ナギと生徒との関係が無かったのでクラス編を投入します。
ナデポ成分多し。でも大半はナギの考え過ぎです。ではどうぞ!
「まったく明日香は。せっかく用意してもらった制服を一日でダメにするなんて。
だからあれほど戦闘は控えるようにと!」
朝っぱらから我が家では長女カティの怒鳴り声が響いていた。
子供たちの中で誰よりも家族の事を考えており、なによりも厳しいのが他でもないカティである。
昨夜、明日香の帰りが少し遅いと気にして心配してみれば、帰ってきた明日香は血が乾いて黒く変色した制服姿。
髪も血でバサバサになっており肌もボロボロ。
どこぞの戦地にでも潜り込んできたのかよと聞きたくなるくらいのそれはヒドイ惨状だったのだ。
まぁ普段をよく知る俺たちとしては、その血が襲撃してきたであろう侵入者達のモノだということにすぐに気づいた。
気付いたからこそ厳しくするのだ。
明日香は長時間の戦闘を苦手とする。
それはつまり普段から弱点をさらし続けているのも同義なのだ。
誰も見ていない所で倒れられでもしたらどうする?
心配でたまらないのは家族全員が同じだ。
そしてなにより、家族を、血縁を大切に思うのも、半吸血鬼であるならばなおのこと当然だった。
「わ、分かってるってカティ姉さん。もうしないからさ」
「そう言って何度戦闘をしていると思っているんですか? もう私も言い飽きるくらいには言っているんですからね」
母親である明日菜が口酸っぱく言っても聞かない子である。
この頑固さは俺に似たのかね?
本当に歪なところばかり似てくれるなぁ。
「うう本当にゴメンナサイって」
「まったく……今度やったら本当に怒りますからね。
はい、朝のうちにお父様が購買部で買ってきた制服です。
シャツは替えがありますけど、他はちょっとありませんでしたので」
なんだかんだで甘やかすのもいつもの事。
怒りたい気持ちもあるけど妹弟に何より弱いのもカティの特徴だ。
「ありがとうカティ姉」
「お父様にも謝っておきなさいね、明日香」
「うん」
まったく……素直なところは誰に似たのやら。
俺じゃないなら明日菜か?
いやいや明日菜はどちらかというとツンデレだろ?
え?
デレデレだって? うるさいわ!
まぁあれで少しは自重してくれればいいんだけどな。
じゃないと嫁の貰い手無くなるぞ?
そもそも嫁に出す気が無いけどな!
「親バカだよね父さんは」
「親バカで何が悪い。
世間の男親はみんなバカなんです! 娘が可愛くて大事すぎて溜たまらんのです!! そこんとこ女性陣は分かってくれないんだよな!!」
俺はこの話題だけで明石教授やガンドル先生と一日中話せるぞ!
というか未来での飲み会での話題はもっぱらこれだ!!
タカミチだって子供の事で悩んでるんだぞ。
娘を持つ親の気持ちをなんだと思ってるんだ!!!
「そう思いませんかトウヤさん」
「知らないよ。それに僕はまだ学生だしね」
何を言う。
俺がお父さんになったのはゲフンゲフン歳ですよ?
お前もそれに近い歳なんだぞ?
「それはお父さんが特殊でレアなケースだからだと思うんだけど。
そもそも僕は学生だから出会いなんて普通だと思うし」
そういえばそうだっけ。
名が知れてるとはいえトウヤは普通に麻帆良の中学に通ってるし。
明日香との話題が上るくらいには相手がいないっていう噂だし。
でもファンクラブはあるという。
よく分からん血筋だよ。
「で、トウヤの方はどうだ、学校の方」
「なんとかかな?
