バトルスピリッツ マオウ!   作:置き物

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第1話 伝説の始まり!その名は皇道マオ!

バトルスピリッツ!

 

それはカードとコアが織り成す究極のカードゲーム!

これはバトルスピリッツの『王』となる一人の少年の物語である。

 

 

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どこの世界にもいそうな、ごく普通の少年。

 

だが、今彼がいる場所は普通ではなく、幾千もの小さな粒子達が飛び交う、異質で摩訶不思議な空間。

 

 

「こ、ここは……!?」

 

 

彼の目の前に存在するのは、煌びやかな装飾を纏いつつも、どこか禍々しさを感じさせる玉座。

 

そしてそれを中心として取り囲む19体の人型の石像だった。

 

 

『その玉座に腰を掛けよ。さすれば絶対的な力を約束しよう』

「絶対的な、力……?」

『だが、最後に待ち受けるのは”孤独”だ。それを受け入れる覚悟が汝にはあるか?』

「……」

 

 

謎の声の問いかけに答えることが出来ず、少年は右手首につけている、動かない古びた時計を逆手で握り締める。

 

その時、突如として足場が崩壊を始めて……

 

******

 

 

「いでッ!?」

 

 

夢から醒めると同時にベッドから転がり落ちた少年。彼の名は皇道 マオ。この物語の主人公である。

ともあれ、倒れた彼が時計を見ると針は8時を指していた。

 

 

「うわぁああああ!遅刻遅刻遅刻!」

 

 

マオは慌てて、階段を駆け下りてゆく。

1階の居間にはお茶を啜りながら、テレビをみる年老いた男性が彼の方へと顔を向ける。

 

 

「やっと起きたか、マオ」

「シゲルじいちゃん!何で起こしてくれなかったんだよぉ!」

「バカモン!もう中学生じゃろ!サヨちゃんにも頼らず、いい加減1人で起きんか!!」

「もう〜!!いってきまーす!」

 

 

祖父に叱られながらも、マオは家を飛び出し、今日も学校へと走り向かう。

 

 

******

 

 

その後、ほんの少しだけ時が流れて、学校のホームルーム開始直前。チャイムの鐘が鳴り響く頃、マオは全力疾走で、今にも締まりそうな校門を潜り抜けようとしていた。

 

 

「ギリギリセェェェェ─フぶうおあ!?」

 

 

僅かに間に合わず、締まりきった校門の柵へと衝突し、その場に倒れた。

 

 

「まったく……これで何回目の遅刻だ。」

 

 

校門の柵を閉めたのは、呆れた顔でマオへと話しかける短髪の少年。

 

彼の名前は成田 ホウイチ。マオとは幼い頃からの親友である。

 

 

「頼む、見逃してくれよ!この通り!オレたち親友じゃないか〜!」

「親友だからこそ見逃せないんだろ。お前に仏の教えを説いてやる。放課後、自習室で、みっちりとな」

「そ、そんなぁ〜!!」

 

 

******

 

 

「ハァ〜ついてねぇ……」

 

 

昼休みになった途端、ため息をつくマオ。

 

遅刻したその後も、課題の出し忘れや、分からない問題を立て続けに指名されるなど、散々だったからだ。

 

そんな彼の気分は完全にブルーになって行き………

 

 

「クソ!こうなったら、食堂でハラいっぱい食べてやる!」

 

 

憂鬱な昼は学食でヤケ食いするというのが、彼の相場である。

 

 

「マオ、今日も遅刻したの?」

「サヨ姉……!」

 

 

食堂前で、マオとバッタリ会ったのは、赤渕のメガネとロングヘアーが特徴的な少女。

 

彼女の名前は高橋 サヨ。マオやホウイチの幼なじみで、1学年上の先輩だ。

 

 

「やっぱり去年みたいに起こしに行った方がいい?」

「いーや、オレはもう中学生だ!…1人で起きるくらい朝メシ前だぜ!」

「フフ、なら遅刻しないように気をつけないとねっ」

 

 

にこやかに返すと彼女は屋上へと向かってゆく。

 

「それじゃ、またね」

「おう!」

 

 

午後、得意科目の体育の授業を終え、時は 放課後。

 

友人・ホウイチに呼び出されたマオは大人しく自習室で待ち続ける。

 

しかし、30分過ぎてもホウイチは姿を現さなかった。

 

 

「オイオイ!いくらなんでも遅すぎだろ!ったく……アイツ、どこへいったんだ?」

 

 

自習室を後にし、校内中を探し回るマオ。

 

教室や職員室など心当たりのある場所を探すも、そこにホウイチの姿はなかった。

 

 

「アレ?マオ、どうしたの?」

「あ、サヨ姉。実はさ」

 

 

