例えばこんな従姉殿   作:紅シズク

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お茶会と箒飛行

「確かに、スリザリン贔屓のグリフィンドール嫌いって感じはしたけれども噂程はひどくなかったわね、アイリス」

授業が終わり、地下牢の階段を上がりながらハーマイオニーが話しかけてきた。

「…まあ、そうね。ハリーが思ったより予習していたから機嫌がよかったんじゃないかしら」

「そうね、確かにハリーの知識はすごかったわ。私、屠畜場を漁るってどういう事かって思ったもの。アイリスもあれくらい詳しいの?」

「知識だけは、ね。私達、同じ本で同じように勉強したから…でも実際にやってみて、知っているのと思い通りに調合できるかは別問題だってわかったわ」

そんな会話をしながら、私達は大広間に向かって行った。

 

「ねえ、午後は図書室に行かない?」

昼食を食べながら、ハリー、ハーマイオニー、ロンと午後の予定を相談する。

「いいね、でもごめん、ハグリットにお茶に誘われていて…15時にはハグリットの小屋に行かないといけないんだ。それでも良ければ」

「私も、ちょっと用事があって、それくらいには抜けるけれども、それでよければ」

「うぇ…せっかく今週の授業が終わったのに勉強するの?」

ロンがそう呻く。

「別に勉強する必要はないわ、楽しみの為の軽い読書向けの本だってある筈よ」

「うーん…まあいっか、わかった。僕も行くよ」

と言う訳で私達は1時間半ほど図書館を(ロン以外は)堪能し、解散した。

 

 

 

2時55分頃、玄関ホールでハリーとロンと別れた私は階段を下り、地下牢へやってきた。

教授室の扉をノックすると厳格な声が返ってきた

「入りたまえ」

声に従い、入室するとセブルス・スネイプ教授が二人分のお茶の準備を整えて待っていた。

教授は杖を振り、扉を施錠し、防音呪文を施した。

「さっきぶり、父さん」

「うむ、まあ座りなさい、アイリス」

父に促されて私は席に着いた。

「まずは改めて、ホグワーツ入学おめでとう…お前がグリフィンドールに入ったのは忌々しいが、まあ入学自体が目出度い事には違いない」

「あーやっぱり、グリフィンドール生は嫌い?」

「無論だ。特にあやつらを彷彿させるウィーズリー家の双子とジョーダンが活動を始めてからは尚更な!」

父は忌々しそうに言った。

「…うん、そうだよね。父さんはあのノリ嫌いだろうし」

そう言う私も、ああいうノリはあんまり好きではない。

「まあ、忌々しい事は置いておこう。お前のホグワーツ生活について聞かせてくれ」

そう言って父は私に微笑みかけた。

 

「…で、父さんは毎年あんなレベルの問題を新入生にぶつけているの?」

月曜日から順に学校生活について話していき、話が先ほどの授業の話になった。

「あの程度、教科書を読んで少し調べ物をすれば誰だってわかる問題だろう?忌々しい事にまともに予習してこぬ連中が多いのは確かだが」

「いや、多分あの問題、私とハリーとハーマイオニー…あとスリザリン生のもしかしたら一部以外しかわかってなかったよ?確かに、教科書に書いてある記述について、薬草学の教科書で少し調べれば一応は答えられる事ばっかりだけれども」

アコライトについては、巻末に『アコライトの様に複数の呼び名がある場合でも、薬草名は極力統一するように努めた』とあるし、ベゾアール石については『本書は初等的な薬品のみを扱うがその効能を試す際は熟練者立ち合いの元行うか、ともなくば質の良いベゾアール石を用意して行う事』と序論に記載がある。生ける屍の水薬については『マグルが知っている様な薬草も使い方次第では有用である、例えば』と言った具合に記述がある。

「む…そうか?しかしあまり質を落としても危険であるし…と言うかなんだ、あのロングボトム少年は。おできを治す薬の調合で、唯一と言って良い危険行為の注意を聞き逃すとは、ふざけているのか!?」

等と今度は父の愚痴を私が聞く方に回った。

 

