子守先生■ギま!?【凍結】   作:再buster

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今回は修学旅行出発編。
新幹線の車内で何がおきるのか?



第11話:『出発・班・いやがらせ』

 

 

 

 

「しばらく世話になる」

 

 ナギや明日香たちが修学旅行で家を出た後の昼頃、ナギの家にはエヴァの姿があった。

 彼女の左の肩には少々大き目のバッグと逆の手には手提げ鞄が。

 

「エヴァお母さんいらっしゃ~い。五日間よろしゅうなぁ」

 

 どうやら旅行の間の五日間、彼女はナギの家にお世話になるようである。

 木乃葉も嬉しそうに出迎えていた。

 

「う~」

「お、夕暮も出迎えてくれたのか?」

「はいです~」

「そうかそうか、偉いぞぉ」

 

 そう言って夕暮の頭を撫でまわす。

 クラスのメンバーに見せたら驚く事間違いない程の溺愛っぷりである。

 

「エヴァお母さんが居てくれるとホンマ嬉しいわぁ。

 なんならずっとこっちに居ったらええのに」

「くく、そこまで迷惑はかけられんさ。

 それにたまに来る程度が今の私にはちょうどいい」

 

「と言っておきながらほぼ毎日来ておるではないか」

 

「うるさいぞこの黒坊主!」

 

 デュナミスにツッコまれるエヴァ。

 それに対して悪態をつく。

 この家ではこの立ち位置も定番となってきている。

 

「ん、トウヤは学校か……」

「そやね。トウヤ兄は普通に授業とかあるしな」

 

 トウヤの方は修学旅行の時期が違うため今日も普段通りに学校へ通っている。

 そのため今は居ない。

 

「弁当とかお前が作っているんだろ?

 大変じゃないのか?」

「人数が多いとそうやけど今日は一人分やし、普段でも四人分やからそうでもないなぁ。

 それに楽しいし、美味しいって言ってもらえるんわ嬉しいんよ」

「そうか……」

 

 木乃葉の料理風景を眺めながら会話を弾ませる。

 まだ十歳だというのに本当に出来た娘である。

 

 ただ、身長が足りないのか台に乗っての作業ではあるが。

 余計に微笑ましく見えてしまう。

 

「その……なんだ? こっちに居る時くらいは私も家事を手伝うぞ?」

 

 エヴァはそんな娘を見て手伝いを申し出る。

 年長者としての意地が多少はあるようである。

 それに母親と呼ばれていながら何もしないのでは……

 

「ホンマ? ならちょうお願いさせてもらうな」

「ああ、任せておけ」

 

 見た目がどちらも幼女なだけあってなんとも微笑ましい光景である。

 

 ちなみにだが、この家の洗濯担当は実はデュナミスである。

 こう見えてしわの一本まで伸ばして干すなど意外と細かい男なのだ。

 

「家でも洗濯は私の仕事だからな」

「本来の仕事は何をしてるんだ貴様は」

 

「ウェールズの魔法学校の臨時講師だが?」

 

「……おい悪の結社!?」

 

 デュナミスの仕事は言ったとおり講師の仕事だ。

 意外と博識なため授業の内容は多岐に渡っており、戦闘も出来ると評判の教師だったりする。

 顔もイケメンの部類に入る上に真面目な時はとことん真面目なため女性からの人気も高かったりする。

 昔は悪の大幹部だったというのに今や普通に教師とは……

 

 ついでにネカネも臨時講師である。

 こちらは薬学などの研究系が専門だが。

 

 学内でもアツアツ夫婦と評判だそうで。

 たまに尻に敷かれている姿が目撃されてはいるが。

 

「貴様の世界が私にはよく分からん」

 

 なんかとんでもない世界な気がしてしょうがないエヴァであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第11話  『 出発・班・いやがらせ 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新田先生、瀬流彦先生、おはようございます」

「ああ、ナギ先生か。おはよう」

「おはようございますナギ先生」

 

