ドラゴンメイド・ラブコール   作:久本誠一

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プロローグだけじゃ流石に短いので今日だけは2話同時更新。


パルラ~ティルルの一問一答

「では最初に、改めてお名前とこの館での役職をお願いします」

 

 客室。外客などまず来ないこの空間では普段はまず使われない部屋に、今日は人影がふたつ。メモを片手に構えた女性が先ほど差し出された湯気立つ紅茶で唇を湿らせてから口火を切ると、机を挟んで相対する緑髪のメイドが機嫌よさそうに尻尾を振りながら明るく笑った。

 

「はいはーい、ドラゴンメイド・パルラちゃんでーすっ!ぶいっ!役職はパーラーメイド兼、マスターのお嫁さん!」

 

 そんなVサインまで混ぜながらの堂々たる宣言の一部に、記者は意外そうに目を瞬かせた。

 

「おや、もうご結婚を?」

 

 非難めいた響きというより、純粋に疑問に思っての言葉。彼女が以前友人であるラティスから聞いていた話からの判断では、さすがにまだそこまでここの主人とメイドたちとの関係は進んでいないはずだというのが共通認識だったのだが……すると途端に尻尾は垂れさがり、溌溂としていた視線は明後日の方向へと泳いでいった。

 

「……あ、いえ、これは将来の夢というか、こういうのは言ったもん勝ちというか……はい。もちろん皆もマスターのお嫁さんにはなるだろうけど、今のうちにこうやって後に残る形で言っておけば一歩リードできるかなー、と……」

 

 目を逸らして両手の人差し指の伸ばした先端をつんつんと突き合いながら、しれっと油断も隙もない内容を口にしていたことをあっさり暴露する。

 何とも言えない沈黙はしかし、空気が気まずくなる前に記者が断ち切った。

 

「なるほど?それで本日の取材内容ですが、そのマスター様との人間とドラゴン間での異種恋愛や同棲生活の感想について、皆様からひとりずつお聞きしたいなと思っておりまして」

「ふむふむ。つまり、この恋愛マスターパルラちゃんと恋バナがしたい、と?よろしい、なんでも聞きなさーい!」

 

 お互いに先ほどの話はこれ以上深掘りしないことにして、気持ちを切り替え改めてテンションを上げ直すパルラ。しかしこの自称恋愛マスター、押せ押せで攻めている時は確かに強いが半面自分が攻められると一発でよわよわになることは当の主人(マスター)本人にすら看破されているレベルである。

 ともあれ、本格的な質問が始まった。さすがに真面目な質問だけあって、パルラも多少は砕けた態度を収めて背筋を伸ばす。

 

―――――ではまず、そのマスターさんについて。パルラさんから見て、ずばり一番の魅力は?

 

 マスターの一番の魅力ですか?う~ん、そうですねえ……全部、っていうのは無しとして、ですよね?なら男性ってこういう言い方すると嫌がることも多いって聞きますけど、可愛いんですよねとにかく。

 

―――――可愛い、ですか?

 

 そうそうそう!例えばこれはまだマスターがこっちの世界に来る前の話になるんですけど、カードとしての私ってまず(パルラ)自身が初動で、同じ(ルフト)も後手なら最初に引けているとやっぱり妨害への対策になるじゃないですか。だからデュエルの時も最初の手札に私がいると、もちろん口にも顔にも出しませんけどマスターが喜んでくれているのが伝わってきて。

 パルラちゃんを頼ってくれる、そういうところがもう可愛いなぁ……!って、ずうーっとキュンキュンしてましたね。

 

―――――なるほど。では実際に一緒に過ごすようになってからは?

 

 それです。もう……やっぱり、とにかく可愛いんですよ実物はぁ!どうしたって人間とドラゴンだから私たちの方が体も頑丈で力も強いのはマスターだってわかっているのに、それでも力仕事とかは頑張って手伝ってくれちゃうところとか!想像してみてくださいよ、私たちなら片手どころか小指だけでも持ち上げられるような壺なんかを、一生懸命両腕で抱えて慎重にゆっくり歩いているところなんか!

 

―――――ああ、それは……確かに、ちょっと可愛いかもしれませんね。

 

 ちょっとなんてものじゃないです。しかもそれが終わった後でお疲れ様、マスター!なんて言おうものならちょっと恥ずかしそうにはにかんで……当然この表情は私脳内に全力で保管して隅々まで一生忘れないようにしましたけど、それから申し訳なさそうになって出しゃばってごめんね、迷惑だったでしょ、なんて……もう、もう、もう!

