子守先生■ギま!?【凍結】   作:再buster

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今回はネギ家長男のトウヤくんのお話し。
何より普通でいたい少年の日常やいかに。


第5話:『平凡・本・魔力反応』

 

 

 

「ただいま戻りました」

 

「あ、お帰りのどかちゃん」

 

 

 はじめまして、旧姓宮崎のどか。

 今はのどか・M・スプリングフィールドです。

 

 とある用事で魔法世界へ出かけていたのですが、突然の連絡を受けて急いで帰ってきました。

 

 電話で今回の事件の概要を聞いたときは心臓が止まる思いでした。

 学校があるから留守番しているよと、トウヤを置いていったのはマズかったのでしょうか?

 

 私がいない間にそんな大変な事になっていたなんて……

 

 

「明日菜さん、ネギさんと息子は……」

「うん、電話で言った通り過去に行っちゃった。

 でも大丈夫よ。今チャオリンが急いで準備してる」

「そ、それならいいんですけど……」

 

 

 明日菜さんは心配する子供たちのためにも一時休職して面倒を見ているそうで。

 まだ小さく、茶々丸さんが面倒を見ているお子さんもいますから。

 今は家で返ってくる皆を出迎えているそうです。

 

 でも超さんがって部分が少し心配なんですけどぉ。

 

 

「まぁまぁ大丈夫だって。

 カティちゃんや私の娘もいるし、向こうにはエヴァちゃんもいるんだから」

「そう……ですよね」

「そうよ。

 のどかちゃんは心配し過ぎるんだから、少しは楽観したほうがいいわよ。

 心配し過ぎて倒れても、帰ってきたネギ達が困るだけよ?」

「……はい」

 

 

 そうですよね。

 私がしっかりしてないと、またネギさんに心配されちゃいますしね。

 

 それに、一番大変なのは私じゃないんだから、私はしっかりしてないと……

 

 

「そうそう。

 で、向こうじゃどうだったの?

 確かのどかちゃんの知り合いの出産に立ち会ってたんでしょ?」

「あ、はい。アイシャさんが二人目のお子さんを産むって聞いたので」

 

 

 昔、魔法世界で知り合ったトレジャーハンターのアイシャさん。

 そしてチームのリーダーだったクレイグさんは今は結婚して夫婦となっています。

 クレイグさんの故郷に一度戻り、その後はアイシャさんの故郷で暮らしてるそうです。

 

 その後一人目のお子さんを出産した際に手紙が届き、結婚をした事をはじめて知りました。

 お二人は私のこっちでの住所を知らなかったので連絡が取れなかったそうです。

 

 私も連絡を聞いてすぐに会いに行きました。

 

 幸せそうな姿を見たときは本当に嬉しかったなぁ。

 

 

 ちなみに、クリスさんは二人の結婚を見届けてから国に帰ってしまったそうです。

 やっぱりアイシャさんの事が好きだったんですね……

 

 その後は地元の警備隊で隊長をしているそうです。

 今では彼女さんも出来て、幸せそうにしているのが印象的でした。

 

 

 もう一人の仲間、リンさんは今でもトレジャーハンターを続けているそうです。

 とはいっても国からの依頼で遺跡の調査をしている立派な仕事です。

 

 こちらは恋愛事は特に無いそうです。

 行き遅れだけにはなりたくないなぁ、とよく愚痴をもらしているとか。

 

 

 それで、別の用事で魔法世界に行く機会があったので、ちょうどいいと二人に会いに行ったんです。

 

 そしたらちょうど第二子出産だそうで……

 立ち会う事になっちゃったわけです。

 

 さすがに二人目ともなれば慣れもあって安産でした。

 アイシャさんに似た可愛い女の子。

 

 ……また一人欲しいなぁ。

 

 

「そっか……幸せそうで良かったわ」

「はい……」

 

 

 その事もあって魔法世界に滞在する期間が伸び、その間に今回の事件が起きてしまったということです。

 

 

「それでさ、トウヤ君の方はどんな感じ?」

「どんな感じ……ですか?」

 

「実力よ。

 ウチの子って色々と問題あるじゃない。

 その点のどかちゃんの方は優秀なんだろうなぁってさ」

 

 

 明日香ちゃんかぁ……

 私もやっぱりあの性格は少し問題あると思うなぁ。

 なにより怖いですし。

 良い子ではあるんだけど……

 

 