「ところで、ハリーと錬金術入門を読み解こうとしている努力は実りそうかな?」

「正直、手ごわい」

「それはそうだ。アレはホグワーツ6年生の選択授業の教科書にも指定されている本なうえ、錬金術はその難解さ故に人気が無く、ここ数年は開講されていない科目だからな」

「…え?本当に?」

「嘘をついてどうする。いつ気づくかペチュニアと上等のウイスキーを1本賭けていた故に黙ってはいたがな」

「…ちなみに、賭けの結果は?」

「ペチュニアはいくら何でも初等教育が終わるまでには気づくだろうと言っていたが、私はホグワーツ入学まで気づかない方に賭けた。よって私の勝ちだな」

そう言って父は愉快そうに笑った。

「さあ、そろそろ夕食だ。気を付けて帰りなさい…また暫くは私とお前は教員と生徒だ、良いね?ミス・エヴァンズ」

「うん、わかっています、スネイプ先生」

私はそう答え、父はセブルス・スネイプ教授に戻った。

 

 

 

楽しい楽しい課題と読書漬けの週末…ロンに誘われて一緒に魔法使いのチェスなども楽しんだりしたが…の後、再び一週間が始まった。本格的に授業が始まったとも言える。

そして木曜日には飛行訓練が始まる事となった。マグル育ちの私達にはよくわからない感覚だが、魔法使い育ちの少年少女にとってはクィディッチと箒飛行はこの上ない娯楽らしい。

健康のための運動はしているが私もハリーもスポーツはあんまり得意ではないし観戦にも興味はない。ただ、ハリーはジェームズ叔父さんがクィディッチの選手だったと聞いて少しだけ興味を持った様子ではあるが。

そして…飛行訓練で事故は起きた。ネビルがフライングして飛び上がり、そして墜落したのだ。そこまでは予定調和だった、少なくとも私にとっては。

そこから予想外の事が始まった。ドラコ・マルフォイがネビルを侮辱し、スリザリン生たちがそれに乗った。そしてネビルの落とし物を見つけて…それを取り返そうとしたハリーがマルフォイに挑発され、ハリーがそれに乗ってしまった。

結果、二人は空高くに飛び上がり空中戦を繰り広げ…最終的にハリーはネビルの落とし物…ガラス製の魔法アイテム…を回収する為に危険なダイブ飛行をした。

「ああ、アレが父さんができれば眠らせておけ、って言っていたハリーに流れるジェームズ叔父さんの血か」

私がそう呟いた直後、マクゴナガル先生が駆け寄ってきた。そして、グリフィンドール生の弁護を聞かず、ハリーを連れていった。

「どうしよう…ハリー、退学になっちゃう」

「大丈夫よ、何らかの罰は受けるでしょうけれど、今のでハリーが退学になるならスネイプ教授がこの前の山嵐の針の一件でネビルを退学処分にしているし、貴方の双子のお兄さん達もホグワーツにいないわ」

狼狽するロンに私はそう声をかけた。

その後すぐにマダム・フーチが戻ってきて、授業が再開された。

まあ、箒飛行は楽しかった、とは言っておこう。

 

夕食時、ハリーが戻って来て私達にマクゴナガル先生に連れていかれてから何があったのかを告げた。

「信じられないわ!あのマクゴナガル先生がそんなに大胆に規則を曲げになられるだなんて!」

ハーマイオニーが叫ぶ。

「シー、ウッドが秘密だって言ってたし、あんまり注目を集めたくないんだ」

「…でも、反省文と魔法なしでの箒の手入れくらいだと思っていたけれど、罰則と称したスカウトとは…

でも、ハリー、良いの?クィディッチの選手になるって事は結構時間を持っていかれるって事よ?

