墓地々々でんな~異世界転生がしたかったけど、うまく逝けませんでした~   作:葛屋伍美

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勝ち鬨

「けんちゃあああああああああああああんっ!」

 山から返ってくるなり、寺で言われた通り待っていた美々子の元気一杯の声が、賢太を出迎える。

 

(ホンマ元気やのぉ~~・・・鼓膜破れて、耳どっかとんでくわ・・・。)

 中身は壮絶な戦いの後で、ボロボロなれど、霊体と言うこともあり、激戦の後はまったくない賢太が肩を落としながら美々子の出迎えを受け止める。

 

「賢ちゃん、一人で頑張ったんだねっ!えらいねっ!!」

 美々子は賢太の目の前に来るなり、ニコニコしながらそう言う。

 

「・・・・・・。」

 賢太は助けられなかった太郎の事を下唇を少し噛んで思い返していた。

 

 

 

「拙僧もそれなりには手助けしました故・・・賢太の活躍は拙僧あっての活躍でござった。」

 太郎が美々子の隣で尻尾を振りながら、自分の勇姿を美々子に報告する。

 

 

 

「そうだったの?太郎もお利口さんっ。」

 美々子は太郎の頭を撫でながらニコニコしている。

 

「いや、お前・・・めちゃめちゃやられとったや・・・な・い・け?」

 賢太は太郎の話を否定して、ニヤケながらツッコんで、太郎を視界に入れて固まる。

 

 

 

「お前、なんでおんねんっ!!!!!」

 賢太は平然としている太郎の存在に大声でツッコんだ。

 

 

 

 賢太の前で壮絶な戦いの末、見事散って見せた太郎の勇姿に涙した賢太を嘲笑うかのように、太郎は美々子に撫でられながら尻尾を振っている。

 

「いや、お前もいつまでなでとんねんっ!」

 賢太の怒涛のツッコミは美々子にも炸裂した。

 

「えへへへへっ。」

 美々子は賢太にツッコまれたこと事態に喜んで頭をかきながら微笑む。

 

 太郎曰く、賢太についていった霊体は本物の太郎なれど、太郎の本当の実体は寺に大事に保管されている皇峨輪その物なので、霊体がいくらやられたとしても、時間はかかるが、本体である皇峨輪からいくらでも呼び出せるとの事。

 

 

 

「それやったら、お前がゾンビアタックすれば、よかったやないかっ!」

 当然の賢太の反論だった。

 

 

 

「ぞんびあたっく?」

 初めて聞く言葉に困惑する太郎と美々子。

 

(お前もかいっ)

 美々子に心の中でツッコまずにはいられない賢太。

 

 賢太は丁寧に『ゾンビアタック』について話した。

 

 

 

 

 

 

「・・・それはできぬ。」

 ゾンビアタックについて、理解した太郎が否定する。

 

「本体の皇峨輪からいくらでも霊体は出せるが、霊体を作るのに霊力を圧縮せねばならぬ。それにはそれなりに時間が掛かる故、そうポンポン出せんのだ。」

 太郎の話はもっともだった。

 

「それにしては、お前、もう出てきとるやないか?」

 賢太が今目の前に居る太郎に対して、説明を求めた。

 

「これはオヌシの大量の霊力を借りた故、短時間でできたものなのだ。」

 賢太の問いに簡潔に素早く答える太郎。

 

「おまっ・・・人の霊力勝手に借りてくなやっ・・・たこうつくでっ。」

 賢太は掠め取られた霊力に驚いて、たじろぎながら太郎に忠告する。

 

「ふっ・・・たかいも何も・・・それこそが、拙僧とオヌシが盟約を結んだ証・・・。」

 そういって、太郎が賢太を見据えた。

 

「・・・そうか・・・。」

 賢太は太郎の眼差しを全身で受け止めて、軽く笑って返す。

 

「えっ・・・じゃぁじゃぁ、太郎ちゃんも一緒に来てくれるの?」

 美々子は状況と話を流れだけで、捉えてニコニコ飛び跳ねる。

 

「・・・そうですな・・・よろしく頼みます・・・。」

 太郎は美々子を優しく見ながら、そう話す。

 

(どこまで理解しとるか・・・太郎も話し合わせるんがうまいのぉ・・・。)

 賢太は腕組みをしながら、いつも通りの美々子に呆れる。

 

 

 

 〔ガサガサッ〕

 3人がこれからの事でまとまっていた時、寺に隣接する林の中から何かがうごめく音がした。

 

 

 

「・・・・・・。」

 賢太と太郎はその音に静かに反応して目線を流す。

 

「えっ?・・・何々??」

 理解していない美々子が林の方をマジマジと見ながら何かを探している。

 

 美々子にはまだ捉えられてはいないが、そこには何頭かの猿達が賢太と太郎に挨拶すべく姿を現していた。

 

 賢太と太郎は猿たちの姿を見ると、二人して顔を見合わせる。

 

 〔バッ〕「・・・・・・。」

 賢太は無言で右拳を高々と振り上げて、ニヤリと笑い、猿達に見せ付けた。

 

 〔キキッ・・・キッキッ・・・。〕

 賢太の勇姿を見たからか、猿達は一斉に自分達の住処である山の方へと姿を消して行った。

 

「あっ、お猿さんっ!・・・おーーーーいっ!!」

 美々子は姿は結局捉えられなかったものの、猿の鳴き声に反応して、猿達にニコニコと手を振って呼びかける。

 

 賢太は太郎をジッと見て、何かを催促した。

 

「・・・・・・。」

 太郎は賢太と目を合わせて、何かを感じ取ると、

 

 

 

「ワオーーーーーーーーンッ!」

 太郎の大きな遠吠えが、勝ち鬨のように山々へと響いていく。

 

 

 

「ワンワンワンワンッ!」

「キャンキャンッ!」

 我が山のリーダーの声を讃えるように村中の犬達が太郎の遠吠えに続いて、響き渡る。

 

 

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