 明日菜さんの娘の明日香ちゃんと私の息子のトウヤは同い年。

 よく一緒に遊んでる姿も見かけるし、将来はきっと……と噂されてるらしい。

 

 ……そこらへんは自由だから私が何か言う気はないんだけど。

 

 

 同い年だからこそ、その分実力を比べられる機会は多い。

 

 明日香ちゃんは確かに戦闘中の性格は問題だが、それがあっても強いと思う。

 さすがは明日菜さんの娘で高畑先生の弟子。

 

 でもトウヤか……

 

 

「トウヤは……弱いから……」

 

 

 

 

 だってトウヤは……私の子供だから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第5話  『 平凡・本・魔力反応 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この前から麻帆良学園の中等部に入学した僕ことトウヤ。

 明日香が通う女子中等部と違いこちらは普通の共学だ。

 

 ……なんで女子と共学が別々にあるんだろうか?

 

 きっと学園長の趣味だろう、そうに違いない。

 

 

 というのは冗談です。

 実際には幾つかのテストケースをするために小学校や中学や高校で男子女子共学といくつかのパターンを作っているそうです。

 テストのデータは魔法世界でも使われていると向うの学園長先生に聞いたことがある。

 

 なら僕の通うこの中学も何かあるのかというと……

 

 何もおもしろみの無い、ごく平凡な学校としか答えられない。

 

 

 

 僕の通う事になった学校は男女共学。

 別に魔法使いとか人外の方がいる訳でもないごく普通のクラスに転入した。

 

 クラス内の平均偏差値は52。

 運動技能も中学生の平均値範囲内。

 

 委員長は眼鏡を掛けておりおさげ髪で、生徒の大半が黒髪か茶色で変わった髪型の人は一人もいない。

 これといって大きな特徴があるわけでもない顔ぶればかり。

 年齢にそぐわない美人もいなければスタイルが良すぎるという事もまったく無い。

 身長も大人顔負けなんて事もなく、どう見ても幼児、なんて事も無い。

 

 おもな部活は野球部やサッカー部、美術部に軽音部など。

 何か特殊な部活に入部している事もない。

 

 速読が出来る、暗記が得意、絵が上手などなど。

 これといった特殊な技能も持っていない。

 

 担任は二十歳後半の女性。

 教師としては少々若い気もするがそれなりに慣れている様子。

 別に剣を使うとか、魔法を使うとか、気に長けているとかそんな事はない普通の先生。

 

 

 何か特徴がある訳でもない平均的な内容ばかり。

 

 誰かに言わせれば平凡なクラス。

 

 誰かに言わせればつまらないクラス。

 

 

 というかこれが一般的な学校のクラスなんだよね。

 

 はっきり言って父さんのいるクラスが異常なだけだし……

 

 

 外人の割合がクラス全体の一割を超えてるとか。

 ロボット、半妖、幽霊、吸血鬼、未来人、魔法使い、忍者、お姫様、悪魔、シスター、傭兵、同人作家がクラスにいるとか。

 クラスの半数近くが裏に関わっているとか。

 教師が十歳の子供だとか。

 

 ……本当に異常だね。

 

 よく教育委員会とか保護者から文句が出なかったと思う編成だよ。

 

 さすがは学園長、そんな仕事っぷりに痺れもしないし憧れもしない。

 

 

 

 僕としてはこのクラスの内容は助かる。

 あまり目立ちたくないから、普通ってのは僕にとってなにより嬉しい事なんだ。

 

 父親が英雄ってだけで色眼鏡で見られる僕としては目立つことこそが一番嫌いな事。

 

 目立つのとか嫌いだから昔のお母さんみたいに目を髪で隠してるしね。

 

 

 そういえば僕の容姿だけど……

 

 髪はのどか母さんの方に近いのかな?

 ちょっと短くして、後ろは父さんに似せてちょっと長くして紐でまとめてある。

 色は母さん譲りで黒っぽい藍色。

 

 うん、昔の母さんとほとんど同じだね。

 

 顔の方は父さんの顔をもう少しやわらかくした感じらしい。

 これは母さんの影響かな?

