【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~ 作:北条 ゆう(いすわーる)
王宮の夜会。
魅惑的な半喪のドレスに身を包んだ美香子の周りには、磁石に吸い寄せられる鉄屑のように、若き上流階級の青年たちが次々と集まってくる。
「美香子殿、この一年、貴女の不在をどれほど
まず始めに熱烈な賛辞を贈ったのは、アレクサンドル・イワノフ。王家御用商人の子息だ。
「今夜のその装い……まるで美の女神:アフロディーテが天界より舞い降りたかのよう」
彼は美香子の黒いレースに覆われた豊満な胸元に一瞬目を奪われ、慌ててその潤んだ視線を彼女へと戻す。
「まあ、お上手ですこと」
美香子は少しだけ首を傾けて微笑む。
「私はただ久しぶりに、皆様の眩い輝きを拝見しに参っただけですわ」
覗く白いデコルテと、ドレスのタイトなラインが、彼女の成熟した大人の女性としての魅力を雄弁に語る。
「伯爵夫人。勇者パーティを率いる団長としての激務、お察しいたします」
アレクサンドルは、青年たちは、美香子の《半喪の未亡人》という社会的立場――—すなわち、青年たちの正統な恋の相手として解禁された《美魔女:桐島美香子》に色めき立っている。
「もしお疲れであれば、私の別荘へご静養にいらっしゃいませんか?」
「いや! 桐島夫人、是非我が一族の――」
我先にとアピールを繰り返す青年たちの熱狂。
「皆様、それほど一度にお誘いいただいては、体がいくつあっても足りませんわ」
ところで美香子の数歩後ろ、影のように控えているのはアルフォード。
彼は微動だにせず、その光景を見守っている。
青年たちの手が美香子の手に触れるたび、あるいはその隠しきれない卑猥な視線が彼女の豊かな胸元に注がれるたび、アルフォードの拳は革手袋の中で白くなるほどに握りしめられる。
「……アルフォード、少し喉が渇きました」
青年たちに丁重に対応していた美香子。ある時振り返り、背後に控えるアルフォードに言葉をかけた。
「冷たい飲み物を用意していただけるかしら? ここにいる皆様の分も」
今の彼はホノリア王太子:アルフレッドではない。
「……御意。ただちに」
ただの傭兵団員兼伯爵夫人従者:アルフォード。
アルフォードが低い声で応じ、一礼して去る間際、青年たちに射抜くような鋭い一瞥。
仮面の騎士が放つ圧倒的な威圧感に、若き上流階級の青年たちはおもわず気圧され、言葉を失う。
「ふふ、私の騎士は少しばかり無骨者なの」
美香子はもちろん、アルフォードの青年たちへの静かな怒りを、背中に受ける視線の熱さで敏感に察知していた。
飲み物を取りに行かせたのは、単なる用事ではなく、自身を守護する、信頼寄せている傭兵騎士アルフォードの存在を青年たちに知らしめる、彼女なりの小さな悪戯であり、愛情表現。
「さて……先ほどのお話、もう少し詳しく伺いましょうか?」
青年たちと共にアルフォードより飲み物を受け取る美香子。
彼女の瞳には、夫を失った悲しみを乗り越え、《恋のゲーム》を楽しみ始めたオンナの、残酷なまでに魅惑的な煌めきが宿っている。
・あとがき
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それでは、またお会いしましょう。