墓地々々でんな~異世界転生がしたかったけど、うまく逝けませんでした~   作:葛屋伍美

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~~エピローグ~~ 強敵と書いてトモと呼ぶ途中、ライバルと書いて相棒と読む道すがら

 辰区縄張り戦争から数日後の早朝。

「・・・・・・。」

 誰もまだいない、本堂で佐乃を上座に善朗と賢太が佐乃を正面に置き、二人並んで正座していた。

 

 

「・・・・・・。」

 賢太は今日もばっちり決まったリーゼントに、道着という違和感満点の格好で腕組みをしながら、横にいる善朗をにらみつけていた。

 

(・・・どういうこと・・・。)

 善朗は善朗で決して、賢太と目を合わさずに目を泳がして、正座をしている。

 

 佐乃が右拳を口に近づけて咳払いをする。

「オホンッ・・・それで、賢太はなんであたし達をここに呼び出したんだい?」

「ッ?!」

 佐乃に呼び出されたと思っていた善朗は大いに驚いた。

 

「・・・・・・。」

 賢太は佐乃の言葉を聞いて、なにやら俯いてモジモジしている。

 

「・・・賢太、あたしらも暇じゃないんだよ?」

 佐乃が腕組みをして、やれやれと呆れて賢太を促す。

 

「・・・なっ、納得いかんけど・・・後に入ったんやから・・・善朗は・・・兄弟子と言う事やけど・・・。」

 相変わらず俯いたままの賢太が頑張って言葉を搾り出す。

 

「・・・・・・ハッハッハッハッ。」

 最初は賢太の言葉に唖然としていた佐乃が突然笑い出す。

 

「しっ、師匠っ!・・・いくらなんでも笑いすぎやでっ。」

 賢太は顔を真っ赤にして、佐乃に抗議した。

 

「はははっ・・・いやいや、悪い悪い・・・あんたが変な気を使ってるがおかしくてねっ。」

 涙を流しながら大笑いして、やっと落ち着く佐乃。

 

「・・・・・・。」

 善朗はまったく意味が分からず、戸惑っている。

 

「賢太・・・あんた、勘違いしてるよ・・・善朗はここで確かにあたしが教えてはいるけど、弟子じゃない・・・外部から来てる言わば、客みたいなもんだよ。」

 佐乃がニヤニヤしながら、善朗と賢太の関係について説明した。

 

「ホンマですかっ・・・なんやぁ・・・こいつに敬語つかわなあかん、おもとったわ・・・。」

 賢太は佐乃の言葉にパッと明るくなって、身を乗り出す。

 

 身を乗り出した賢太の頭目掛けて、佐乃の拳骨が飛ぶ。

 〔ポカッ。〕

「アイテッ。」

 無防備なリーゼントの頭に見事に拳骨が命中して、賢太は尻餅をついて頭を抑えた。

 

「バカいうんじゃないよっ、客人ならなおさら敬語だろうがッ。」

 佐乃がさらに拳を振り上げて、賢太をしつけする。

 

「さささっ、佐乃さん・・・僕も賢太さんに敬語とか使われると困るんでっ。」

 善朗がここぞとばかりに佐乃に詰め寄り、賢太を庇うように手を広げた。

 

「・・・そうかい?・・・あたしとしてはどっちでも良いんだけど・・・善朗自身がそう言うなら好きにすると良いよ・・・そこまで年齢も違わないしね。」

「えっ?!」

 佐乃が素直に善朗の申し出を受け入れて許可を出すが、混じっていた言葉に善朗が驚いて、思わず賢太の方を見てしまう。

 

「・・・・・・。」

 賢太は罰が悪いように善朗から目線を外した。

 

 

 

「なんじゃ、おヌシ・・・まだ死んで日が浅かったのか。」

 大前が歩きながら、横にいる未だにばつが悪そうにしている賢太に言葉で刺す。

 

「・・・最初が肝心やからなっ・・・。」

 賢太は目線を外しながらも強がって話す。

 

「でも、10年違えば、相当違うような気がしますけど・・・。」

 大前を挟んで、横にいる善朗が素直にそう話す。

 