普通の学校だから特に何もなくてよかったよ」
「そっか」
世渡りが上手いトウヤならそうそう敵も作らんだろ。
娘たちよりよっぽど安心だな。
第4話 『 教師・生徒・撫で 』
「おはようございます瀬流彦先生」
学校に到着してすぐに職員室に。
昔は子供ということもあってなんだかんだで見逃してもらっていたが、教師なので職員会議とか当たり前にある。
なので部活とかしていない普通の生徒達と一緒に登校していたら間に合う分けもない。
ホント、子供の時は大目に見てもらってたんだなぁ。
と大人になってからはよく思う。
で、職員室に来てみれば魔法先生の一人でもある瀬流彦先生がいた。
「あ、ナギ先生。おはようございます。
学園には慣れましたか?」
瀬流彦先生とは昨日の放課後に一度話をしている。
他の魔法先生たちと違ってよそ者扱いしない良い人だ。
「麻帆良事態には前から大分お世話になってましたから大丈夫ですよ。
それと瀬流彦先生、あなたの方が先輩なんですから敬語とかよしてくださいよ」
「ん、そうかい? 君がそういうなら僕も気を付けるけど」
「それくらいの方がお互い話しやすいでしょ?」
「ははは、そうだね」
あっちでもそうだけど、瀬流彦先生は本当に話しやすい人だ。
壁を作らず、先輩風を吹かず、自然体で接してくれる。
昔はお兄さんって感じで接してくれて、正式に教師になりたいと言った時は誰よりも力になってくれた。
教師になりたい。
じゃあそれまでは教師じゃなかったのかと聞かれると、そうですね、と答えるだろう。
立派な魔法使いになるための課題。
そういった意味合いがどこかにあったのは事実だ。
もちろん中途半端にやっていたわけじゃないし、最終的に高等部の卒業まで彼女達を教えたのだ。
だからこそ、再び自身の進路を考えた結果……
やっぱり俺は何よりも教師をしたいと思ったんだ。
じゃあこのまま大学の先生をすれば、とも言われたけど、それはなんだか違う気がした。
だから俺は頑張って大検を取得し、大学受験をした。
日本では18歳になるまでは大学受験が認められないので外国国籍を利用し、半ば無理やりに受験する事になったが。
受けた大学は東京大学、つまり東大。
当時は最年少東大生とも呼ばれたっけ。
なにせ彼女達が高校を卒業した翌年の受験だし。
そして大学では普通に授業のカリキュラムを受けた。
飛び級も考えたが、とにかく自由に出来る時間が欲しかったのが理由だ。
まぁ理由は……ねぇ……子育ての時間が欲しかったんだもん。
カティが生まれて、その2年後には他の子も産まれて翌年には……
よく単位取れたと思えるくらいの過密スケジュールでした。
そして卒業後すぐに教員資格を受験。
こちらも年齢制限があったが学園長の協力で半ば無理やりの受験。
……なんか無理やりってのが多いな。
まぁ成績とかはむしろ優秀とか文句なしとかそんなレベルで取得していったけどね。
だからこそ文句は言わせなかったが。
そして俺が二十歳になる頃には正式に教員として麻帆良学園の教卓に立つ事となった。
とは言ってもその間も麻帆良に在籍していた。
ただし講師とか特別顧問とか名を変えてではあるが。
こうして俺は教師の道を歩みだしたのだ。
補足しておくと明日菜が教師になったのがこの2年後。
大学受験に一度失敗したのと、教員資格を取る時にちょっと問題があったのが理由。
負けてさぞ悔しそうだった記憶がある。
そんな勝った負けたの勝負じゃないんですけど……
職員会議も特に問題無く終了しHRのために教室へ移動。
若干職員連中に睨まれるけど大半は魔法先生だ。
まだ俺個人に対する信用度は薄い様子。
今度タカミチ辺りと会話して心象上げとかないとなとか腹黒い事を考えてみる。
あとは女性教員の熱い視線に気づいた男連中の視線。
ぶっちゃけ容姿のレベルを落とす魔法も使っておくべきだったかと後悔してます、はい。
ハルナが昔っからニコポ、ナデポの天才だねと冗談を言っていたけど、なんか冗談じゃないような気がしてます。
あのクソ親父はどうだったのだろうかとちょっと思い浮かべてみる。