 修学旅行の集合場所である大宮駅に到着するとすでに引率である新田と瀬流彦がいた。

 早めに出たため、まだ生徒の姿は無い。

 先生方二人は生徒達がおかしな事をしないか監督するために早めに到着したようだ。

 

 娘である明日香は護衛のため後から長瀬と合流してから来る事になっている。

 ナギは単身先に来ての警備が目的だ。

 

「五日間、よろしくお願いします。

 3-Aの面子が迷惑を掛けると思いますがどうか……」

「ははは分かってますよ。

 若い内には騒ぎたくなるのも分かりますからね」

「すみません新田先生」

 

 新田は厳しい教師であるが、同じくらいに生徒の面倒見もいい。

 3-Aに厳しかったのも担任であるネギ少年が子供だったためにより心配しての事だ。

 ネギ少年の注意が足りないという意味でもある。

 

 ここらへんはもう少し厳しくした方がいいとナギも反省。

 

「瀬流彦先生も今回はよろしくお願いします。

 俺だけだと手が届かない可能性もあるので」

「うん、任せていいよ。

 僕は公には動けないからね、警備の方で力になる。

 他のクラスはしっかし守ってみせるよ」

「信頼してますよ瀬流彦先生。

 俺も必ず守り抜きます」

「ああ、お互いに頑張ろう」

「はい」

 

 瀬流彦は魔法使いとして正式に登録されている人材なため関西からの監視は強い。

 そのため生徒の護衛としてしか動くことが出来ないのだ。

 手を貸せない事を歯がゆくは思うものの、他の生徒を守るためと納得していた。

 

(以前は3-A以外の生徒に被害は無かった。

 だが今回も無いとは言い切れない……)

 

 すでにエヴァの件で記憶と違う事が起きてしまっている。

 故に今回も記憶通りに進むとは限らない。

 

 最悪は他のクラスの生徒が巻き込まれて被害に遭ってしまう事も考えられる。

 

 もちろんコレに関してもナギは手を打っている。

 

 スイの能力だ。

 彼女の身体の一部を他のクラスの主要人物の荷物に付着させてある。

 気付かれない程のわずかなモノであるため意識を移す事はできないが、コレで何かあった際に即座に異変に気づくことが出来る。

 

 それにプラスしてカティの能力も使用している。

 生徒達の周囲に居る精霊が異物を感知すれば即座に知らせが来るようになっているのだ。

 

 この二重の探知で敵の予測不能な行動に対処するのである。

 

 とは言ってもあくまで他の生徒の護衛は予備対策。

 メインの防衛は3-Aだ。

 

 

「おはようでござる先生殿」

「来たよーお父さん」

 

 長瀬と娘の明日香は直接的な護衛を。

 

「スイママとカティ姉は先に東京駅に行ってるって。

 念のために駅の偵察しとくって」

「おう、そうか」

 

 スイとカティは裏からの護衛だ。

 

 スイはデュナミスやフェイトに身体の一部を付着させて気づかれなかった前例がある。

 こちらのフェイトにも気づかれず行動出来るだろう。

 

 カティは認識阻害の札を渡して一般人に偽装している。

 

 まぁこの二人ならミスせずに動けるだろう。

 

 

 問題は――

 

「おはようございまーす!

 わぁ、みなさん早いですねー」

 

 3-Aの担任のネギ少年である。

 魔法の秘匿には気を付けるべきだと知っておりながら何故にあの長い杖を堂々と持ち歩いているのだろうか。

 というか誰か公共の施設での長物の取り扱いに対して注意をしなかったのだろうか。

 

「ネギ先生……さすがに麻帆良以外でその杖はどうかと思うぞ」

「え!? で、でもこれは大事な杖ですし、これが無いと……」

「隠し方に気を使えと言っておるんだたわけ!! コレを使え!」

 

「……なんで持ってるんですか?」

「こんなこともあろうかとって言うのは技術者としては一度は言ってみたい台詞なんだよ」

「先生ですよね?」

「言わせんな恥ずかしい」

 

 ネギ少年に渡したのは弓道で使われる袋である。

 木刀用の袋の方にしようかとも思ったが長さが足りないためこちらを選択。

 杖だとそれはそれで長さが足りないが、そこは子供用という事で。

 