「ワシは何百年も違うぞっ。」

 大前が自信満々に胸を張る。

 

「大前はそもそも付喪神だから違うんじゃ・・・。」

 善朗が苦笑いで大前にツッコむ。

 

「・・・・・・とにかくや・・・俺はまだ、お前に勝つ事をあきらめてへんぞっ・・・師匠から稽古つけてもろうてたなんて、ずっこじゃっ・・・今度こそ、正々堂々男の勝負せいっ!」

 賢太がガニマタで善朗を指差しながら怒鳴りつける。

 

 

「せこいかどうかは、あなたが過ごした10年間にもよるんじゃないですか?」

「ッ?!」

 賢太が善朗に因縁をつけていると、賢太の背後からヌルリと乃華が口を挟んできた。賢太も驚いたが、善朗も驚く。

 

「ななななっ、なんじゃっ、姉ちゃん・・・どっから出てきとんねんっ!」

 賢太はすごい汗をかきながら、自分が驚いた事を隠すように乃華に怒鳴る。

 

「あらあら、案外怖がりですか?」

 乃華がホホホッと言わんばかりに右の手の平を口に当てて、賢太をあおる。

 

 からかわれた賢太は負けじと乃華に詰め寄り、

「なんや、姉ちゃんっ!喧嘩うっとんのかっ!?」

「師匠にいってやろうかしら・・・。」

「うっ?!」

 賢太は乃華に殴りかかりそうな勢いで迫るが、佐乃のことを乃華の口から出されると途端に固まった。

 

 賢太は賢太なりに、どうしたら善朗に勝てるかを真剣に考えていた。そのことを佐乃に相談した所、賢太の素行の悪さを指摘され、無闇やたらに喧嘩しないようにと言われていた。佐乃の元に来てからというもの、賢太も牙を抜かれた虎のように、猫が威嚇するような可愛さになってしまっていた。

 

 

「ところで、乃華さんは何か用事が?」

 善朗がタイミングを見計らって、乃華に尋ねる。

 

 

「そうそう・・・ちゃんと調べてきましたよ・・・オジキさんのこと。」

 乃華がカバンから紙の束を出して、賢太の前でビラビラと動かす。

 

 賢太がその資料目掛けて、手を伸ばす。

「キャッ!」

「・・・ッ・・・。」

 賢太は乃華から紙の束をかっぱらうと、その資料を隅々まで読み出した。

 

 資料には、虎丞の罪状が詳しくのっており、どのぐらいの地獄に行って、今後どうなるかまでかかれていた。虎丞はあの後、全ての罪の首謀者として、カムラと共に背負い、騒動の中で佐乃道場の門下生を消滅させた実行犯以外は、殆どの組員の地獄行きを査定の上下にまで留めた。そのかわり、虎丞達は第3地獄にまで落とされて、今も刑罰を受けている。

 

「・・・第3地獄は少し温情も入ってます・・・佐乃さん達の方からも情状酌量の申し出もありましたので・・・佐乃さんのお弟子さん達は何人か滅消されてますから、その方達の方は、転生先の優遇等で話が進んでいます。」

 乃華が賢太をけげんそうな目で見ながらも、ちゃんと説明する。

 

「・・・・・・。」

 賢太は必死に資料に目を通す。

 

「乃華さん、わざわざありがとうございました。」

 善朗も虎丞の事は知らない関係ではなかったので、ちゃんと調べてくれた乃華に頭を下げた。

 

「いえいえ、いいんですよ・・・ちゃ・ん・と・お礼を言ってもらえれば・・・。」

 乃華が善朗には微笑み、賢太には嫌味を言いながらにらんだ。

 

「・・・・・・ねえちゃん、すまんかったな・・・おおきに・・・。」

 賢太が資料から視線を乃華に向けて、真剣な目でお礼を言う。

 

「・・・うぅっ・・・別に・・・構いませんよ・・・善朗さんの頼みでもありましたから・・・。」

「ッ?!」

 乃華が恥ずかしさから言葉を滑らす。賢太はその言葉にハッとなり、善朗を見る。

 