 とにかくいじらしいやら可愛いやら、もう何回好きを更新させれば気が済むんだこの人、って。しかもそれが毎日、手を変え品を変えのシチュエーションで続くんですよ?天国はこの館にあった、っていう感じですね。

 

―――――なるほど。では次の質問ですが、今種族における力の差の話をされましたよね。種族の違う存在である事が明確によかった、と感じたことなどあれば。

 

 マスターが人間で、私がドラゴンでよかったこと?となるとやっぱり一番は、この身体ですかね。あ、もちろん変な意味じゃないですよ!?……今はまだ、ですけど。

 ただマスターって、このメイドの姿だとどうしても女の子として意識してくれちゃうみたいであんまり積極的に触ってはくれないんですけど……。

 

―――――口ぶりの割に表情が緩んでいますが?

 

 え、嘘!?

 コホン。ともかくこの姿に対してドラゴンになると、人型じゃなくなるからか少し心理的な枷が緩むみたいで。あと単純に、マスターの元の世界にはドラゴンっていないですからね。翼とか尻尾とか、色々興味津々で触ってくれて、えへへへへ……。

 

―――――あの、パルラさん?

 

 はっ!?ま、まあそういう役得があったので、あの時は心底ドラゴンに産まれてよかったと思いましたね、ええ。

 

―――――な、なるほど?それでは最後に。これまで暮らしてきて、逆に価値観の違いなどを感じた経験は?

 

 ああ、あるんですよね、これが。少なくとも私のマスターの場合は、ですが。マスターって基本的にシャイ、というか、どうも自分への自信が弱いところがあって。そういうところがまた可愛いんですけどそれで私たちに対して気後れして距離が開くのは嫌だったので、ちょっと一計を案じたことがあるんですよ。

 まず仕込みとしてマスターがあちらにいた時、使っていたSNS。それの新しいアカウントを取得して、自撮り写真を何枚か上げてみたんです。顔が完全に映らないように目線だけ隠して、今着てるみたいなマスターに見せるためのやつと形は同じでも、露出は抑えたメイド服で「ドラゴンメイド・パルラ コスプレ」って。どうなったと思います?

 

―――――コスプレというか、完全に本人ですよね。人間の世界にこちら側のことは知られていませんし、結構な話題になったのでは?

 

 そうなんですよね。自慢じゃないけどパルラちゃんてば超絶美少女なんで、狙い通り「ハイクオリティ過ぎる」「絶対可愛い」「ファンになりました」って、まあものすごい数の評価やらメッセージやらが飛んできて。あ、もちろんどれにも返信や反応はしてませんけど。さすがにキリないですし。

 それである日、マスターにその画面見せてあげたんですよ。こういう変な言葉はチェイムに聞くに限るんですけど……あ、今のはチェイムには内緒でお願いします……優越感煽り、っていうらしいですね?つまり、「こーんなに大人気のパルラちゃんを、この世で唯一傅かせているのがマスターなんですよ」って。直接会いたいみたいなメッセージも多かったんで、具体的な話はしませんが内容がエグくないやつを適当に抜粋してそれも見せてみたりして。

 

―――――それで、どうなったんです?

 

 大失敗でしたね。あれは私が完全にマスターの性格を読み違えたので、それが原因ですが。写真を上げたっていう時点であんまりいい顔はしてなかったんですけど、もう読み進めるうちにすっごい不安そうな顔になっていって。

 あ、まだピンと来てない感じですね?なら、少し言い方を変えますけど。要は私、故郷によくいた雄ドラゴン相手と同じノリでやっちゃってたんですよね。ドラゴンって種族は大なり小なり自分のお宝に対して強欲なところがあって、その価値を認められると無条件に嬉しいものなんですよ。さっき記者さん、マスターの様子を想像してそれはちょっと可愛いかも、って言ってくれたじゃないですか?私、あれだけで結構嬉しかったですし。

 それで話を戻すと、ですね。そもそも女の子慣れしていなくて、周りに見る目のある人がいなかったせいで自己肯定感も低め。メイド文化にもあまりなじみのない国で過ごしてきたマスターには、独占欲云々以前に私が写真数枚で大人気になったことが怖かったみたいで。もう見ていてわかるくらいにすっごい言葉を選びながら、「パルラ、別の人の所に行くの……?」って。

 

―――――あ、怒らせたわけじゃないんですね。

 