……うん、ファンクラブあったねそういえば。
俺にもあるけどorz
「おはよ~ナギ先生」
「おはようございますナギ先生」
「ナギ先生おはよ~」
「ああおはよう、朝倉、那波、柿崎」
教室に近くなってきたため生徒からの挨拶が増えてくる。
廊下を進むたびに他のクラスの生徒が『あの先生だれ? 超イケメンだけど』とか『うちのクラスにも来てくれないかな?』とかいう声が聞こえてきます。
未来でも似たような声を聴くとはいえ、どうしたもんかと悩むしかないんだよねこればっかりは。
HRよりも若干早く教室に到着したので、とりあえず登校済みの面子の確認。
それと欠席者の確認もだな。
「え~とまずはエヴァンジェリンが休みか」
「はい、ぶっちゃけサボタージュですナギ先生」
茶々丸が先に登校しており連絡してくれる。
エヴァの所に居てもいいのにわざわざ出席してくれるなんて良い子。
サボタージュしたエヴァには後でもれなく拳骨をプレゼントしておこう。
せめて教室には来い、寝ててもいいから。
ぶっちゃけ居てくれた方が安心するから、なんて事は決して言わないが。
うん、心配症だねこりゃ。
「分かった。情報ありがとうな茶々丸」
「ん……あ、はい……」
よくできた子には頭を撫でて褒めましょう。
もはや癖になっているため自然と手が出てしまった。
顔色が変わらない筈の茶々丸の顔が若干赤く見える。
これがナデポですかハルナさん?
旦那はそんなつもりは無いんです。
きっとこれも照れてるだけなんです。
理解してください。
だからどうか正座している膝の上に石版を積み上げないでください。
居ない嫁に言い訳をしてもしょうがないんだけどさ。
「あとはっと、佐々木くんは来ているな」
昨日は保健室に連れていかれていたからな。
怪我など確認はしておいたとはいえ、何かがあっては困る。
「体調の方はどうだ? どこか悪い所とかあるか?」
「あ、ナギ先生。
う~ん、大丈夫かな? 気持ち悪いとか頭がグラグラするとか無いし。
ああ、熱測ってない!」
そう言われて佐々木の額に手を当てる。
「///はう!?」
……これも癖だな。
子供たちにも同じ事をやってますゴメンナサイ。
でも体温計とか無いときは結構重宝してるんだぞ?
誤差もほとんど無く測れるし。
ダメだな~。
どうしても年齢的に子供達と同じ感覚で接してしまう。
はっきり言ってどう接したらいいのか分からなくなってくる。
「ふうむ……特に高いという事は無いようだな。
他に体調が悪いという事もないようだし、大丈夫かな。
大河内くん、念のため佐々木くんの熱を確認しておいてくれるか」
「はい、分かりました先生」
「和泉くんも何かあったら保健委員として頼むな」
「はいナギ先生」
大河内と和泉の二人にお願いをして他の生徒の様子を見よう。
いつまでも傍にいると別の理由で体温が上がりそうだし……
はい、自重します。
奥の席に移動すると古菲と長瀬が肉まんを頬張っていた。
遠くを見ると四葉と超が肉まんを売ってるな。
超と一瞬だけ視線が合ったが今は無視しておく。
「古菲くんと長瀬くんは食べ過ぎ注意な。
というか朝飯は寮でちゃんと食ってこい」
「ワタシは超包子でバイトだったアルよ。だから食べるのおくれてしまったアル」
「拙者は食べてきたでござるが、美味しそうだってのでつい」
「まったく、動いてるなら別にとやかく言わないが、食べ過ぎてお腹壊しましたなんて言ったら後で説教だからな」
「わかってるアルよ」
「ニンニン」
「ならよし」
素直な所は変わらずで嬉しいよ、ホント。
そして思い出して周囲を見渡す。
件の彼女は既に着席していたので一度前方に移動してから視界に入るように近づく。
「宮崎くん」
「あ、はい!!」
「そう緊張しなくていいからなぁ。
なんだったらもう少し離れるぞ?」
相変わらず男性が苦手なようで。
緊張してしまっている様子。
「あ、い、いえ大丈夫です先生」
「そうか? 宮崎くんが大丈夫ならこのまま話すけど……。
昨夜な近衛くんから電話があったんだが、怪我とかは大丈夫だったか?」
