【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第五八話:ホワイトナイト》

 執政暦一三一四年一〇月。王都ルテティアを包む空気は、冷ややかな湿り気を帯び始める。

 ウォーリアーズ傭兵団本拠地の王都クランハウスに掲げられた紋章旗は、風に煽られて重くたわんでいる。

 

「はぁ……」

 

 美香子は、団長室の窓辺で深く溜息をつく。

 手元の羊皮紙には、王国北部ベルギガ辺境伯領の霧峰山脈麓で目撃された《ギガントドラゴン》の討伐依頼が記されている。

 手強い強敵。レイドモンスター。並大抵の冒険者では相手にならない。

 組織が大規模化したことで多量に舞い込む通常クエストは何とかこなすことは出来てはいるものの、このような強敵相手となると……

 

「信彦さん……ジェイク……貴方たちがいてくれたら……」

 

 《一騎当千の英雄》が、今のウォーリアーズには不足している。

 

 

 

 ギガントドラゴン討伐依頼が舞い込んで日を置かず、ある日の午後。

 ギルドハウスの門前に、一頭の気高き白馬が蹄(ひづめ)の音を響かせて現れた。

 

「エレアノール王妃殿下のご紹介により参った」

 

 ギルドハウス前の石畳に降り立ったのは、全身を鈍く光る銀のライトプレートで身を包んだ長身細身の茶髪騎士。

 背には一流の職人が手掛けたであろう豪奢な盾と、細身の直剣を帯びている。

 

「団長:桐島 美香子殿にお目通り願いたく」

 

 そして何より目を引くのは、その目元を覆う意匠(いしょう)の凝った仮面。

 

「お初にお目に掛かります、桐島美香子伯爵夫人」

 

 副団長:サンチャゴに導かれ、仮面の男は団長:美香子の前へ。

 騎士の礼法に則り、仮面の男は流麗な動作で片膝を突く。

 

「我が名はアルフォード。アルフォー・ド・ホノリウス」

 

 その声が耳に届いた瞬間、美香子の心臓が文字通り跳ね上がった。

 

「微力ながらこの私と、私の使役する聖魔たちの力を、貴女様に捧げたく参りました」

 

 忘れもしないテノールの響き。

 

「桐島夫人。貴方様の剣盾として、願わくば力を尽くしたく候(そうろう)」

 

 深く落ち着き、それでいて熱を孕んだ。

 

「あなた様の背負われたの重荷を少しでも軽く出来るのなら、私は影となり」

 

 美香子は、深喪の黒いベールの下で、わずかに唇を震わせる。

 

「この身すべてを捧げて、美香子様をお支えいたします」

 

 深喪の黒いドレスを纏ったその豊かな胸の内で、消えかかっていた恋情の残り火が、秋風に煽られて小さく、だが確かに今再び爆ぜた。

 

 

 

『アルフォード殿は此度のグラン・コンベンションで好成績を修められたとのこと』

 

『エレアノール様からのご紹介とあれば、その実力を疑う余地はありません』

 

 美香子は極力、事務的な声を保とうと努めながら、アルフォードを――

 

『我が団は今、貴方のような手練れを必要としています』

 

 元恋人:ホノリア王国王太子アルフレッド・ヴァレンタイン・ド・ホノリアをウォーリアーズの団員として迎え入れたのであった。




・あとがき

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 それでは、またお会いしましょう。
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