 これで見たまんま魔法の杖よりは幾分かマシになっただろう。

 

 それでは出発するとしましょうか。

 

 

 

 班ごとに点呼を取りつつ順々の乗っていく。

 

 修学旅行3-A・1班。

 

「この双子とかぁ。一緒だと大変そうだね」

「楽しくていいじゃん」

「ネギ君、一昨日の誕生会楽しかったね~」

「え~先生と遊んだですか~? ずる~い」

「あ、ナギ先生おは~」

 

 いたずら双子姉妹にチアの三人娘のある意味眼を離したらヤバいグループだ。

 双子の行動力に椎名が続かない事を祈るのみ。

 

 続いて2班。

 

「肉まん三つで360円です」

「ネギ坊主、引率大変アルね。

 これ喰うとよろしアルよ、元気でるネ!」

「コクコク」

「ナギ先生も食べますか?」

「はぁ……ナギ老師、よろしく頼むネ」

 

 超包子の四人+ザジの混成メンバーである。

 もしかすると協力を申し込む可能性の高いメンバーだ。

 超鈴音のテンションが低い理由はまたいずれ。

 

 次は3班だ。

 

「ネギ先生、グリーン車を借り切ってありますのでそちらでゆっくりと」

「またあやかったら」

「はいはいいいんちょ、昼間っから犯罪行為には気を付けてね~」

「はは」

「まったくこいつらは……ナギ先生もよろしくな」

 

 雪広那波村上の同室三人と朝倉長谷川の混成チームだ。

 バイタリティ溢れるメンバーを誰が止めるかが一番のポイントだろう。

 場合によっては長谷川の胃痛がマッハだ!

 それと無駄にグリーン車を貸し切るのは他の客に迷惑なので後で注意。

 

 4班はというと。

 

「乗る前から酔ったの?」

「大丈夫~?」

「ちゃうねん、肉まん美味しくて食べ過ぎて……」

「お水買っとこうか?」

「ネギ君! 自由行動日、私たちと一緒に遊びに行かない?」

 

 陸上部の春日を入れた運動部5人組のメンバーである。

 行動力、平均技能共に一般組随一の班である。

 目を離すと危ないのはどこも一緒だが……

 

 5班。

 

「ほらチャンスよ。自由行動一緒に周りたいんでしょ?」

「で、でも~」

「先生は頼めば嫌とは言わない筈ですよ」

「ネギくん、ご飯ちゃんと食べた~?」

「修学旅行よろしくねナギ先生」

 

 図書館島探検部&明日菜の仲良しグループだ。

 護衛を考えれば三人娘と離すべきだったが、旅行を楽しむ事も大事なために断念。

 ここは明日菜に頑張ってもらう事に。

 あと個人的に宮崎は応援しておく。

 

 そして最後に6班だ。

 

「よろしくお願いします」

「わ~い、お父さんやってる~?」

「旅行中はよろしく頼むよ、先生」

「楽しくなるといいでござるな」

「五日間、お願いしたします」

 

 順に、桜咲、明日香、龍宮、長瀬、茶々丸の3-A裏組である。

 旅行中に何かあった際に動きやすくするために選んだメンバーだ。

 必要ならば各自護衛等の役目がある。

 

 特に、

 

「茶々丸が来てくれたのは嬉しいな」

「はい、マスターより、旅行中の有事の際にお力になれるようにと仰せつかっております」

 

 エヴァは麻帆良の結界の効果でまだ外に出ることが出来ない。

 いちおう今回起きるであろう事件を説明したところ、手札の一枚として茶々丸を貸してくれたのだ。

 自分の代わりにきっと役に立つからと。

 

 エヴァの心情が少しづつ変わってきていることを嬉しくも思い、この提案を受けた。

 

「そんなに気を張らなくていいぞ茶々丸。

 お前も学生なんだから、旅行を楽しんでくれ」

 