勉強、待ってあげないわよ」

「仕方ないよ、アイリス…退学になるかもって本気でおびえていたから…気づいたら全部決まっていたんだ」

そう、一件しょんぼりと言うハリーだが、内心は結構楽しそうであった…今ホグワーツにいる面々では一緒に育った私くらいしか見抜けないだろうが。

そうこうしているとウィーズリー家の双子がやって来て自分達も選手なんだと告げ、去っていった。

そして、間髪置かず、手下二人を連れたマルフォイが現れた。そしてマルフォイはハリーを挑発し…あれよあれよという間に魔法使いの決闘とやらをする約束をさせられてしまった。と言うか、ハリーを差し置いてロンが暴走したというべきか。

「真夜中に決闘とか、教職員に告げ口する気満々じゃない…ああいう手合いをまともに相手にしたらダメだってわかっているでしょう?」

「そうよ、夜、校内をうろうろするのは絶対ダメ。もし捕まったらグリフィンドールが何点減点されるか考えてよ。それに捕まるに決まっているわ。まったく、なんて自分勝手なの」

「アーうん、でも約束しちゃったし…ね?アイリス、ハーマイオニー」

「…どうしても、そうしたいのね?たとえそれがほぼ確実に罠だとしても」

「うん、お願い、アイリス」

「はぁ…仕方ないなぁ…貸し1つよ。まあ、最悪でもマルフォイの名誉くらいは道連れにしてあげるわ…ハーマイオニー、こうなったハリーはてこでも動かないから私は説得をあきらめるわ。

それと、ロン、貴方の一族がマルフォイの一族と折り合いが悪いのはいい加減に理解したけれど、貴方の短慮にハリーを巻き込まないで」

「ちょっと、アイリス!?」

そう告げて、私は夕食の席を立った。

 

で、その夜、ハーマイオニーがベッドを抜け出す気配で目を覚ました。時計を見れば11時、恐らくハリー達を止めようとしているのだろう。

私はそれを…特に気にも留めずに見送り、再び眠りについた。

 

翌朝、ハーマイオニーに話を聞くと、4人…ハリーとロンと巻き込まれたハーマイオニーと合言葉を忘れて締め出された挙句、なぜか一行について行ったネビル…は真夜中の大冒険をしたことをこっそり話してくれた。

「…まあ、皆が無事でよかったわ、次が無い様にしないといけないけれどね」

「本当に、全く、あの二人と来たら…他の寮生に迷惑が掛かるって発想がないんだから」

いや、少なくとも、ハリーはある。その上で我を通しているだけだ、と言いかけたがそれを言うと確実にハーマイオニーが激怒するので黙っていた。

で、だ。ハリーとロンはその真夜中の大冒険に味を占めた様子であり、かつ出会った三頭犬が守っている扉の奥に興味津々な様子であった。

「ハリー、ロン、規則やぶりは楽しかった?」

「アイリス!君もハーマイオニーみたいな事を云うのかい?」

「ハーマイオニーが何を言ったかは知らないけれども、一応、嫌みの一つでも言っておこうと思ってね。

後、規則やぶりは寮杯獲得を目指すグリフィンドール生から後ろ指指されるリスクを負っているっていうのは自覚しておく事ね。

私はあんまり寮の名誉とか気にしない気質だから良いけれども」

「でも、ジョージやフレッドは…」

「あの二人とジョーダン先輩はその分は稼いでいるし、理由がみんなを笑わせるような事だから許容されているの。

ある程度は授業とクィディッチとやらで点数を稼げる見込みのあるハリーはともかく、ロン、貴方は余程理不尽な理由での減点でなければ針の筵よ」

そう言った私をロンは面白くなさそうな顔で睨みつけた。

「うん、アイリス。規則を破るとしても、嫌われないように気を付けるよ」

「…まあ、ハリーならうまく判断するでしょうけれど…ロンにあんまり流されないようにね」

そう告げて、私は二人と暫しの間、距離を取る事にした。

そして一週間ほどたったある日、ハリーに大きな荷物が届いた。多分、箒だろう。

ハリーとロンはそれをもって大広間の外に駆け出して行った。

それを追いかけるようにマルフォイ達とハーマイオニーが出ていった。

私はそれをイチゴジャムをたっぷり塗ったスコーンを味わいながら見ていた。

その日から、ハーマイオニーと二人で過ごす時間が増えた。

逆に、ハリーとロンを含めた4人で過ごす時間がなくなった。

ハリーは週三回、クィディッチの練習があるとかで忙しくなり、一緒に勉強する時間も減った。

とは言え、ハリーとハーマイオニーは私を含めた三人での知的な議論を通して割と交流はあった。

それをロンは面白くなさそうに少し離れた場所から見ているという事がよくあった。

 

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