【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第四章 最終話:残ったもの》

 五月末。

 心地よい風が流れるおだやかな春日和とは裏腹に、王国中が()に服していた。

 命を懸け、未曾有の大反乱たるライヘンバッハ一揆の収束に大きく貢献した英雄たち。その代表ともいうべき存在。

 信彦とジェイクの国葬(こくそう)が、国中に静寂をもたらしていた。

 

「《ベルギガ辺境伯》:桐島 信彦。そして王 林(ジェイク)《男爵》。かの英雄たちを失った我ら王国の喪失は計り知れず――」

 

 春のグラン・コンベンション、すなわち連日の王宮でのパーティはもちろん中止となった。

 失われた命を(しの)ぶ。反乱の収束に尽力した王国解放軍、戦火に呑まれた市民たち、そして誰よりも危険な任務に身を投じた信彦とジェイク、彼らに対して哀悼(あいとう)の意を国中が。

 王宮前の広場は、普段の華やかな印象とはまるで対照的に、厳粛な哀悼の場となった。貴族も、平民も、傭兵も、聖魔も、国中の人々が、ただただ失われた命に涙を流し、静かに祈りを捧げていた。

 

「信彦伯爵と王男爵、そして数多の英雄たちが我らの未来を守り抜いて下さったこと。決して忘れてはならない」

 

 広場に集まった人々は、エドアルト国王の言葉を胸に、決意を新たにする。

 失われた英雄たちへの哀悼と、無数の命が刻んだ歴史の教訓を胸に、人々は未来へと歩み始める。

 

 

 

 信彦とジェイクの遺体発見すら叶わず、五月の半ばに捜索は打ち切られた。

 

『二人は俺に逃げろと言いました。そして銀貨まで恵んで下さって……申し訳ない。俺が案内をしていればこんなことには……』

 

 二人の行方は、街のレジスタンスより伝えられた『街を脱出するため迷宮のような秘密通路に二人とも入り、そして二度とその姿を見ることはありませんでした』というものが唯一の手掛かりといってよかった。

 捕縛したごくわずかなゼオン教徒の生き残り。一人が、

 

『神の天罰だ! ラファエラさまを殺した天罰(てんばつ)で、奴らは死んだんだ!』

 

 そんなことを言ったが、錯乱(さくらん)した狂信者の発言として無視された。

 

『俺は見た!! 奴らが神の怒りによって、はじけ飛ぶのを!!』

 

 しかし遺品は見つかった。

 ボスポラス大河の河原に流れ着いていた。剣と盾。信彦が手にしていたミスリルで出来た秘宝の矛と盾。

 ジェイクの着ていた道着の切れ(はし)と思われるもの。

 必死の捜索の果て、何とか手にしたそれら遺品を持って、捜索は終わりを迎えた。

 国葬の間、美香子は盾を、駆は剣を、それぞれ大切に抱え、携えていた。

 英雄たちの無念と、痛みを各々が胸に刻みながら、国葬は終わりを迎えた。

 

 

 

「美香子さん、駆君……私の責任です……申し訳ありません。私があのようなクエストを依頼したばかりに……」

 

 アルフレッドは遺族と向かい合っていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「……あなたは何も悪くないわ。夫も、信彦さんも反乱を早期に鎮圧出来て、多くの民を護れたこと、きっとあの世で喜んでいるでいるはず」

 

 アルフレッド――かつて信彦と共に彼女の心を支えていた男――が、美香子と駆の二人がいる王宮の控室へとやって来た。

 『深い悔恨(かいこん)贖罪(しょくざい)の念を、その身に重く背負っている』。そんな元彼の感情を感じ取った美香子は柔らかい口調で応じた。駆も続いた。

 

「美香子……」

 

 国葬を終え、いよいよ美香子が王宮を後にする段になって。

 英雄の配偶者として主要な列席者に挨拶を終え、最後一人王宮を後にするその時、アルフレッドはためらいの色を浮かべながらも、その背中を追いかけ、彼女に手を伸ばした。

 

「困ったときは、いつでも私を頼ってください。信彦殿にはとても敵わないですが、必ず力になると誓います」

 

 決意が言葉から、はっきりとにじみ出ていた。

 

「……」

 

 無言で振り返った美香子。

 

「またね……ヴァレンタイン」

 

 差し出されたその手をしばらくの間握り続け……最後にそう返して、彼の元を去っていった。




・あとがき

 著者の北条 ゆうです。
 お読み頂き、有難うございます。お楽しみ頂けましたでしょうか?

 さて、ここでお話のストックを貯めるため、週一回連載を一度休止したいと考えております。
 キリの良いところまで書き上げましたら、週一回更新を再開する予定です。

 お気に入り等、とても励みになっております!
 そして全ての読者の皆様、本当にいつも有難うございます(⁠^⁠^⁠)

 さて最後に宣伝を……
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 それでは、またお会いできる日を願って!
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