不審者らしき人物に襲われて何も連絡が無いなんて事はない。
近衛の機転で必要最低限の所に連絡がいったそうだ。
もちろん俺の所にも学園長経由で連絡が来た。
もし来なかったら俺が学園長に連絡していたが。
「あ、はい……怪我は、ありませんでした」
「そうか、なら良かった。
制服の方は学園側で費用を持って、後日新しいのが寮の方に届くそうだ。
お前が出会った事件は学園の方で内密に調査中。
出来ればあまり言いふらさないでおいてもらえると助かる」
「え、ええと、はい」
もちろん調査なんて嘘だ。
学園長は事件を把握してるし、犯人が誰かなんて知っていて放置している。
これは昨夜の内に学園長と電話で打ち合わせしておいた事だ。
「むやみやたらと生徒を怖がらせるのもどうかと思うしな。
あとそれと、学園内とはいえ一人で夜遅く行動するのはちょっと控えてくれ。
宮崎は可愛いんだから、一人で歩いていると怖い人に驚かされちゃうぞ」
「ひぃっ!?」
ちょっと冗談が過ぎたな。
逆に怖がらせてどうするよ?
姿勢を下げてかがむように宮崎の顔を覗き込む。
もちろん近づき過ぎないように気を付けて。
「ああ、ゴメンゴメン。
今のは冗談だ。学園の警備に関しては俺も担当してるから、そう簡単に俺の生徒に手を出させやしないよ。
怖がらせてゴメンな、宮崎」
「え……あ、はい……///」
「よしよし」
そして気が付けばまた頭を撫でていた。
ついやっちゃうんだ……
マジで自重しろよ俺の右手ー!!
うう、でも嫌がって無いと分かると手を放し辛い。
「ちょっと手馴れてすぎやしないナギ先生」
そして来たよ、未来で俺に不名誉なあだ名を付けまくってくれたお人が。
早乙女ハルナ。
魔法世界の娯楽を塗り替えた女!
魔法世界の女性陣を腐の道へと叩き落とした主犯!
両世界合わせて数億冊の本を売り上げた悪鬼!
一本のペンだけで第三次世界大戦を起こしかけたバカ!!
「早乙女くんか、なにがだ?」
当然そんなバカげた内容を一切顔に出さずに答える。
「いやほら、のどかとか男性恐怖症なのにそんな簡単に頭撫でちゃって。
他の子だって先生と会ってまで二日なのに打ち解けすぎだと思うんだけど」
「まぁ家には子供がたくさんいるからな。
年下に対する対処とか子供の対処とかはもう慣れっこなんだよ」
なにせ両手両足の指でも余裕で足りないくらいいるし。
今まで何組も教え子を迎えてるし。
「たくさん……ねぇ。
それにしたって」
「そうだな、宮崎の場合は男性が苦手ってのもあるけど、上から、高いとこから見られるってのも恐怖の一つだと思ったんだ。
だから目線を下げて、ゆっくりしゃべって高圧的な要素を無くしてさ」
男性恐怖症……というか宮崎の場合は極度の緊張から来るものなんだが。
子供特有の大人が怖いってのが理由の一つだ。
だから相手を見上げるって行為が怯えに繋がりやすい。
ネギ少年をあまり怖がらなかったのはこれだな。
視線を同じか相手よりも下にして恐怖心を減らす。
それと怒鳴り声や早口は禁物だ。
相手のペースに合わせて会話をする気持ちが大切だぞ。
「ちょっと冗談を混ぜて、安心感を持たせて、少しだけ触れてあげる。
まぁ俺のくせで頭を撫でちまってるけど、指や手に触れるとかね。
こっちから触れると拒絶されるかもしれないから、自分が出した手に彼女の方から手を乗せてもらうのも一つの手段だな」
今回は冗談が少々失敗したけど、相手の気持ちをほぐすにはいい方法なのだ。
うまく笑顔を作ってやれればOK。
笑顔は何より緊張をほぐす一番の薬だからな。
そして相手と肌を接触させる。
こうする事で自分はアナタを傷つけませんとアピールするのだ。
体温や心音は安心感を与える上で最良の方法だからな。
「そうやって恐怖心を無くしていってもらうのさ」
でもこれを未来のハルナに言ったら『それ口説く時の方法と一緒だよ』と言われた。
紳士っぽく行動するって相手を口説いてるのと一緒なんだね。
反省しますです。
だから不名誉なあだ名を増やさないでください。
ナデポマスターってなんですか?