 そう言って茶々丸の頭を撫でる。

 エヴァは来れなかったが、生徒が一人でも多くこの旅行に参加できる事は嬉しい事だから。

 

「……はい、旦那様」

「その登録名は勘弁してくれないか?」

 

 意味合い的に色々とマズイので。

 そして彼女の身体を見る。

 

「それに、さっそくスキンの方を使ってくれてるんだな」

「はい、その節は大変お世話になりました」

「いやいいって気にすんな」

 

 少し前に超と話をした時に、ついでにと茶々丸用の装備をいくつか渡しておいてあった。

 主に武器関連がメインで飛行ユニット駆動ユニット。

 装甲パーツに動力関連もいくつか渡した。

 その中で今回彼女が使っているのが生体スキンだ。

 彼女の関節パーツを隠し尚且つ温もりや肌触りにも拘った一品だ。

 

 旅行という事で、麻帆良を離れるのに必要と思って用意したのだ。

 麻帆良以外では認識阻害の効果が無いための処置である。

 

「それでは私も班の皆様と一緒にいますので」

「ああ、何かあったら言うよ」

「では……」

 

 茶々丸を車内に見送り、入れ替えで戻って来たネギ少年と名簿を確認する。

 

「さて、班の確認は終わったな。

 ネギ君、生徒の方は全員席に着いたかい?」

「はい大丈夫です。

 お休みはエヴァンジェリンさんだけですね」

「ん、ああ……そうだな……。

 じゃあネギ君は席に付いてみんなの事を頼む。

 俺は新田先生に連絡しとくわ」

「お願いしますナギ先生。

 楽しい旅行になるといいですね」

「そうだな」

 

 こうして3-Aの修学旅行ははじまった。

 

 

 東京駅での乗り換えも順調に、何事も問題無く進んでいった。

 

 刺客らしい姿も見当たらないままに――

 

 

 そのころ東京駅から合流したカティとスイは3-Aの隣の一班車両にて護衛として待機していた。

 二人とも服装は目立たず尚且つ見た目を損なわないモノを選んでいる。

 

 あくまで見た目は一般客という事を忘れずに。

 

「私、新幹線初めてです。すごいワクワクします」

 

 だがスイの方はどうやら初めての新幹線という事で少々浮かれているようである。

 移動は基本的に車か魔法を使用してだったのだ。

 

「そうなんですかスイさん」

「はい、もう窓にべったり張り付いてお外を眺めていたいくらいです」

「……子供ですか」

「真祖がはしゃぐ気持ちがよく分かります」

 

「グフッ!」

 

 カティの精神に10ポイントのダメージ。

 どこまで行っても娘に精神攻撃をしかける実母であった。

 

「……それにしても、隣の車両だというのに騒がしいですね。

 女三人寄らば姦しいとも言いますし」

「凄い勢いで風景が変わっていきますよカティさん、ねぇカティさん!」

「……はしゃぎすぎですって」

 

 護衛としての自覚はあるのだろうか?

 

 

 

 所変わって3-Aの車両。

 

 カティの言う通り車内は実に賑やかであった。

 

「ああんまた負けたー!!」

 

「明日香さんは熱くなりやす過ぎです。

 後半の手が雑になってましたですよ」

「だね~、後ろから見ててもそんな感じだったよ~」

「うう、よく言われるよ~」

 

 カードゲームで対決をしていたメンバー。

 参加していた明日香は肝心な場面で熱くなりすぎて手札を誤っていたようである。

 賭けまでしていたらしく手持ちのお菓子のほとんどを奪われていた。

 

「楽しみにしていたポテチがぁ~」

「ふふふ、勝負とは非常なモノなのだよ」

 

 早乙女がポテトチップスを加えながら勝ち誇る。

 食べながらしゃべるのは行儀が悪いぞ。

 

「もう一回勝負よ! 今度こそ勝つんだから!!」

「いいわよその勝負乗った!!」

 

「では私は明日香さんと手を組みましょうか」

「夕映っちがそっちに付くなら私はパルに付くわ! 行くよパル!」

 

 

 

「楽しそうでござるな、明日香殿」

「そうだな」

 

