例えばこんな従姉殿   作:紅シズク

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ドラゴン

新学期が始まって少ししたある日の放課後…読書をしているとハリーがとんでもないことを言い出した。

「そう言えばさ、アイリス。ホグワーツに来てから時々頭…とし言うか傷跡が疼くんだけれども、最近、痛みと呼べるくらい強く疼く事があって…医務室に行った方が良いと思う?」

「…私にそう問うって事はもう答えは出ているでしょう?行きなさい。今すぐにでも。

その傷跡は『死喰い人の主』が貴方につけたものなのよ!?」

私は思わず声を荒げた。

 

「どうだった?」

「呪いの傷跡に効くっていう塗り薬を貰った」

「効くの?ソレ」

「わからない…死の呪いを受けて生き残った唯一の症例だからわからない事がありすぎる、コレでだめなら対処療法しかないって」

そう、ハリーは力なく笑った。

 

 

 

その日、私はロンとハーマイオニーがチェス対局をする隣でいつものように読書をしていた。

そこにクィディッチの練習を終えたハリーが難しい顔をして戻ってきた。

「お疲れ様…どうしたの?ハリー」

私が問うとハリーは少し考えた後で口を開いた。

「次のクィディッチのハッフルパフ戦、スネイプ教授が審判をする事になったらしい…どう思う?」

「…グリフィンドール不利ね、贔屓の余地がないくらいはっきりと勝つしかないわ。まあ、がんばって、ハリー」

「ちょっと、アイリス!ハリーの事は心配じゃないのかい!?」

ロンが言った。

「心配も何も…審判なんて目立つ役割をしながらハリーに呪いをかけるだなんて事、できると思っているの?」

「…それもそうね、他の教授も観戦に来られるのだから」

等と議論をしているとネビルが足縛りの呪いをかけられた状態で談話室に倒れこんできた。

談話室の皆が笑い転げた。グリフィンドール寮のこのノリは好きではない。

そして私がネビルがギャグで自分に足縛りの呪いをかけられる訳がないと気づいた時には、ハーマイオニーがすでに立ち上がり、ネビルの呪いを解いていた。

ネビルに事情を尋ねると図書館近くでマルフォイにやられたのだと言った。

ハーマイオニーと私はマクゴナガル先生に報告するように勧めたが、ネビルはこれ以上の面倒は嫌だと断り、ロンのマルフォイに屈服してはいけないという言葉に対して、自分はグリフィンドールにふさわしくないと声を詰まらせた。

ハリーがポケットから蛙チョコレートの包みを取り出してネビルを勇気づけた…まあスリザリン全体を腐れスリザリン呼ばわりされると、私もスリザリンに行くのを拒絶したとはいえ、複雑な気分になるのだが。

 

 

 

そしてついにやってきたクィディッチの試合の日…私はまた応援席にいた、社会性を装う一環としての事であるがハリーが試合に出るからという気持ちも全くないわけではない…まあ、時間ギリギリまで読書をしていたせいで先に出たロンとハーマイオニーを見つけられなかったが…次からは応援席に本を持ち込んで時間ギリギリまで読書する事にしよう。

で、スネイプ教授は私の目から見れば明らかに不機嫌…と言うか、面倒くさそうであった。

手間をかけて調合した魔法薬が不要になったと愚痴をこぼす母の様に。

試合は…すぐにおわった。大体、5分弱と言った所か。

私はグリフィンドール生のハリーをもみくちゃにする騒ぎに5分ほど参加し、寮に帰った。

私は談話室で読書をしていたが、気づけばグリフィンドールが寮杯争奪で首位に立ったお祝いのパーティーが始まった。

私は少しパウンドケーキを分けてもらった後、端の方の席で騒ぎを尻目に読書を続けた。

 

