を置いた。
「顔をお上げなさい。あなた方はやむを得ずゼオンの
周囲の冒険者、騎士、そして市民の視線が一心にアルフレッドに注がれる中、アルフレッドは王国一揆討伐軍――いや、ライヘンバッハ解放軍に市民の救出と、ゼオン教徒の討伐を命じたのであった。
「無垢の民を救うのだ!! 邪教徒どもを皆殺しにせよ!!」
王国解放軍は即座に戦闘態勢を整え、黄昏と共にライヘンバッハ新市街へと突入した。
活気にあふれた商業都市:ライヘンバッハ新市街。崖上の旧市街の麓に広がるライヘンバッハ経済の中心地である。
新市街は今や
「民を守ることこそ、我らの使命である! 前進せよ。無垢なる市民を保護し、敵を
鋭い牙や爪、火炎や吹雪の力を振るい、ゼオン教徒たちを中心とする一揆軍と交戦する聖魔達。
剣や槍、弓など多様な武器を
ゼオン教徒たちと同じく、マスケット銃を手に交戦するレジスタンスの市民兵達。
市街戦は熾烈を極め、互いに激しい
だが、王国解放軍と多くの市民たちが共闘したことによって、ゼオンの反乱勢力は急速に統制を失い、多くの戦線で隙が生まれていた。その隙を逃さず、解放軍参謀たちが戦術で突き崩していく。ゼオン軍は各要衝で次々に撃破されていった。
アルフレッドは時に前線まで視察に向かい、戦いの様子を確認し、必要に応じて各部隊に指示を出す。
信彦ジェイクの後を引き継ぐ為、そして二人の行方を
その
解放軍のライヘンバッハ突入より一週間ほどで、新市街は制圧された。
残るは旧市街である。崖の上に市政庁があり、坂道には富裕層の家々が立ち並ぶ。中世の昔。政情不安のかつて、街の市民たちを守り抜いて来た堅固な防御施設だ。
近世の今。全てはゼオン教徒の手中にある。彼らはマスケット銃を始めとした火器を手に、新市街から旧市街へと撤退していった。
質はともかく開戦時、ゼオン一揆軍は数的に優勢であった。
しかし今や、王国各地より援軍を得て倍増した聖魔の騎士団・傭兵団四万に、数多の市民軍を加えたライヘンバッハ解放軍が、数千のゼオン軍を包囲しているという情勢である。
「
背水の陣、とでも言うべきか。
残るは熱烈なゼオン信者たちだけ。死をも恐れぬ彼らの必死の防戦に、解放軍の制圧戦は一筋縄にはいかなかった。
「この穴より通じる洞窟は、都市の外へ繋がる秘密通路である」
一月ほどの凄惨な攻城戦の後、旧市街は
「しかし内部は複雑に入り組んだ迷宮だ! 邪教の指導者たちがこれら横穴から再び姿を現したならば、決して見逃してはならない。彼らが再びこの都市に混乱の火種を
都市に常駐軍をいくらか残し、解放軍は解散の運びとなった。
所領や主のもと、あるいは自らのあるべき居場所へと戻り、都市復旧の職務やクエストを請け負った者は街に残り従事する。
美香子や駆たちウォーリアーズは、未だ行方知れずの信彦とジェイクの捜索を本格化させる。捜索隊には、アルフレッド始め、潜入作戦の折信彦とジェイクの案内を務めた街のレジスタンス達の姿もある。
ライヘンバッハの戦い。
数多の犠牲者を出した凄惨な包囲戦として、永く後世まで語り継がれることになるだろう。
・あとがき
来週は第四章最終話です。
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それでは、次話でまたお会いできると信じて。