 私としてはその方がよっぽどマシでした。あっっっれは本当に、今でも申し訳ないことをしたと心から反省してます。ジャム入りスコーンのイチゴジャムをこぼしたせいでラドちゃんが洗濯の時「パルラさんのメイド服に血が付いてました!」って本気で心配して泣き出して、ティルルもメイド長もその場にいたせいでつまみ食いがばれて、とどめにラドちゃん泣かせたものだからナサリーまで怒らせて累計3回の大目玉を連続で喰らった時より反省してます。

 だって何が健気ってマスター、もし私がそうしたいなんて言おうものなら本当は嫌がってるし悲しんでるのにそれを隠して送り出そうとしてくれているのがもう見ててわかるんですよ!ドラゴンメイドが一度認めた主人からは生涯絶対に心変わりなんてすることなんてないって、その辺の感覚もどうしてもまだ人間の基準だと心から理解できていなかったみたいで。それも含めて、あれはちょっと軽率だったなあと。

 

―――――なるほど。ちなみに、その後はどうなったんです?

 

 一切の議論の余地が挟まらないよう丁寧に否定したうえでアカウントはその場で消しましたし、その日は朝までマスターを抱きしめて絶対に放しませんでしたね。今にして思えばあれも役得でしたし顔を真っ赤にして全身ガチガチになってなるべく素肌が触れないようにって緊張しているマスターはとても可愛かったですけど、当時はそんな感想や下心も出てこないくらい私も必死でした。誤解が解けてからも今度は「私はパルラのことを疑った」ってそれはそれで少し落ち込んでいたので、じゃあ私もこのことを気にするのは止めるからマスターもこれ以上そんなこと気にしないで下さい、って……。

 結果的には私にはマスターしかいないんですって信じてくれたし何とかなったとはいえ、大事で大好きなマスターにあんな不安を抱かせてしまったことは私の一生の汚点のひとつでしたね……。

 

―――――興味深いお話、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

「それでは、最初にまず自己紹介をお願いします」

 

 パルラがしれっと最後の土産とばかりに掠め取った茶菓子のクッキー片手にルンルンと立ち去ると、続いて客室に現れ一礼したのは赤髪のメイド。見るからに緊張を隠しきれていない彼女だったがそこはやはりプロのメイド、やはり硬い口調ではあるもののそつなく答えていく。

 

「ドラゴンメイド・ティルル、真名はフランメ。この館では主にスティルルームメイドとしての役割を全うしています」

「これはどうも、ご丁寧に……」

 

 先のパルラとはあまりに違う真面目な態度に、慌てて居住まいを正し改めて一礼する記者。それだけで何かを察したように形の良い眉を寄せ、パルラの出ていった扉を睨みつける……当然、彼女は既にそこにはいない。

 

「まったくもう、お客様に向かって……!本っ当に申し訳ありませんうちの馬鹿が、失礼な態度を働いたようで」

「いえいえ!パルラさんのお話、非常に楽しく聞かせてもらいましたよ。ですから顔を上げてください……!」

 

 冠のような形が特徴的な角が丸見えになるほど深く頭を下げて謝罪するティルルに、記者も慌てて首を振る。

 実際聞かれたことを全てあけすけに話してくれたパルラのインタビューは彼女にとっても有意義なものであり、むしろ今回の趣旨を早々に察してわざと砕けた態度で最初から接してくれた彼女には感謝しているくらいなのだ。しかしそこは真面目なティルル、その言葉を聞いてもなかなか頭を上げようとせず、これでは取材になりはしない。そこで記者は慌てるあまり、何気なく口を滑らせた。

 

「そういえばティルルさんは、こちらのご主人に対して何か夢や目標のようなものはないんですか?」

「はい?」

「あ、いえ、パルラさんに同じことを伺ったところ、あくまで将来の予定という前提付きではありますが『パーラーメイド兼マスターのお嫁さん』と仰っていたので……」

 

 意味が分からない、という顔で聞き返されたので、先のインタビューであったことを正直に答える記者。するとそこからの反応は、非常にわかりやすいものだった。ピシリ、という幻聴まで聞こえてきそうなほど体が固まり、次いでその顔が髪色や尻尾と同じほど真っ赤に染まっていく。同時に呟き始めた言葉は先程までのはきはきと聴き取りやすい受け答えはどこへやらなあまりにもごにょごにょとした早口だったため、さしもの記者も全てを聴き取ることはできなかったが、それでも「ずるい」「私だって」といったいくつかの単語はどうにか耳に入ってきた。

 

「……はっ!?し、失礼しましたお客様、彼女にはあとでキツく言い聞かせておきます!そういった関係は、私どもとご主人様にはありませんので…………今のところは、ですが……」

 