夕食後、ハリーが私を呼び出した。

「何かしら」

誰もいない部屋に連れ込まれた私はそう問うた。

「少し状況が変わったから情報共有をね…さっき、禁じられた森でスネイプ教授とクィレル先生が話をしていたんだけれど…」

そう言ってハリーが盗み聞いた二人の会話を語った。

「例の扉の奥に隠されているのは賢者の石だと確定して良いと思う…残念だけれど」

私とハリーは最近の議論で『本命だが想定される中で一番つまらないモノ』と賢者の石の事を称していた。

「で、会話だけでは確定できないけれど…スネイプ教授とクィレル先生のどちらかが賢者の石を狙っている事が確定した。

そして今までの状況証拠を鑑みると…僕はスネイプ教授の方が賢者の石を狙っているように思う、あまり信じたくないけれど」

「そう。それで、どうするの?」

「特には何も…ただ、スネイプ教授を本命、クィレル先生を対抗とみて警戒したい…手伝ってくれる?」

「できる範囲で良ければ。ちなみにハーマイオニーとロンには?」

「夕食前に話した。二人ともスネイプ教授が容疑者だって断定して動くって」

「わかった、じゃあ私はクィレル先生の方を主たる容疑者とみておくわ」

「うん…ごめんね、伯父さんを疑う事になって」

「気にしてないわ、ああいう人だもの、よく知らない人から嫌われたり疑われたりは自業自得よ」

私はハリーにそう言って、寮の談話室に戻った。

 

 

 

それから少したった頃…ハーマイオニーが進級試験に向けての勉強計画を立て始めた。

そして私達にもそうするように勧めた。

「ハーマイオニー、試験はまだずうっと先だよ」

「12週間先でしょ。ずうっとじゃないわ。ニコラス・フラメルの時間にしたらほんの二、三秒よ」

「僕たち、600歳じゃないんだぜ。それに、何のためにそんなに勉強するのさ。君はもう、全部知っているじゃないか」

ロンがぼやく。

「なんのためですって?気は確か?二年生に進級するには試験をパスしなければならないのよ。ほら、ハリーとアイリスからも言ってあげてよ」

ハーマイオニーが私達に話を振る。

「あー少なくとも僕はまだ『試験勉強』をするつもりはないよ」

「そうね、私もよ、ハーマイオニー」

ハリーと私はそう答えて『低品質のベゾアール石を用いた汎用解毒薬』の調合についての議論に戻ろうとした。

尚、これは母からの課題の1つで、低品位のベゾアール石を用いて、山羊の胃から取れるベゾアール石を買うより安価な材料(人件費、設備投資、保存性等は気にしなくても良い)で調合するレシピを組め、と言うものである。

「ほら、2人だってこう言っているし」

ただ、ロンの言葉で少し付け加えておく事にした。

「一か月前くらいから苦手科目を中心に勉強すれば落第は無いと思うもの、『普段からしっかり勉強していれば』。

私は別に学年トップとか監督生とか主席とか興味ないから試験とは関係ない勉強がしたいわ。

まあ、先生達からの親切心…山の様に出されるであろう課題はちゃんとやるし、O.W.L.やN.E.W.T.の試験の年はしっかりとやるつもりだけれども」

「うっ…」

普段からしっかり勉強していない自覚のあるロンは少しダメージを受けたようである。

 

それから半月した頃から宿題が増え始めた。

また、ハリーと私も課題(学校のモノと母からのモノ)を処理する為に自由時間の大半を費やす事となった。

残りの時間も錬金術関連の勉強である…最近、やっと自力で錬金術入門を読み解けるようになってきた。

他の一年生も課題の処理で自由時間を殆ど無くすという意味では同じである。

つまり、ロンも勉強漬けの毎日を送る事となるのであった。

私の誕生日…4月17日もそんな多忙な日々の中で過ぎていった。

 

そんなある日、遂にロンが音を上げた。

「あーもう、無理…少し息抜きにハグリッドの小屋あたりまで散歩にでも行こうよ…こんなにいい天気なんだからさ」

「…まあ少しならいいか、ちょっとハグリッドの所まで散歩するくらいならさ」

ロンの言葉をハリーが肯定する。

「アイリスとハーマイオニーはどうする?」

「私は行かないわ」

「私も行かない」

「了解、それじゃあ行ってくるね」

そう言ってハリーとロンは出かけていった。

 

