水没廃墟の海鮮娘が魚介の異能で百合色ディストピアを死守する話   作:田地町 待乃

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ヤツメちゃんのチートな強さを提示する部分!
最初のバトルにつき、敵を一方的にボコるだけとなっています。


ヤツメギャルのチートな戦闘能力!

「ああぁっ、やめっ、お願いやめてっ……」

 

「んーっ、若い女ぁ……ぇええへへ。いい匂い……べろっ」

 

 突然現れた何者かによって、胸を揉まれ、頬をなめられるという最悪の屈辱!

 そのとき、金色の叫びが生ぬるい海を震わせた。

 

「ざけんじゃねーぞ(クサれ)人類の生き残りがぁあぁぁぁ!」

 

 瞬時の出来事ゆえ、シャチ娘には何が起きたのかの判断がつかなかった。

 

「ギャアアアァァァ」

 

 背後から、鼓膜を破くような汚らしい絶叫。

 すぐ、胸部にあったゴツい手が痙攣したかと思うと、後頭部や背中には、じわり……何かがパーカーごしに伝わってくる。

 体に染みついた海水に比べ、やたら厭な生温かさを帯びた液体が。

 

 背中からまとわりついていた()()が消えたので、ただ呆然と、頬に付着した液体を指に付けて見てみると、

 

「あ、何これ赤い」

 

 そして目の前にはヤツメギャルの姿がない。

 ただ背後からはバシャバシャと烈しい水音が聞こえてくるので、そっと振り向いてみると、そこには見たことのない地獄絵図が広がっていた。

 

 自分に絡みつき、そして間もなく離れた物体は、久しぶりに見る『人間の男性』……に似た()()だったようだ。

 だが、肌の色は禍々しい茶緑色、さらに服を着ておらず、常に白目をむいているため、もはやヒトというよりは魔物(ゴブリン)の様相を呈している。

 幸い、見てはいけない部分は海水に隠れ、目にせず済んだものの……

 

「白い……」

 

 『オトコ』の血に染まった指先からは、白い硬そうな棒が突き出ていた。

 口元を真っ赤に染めたヤツメギャルは、何食わぬ様子でシャチをにらみつける。

 

「おいシャチ子、さっきっから色彩テストやってんじゃねんだよ! あぁしが助けたんだよアンタを! 盗撮魔のアンタを強姦魔から助けてやったんだから、一生感謝しつづけてもらうよ」

 

 混乱と蒼白を極めた脳でも、自分がヤツメギャルに助けられたのだという事実だけは理解できる。

 ヤツメギャルはなおも『オトコ』に好戦的な笑いを向けた。

 

「あー、そういやアンタ、両手でオッパイ揉んでたね。なら()()()()()()にしてやんないと不親切か」

 

 ヤツメギャルが『オトコ』の手をつかみ、それを自らの口元へ運ぶなり、カッと眼を見開いてそれをかじった。

 バリッ……という心地悪い音と共に、また彼は絶叫を上げる。

 

 ヤツメギャルは、『オトコ』の指と耳をちょん切ったのだった。

 

「ヤツメ……ウナギ」

 

 シャチ子の察する通り、ヤツメウナギ特有の『円状に生えた凶器的な歯』によって。

 

「どうだよ? あ? 気持ちいいだろ、ちょん切れた耳と指を潮水に浸けられる気分は! オンナにチョッカイ出すのとどっちが気持ちいいかなぁ?」

 

 ヤツメの怪力によって海面に押しつけられる『オトコ』……

 そのとき、彼の顔の横側、ちょん切られた耳が生えていた、その断面を見てしまったシャチ子は、

 

「あ……あぁあぁーっ!」

 

 怖くて、ただ恐ろしくて、一目散にその場を後にした。

 助けてもらった恩とか、お礼を言うべきだとか、そういう幾らかの理性を必要とする思考よりも前に、初めて目の当たりにする“画面越しではないバイオレンス”のショックが先立ってしまい……。