 数秒後ようやくここが客人の前だと思い出したのか、我に返ってまた頭を下げるティルル。しかし目線を外して消え入りそうな声で付け加えられた彼女の願望が垣間見える最後の一言に、奇しくも記者は普段パルラが彼女に対して抱いている感情を理解できた。

 すなわち真面目だからいちいちいい反応をくれるので、弄り甲斐がある。ついくすぐられた嗜虐心が、彼女への追撃を選ばせた。

 

「それでティルルさん、本当に何も付け加えなくてよろしいのですか?」

「いえ、その、あの……」

 

 また俯いて、しばし目をぐるぐると回しての葛藤。傍から見てもわかりやすく欲望と理性の狭間でたっぷりと揺れ動いたのち、とうとう彼女は小さな小さな声で恐る恐る手を上げた。

 

「……わ、私も、ご主人様のお嫁さん希望で、お願いします……」

 

 いまにも顔から火を噴きそうな様子で、とうとう口にする欲望への敗北宣言。謎の満足感を抱きながら、改めて取材が始まった。

 

―――――それでは、ティルルさんのご主人についてお聞きします。ずばり、その一番の魅力とは?

 

 まだこれから始まるんですね、うぅ……ご主人様の魅力、ですか?色々とありますが一番となるとやはりその気質、ですかね。

 

―――――気質、ですか?

 

 ええ。ご主人様とお話しする際はいつも感じるんですが、常に優しい目で世界を見ていらっしゃるんですよね。もうここにきて何か月にもなるのに、いまだに私たちにとっては当然の奉仕に対しても毎回お礼の言葉を口にしたり、何か、あるいは誰かと向き合う際にはまずそのいいところを見ようとしたり。

 別にご主人様自身がそう口にしたわけではないですのでこれは私がそう感じているというだけの話ですが、持って生まれた性質や成長の過程で身についていった態度というのはどうしても日々の暮らしの中でいくら意識しても付け焼刃ではそのうちぼろが出てしまいますから。ご主人様はそれをごく自然とやって……というよりも、それがご主人様にとっては当たり前の世の中への向き合い方なのかと。そしてその度に、この方をご主人様として仕えられる充足感を覚えます。

 

―――――ははぁ、つまりそういった素の部分が見えてくるほど、普段からご主人のことを目で追っていると。

 

 んなっ!?

 …………そ、その通りですよ、ええ!

 

―――――すみません、調子に乗り過ぎました。では次の質問ですが、人間の主人にドラゴンメイドということで、やはり種族の差というものはどうしても意識する機会が多いことかと思われますが。種族が違っていてよかった、と思えることなどありましたら

 

 いえ、こちらこそお恥ずかしいところをお見せしました。それで次の質問についてですが、これはドラゴンの特性というよりもむしろ、炎という私の属性に関する話ですがそれでよろしければ……大丈夫ですか?では。

 以前私どもの間で色々とあった結果、毎日日替わりでご主人様と添い寝を行う権利を順に回したことがあったのですが。

 

―――――なんだかもうオチが読めた気がしますが、はい。

 

 そうですよね……特別な話ではありませんしご存じかもしれませんが、私も含め炎属性は他の者よりも基本的に体温が高く、さらにある程度はそれをコントロールできるんですよね。そしてあのご主人様との添い寝日は私としても……。

 

―――――楽しみにしていらしたのは、とてもよく伝わってきます。

 

 ……恥ずかしながらその通りです。ですがその日のご主人様の場合、いかんせんそれまでの他の者との添い寝が続いていた関係で、緊張するあまりうまく眠りにつくことができずここ数日は寝不足気味なようでした。なのでともかくひとつのベッドに入り、少しずつ私の体温を高めていくことでベッド全体を温かくしていき段階的に眠気を誘いまして。最終的に朝までぐっすりと無事に安眠していただくことができたことで翌朝久々にしっかり眠れたとこっそりお礼を言われた際には、炎属性としてメイド冥利に尽きました。

 

―――――まさに属性の有効活用、といった具合ですね。それでは逆に、種族や価値観の差が悪いほうに出てしまった思い出などは?