生徒に手は出しませんよ?
え? 撫でてるから手は出てるって?
マジでゴメンナサイ!
「ははあ、勉強になります」
マジでメモ取るのやめてもらえませんか早乙女先生。
ペンの動きからナギ×ネギとか書いてるの分かるからな!
軽く読心したら次回はこの口説き方でネギ君を落とすわとか聞こえますマジやめろ。
お前の影響力知ってんだからな!!
「で、いつまで撫でてるの先生」
「うわっと!?
すまん宮崎、気づかなくて……ゴメンな」
早乙女の話に気を取られてずっと頭を撫でてる事にまったく気がつかなかった。
さすがに撫ですぎて宮崎から湯気が出てる気がする。
でも、あれ? 嫌な感情は無いような……
「い、いえ……大丈夫、です。
それに……ちょっと……お父さんぽかったから……//////」
ブルータスじゃなかった、宮崎お前もか?
というかそれじゃあ俺15の時に産んでる計算になるからなお前?
あれ? 明日香が生まれたのと同じ歳だった。
まぁともかく恋愛方面じゃなくてよかった。
これでハルナ曰くフラグが立ちでもしたらネギ少年に悪すぎるし大問題が起きる。
というかナデポの実証なんて嫌すぐる。
「ほほう、お父さんとな。
よし、ナギ先生のあだ名はお父さん先生だ!!」
「やめてくれこれ以上子供を増やさないでくれ」
いい加減に子供たちの名前を考えるのも覚えるのも大変なんだと割と切実な問題を叫んでみる。
わりかし分かりやすい名前、明日香とか弟の明日耶とか木乃葉とかって実はそういった理由もあって名付けられていたりする。
だって現在進行形で増えてるんだもん。
分かりやすい名前じゃないと混同しちゃうんだもん!
絵里絵菜桜花裕也裕花裕太裕梨ジジ柳アンリネロ秋雨時雨梅雨霧雨シズカ鈴龍鈴華鈴美あやめネクあやなあややネラ和葉ソプラノ亜矢亜希ヒカリヒカル蓮鈴蘭ハルカ真佐真理アインウノなどなど。
こんなに居るんだぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
(名前はガチで適当&思い付きですby作者)
しかもさらには生徒の名前も覚えてるんだし。
記憶力良くったって限度というものがあります、ハイ。
「ははは、いいじゃんいいじゃん。
こんな可愛い子供だよ?
欲しくない?
ねぇ、お父さん」
「……言わせんな恥ずかしい」
こっちは良い子だってちゃんと知ってんだよこんな子供欲しいに決まってるだろうがのどかの娘のシズカにそっくりなんだよコンチクショー!!
ちなみにシズカはトウヤの妹で昔ののどかよりも明るい性格のそれはそれは可愛い娘だ。
「やったー!」
やったーじゃないやい!