偶然この場を通り掛かったサヨに事情を説明する。

 

 

「分かったわ。私もついて行ってあげる」

「ホントか!?助かるぜ!」

 

 

その後、聞き込みを続けること数分。

 

マオ達は一人の生徒から手がかりを得ることが出来た。

 

 

「ホウイチ?ああ、かなり前にバトル場へ行くのをみたよ」

「そっか!サンキューな!」

 

 

男子生徒に礼を告げて、マオたちはバトル場を目指す。

 

バトル場とは、文字通り、大人気カードゲーム『バトルスピリッツ』によるバトルを行う広場の事である。

 

 

「ホウイチのヤツ、サヨ姉まで心配させやがって……。タダじゃすまねぇからな!」

「まぁまぁ、落ち着いて」

 

 

ここまで自分を待たせた事とサヨに心配をかけさせた事。

 

文句の1つを言わなければ気が済まない。

 

そう考えながらバトル場へと辿り着く。

 

しかし、その先で目の当たりにしたのは………

 

 

「黒神龍ゼオ・デュラムでアタック!」

「ライフで受ける……!」

 

 

【ホウイチ】1→0

 

 

WINNER 紫電 シオン

 

バトルしていた生徒が、ホウイチのバトル用端末、Bパッドからデッキを引き抜き、奪い去る。

 

 

「約束だ。このデッキは貰っていくぜ」

「……くっ!」

「ホウイチ!」

 

 

親友のデッキが奪われるのを目撃し、居ても立っても居られなくなったマオ。

 

急いでホウイチの元へ駆け寄ろうとする。

 

 

「ケケケ、邪魔すんじゃねぇ」

「何すんだよ!」

 

 

しかし、それを遮るように学生服の上から紫色のパーカーを羽織った2人の男が、マオとサヨを取り囲む。

 

 

「おいオマエ、なんでホウイチからデッキを奪った、返しやがれ!!」

「ちょっとマオ、落ち着いて」

 

 

激怒するマオが、取り囲む2人の男ではなく、明らかに彼らよりも格上な雰囲気を醸し出している、ホウイチをバトルで倒してデッキを奪った少年に訊いた。

 

「なんだテメェ、コイツのダチか。悪いが、このデッキは既に俺のもんだ。返す事はできねぇ」

「なんでだよ、ホウイチが何したってんだ!!」

「ソイツがオレらに因縁付けて来たんだよ、『学校内で賭けバトルはやめてください』ってな。だからしばいてやった。もちろんバトルで、互いのデッキを賭けてな!」

「なんだって!?」

「だからこれは正当な報酬なんだよ。諦めな」

 

 

マオに背中を見せ、この場を後にしようとする紫電。

 

ホウイチのデッキを奪われたまま放って置くわけにはいかない。

 

そう思ったマオは反射的に声を上げて………

 

 

「じゃ、じゃあオレがオマエを倒して、ホウイチのデッキを取り返す!!」

「……なに」

 

 

後ろを振り返り、マオを睨みつける紫電。自分にバトルスピリッツと言う名の喧嘩を売って来た事を意外に思っている様子。

 

 

「テメェ、オレらチーム・ヴェノムに逆らう気かぁ?」

「紫電さんの強さをわかってねぇみたいだな」

 

 

取り巻き2人が声を荒げる。

 

そう。彼らはチーム・ヴェノム。

そして、今マオの目の前に立つのは彼らのリーダー、紫電 シオン。

スネークの異名で知られるこの学校一の札付きだ。

 

 

「やめて下さい……!彼らはボクとは何も関係ないんだ……」

 

 

弱々しい声で不良達を制止しようとするホウイチ。

 

 

「バカ野郎!ホウイチ、なにが関係ないだ。友達のデッキが盗られたのを見て、未来のカードバトラーの王になるこのオレが、黙っていられるかよぉ!」

「バカだな〜せっかくお友達が気を遣ってくれたのによぉ〜」

「何がカードバトラーの王だよ適当ぶっこきやがって。紫電さん、コイツもやっちまいましょうぜ」

 

 

紫電は懐からデッキを取り出し、マオの前に立ちはだかる。

 

 

「俺にバトルを売ったんだ。覚悟はできてんだろうな」

「あぁ、出来てる。オマエに勝って、必ずホウイチのデッキを取り返してやる!!」

「威勢だけは立派だな。だが、俺とのバトルはアンティールール。オマエが勝ったらお友達のデッキは返してやるが、俺が勝ったら、そうだな。お前のソレを寄越しな……!」

 

 

紫電が指さしたのは、マオが常に身に付けている、居なくなってしまった両親の、言わば形見ともいえる大切な時計。

 

 

「ああ……やってやるさ!」

「や、やめろマオ!!……オマエが勝てる相手じゃない……!!」

 

 

(ホウイチ、仇はとってやるからな)

 

 

そう思いながら、マオは懐からデッキを取り出す。

 

 

「フン、せいぜい楽しませてくれよ」

「行くぜ、Bスキャナー、セット。カードバトラー、ロックオン!」

 

 

《バトルフィールド・システム、スタンバイ》

 

 

直後、皆がBスキャナーと呼ばれる単眼式の装置を装着すると、音声と共に、対戦する2人のBパッドが展開。

 

 

ゲートオープン、界放!!

