例えばこんな従姉殿   作:紅シズク

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意味不明の高級箒と弁論準備

それから年末までの2カ月弱の間は平穏に過ぎていった。グリフィンドールのクィディッチチームにとっては幸いなことに、ハッフルパフチームはレイブンクローチームに敗北し、優勝杯争いからの脱落は避けられた。他、裏でちまちまと研究していたハリーのテーマである飛行術の理論構築が終わり、二人で補助魔法具…『飛翔の指輪』の開発に取り組み、成功した。それを自転車の補助輪の様に使用して私とハリーは飛行術の練習を始めた。慣れてくると、ハリーがチーム練習で使用している流れ星という箒よりも機敏かつ高速で飛べるようになったので、ハリーはいっそそれで試合に出るか、とまでジョークを飛ばしていた。なお、ロンも飛翔の指輪で飛びたがったが、飛行術の理論習得でつまずいて放り投げた。ハーマイオニーは時々飛行術の見学には来ていたが私達の著した飛行術の理論について流し読みした後に、忙しいので今は良い、という話になった。

そして、学期最後の週末、ホグズミード休暇が許される事となった。しかし、ハリーはホグズミードへの外出が禁じられた…シリウス・ブラックがホグワーツ近くに潜伏していると推定されるから、という理由であった。

色々とマクゴナガル先生に掛け合ったが、結局、ハリーの外出許可は得られなかった。

私もホグズミード休暇を返上して二人で『死の呪文』への対抗魔法具である『犠牲の石』についての研究を進める提案をしたが、ハリーはむしろ私にクリスマスショッピングのお使いを頼んできた。

そんなホグズミード休暇の日、ハリーに見送られて私達3人はホグズミード村に出かける事になった。

ホグズミード村では大雪が吹雪いているにもかかわらず母と遭遇した。どうやら、シリウス・ブラックがハリーの外出が禁じられたという事実を知らずにノコノコハリーを探しにやってくると考えている様子だった。

母と別れ、ショッピングを進めていると、ハニーデュークス菓子店でとんでもない人物と遭遇した…それは、ハリーであった。

掻い摘んで事情を聴くと、ハリーはウィーズリーの双子から忍び地図という魔法具を譲られた、という事だった。

忍び地図の今後の扱いなどを巡って若干の議論はあった…私とハリーは明らかに高度な魔法の詰まったそれを研究したかったし、ロンは色々と活用したかったし、ハーマイオニーは抜け道を学校の警備体制でふさぎたい様子であった。

とりあえず、忍び地図の行く末は棚上げされ、菓子を買い込んだ私達は三本の箒に移動することにした。

バタービールの大ジョッキで乾杯した私達は風を感じた。

振り向くと、バーの入り口にマクゴナガル先生とフリットウィック先生が立っていた。

ハリーはテーブルの下に押し込められて、ハリーの持っていたバタービールがこぼれた。

続いてハグリッドとファッジ魔法大臣と母が入ってきた。

ハーマイオニーがクリスマスツリーを魔法で動かし、私達を一行から隠した。

隣のテーブルに座った一向にマダム・ロスメルタが飲み物を持ってきた。

マクゴナガル先生がギリ―ウォーターのシングル、ハグリッドがホット蜂蜜酒4ジョッキ分、フリットウィック先生がアイスサクランボシロップソーダ唐傘飾り付き、ファッジ大臣が紅い実のラム酒、母はスコッチ・ウィスキーのお湯割りであった。

大臣がマダム・ロスメルタに一緒に一杯やろうと誘って話が始まった。

マダム・ロスメルタは大臣になぜホグズミード村という片田舎にやってきたのか、と尋ねた。

そこから始まった会話は気づけば、『シリウス・ブラックの最悪の所業』について、になっていた。

それは既に知っていた事…要するに、シリウス・ブラックが秘密の守り人になったにもかかわらず、それを『死喰い人の主』に密告し、ジェームズ叔父さんとリリー叔母さんが殺された、という事だった。だが、その過程でかわされた、ジェームズ叔父さんとシリウス・ブラックとの学生時代の仲の良さについては推定こそしていたが初耳だったし、シリウス・ブラックがハリーの名付け親であった事も初耳だった。母はそれを忌々しい思い出を聞くように黙って聞いていたが、時々発する言葉からは、シリウス・ブラックを自身の手で捕殺してやると考えている様子が言葉の端々から読み取れた。

翌日、ハリーは聞いていたよりもショッキングな事実関係を知って心ここにあらず、という様子でホグワーツ特急に乗った。

ホグワーツ特急の中ではハーマイオニーとロンがハリーを励ますような言動をしていたが、ハリーはやはり心ここにあらずという様子でぶっきらぼうに反応していた。

キングズ・クロス駅に到着したホグワーツ特急からほとんど最後の方に降りた私達は改札を抜けた。

そこには母とウィーズリー夫妻、グレンジャー夫妻、それに夏休みの警備担当だった闇祓いの人たちがいた。

そこから私達は漏れ鍋まで護送され、姿現しで直接、コークワースの自宅に帰宅した。

 

闇祓い達の前で大っぴらに話す事がはばかられる話題を除いて、ホグワーツでのいろいろな話を祖父母と母にした。

そして、話が一区切りした頃、母は私達に言いづらそうに口を開いた。

「あーアイリス、ハリー、実はハグリッドの授業の件でいいニュースと悪いニュースがある…どちらから聞く?」

「…悪いニュースからお願い」

「ヒッポグリフが危険生物処理委員会に付託される事となった…審理は4月20日だ。もし、彼のヒッポグリフを助命してやりたければ弁護の準備を手伝ってやると言い」

「それで…いいニュースは?」

「ハグリット『は』無罪放免、教授職を継続して務める事になった」

それは、私達が推測していた流れ通りの結果が出た、というニュースであった。

 