「みんなおはよーっ!!」
などと早乙女と馬鹿話をしていたら遅刻ギリギリでネギ少年を引っ張って来た神楽坂が登場。
その後ろには近衛もいる。
そして気配を消して後ろ側の扉から桜咲がひっそりと入って来た。
護衛お疲れ様です。
「神楽坂くんに近衛くん、それにネギ先生か。遅刻ギリギリだぞお前たち。何かあったのか?」
「あ、ナギ先生。それがネギが学校に来たくないって駄々をこねて」
「だ、だってだって!!」
ゴメン、見ている俺が恥ずかしくなるからヤメテ。
身内の恥じよりよっぽどハズイです。
「ああはいはい分かったから暴れるな。
それとネギ先生、今日の欠席者だが……エヴァンジェリンが所要で休みだそうだ」
「え?」
「何を怯えているかしらないが、今日は別に怖がる必要もないだろう」
「あ、はい……」
素直に返事しやがって。
ネギ少年が怖がる理由を知っている時点で俺が関係者だと気付かないもんかねぇ?
まぁ気付かないなら気付かないで利用させてもらうけどな。
そういえば俺はネギ少年の補佐以外にも授業を持っていたりする。
担当の教師が病気で来れないからと臨時で受け持ったのだ。
学園長からの臨時給与美味し。
これで子供たちへのお土産が買えるぞ~。
そう、何を隠そう! 俺は全科目を教える事が出来るのだ!!
というわけで今日は数学です。
担当の先生がインフルエンザでお休みなんだと。
教えるのは変わらず3-Aだけどな。
「で、ここの数式だが、Xにこちらの式を代入して計算し、その解をこちらに代入すれば答えは出る。
数学は式の暗記と発想力が勝負だ。
理解できないと言うなら数をこなせ、反復練習は勉強の基礎だ。分かったな」
数学は暗記問題です、特に中学高校のは。
図形や証明に関しては若干違うけどな。
それにしても……
なんか教室の雰囲気がおかしい。
なにかイベントでもあったか?
「で、なんか今日は浮ついているな。何かあったのか雪広くん」
「はいナギ先生。ネギ先生がパートナーを探しているとかで、じゃあ私が立候補するとかちょっと盛り上がってしまいまして。
もちろんわたくしも立候補しました、はい!」
「……まったく」
ああそういえばそんな事も言っていたなと思い出す。
だがネギ少年の言うパートナーと彼女達の言っているパートナーでは若干の食い違いがある。
ネギ少年は一緒に戦ってくれる相棒という意味。
彼女達は生涯の伴侶、もしくは恋人という意味だ。
ちなみに知っての通り魔法世界における従者、つまりパートナーは後者が多い。
男女でなっていたら高確率でそうだと思っていいぞ。
「先生は何か知ってるの~?」
「ん? いや詳しくは知らないがな。
とはいえネギ先生はまだ十歳の子供でもあるんだ。あまりはしゃぎ過ぎて困らすなよ」
「「「「「ハーイ!」」」」」
「あんまり信用できないハイだな」
多分、というか確実にこの後に実行するだろうしな。
許せネギ少年。きみの骨はウェールズの山にちゃんと埋葬してやるからな!
ただきみが死ぬと俺の存在も消えそうで怖いけどな!