「・・・いやぁ~・・・僕も気になってたんで・・・今日はたまたま賢太さんがいたからちょうどよかったというか・・・。」

 未だにリアルヤンキーの姿にビビッている善朗が目を泳がせながら頭をかく。

 

「・・・これもっ・・・強さってっ・・・やつなんかっ・・・。」

 賢太は資料をグシャリと握り締めながら、歯を食いしばる。

 

「善朗さんは式霊でもありますからねぇ。」

 乃華が善朗の背中に隠れてボソリと呟く。

 

「ッ?!・・・そうやっ・・・われっ、霊能力者とも契約して、実戦経験もつんどるんやろっ・・・ずっこじゃっ、俺にも紹介せいやっ!」

 賢太がまたガニマタで地団駄を踏みながら善朗を指差す。

 

(もう~~・・・乃華さん余計な事を・・・。)

 苦笑いを浮かべる善朗。

「いやいや・・・僕も式霊になった経緯は複雑でして・・・紹介も何も・・・。」

 善朗はそう言いながら両手を胸の前に出して振って、ジェスチャーする。

 

「いいやっ・・・ずっこいずっこい・・・今度、現世に行く時は俺もつれてけやっ!」

 賢太は善朗と、おでこを合わせて、脅迫に近い要求をする。

 

 善朗は必死に賢太から目線をずらしながら対応する。

「かかかかっ、構いませんけど・・・賢太さんは貴重な一日じゃ・・・。」

「お前が、その時に霊能力者用意すれば、ええんやないかいっ!」

 最早、無理難題を通り越している要求が善朗に振りかかる。

 

(もうどうにかしてよぉ~~~。)

 善朗は余りの賢太の攻めに隣にいた大前を見る。

 

「・・・・・・ハッハッハッハッ、いいことじゃいいことじゃ・・・切磋琢磨する相手がいるのは主が成長する上で、この上ないっ。」

 善朗に見られて、少し考える大前だったが、善朗の望んだような言葉が出てこない。

 

 あまりにも善朗を攻め立てる賢太に乃華が救援に入る。

「ちょっと、賢太さんっ・・・式霊って、どうやってなるかご存知なんですか?」

「しらんわっ、そんなもんっ。ちゃちゃっとしてくれたら、ええやろっ!」

「そんなわけないでしょっ!」

 が、賢太の横暴に見事に言い合いになる二人。

 

 

(もう誰か助けてええええええええエエエエエエエエエエッ)

 善朗の心の叫びが霊界中に木霊す。ような気がした。

 

 

 




登場人物2



 虎丞組《こじょうぐみ》

 虎丞
 2m近い大男。お坊さんのような服装をしているが、袖など所々スれていてボロボロだが、本人は気にしていない。頭も丸めて、手拭を巻いているが、額には大きな傷があるのがはみ出て見える。性格は寡黙だが、ハッキリと言う時は言う。組織をまとめているだけあって、人望は厚い。


 カムラ
 虎丞組のNo.2。組織の頭脳担当で、良く虎丞の相談に乗っている。服装は至ってシンプルに紺の甚平にゾウリを履いている。白髪のロングヘアが目立つ。性格は虎丞と同じで口数は少ない。読書家。


 雅嶺 賢太(がりょう けんた)
 虎丞組の自称特攻隊長。昭和のヤンキーを地で行くリーゼントと長ランが目立つ。口調はドがつくほどの関西弁。喧嘩っ早く短気。だが、仲間思いで情に厚い。年齢?(時代)の近い善朗を何かとライバル視している。



 ササツキ組

 ササツキ
 傾奇者《かぶきもの》のような派手な着物を身にまとっている紫色のドレッドロングヘアの男。いつもニコニコしていて、掴み所がなく不気味。善朗が住む辰区の掌握を目論んでいる?




 辰区区役所

 タロさん
 辰区の区長いわば、区のトップ。
 だが、実は押し付けられた役職にビクビクしている事務作業が得意な普通のおじさん。性格は、く○がつくほど、真面目。臆病。
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