「ちょっと来て!」

暫くして、ロンが談話室に飛び込んできた。

「どうしたの?ロン」

と、ハーマイオニー

「いいから、早く!アイリスも!」

「わかった、わかったから」

ロンに引っ張られるままに私達は談話室を出た。

「ハグリッドが大変なんだ…二人の知恵を借りたいってハリーが」

そう言われ、私達は急いでハグリッドの小屋に向かった。

そこにはカーテンがすっかり閉め切られ、モクモクと煙突から煙を吐き出すハグリッドの小屋があった。

「僕だよ、ハーマイオニーとアイリスを連れてきた」

ロンが扉をノックして暫くすると扉が開いた。

小屋の中に入ると、中はすごく暑かった…夏も近づく気配がし始めているというのにごうごうと暖炉には火が焚かれており、その中には大きな黒い卵が鎮座していた。

「…説明してくれる?あのドラゴンの卵の事を…私、法律に詳しくはないんだけれど、ドラゴンの卵の取引は違法でそれを孵化させる事も違法だとは知っているわ」

私はハグリッドにそう言った。

 

「悪い事は言わない、早いうちにダンブルドア先生に相談して卵のうちにドラゴンの生息地に返す様に手配してもらったらどうかしら?」

ハグリッドの説明…数日前にホグズミード村のパブでカードの賭けに勝って譲ってもらった、そしてその卵を温めて見ている…と言うのを聞いて私はそう言った。

「しかし…もう温め始めて三日は経つ…今更、火から降ろしちまえば卵の中でこの子が凍えちまう」

そう言って、ハグリッドはかたくなに卵を火から降ろす事を拒否した。

「…わかったわ、もうハグリッドの好きにしたらいいわ。

でも、卵が孵る兆候が見えた時点で、この問題をダンブルドア先生かケトルバーン先生に共有する事を勧めるわ。

まさか本物のドラゴンの卵がパブの賭けで手に入るとは思っていませんでした、ほんの冗談のつもりで温めてみただけなんです…そう言えばアズカバン送りにならずに済むかもね!」

散々説得を試みた末に、気づけば私はそんな言葉を吐いて小屋を出ていた。

 

「アイリス、夕食の時間よ」

寮に戻っても勉強する気にならず、部屋に戻ってベッドでふて寝していた私にハーマイオニーが声をかける。

「…うん、ありがとう」

「ハグリッドはロンのお兄さん、チャーリーになら孵ったドラゴンを任せても良いって同意したわ。ルーマニアでドラゴンの研究をしているらしいの」

「そう…じゃあ後は根回しね…手伝わないからね」

「ハイハイ…いつも冷静な貴女がそんなになるなんて珍しいわね」

「別に…ハグリッドが大変って言うから心配していたのにあんな事をしている、って知らされて説得にも耳を貸さないからもう知らないってなっただけよ…夕食に行きましょう」

そう言って私はベッドから降りてハーマイオニーと…談話室で待っていたハリーとロンと…4人で大広間に向かった。

 

結局、卵は本当に孵り、予め連絡を取っていたチャーリー・ウィーズリーにドラゴン…ノーバートと名付けたらしい…は引き渡された…らしい。ただし、ダンブルドア先生含め、ホグワーツの教員には一切根回しをせずに。

それを知ったのはグリフィンドールが150点減点されるという大事件の後の事だった。

どうやら、ハリーが余計な事をハグリット前で口走った為らしい…母に何か協力を頼めないかとロンが尋ねた時、ハリーが母はノーバートの存在を知ったら絞めて全身を素材にしかねないと言った為、ダンブルドア先生がドラゴンの血の利用法の研究でも有名である事をハグリッドが思い出してそう言う事になることを恐れたとの事である。

「しかも、透明マントを忘れるなんて…大失態ね、まあ、ハグリッドのやらかした事について露見しなかっただけで良しとするしかないわね…でもドラゴンについてでっち上げた罪を追加で50点減点だとしたらネビルは20点減点で済ませてくれてもいいのにね」

「…もういいわ、終わった事よ…思い出させないで」

ハーマイオニーはそう呻いた。

 

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