「あと十分か。
ちょうどいいし後は自習な。
質問があれば聞くぞー、ただし隣のクラスに迷惑にならないように静かにしろよ」
授業を早めに切り上げるのは頭を休めるためだな。
集中力なんて慣れていないと短時間しか持たないし。
詰め込んでも頭に入らなければ意味は無い。
そして念のためもう一つの用事をすませておく。
「よ、長谷川くん」
「先生か、なんですか?」
認識阻害の効果の確認だ。
長谷川は何故か麻帆良学園の結界に仕込まれている認識を鈍らせる効果が薄いようで。
おかしいをおかしいとそのまま捉えてしまっているという。
未来で聞いた事だが、周りが当然と思っている事を何故か彼女だけが変だと感じていたという。
確かにたまにそういう人間はいるのだが、特に千雨には効果が無かったようなのだ。
つまり俺が今やろうとしている事は彼女の心のケアだ。
「あんまり物事を深く考えると体に毒だぞって助言をな。
事実は小説より奇なりって考えて適当に流すのが吉だと思うぞ」
「……先生、なんか知ってるのか?」
「別に、俺は何も知らないし何も教えない。
今のまま適当に生きて面倒に踏み込まなければ特に何も問題無く生きていけるって言いたいだけだ」
むしろそう生きて欲しいとも思う。
俺が言うのもなんだがな。
「あからさまに全て知ってますって言ってるように聞こえるんですけど」
「じゃあ逆に聞くが、俺が全て知っていて、それがなんなのか本当に知りたいと思うか?」
「そ、それは……」
「もし知れば元の生活になんて帰れない。
二度と平和な日常なんて味わうことも出来ない。
そんな答えだとしたら?」
「う……」
気付いていないだけでそんな世界への扉は身近にあるもんだ。
玄関を開けたらそこは戦場でした。
道を歩いていたら光り輝くゲートがありました。
メールを開いてみたら異世界へ連れていかれました。
机の引き出しを開けたら未来への扉が。
畳をどかしたら宇宙船と繋がっていました。
ピンクの靄の中へと入ったら別の星でした。
ピクニックに出かけた筈が過去へと来てました、とかな。
「君子危うきに近寄らず。
興味本位で知りたいと思うならそれなりの覚悟を持てってね」
最後のは無理だが、対外の事は避けて通れる道だ。
興味があるからといって近寄りさえしなければいつもと変わらない日常を生きれる。
物語じゃ無いんだ。
どこぞの主人公たちのようにうまくやれる保証なんてある筈も無い。
神様の恩恵だとか、ご都合主義なんて在りはしないのだから――
ホント、過去なんて所にやって来た、自称魔法使い様の言う事じゃないよな。
「……そうだな。
とりあえず、先生が何もかも知っているって分かっただけで良しとするよ」
「それでよし。
まぁ、何があろうとも先生はお前らの味方してやるから安心しな。
それでもしその危うきに近づいちまったら言ってくれ。
望む限りは『オレ』が助けてやるからさ」
例えこの俺がいなくても。
そこにはちゃんとオレが居る筈だから。
「先生はどこぞのヒーローか何かですか?
それにその物言いだと私が危うい事に会うって感じもしますけど」
「それはお前しだいだ。
案外、危うきはすぐ真横に転がっていたりもするかもしれないしな」
そう言って俺はエヴァの、超の、ザジの席を見る。
手を伸ばせば届きそうな所に異世界なんてあるもんだよな。
魔法使いに吸血鬼、火星に未来、金星に魔界ってか?
よりどりみどりだなまったく。
「はいはい。肝に銘じておきます。
とりあえず……ありがとうございました」
「どういたしまして」
長谷川の顔は、先ほどまでと違って晴々としていた。
ハルナの陰謀により無駄に意識をする羽目になったナギでした。
実際にはいきなりで照れたりしただけですので、恋愛とかありません。
ただお父さんフラグは立ちそうですがw
今回は設定ではなく超鈴音の補足説明。
彼女は並行世界から来た超です。
そしてナギ(ネギ)がハーレムを作った世界では超は生まれません。
というか生まれても完全に別人になります。
なので厳密に言うとナギ(ネギ)と超に血の繋がりはありません。
と、言い訳をしてみる。
ちなみに途中にあった世界への扉についてネタ説明。
・玄関を開けたら戦場 マブラヴですね。瓦礫の街って書いても良かったんですが分かりやすさ重視で。
・道を歩いていたら光り輝くゲート ゼロ魔ですね。サイトくんの召喚です。
・メールを開いてみたら ノゲノラです。実際にはその間にチェスがありますが。
・机の引き出し ドラえもんです。
・畳をどかしたら ドラえもんの宇宙開拓史です。
・ピンクの靄(もや) ドラえもんのアニマルプラネットです。
半分ドラえもんというオチ。
次話は超の送り込んだ人物が気になるという事でそっちのお話しを先に。
厳密にはその次で登場になりますが;
この間にいれようかと考えていた話はエヴァ編終わり後に入れます。
ではお楽しみに。読了感謝です。