 少し離れた所で座っていた長瀬とナギはその光景を見て微笑む。

 刺客や妨害なども考えられるとはいえ、今は本当に楽しそうに遊んでいる。

 学生としてはこれが正しい姿なのだ。

 

「はい先生殿、お茶でござる」

「かたじけない、てか」

 

 特にナギは普段をよく知るためにその想いは強かった。

 この後にあんな事が起きなければ、きっと最後まで楽しいままで旅行を終えられただろう。

 

 そう、こんなカエルなんて出なければ――

 

「なななななななっ!? カエルでござるううううううううううううううううううう!!!」

 

「落ち着け長瀬。そして抱き付くな!」

 

 突然、車内のありとあらゆる場所からカエルが出現してきた。

 当たり前だがナギのカバンなどからも出てきている。

 そりゃ隣に座っていたカエル嫌いの長瀬は堪ったものではない。

 

 いきおいそのままにナギに抱き付いてしまっているのはご愛嬌。

 むしろそんな事を気にしている余裕すら無いようだが。

 

「お父さん、カエルを回収するね」

 

 明日香も護衛の件を思い出して回収作業を開始。

 

「誰か袋貸して~」

「気絶してる奴の介抱を誰か頼む」

「私がやるよ。カエルはお願い」

「もううるさいアルよ!」

「早く捕まえてよ~!!」

 

 生徒も協力してカエルを捕まえていく。

 数は合計で108匹。

 煩悩の数とはコレ如何に。

 

 何人か気分を悪くしていたので保健委員に指示を、

 

「保健委員は……って和泉は気絶してるか。

 なら動ける奴で介抱を頼む」

「いいんちょさんは点呼をお願いします」

 

 とにかく事態の収拾を優先する。

 

 

「兄貴、旦那、間違いないぜ! 関西呪術協会の仕業だ!

 カタギを巻き込むなんてよ」

「う、うん。でもどうしてカエルなんて……」

 

 

「忠告だよ」

 

 

「「え?」」

 

 ネギ少年とカモは疑問の声をあげた。

 忠告とはいったい……

 

「カタギをわざと巻き込んで、コッチはカタギが居ようが関係なく襲撃するぞって脅してんのさ。

 だから関係無い奴は別にしておけ、巻き込まれたくなければ関わらせるなってな」

 

 カエルを選んだのは素人連中に怪我などをさせないための配慮。

 この場を選んだのはカタギが居ようが関係なく攻撃するという意思表示。

 

 つまり、今後はカタギが居ようが関係なく襲うぞ、ということだ。

 

 

 まったく、お優しい事で――

 

 とは言ってもネギ少年の方はまったく気が付いていないが。

 

 

「それはそうとネギ君、親書の方は大丈夫かい?」

 

 念のため抜き取られていないか確認をする。

 ドタバタ騒ぎの最中にでも盗まれていては事だ。

 

「え? あ、あれ……無い!?

 学園長から預かった親書が……」

 

 だがネギ少年があちこち探すが目当ての親書が見つからない。

 

「なに!?」

「おい、もっとよく探せ!」

 

 まさか既に盗まれたのか?

 

「あ、なんだ……下のポケットにありました」

 

「びっくりさせんなよ兄貴」

「まったく……」

 

 ポケットから親書を取り出し安堵するネギ少年。

 まったくヒヤヒヤさせる。

 

 だが手にしたソレを、一羽の隼が掠め取って行った。

 

「な!?」

「あーっ!」

 

 そのまま次の車両へと飛んで逃げ去っていく。

 

「追うんだネギ君。ここは俺が居るから!」

「は、はい!!」

 

 ネギ少年はそう言われるとカモを肩に乗せて急いで追いかけて行く。

 運が良ければ犯人も見つかるかもしれない。

 

 さすがにこの車内では敵もまともに準備していないだろうし。

 

 

「ナギ先生、点呼が終わりました」

 

 すると雪広がやって来る。

 