 

 母さんたちはモテ顔だって言ってたね。

 僕としてはもう少し男前がいいんだけどなぁ。

 

 

 まぁそんな顔だから隠しといた方が無難なんだよね。

 モテるのははっきり言って嬉しいけど、個人的には静かな生活の方が望ましいし。

 

 お父さんは他所じゃハーレム作って羨ましいとか言われてるけど、あれで結構気苦労が絶えないしね。

 真似したいとは決して思わないね、うん。

 

 

 

 なんにせよ、僕は目立つのが大嫌いだ。

 

 カティ姉さんは真祖の娘、明日香は黄昏の姫御子の娘。

 どちらも問題は解消されたとはいえ、全員が全員不安を持たないわけでは無かった。

 表に出すには何かと問題のある血筋。

 

 その点、僕は利用しやすかった。

 

 サウザンドマスターの孫、魔法世界の救世主の息子。

 厄災の女王の孫だなんて事はかき消され、都合の良い部分だけを取りだたされ強調され。

 

 一時期は政治にも利用されかけた。

 

 

 もちろんそんな事を家族が、なにより父が許す筈もなく未遂に終わってる。

 でも、僕に対する注目度は高いままだった……

 

 嫌なんだよね……

 

 僕は普通に生きていければそれでいい。

 

 昔みたいに英雄が必要でもなければ、戦争をしているわけでもない。

 戦いはしたい人に任せればいい。

 

 僕はただ……本を読んで暮らせればそれでいいんだ。

 

 

 

 というわけでこのクラスは僕にとってちょうどいい。

 僕を誰かなんて知りもしないし、親が誰かなんて知らないし無理に詮索もしない。

 

 転入当日に若干の質問とかあったけどそれで終わり。

 軽く校舎の案内とかは受けたけどそれ以上は何も無かった。

 

 実に平凡でつまらなくてサイコ―だ。

 

 

 

 そして今日も僕は教室の端っこで一人静かに本を読む。

 

 何故かクラスメイトは話しかけてこないけど、やっぱり暗いのかな僕。

 それならそれでいいんだけどね。

(実際には男子は近寄りがたい雰囲気に押されて、女子は格好良さに近づけずにいるだけ。

 やはりスプリングフィールドの血か?)

 

 

 

 そういえば父さんは今3-Aで副担任をしているよね。

 

 父さんはそれとなくサポートをするつもりって言ってたけど、僕らからすればそれは無理だと思う。

 きっと父さんの事だからいらぬお節介をしているに違いないから。

 生徒が休めば心配し、体調の悪い生徒がいれば気にして、仲間から外されそうな子が居れば輪の中へと誘い、心を壊しそうな子が居れば助ける。

 

 はっきり言って教師の枠を超えてるよね。

 むしろそれは生徒が、友達がなんとかするものだと思う。

 

 はっきり言って過保護なんだよね……

 

 父さんはさ……

 

 誰かのために何かをするってのが苦手なんだ。

 

 加減が分からない。

 どこまでやっていいのかの境界が分からないんだ。

 

 これは父さんが子供だった時の問題。

 周りが大人ばかりで、身近にいたのは姉と幼馴染。

 友達がいなくて、姉は甲斐甲斐しくするだけで、幼馴染は肝心な時に慌てて何もしない。

 

 止める人も、見本となる人もいなくて、全部一人でやってしまった。

 

 基準が自分しかないんだ。

 

 だから他人のために動くとどうしても空回りしてしまう。

 

 明日菜叔母さんが言ってたけど、父さんが麻帆良に来たばかりの頃は失敗が多かったというのもこれが原因。

 叔母さんのために張り切るけど加減を知らないからやりすぎたってだけ。

 

 他人付き合いを知らない。

 

 それが父さんの問題。

 

 そしてそれは今でもあまり変わって無い。

 

 つまり、家族と生徒の境界が無いんだ。

 今の家族が元々生徒だったというのも大きいけど。

 

 父さんは例え生徒であろうと親身に対応する。

 だから要らぬお節介をしてしまう。

 

 無駄に頭が良くて無駄に器用になって無駄な人生経験を積んできたから、失敗はしない。

 でも、きっとやりすぎてる。

 

 ハルナ叔母さんや和美叔母さんがニコポとかナデポって冗談を言っていたのはそのため。

 ちょっとは自覚しろって言い聞かせてんの。

 

 お父さんは癖だって言い訳してるけど、実は精神的な病気だと鈴音叔母さんやマスターは言っていた。

 

 誰にも真面目に接しないと叱られる。

 誰にも紳士的に接しないと嫌われる。

 

 嫌われるのは怖い。

 

 一人に、孤独になるのは耐えられる。

 でも嫌いになられるのはイヤだ!

 

 見捨てないでよ!

 ちゃんと僕はやるから!

 良い子にするから!

 みんなが傷つかないようにするから!

 

 だからみんな僕を嫌いにならないでよ!!