そしてクリスマスの日…事件が起きた。

ハリーにクリスマスプレゼントが届いた…なぜそれが事件なのかというと、それがファイアボルトという超高級箒だったからだ。

ハリーはキラキラとした目でそれを眺め、カードを探したが、何もついて居なかった。

少しすると母が起きてきた。母からのプレゼントだと思っていた私達は母を見たが母は唖然としていた。

「え…これ、ペチュニア伯母さんからのプレゼントじゃないの…?」

「…私からのプレゼントは幾つかの錬金術材料の詰め合わせといつもの飴の詰め合わせだ」

緊迫した空気が場を満たした…恐らく、私とハリーと母と闇祓い達の認識は一致していた…コレ、シリウス・ブラックがハリーを害する為に送って来たんじゃなかろうか、と。

当然、大急ぎで登録番号から流通経路が調査された。

そのファイアボルトはホグズミード村のふくろう事務所からハリーの名前で発注されていたが…その支払いはグリンゴッツの711番金庫から支払われるように手配されていた。

小鬼たちはその金庫の主を開示する事を渋ったが…年明けごろに開示された結果は、それがシリウス・ブラックの金庫であるという事を示していた。

が、同時に、ファイアボルトはシリウス・ブラックが指一本触れる余地のないルートで業者から直接届けられていたことも発覚し、私達は首をひねる事となった。

母は訳が分からんがとりあえず、安全そうだから貰っとけ、と言った。

なお、父からのクリスマスプレゼントはハリーには人狼に関する本、私は脱狼薬に関する研究についてまとめた本が送られてきていた…ハリーも私もついでにハーマイオニーもルーピン先生の正体については既に気づいていて、その上で黙っているのだが。

 

漏れ鍋経由で再び護送されてホグワーツ特急に乗った私達の最初の話題はファイアボルトについてだった。

ロンは単純に羨ましがっていたが、ハーマイオニーはシリウス・ブラックの行動の意味不明さに頭を抱えていた。

唯一あり得そうだと考えられたのは、一度、シリウス・ブラックが受け取って何らかの陰謀に使うつもりが手配を間違えて直接ハリーに届けてしまったという可能性であった。

その次の話題はハグリッドとヒッポグリフの運命についてであり、ホグワーツに戻ったらハグリッドを訪ねよう、という事に話は決まった。

 

ホグワーツに戻った翌日、早速ハグリッドを訪ねてヒッポグリフ…バックビークの弁護準備を手伝う約束をした。

「…思っていたよりも難しいわね、コレ」

半日ほど、色々と魔法界の法律などを調べた限りでは、バックビークの弁護は難しいという事がわかった。基本的に、『動物』に分類される生物(ケンタウロスやマーピープルを除く)が『(ヒトたる)存在』を傷つけた際、その動物は無条件で危険生物とみなされるという慣習法が存在する。その上で、その危険生物が免責されるか否かは傷つけられた存在側の行動の適法性が重要になる。要するに、警備用に配置されていた動物に不法侵入した存在が傷つけられたとか、野生動物保護区に入った存在がけがをした場合などの例外的な場合に動物側の自衛権の行使が認められたとかいう場合でない限り動物側が圧倒的に不利であり、処分(大抵の場合は殺処分)が避けがたい。

今回の場合、判例的にはドラコ・マルフォイがヒッポグリフを侮辱すると襲われると知った上で侮辱した、という事実関係が認定されても、マルフォイ家からヒッポグリフの価値相当の賠償がホグワーツに支払われた上でバックビークの殺処分が行われるという可能性が高い。

よって、バックビークを助命する為にはもう一つ理屈がいる。例えば、ドラコ・マルフォイが負った怪我が実際は大したことなく、その程度は愚行に対する罰の一環であり、それを実施するのがバックビークの義務である、というような。まあ、コレはさすがに無理があるので何かしらの別の理屈を捻り出さなければならないのだが。

あと、ハグリッドの意向次第でもあるのだが、バックビークの殺処分を避けるだけであれば、専門家の手にゆだねるという手もある。当然、コレを勝ち取るにも相当の苦労が必要だが、コレであればカギ爪を無力化した上で専門のブリーダーに飼育されるという生涯を送る事は可能である。

とりあえず、ハグリッドと調べた内容を元に相談するという事で第一回バックビーク弁護弁論準備会の会合は終わった。

その翌日から授業が始まった。その日の授業は占い学、変身術、魔法生物飼育学だった。占い学は授業内容が手相術に変わり、案の定、ハリーの生命線が短いとかトレローニー先生は言いたい放題であった。変身術は特に代わり映えのしない授業ではあったが、魔法生物飼育学はフロバーワームがレタスの食べ過ぎで死んだ事もあり、焚火で火トカゲを遊ばせる授業であったので結構楽しかった。

そして、火曜日に移動した闇の魔術に対する防衛術の授業後、私達はルーピン先生に守護霊呪文の指導の約束がどうなりそうか確認した。その結果、木曜日の8時から魔法史の教室で指導をしてもらえる事となった。

そして、その日の夕食に向かう途中、ロンがルーピン先生の病状について話題にした。

それに対して、私たち3人は苦笑して、ルーピン先生の御病気は不治の病だから対処療法をしながら治療薬が開発される事を祈るしかない、と述べるにとどまった。

自分一人だけルーピン先生の病状について理解していない事にロンは不満そうであったが。

 

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