 

 これも種族や価値観、とは少し違う例かもしれませんが。私の考えが至らなかった点によりご主人様にご苦労をおかけした例ですと、魔法に対する種族的なスタンスの違いですかね。

 これは私たちがお料理する際のあるあるだと思いますが、作ってみたけれど何か一味足りないとかそういう時、魔力をぎゅっと込めたりするじゃないですか。

 

―――――属性とか効能とかも特にない、本当にただの魔力の塊ですよね?確かに私も一口食べてもう少しパンチが欲しい時なんかにはよくやりますが、味がちょっと締まるんですよね。

 

 そうなんです!……っと、すみません興奮して。それで話を戻すと、あれはおやつにドーナツを作った日のことですね。

 あれをその前最後に作ったのはまだご主人様が私どもの館にいらっしゃる前だったので、従来のレシピよりも数を増やして作ろうとしたものの生地の分量を少し間違えたようで。試食したところ、甘味のバランスが少しぶれていたんですね。それでついうっかりいつもの癖で、仕上げに魔力を込めてしまいまして……。

 

―――――?何か問題でもあったんですか?

 

 そもそもご主人様がこちらに来るまでいた人間の世界って魔法自体がほぼ存在しないものとして扱われて、実際自然に存在する魔力も極端に少ない場所じゃないですか。ここは空気から何まで魔力が濃くて私たち魔法生物には住み心地の良い場所ですけど、ご主人様にとってはそれだけでいきなりの環境の変化にまだ適応しきれていない時だったんです。

 その状態で私の込めた魔力の塊を口にしてしまったものだから、つまりその、エネルギーが……ええと、過剰な状態になり……これは信じていただきたいんですが、地下って食べたその時は、何も起こらなかったんです!すっごく美味しい、ご馳走さまティルル、などと声もかけていただいて!

 ただその後でどうも、これは私ではなくメイド長が最初に気付いたのですが……。

 

―――――えっと、すみません。どうも要領を得ないのですが、つまり何が起きたんです?

 

 ……わかりました、言います、言いますからあ!

 つまりですね、魔力慣れしていないご主人様が上手く身体に吸収できなかった余剰エネルギーは、そのまま生命力として溢れ出まして。その、つまり生……殖、欲求、として。しばらくおひとりで隠れてそういったものを……ええと、発散させる回数と頻度が、私の軽率な行いのせいで増えてしまったようでして……あれは本当に、私の考えが至らなかったと今でも……。

 

―――――あっ、あー……突っ込んだところまで聞いてしまい、申し訳ありませんでした。しかし下世話な話ですが、少し意外ですね。てっきりこれまでの溺愛ぶりを伺う限り、そういった欲求もむしろ嬉々として受け入れるものかと……。

 

 ……その件に関しては、メイド長に直接聞いてみてください。メイド長自身も含め、私たちには現在ご主人様とのその……そういった行為に対し、絶対の戒厳令が敷かれていますので。

 

―――――戒厳令、ですか。ちなみに、それさえなければティルルさんご自身としては?

 

 言わせないで下さい……!




ドラゴンメイド・パルラ
基本的にはしっかりちゃっかり、だけど恋するマスターのことは割と全肯定しちゃう、人をダメにする魔性の素質を持つメイド。本当は四六時中べったり引っ付いてお世話も全部してあげたいし、もっと欲を言えばその過程でただもうひたすら甘々にイチャついていたい。ただ現状の気軽に喋れる距離の近い女友達兼メイドの距離間もこれはこれで捨てがたい。

ドラゴンメイド・ティルル
その生来の生真面目さから、恋も駆け引きは苦手気味。ちなみに添い寝の日(参照:『ふたりっきり』の日、より「ハスキー 22:00~」)に主人の快眠を断言できるのは、当の彼女自身が緊張と喜びでまるで寝付けずひたすら主人の寝顔を特等席で観察してひたすら見惚れる夜を過ごしていたから。

おまけ:よくわかる迷走の軌跡

単純なイチャイチャは2巡書いたし、ネタ切れ対策も兼ねて彼女たち視点の一問一答のろけ話みたいなの書いてみたいかも

オリキャラ(記者)相手に2人ずつの掛け合いにしよう(オープニングのハスキーパルララティスはこの名残)

……なんかうまく筆が進まんなあ(3千字ほど書いてから)、仕方ないそこは諦めて1人ずつやろう(ここで全部書き直し)

・いかん掛け合い前提で質問内容考えたから1人あたりが短くなり過ぎた、しゃーない1話に2人分載せよう(ガバ1)
・というか一問一答っぽくしようとしたけど、これ実質台本形式みたいなもんでは……?(ガバ2)
・そもそもオリキャラ目線ならまだしも、オリキャラとののろけ話を延々上げていく話に本当に需要が……?(ガバ3)

つまりはそういう話です。ただ仮にも全員分書いちゃった以上、没にするのも勿体なかったので……。
あとドラゴンメイドの良さをもっと広めたいので、出せるものがあるならこうやって出していきたかった。ドラゴンメイドはいいぞ。
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