 

 

 それが父さんの病気で、トラウマ。

 

 

 

 お爺さんが来ると思ってやった悪戯で、姉を泣かせてしまった――

 

 自分が悪い子だから魔族を呼び込んだ――

 

 自分が良い子にしていなかったから村のみんなを石にしてしまった――

 

 自分のせいで姉が傷つき、お爺さんに無理をさせた――

 

 

 フォロー無しとかヒドイよねぇ。

 誰も責めないし、誰も心配無いって言うだけ。

 

 ねぇ、誰かそれで父さんが泣いている所でも見たことある?

 

 ねぇ、誰かそれで、父さんが、自責で壊れたって、気づいた?

 

 

 父さんは強いんじゃない。

 

 その時に壊れただけ。

 

 だから誰かに救いを与えようとする。

 誰かを幸福にしようとする。

 

 じゃあ自分は?

 

 

 

 

 だから英雄って嫌いなんだよ。

 

 まったく……

 

 

 

 まぁ、そんなお父さんもカティ姉が生まれた事でマシにはなったらしいけどね。

 

 それでも、きっと父さんはこれからもずっと生徒達にも優しくする。

 そうしないと、生きられないから……

 

 バカ親父……

 

 

 

 

 ……おっと、この本も読み終わった。

 ピクニックのつもりだったからそんなに本持ってきて無いんだよね。

 父さんの持ってる本はどちらかというと専門書だし。

 

 図書館島に行くか。

 生徒手帳見せれば簡単に借りれるって言ってたし。

 

 

 

 

 図書館島への道中。

 

 麻帆良学園の街並みは未来も今もそれほど大きくは変わってない。

 お店とか外装とかは変わっても、区画自体が変わることはそうそうないから。

 だから迷子とかにもならないから楽で助かる。

 

 そういえば麻帆良学園内の迷子呼び出し回数は一日数十回って聞いた事があるな。

 どれだけ迷子がいるんだろ?

 

 

 ん?

 

 

「あの子……危ないなぁ」

 

 

 学園内はヨーロッパの古い都市をイメージして造られてるので、景観を壊す手すりなどは少ない。

 だから階段など意外と危ない箇所が多く存在する。

 

 まぁ麻帆良学園の生徒は大半が運動神経いいからまったく問題ないんだけどさ。

 

 

 でも今、僕の視線の先で歩いている彼女は、とても危なそうに歩いてる。

 手には抱えきれない程に大量の本。

 若干の震えからしても非力で、気も使えない普通の子だろう。

 見た目華奢なんだからもっと少ない量にすればいいのに……

 

 

「きゃっ」

 

 

 あ、危ない!

 彼女が予想通り本を落としてバランスを崩した。

 

 

「おっと!」

 

 

 予想していただけあってすぐに助けられた。

 軽く瞬動を使っちゃったけどバレてないよね?

 

 

「え?」

 

 

 見た目的には彼女の肩を抱きかかえる形だ。

 まぁとっさの事だったししょうがないよね。

 

 

「大丈夫ですか?」

「え、ええ、ええええええええああああああのああのあのあの……」

 

 

 すごいテンパり方だなぁ……

 

 

「立てますか?」

「……え、あああああ、はははははい……」

 

 

 ……というよりも恥ずかしさとか緊張の方が強いね。

 もしかして男性が苦手とかかな?

 

 ちょっと悪い事したな。

 

 でもああしないと危なかったし……

 

 

「ええと、その……あ、ありがとうございました」

 

 

 そんなに緊張しててもちゃんとお礼を言えるのは良いよね。

 

 

「いえいえ、御気になさらず」

「あ、はい………そ、それじゃあ私は仕事がありますので……」

 

 

 それだけ言って彼女はまた本を抱えて歩き始める。

 フラフラと危なさそうに……

 

 しかたないな。

 

 

「近くまで僕が持ちますよ」

 

 

 このまま放っておくのも怖いし手伝うことにする。

 それにね、

 

 

「え、え、あの、その………悪いですし……」

「『男子たる者いつでも紳士たれ』と父から教わってますから。

 むしろ何もしなければ父に怒られます。

 ここは僕を助けると思って、ね」

 

 

 『女性には優しくしないと後が怖いぞ』とも言うby父

 それにこのまま放っておくとまた落ちないかって怖いしね。

 

 

「そ、それじゃあ……お願いします」

「はい」

 

 

 

 彼女の本を持ちながら再び図書館島を目指す。

 もちろん彼女も一緒だけど、彼女から話をしてくる気配は無い。

 やっぱり苦手意識とかあるのかな?