「ですが、桜咲さんが居なくて……」

「ああ分かった。そっちは俺が対処しておくから、席に付いて待っていてくれ」

「分かりましたわ。ではお願いします」

「ああ」

 

 彼女から報告を受けて通路へと移動する。

 念のために車内に他にトラップが無いか調べるためである。

 

 魔力を軽く通すが特に何も反応は無い。

 罠の類はアレだけか……

 

 追いかけて長瀬と明日菜、茶々丸もやって来た。

 

「集めた札はこちらに」

「サンキュ茶々丸」

 

 カエルの札を預かり懐にしまう。

 

「す、すまないでござるよ先生殿。

 カエルは苦手でござって」

「大丈夫ナギ?」

 

「カエル嫌いは知ってるから心配するな長瀬。

 それに俺は大丈夫だよ明日菜。お前の方こそ大丈夫か?」

 

 二人に労いの言葉を掛ける。

 いきなり面倒事に巻き込んでしまったから。

 

「それで私はどうすればいいの? さっきのアレもおかしかったし何かあるんでしょ」

「何か一大事でござるか?」

 

 巻き込みたくないと思っていた矢先にコレである。

 見て見ぬ振りも出来ないだろう。

 

「お前たち二人には出来れば修学旅行を楽しんで欲しいんだが……そうも言ってられそうにないからな。

 簡単に説明すると、ネギ少年の持つ手紙と木乃香が狙われている」

 

「ちょっと! な、なんで木乃香が?」

 

 当然の反応だろう。

 今まで普通の生徒として、親友として接していた娘がいきなり狙われているなど聞かされては。

 

「木乃香は関西の裏にとって重要な人物だからだ。

 拉致出来れば関西を牛耳ることも出来る。

 だから今後、敵さんは執拗に狙ってくるだろう」

 

 関西呪術協会の長の愛娘であり関東魔法教会の長の孫娘、そして世界でも有数の魔力量の持ち主。

 誘拐や拉致が出来れば相当な身代金を要求出来るだろうし権力も意のまま。

 魔力媒体として使えば一級品。

 敵にとっては喉から手が出るほどの代物なのだ。

 

 まぁこれに関してはまだ二人には言わないが。

 

「そんな……」

 

 さすがの明日菜もコレには声が出ないようだ。

 

「ネギ坊主の方は?」

 

「ネギ少年の持ってる手紙は関西の上層部との友好関係を築くのに必要なモノだ。

 無くなれば発言権が薄まり友好が失敗しかねない」

 

 何が書いてあるかは伏せておくが、大事な書類である事に変わりは無い。

 奪われればそれを理由に両者の友好を邪魔出来るし、最悪は敵対にまでもって行けるかもしれない。

 

「とはいえこれはまだ替えが効く分どうとでも出来る。

 一先ずは木乃香が護衛優先だな」

「なるほど」

 

 親書の方はお互いの長が親族関係であるため裏でどうとでも出来る。

 下は混乱するかもしれないがいちおうの収拾は出来る筈だ。

 

 とにかくマズいのは木乃香の方である。

 傷一つどころか命すら危ういのだ。

 

 絶対に守らなければならない。

 

「明日香はネギ少年の方に付けてある。

 お前たちは木乃香の方を頼む」

 

「大丈夫なの?」

 

「心配するな、二手三手先の手を打ってある。

 茶々丸も手伝ってくれると助かる」

「もちろんお手伝いさせて頂きます。

 マスターからもそう命令されておりますので」

「ああ、頼む」

 

 修学旅行がはじまってすぐの襲撃。

 ナギの記憶通りとはいえこの後もそうなるとは限らない。

 

 必要な手はすでに打ってあるとはいえ、どこまで役に立つかも分からない。

 

 

 さて、敵はどう動くかな――

 

 

 




ちょっとスランプ+モチベーションダウン。
さてどうしたものか……

思いついたネタは文化祭編のだったりちょっと先のモノばかり。
私は即戦力が欲しいのだ! ガンバレ毒電波!!


ちなみに『相州戦神館學園 八命陣』は無事クリアしました。
その後が気になるので次回作に期待です。
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