【完結】TS脳筋没落ジオンお嬢様戦記   作:むにゃ枕

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13 エピローグ お嬢様はおしまい

 一年が過ぎても、海兵隊には何の措置も下されなかった。それどころか、海兵隊の工兵によって住環境が改善されていくばかりだった。

 はじめは上層部が忙しいのかと思っていたが、どうもそうではないらしい。というのも、収容所内にMSシミュレーターが持ち込まれていたのだ。看守は何も言わない。それどころか、自分にもやらせてほしいと言う始末。

 

 訓練設備や訓練のための武器も運び込まれた。私たちの情報が意図的に秘匿されているのは明らかだった。ワルキューレという組織が、関わっているらしい。恐らく背後にいるのはキシリアだろう。

 

「ゲール中佐、MSですか? それ?」

「MS-18Eケンプファーだ。全部で十機ある」

 

 とうとうMSまで持ち込まれてしまった。もう、こうなったら覚悟するしか無いだろう。私たちは反乱を起こすのだ。

 

 早朝の乾いた空気を、起床ラッパが台無しにする。叩き込まれた習性で、装具を身に着け外に出る。

 

「兵士諸君! 仕事だ! 鈍っていないだろう、敵は友軍だ、アタシも気は進まないが、平和への対価だよ!」

 

 収容所の看守が、私たちに手を振っていた。MSと各種車両が収容所から出発する。

 

「友軍が、親衛隊を撹乱する。その間に我々がギレンの首を取る。その後、突撃機動軍が入ってくる」

「シーマ中佐、港湾区画の確保は宜しいのですか?」

「ゲール、あんたらでベイを確保しな。ギレンが逃げるかもしれないからね」

 

 ゲールMAUの工兵や衛生隊、そういった職種の取りまとめは私に任された。ゲール中佐は、ケンプファーで暴れたいらしい。

 街中をMSと車列が抜ける。早朝ということもあり、静かだった。

 

 ベイ付近の検問所をMSが踏み潰す。抵抗は全く無かった。このような事態を想定していなかったのだろう。

 

「歩兵降車! 展開する! 掃討しろ!」

 

 シンプルな命令を下し、歩兵がバラバラと降りていく。指揮車で私は戦況を見守る。リン軍曹が、情報を取りまとめ提示する。それを判断するだけの簡単な仕事である。

 

 ベイの敵戦力は殆どいなかった。そのため、歩兵部隊を残し、MSが転進。シーマ隊の援護に向かった。

 

「歩兵諸君。お役目ご苦労」

 

 突撃機動軍のMSだ。ゲルググである。1年前は誰もこの展開を予想していなかったはずだ。こうなった以上、クーデターの成否は語るまでもない。

 

 

 ギレン・ザビとセシリア・アイリーンは死体で見つかった。毒を呷ったそうだ。クーデター成功後、ア・バオア・クーは落ち、ドズル・ザビは死亡した。

 その後、キシリア・ザビが無条件降伏文書に署名した。サイド3は完全な民主化が行われムンゾ共和国となった。公国軍は解体され、共和国軍が成立する。

 

 キシリア・ザビをはじめとした将クラスはA級戦犯に指定。キシリアは、マ・クベと共に頭を撃ち抜いた姿で発見された。

 多くの将クラスがキシリアと同様に、自決した。生き残ったA級戦犯は、死刑判決を受けることとなった。多くの将校が、B級戦犯ないしは、C級戦犯に指定された。

 

 ガルマ・ザビはゼナ・ザビ、ミネバ・ザビと共にアクシズに逃亡する。

 ソーラー・レイとコロニー・レーザーを撃ち合ったア・バオア・クーの激戦により、地球連邦軍も無傷というわけではなかった。しかし、軍紀を著しく乱すような行動は行われず、統率された占領が行われた。

 

「キシリアが総帥を殺さなければ、ジオンは勝っていた」

「キシリアが余計なことをした」

 

 口さがない市民はそんなことを言う。しかし、多くの国民は本土決戦を避けられたことで、内心安堵していた。夫が、子が、兄が、弟が、恋人が、友人が無事に帰ってきた喜びを連邦市民、ムンゾ市民共に享受した。

 だが、全ての者がそうだったわけではない。この戦争で、公国軍150万人、地球連邦軍180万人が犠牲となった。犠牲となった市民は数千万から数億と言われている。コロニー攻撃や小惑星落としにより、資料は逸脱し正確な人数は分からない。多くの市民が犠牲になったのは確かだった。

 

 敗戦と共にムンゾの経済は落ち込んだ。地球連邦も同様だった。しかし、致命的とまでにはならなかった。ムンゾでは、食卓に上がる品目は減ったが、餓死者が出るようなことにはならなかった。

 

 5年の統治を経て、ムンゾ共和国はムンゾ自治共和国となった。独立が果たされたわけである。海兵隊は、ジオン解放の英雄や、毒ガス注入を拒否した正義のジオン兵とされ、プロパガンダに利用された。海兵隊員はムンゾ市民権を獲得し、シーマやゲールの目的は果たされた。

 

 私は、リンと共に慰霊コロニーに来ていた。小高い丘からは、果てしなく広がる墓が見える。乗艦ごと消えて、遺体が戻らなかった兵士も多い。丘にある慰霊碑に、花を添えた。

 

「私は、誰かを救えたのかな?」

「そうでしょうね。本来なら人類の半数が死滅したんでしょう? あなたは役目を果たしましたよ」

「でも、もっと上手いやり方が有ったかもしれない」

「そうやってウジウジ悩まないの。そうやって悩むのは人間らしいかもしれませんね。でも、悩んでるアミニアの顔を、私は好きじゃないですよ。あなたはよくやりました」

 

 ご褒美です。と言って、リンが私の頬にキスをした。

 

「未来は、私たちが作るものなんですよ。明日も仕事ですよ」

「嫌だな〜。また、どやされるよ」

「官僚は大変ですが、軍よりマシでしょう。国を作り上げる手伝いですよ。あなたが望んでいた仕事じゃないですか」

「そうだね。程々に頑張るとしよう」

 

 悩み藻掻いて、ビターエンドへ辿り着いた。それでも人生は終わらない。ちょっとは世界が良くなったと信じて、私は墓地をあとにした。

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