 

 なら……

 

 

「この本、あなたが読んだんですか?」

「え、あ、その……はい」

 

「そうなんですか。僕も本が好きなんですよ。

 たとえばこの本……

 最初は少し哀しい話ですが、最後は幸せな結末を迎えるよくある展開の内容ですね。

 でも読者を引き込むモノを持ってる、良いお話だと思います」

 

「……わ、私もそう思い……ます……

 それに、主人公の彼女の人がとても幸せそうだったのが私は良かった……かな」

 

「そうですね……彼女には誰よりも幸せになる理由がある。

 あれは望まれるべき終わり方だと思いますよ」

 

「はい、そうですよね」

 

 

 この本……結構長編なんだけど、彼女はちゃんと全て読んだみたいだね。

 やっぱり彼女は本が好きみたいだね。

 

 それなら本の話題を振りながら少し苦手意識を取り払って貰うかな?

 

 

 

 

 

 そうして僕たちは図書館島に付くまで沢山の本の話をした。

 有名な童話や書籍、ファンタジー小説に恋愛物などいろいろだ。

 

 最後の方になれば、彼女も積極的に本の質問や感想を聞いてきた。

 あとはおすすめの本はコレだとか、アナタのおすすめは何とか。

 

 これで少しは苦手意識も減ったかな?

 

 彼女の場合は元来の恥ずかしがり屋な性格と、あまり異性と一緒になった事が無いのが原因ぽいし。

 僕と少しの間でも一緒にいたから少しはマシになるでしょ……

 

 

「あ、ここまでありがとう。

 ここまでくれば大丈夫だから……」

 

 

 気が付けば図書館島の入口まで来ていた。

 僕の方も話に夢中になってしまっていたようだ。

 

 

「そうですね。

 じゃあ僕も自分の本を探しに行きます」

 

「おもしろい本が見つかるといいですね」

 

「はい。

 あなたも今度は転ばないように気を付けてくださいね」

 

「もう、そんなに転びませんよぉ。

 じゃあまた……」

 

「ええ……また……」

 

 

 手を振り別れる。

 彼女を軽く見送りながら僕は本を探しに奥へ……

 

 

 でも、なんであそこまで僕は彼女に気を使ってたんだろうか?

 

 苦手意識を無くしてもらうためにあそこまで話しかけるなんて普段の僕じゃ考えられない。

 

 そもそも僕から話しかける事自体少ないんだ。

 ましてや手助けなんてして目立ちたくないってのもある。

 

 だいたい彼女が異性が苦手だろうがそうじゃなかろうが僕が何かする必要は無い筈だよね。

 

 なんであんな事したんだろ?

 

 

 それにしても……僕としてはすごく話しやすかったな。

 初対面の人と話すなら普通は間のズレとかで会話が途切れ途切れになるだろうし……

 

 まるで普段から話慣れていたかのような……

 

 

「あれ?」

 

 

 ちょうど壁に置いてあった鏡を見る。

 

 そこにはさっきの彼女に似た僕の姿が……

 

 

 って!?

 

 

「もしかして……のどか母さん?」

 

 

 そういえば彼女は麻帆良中等部の制服を着ていた。

 朝、明日香が着ていたモノと同じモノだ。

 つまり父さんが今副担任をしているクラスの人たちと同じ制服。

 リボンの色も同学年の物だった。

 

 それに母さんは図書館探検部で良く図書館島で本を借りてたって言うし……

 

 

 って、そもそも容姿で気づこうよ?

 本当にそのまんまだったじゃん!

 

 なんで気づかないよ……

 

 

 

 考えていてもしょうがない!

 とにかく本を探してさっさと帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと遅くなっちゃったな……」

 

 

 おもしろい本が無いかと捜索する間にかなり深い所まで降りてしまった。

 あまりに降り過ぎて地底図書館にまで行ってしまったのは失敗だったな。

 

 おかげで上まで戻るのに時間が掛かってしまった。

 エレベーターが業務用しかなく、生徒である僕は使えなかったのは痛かったな……今度は気を付けよう。

 

 図書館島から出ると空は真っ黒。

 人の気配も無くなり街頭だけが静かに街を照らしていた。

 

 父さんは門限に関して寛大とはいえこれはさすがに怒られそうだな。

 はやく帰ろう。

 

 

 

 

 

 !