 

「おいコラ! “怖くなったので帰りました”かよ!? 恩知らずシャチ!」

 

 先ほどシャチの群れに紛れて移動した際よりも格段に速い、自動車をも超越するスピードでもってシャチ子は行く。

 

〈さすが、哺乳類最速といわれる泳ぎですね!〉

 

 ()は、シャチ子のポケットから彼女自身を称賛する……が、返答なし。

 なんと図の高い。

 ともあれ、私は()()存在(オブジェクト)であり、メタなことを言ってしまえば、この地の文は、まあ私の思念とでもいうところになる。

 

 さてシャチ子が帰るのは、先ごろ彼女自身がイルカに伝えていたとおり、かつて首都と呼ばれていた地域の住宅地跡。

 タワーマンションですら、その中腹あたりまでが海水に浸かっているのだから、当然、通常の住宅街は深海魚たちのための家々となっている。

 

 ……ところが、シャチ子は海に浮かんだ四角い大きな(キューブ)へと飛び込んでゆく。

 そのキューブがどういった(ことわり)の存在なのか、()が懇切丁寧に説明しようとしたところで、

 

「シャチ子ちゃん、おかえりー」

 

 キューブに入り込んでいた先ほどのイルカが、明るくシャチ子を出迎えてきた。

 そう。出会って間もない相手が、こうして住処に居座っているのである。

 しかも、その手には箸を持ち、おもちゃの流しそうめんに興じている。

 食事をするのに適していない、この暗く殺風景な部屋で。

 

「なごり雪が降ってるってシャチ子ちゃん言うから、北のほう行く前に体力つけなきゃって思ってさ。ズルズルっ、んー、麺つゆ要らないの、なんか便利なカンジ」

 

 なるほど海水で食せば麺つゆは不要であろう。

 海鮮化した少女たちは、あたかも『旧人類』をあざ笑うかのように、“海水フレンドリー”の体質となっている──改めて述べるまでもないことだけれど──。

 麺の入っていた袋には、手書きで『スーパーたんぽ』の文字が。

 水道・ガス・電気といったインフラが全廃された今、少女たちは独自の手法による生活を確立。

 このように、すでに茹で上げられている麺を売っている店も存在している。

 

 それはそうと、この数秒間(私の説明が長かったせいでやたら長く感じられるが)、シャチ子は微動だにせず、自分を出迎えるイルカを見つめていた。

 

「…………」

 

 イルカはボトッと箸を落とす。

 

「あ、こんな世界だからって、勝手に上がり込んでごめんね。部屋の鍵、開いてたからさ、つい」

 

 そうではない。

 そうではなくて……誰かが食事を用意して待っていてくれる。

 それは、彼女が恋い焦がれ探し求めていたものであり……。

 

「イルカーっ! ぅぅうっ、怖かっ……」

 

 怯えに怯えていたシャチ子は、本能的にイルカの胸に飛び込んでいた。

 

「ちょっとシャチちゃん? なんかあったの? ほら、食べな食べな! そうめんならスルっとマルっと喉通ってくでしょ」

 

 出会ってから一時間も経っていない相手に抱きつく……旧人類の生活では、まず考えられない流れだろう。

 実際、数多くの旧人類の生活を目の当たりにしてきた私でも、風俗とかセクハラで起こるハグを除けば、そのような場面に出くわしたことは極めて少ない。

 すなわち、この世界に生きる彼女たちには、非常に特異なつながりが存在するのであり……




世界観や設定の詳しい説明は次回となってしまう予定……
これで良いのだろうかと悩み中ですが、冒頭のどこにも説明を差し込めうる箇所がないので、どうぞご了承下さい。

この小説、小説家になろう様よりもノクターンノベルズ様でのほうが受けている現状があります。ハーメルン様においても、露骨な性描写を含んだR18作品化して投稿すべきでしょうか? あえてキッパリとした二択で!

  • 今すぐにでもR18化すべき
  • このままR15で連載してほしい
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