【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~ 作:北条 ゆう(いすわーる)
夜会の熱気は最高潮。
美香子の周囲には、色とりどりの正装に身を包んだ貴公子たち。まるで蜜に群がる蝶のように絶え間なく入れ替わる。
半喪のドレスによって露わになった彼女の白い肩。豊満な胸の曲線。青年たちは隠しきれない渇望を滲ませている。
「美香子夫人、私と一曲いかがですか?」
楽団の指揮者がタクトを振り上げ、優雅で厳かなワルツの
《今夜の主役》が決まる。
半喪入りした未亡人は、誰を《最初の夜会の》ダンス相手に選ぶのか……
「いや、是非この私と!」
我先にと手を差し伸べる青年たちの包囲網。
美香子は、その喧騒を静かに受け流しながら、ゆっくりと、けれど迷いのない足取りで歩き出した。
「……アルフォード」
彼女が向かったのは、華やかな貴公子たちの輪ではなくて――
「一曲、お願いできる?」
柱の影。仮面を身につけ、微動だにせず控えていた護衛の男:アルフォード。
広間は水を打ったような静けさに包まれる。
「己が従者と踊るというのか……」
困惑と、
「どこの馬の骨とも知れぬ仮面野郎が……!」
嫉妬のさざ波。
「……私のような取るに足らぬ者が貴女の美しさを汚さぬか、それだけが案じられます」
アルフォードは騎士の作法に則り、流麗な動作で美香子の前に
「ですが貴女に捧げた我が身。命じられれば、どこへでも」
アルフォードが立ち上がり、美香子の腰に手を添える。
手の平から伝わるのは熱く、そして所有欲すら孕んだ確かな熱。
「ではお願いしますね、私の騎士様」
美香子は、その逞しい腕に身を委ね、彼の胸板にわずかに自身の豊かな胸を預けるようにしてステップを踏み出す。
ワルツの旋律に合わせて、漆黒のドレスが
「……アルフォード。貴方の手、少し震えていてよ?」
美香子がアルフォードの耳元で、微かな声で囁く。
アルフォードは、仮面の下で苦笑いを浮かべ、彼女をさらに強く引き寄せる。
「無理もありません、団長……これほどまでに美しく魅惑的な女性を――」
二人の視線が至近距離で交じり合う。
美香子の瞳に宿る、夫を失った悲しみさえ燃料に変えて燃え上がる《オンナの情熱》。
そして、アルフォード――いやアルフレッド王太子の、身分を偽ってでも彼女を繋ぎ止めたいという《狂おしいまでの愛》。
「貴女に憧れる多くの者達の前で、独占しているのですから」
一曲が終わる頃には、会場の誰もが理解していた。
この美しき未亡人の心を射止めるのは、並み居る貴公子たちではなく、彼女と共に夜会を舞った《正体不明の謎の仮面の騎士》なのだということを……
・あとがき
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それでは、またお会いしましょう。