 

 

 

 

「魔力?」

 

 

 遠くに魔力を感知した。

 しかもかなりの大きさの魔力だ。

 一瞬とはいえ感じたその魔力の大きさは世界樹に匹敵していただろう。

 

 もしかして転移?

 

 

 

「トウヤか」

「父さん?」

 

 

 背後から父さんが駆け寄ってきた。

 父さんもあの魔力に気づいたみたいだ。

 

 

「ああ、この近くで強力な魔力反応を察知したんだ。

 この時期にこれだけの反応があったという事はカシオペアの可能性もある。

 確かめに行くぞ」

「はい」

 

 

 父さんがいた昔ではこの時期に大規模な魔力反応は感知されていなかったという。

 

 ならばイレギュラーの可能性が高い。

 つまり未来からの介入だ。

 

 可能性で考えれば、現在連絡の出来ない超おばさんたちからの救援が一番だろう。

 

 学園長もそう考えたからこそ、父さんに調査を頼んだそうだ。

 

 

 

 

 そして僕と父さんは目的の場所へと飛んできた。

 

 場所は僕たちがやってきた森の一角から少し離れていた。

 分かりやすく森の一部が根こそぎ切り取られ、クレーターまで出来ている。

 

 

 傍から見ればミサイルか隕石でも落ちたのかと錯覚する光景だった。

 

 

「ほ、本当にカシオペアなのかな?」

 

「……砲撃と言ってくれた方がしっくりくるな。

 だが場所はずれてるのは誤差の範囲だし、さっき感じた魔力は転移の魔力だろう。

 もしさっきの魔力が攻撃であれば範囲はこれだけでは収まらないしな」

 

 

 確かに。

 もし先ほどの魔力を攻撃に使えば範囲は麻帆良を丸ごと飲み込むだろう。

 

 

「とりあえず降りるぞ。

 誰かが転移して来たなら、この近くにいるだろうしな」

「はい」

 

 

 僕たちはクレーターのそばに降りる。

 木々がなぎ倒され魔力の余波により焼け焦げて所々煙も出ている。

 僕たちが飛ばされてきた時よりも圧倒的に被害が大きい。

 

 もしかしなくてもかなり無理して転移させたであろう痕跡だ。

 こんな状態だと転移されてきた人は無事ではすまない筈。

 

 ではその転移された人はどこに?

 

 周囲はたしかに荒れているけど、人の気配や影は見当たらない。

 

 ならどこに?

 

 

 

 そしてその人物はすぐに見つける事が出来た。

 

 

 

 クレーターのど真ん中で!

 

 

 

 

 ヤ無茶しやがって……

 

 

 

 

 

 

 

 冗談は置いておいて。

 

 その人はクレーターの真ん中にボロボロの状態で倒れていた。

 とは言ってもボロボロなのは恰好だけで肉体的に怪我はほとんどしていない様子だ。

 かなり頑丈な人だね。

 

 それよりも問題だったのは……

 

 

「な……なんでコイツがここに?」

 

 

 

 その人物が僕たちにとってよく知る、そしてなにより予想外な人物だったことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけでトウヤくんでした。
トウヤくんのコンセプトはネギの代わりに祭り上げられた少年です。
もちろんお父さんが全力で阻止しましたけどね。あ、犯人はクルトではありませんので。
あとは、最初からお父さんと一緒だったらこうなっただろうネギ、です。

そして超が送りこんだ人物が到着。
正体は次回に。


あとは前話の言い訳を少々。

誰にも優しくしないといけないという自責に気付かずに笑顔を振りまく男。
だから実は撫でてる時とかにも相手を安心させる魔法が微弱に発生してるとか本人まったく気づいていない。
自分を愛せない、そんな壊れた設定の主人公でした。

ちなみに子供に過保護なのもこのため。
最悪な自分から生まれた子供があまりにも輝いて見えて、大切にしたいという気持ちの現れです。
もちろんこれも本人に自覚なし。

奥さん'ズも気づいてなかったりしますが、誰よりも第三者で見ることが出来るトウヤくんとヴァ、超は気づいてました。
心身的トラウマから来る病気と。

だからみんなで囲んだってのも裏の理由の一つ。
みんながこれだけ愛してるんだからアナタは自分を愛しても、許してもいいんだよと。
まぁ未だに治ってませんけど;

この病気が解決するのは、次の番外で……
あとは超とエヴァの番外も検討中。
いいネタが思いつきそうなんです!!

PS:話数間違えた―!!!
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