 

「クソ、始まってしまった……!!」

「……大丈夫よ。たしかに紫電くんは全国大会に通じる腕前を持ってる。けど、マオだったら何だかやってくれそうな気がするの。だから信じてあげて」

 

 

(あのカードが出ないことを祈ることしかできない……!)

 

 

ホウイチの不安をよそに、バトルが開始される。

 

先攻の権利を得たのは紫電だ。

 

 

ターン01 紫電

 

 

「俺のターン。俺はクリスタニードルを2体、Lv2で召喚!」

 

 

クリスタニードル Lv2

 

クリスタニードル Lv2

 

 

紫電の場に召喚されたのは、小型で紫色の蛇。それが2体だ。

 

 

「第1ターンに攻撃は許されていない。俺はこれでターンエンド」

手札:3

場:【クリスタニードル】Lv2

:【クリスタニードル】Lv2

 

 

次はマオのターンだ。親友のため、カードをドローして行く。

 

 

ターン02 マオ

 

 

「オレのターン、オレはゴラドンと犀ボーグを召喚!」

 

 

ゴラドン(RV)Lv1(1)

 

犀ボーグ(RV)Lv1(1s)

 

 

フィールドに現れる赤色の宝石と白色の宝石。それらが砕けると、赤色からは小型の怪獣。白色からは動物のサイの背中にキャノン砲、足が機械化されたスピリットが出現する。

 

 

「なにかと思えばザコスピリットか」

「オレの仲間をバカにするな!犀ボーグの召喚時効果でボイドからコア1個をコイツに置くぜ!」

 

 

犀ボーグ Lv1→2(2s)

 

 

「そんでもってマジック、ジュライドロー!その効果でデッキから2枚ドロー!」

「手札増強のマジックカードか」

「アタックステップ。行ってくれ、ゴラドン!犀ボーグ!」

「両方共、ライフだ!」

 

 

【紫電】 ライフ 5→3

 

 

先手を打ったのはマオ。ゴラドンの拳、犀ボーグによる突進が、それぞれ1つずつ、紫電の前方に展開されるライフバリアを粉砕した。

 

 

「よっしゃあ!ライフを2つ破壊したぜ!これでターンエンド!」

手札:5

場:【ゴラドン(RV)】Lv1

:【犀ボーグ(RV)】Lv2

 

 

あの紫電を相手に先制点を取ったマオ。その勢いのまま、ターンエンドの宣言。

 

 

ターン03 紫電

 

 

「フン、おめでたいやつだな!」

「なんだと!?」

「さっきのアタックはワザと受けてやったんだよ!不用意にコアを与えるとどうなるか、教えてやる。オレはクリスタニードルを召喚!」

 

 

3体目のクリスタニードルが、紫電のフィールドに並んだ。

 

 

「そして、黒龍神ゼオ・デュラムをLv1で召喚!」

 

 

黒龍神ゼオ・デュラム Lv1(1s)

 

 

「維持コアはクリスタニードル1体から確保だ」

 

 

クリスタニードルLv2→1 (2→1)Lvダウン

 

 

「召喚時効果を発揮!俺のフィールドにいる妖蛇スピリットの数だけドローする!自身も含めて4枚ドローだ!」

 

 

ゼオ・デュラムが雄叫びを上げるやいなや、3体のクリスタニードルが共鳴。デッキから4枚のカードが紫電に加わり、瞬く間に手札を増加させる。

 

 

「手札が一気に増えた!?」

「これで終わりじゃないぜ。ゼオ・デュラムのもう一つの効果!俺がドローした時、その枚数分相手のスピリットのコアを取り除く!」

「なんだって!?」

「消えな、ザコども!」

 

 

ゼオ・デュラムが放たれる紫色の吐息がゴラドンと犀ボーグのコアを取り除き、消滅させた。

 

 

「ゴラドン!犀ボーグ!」

「出た!紫電さんのゼオ・デュラムコンボだ!」

「紫属性相手にコアを残さねぇとはな。お粗末なモンだぜ」

「クッ……!!」

「さらにクリスタニードル2体のコアをゼオ・デュラムに移し、Lvアップ!」

 

 

2体のクリスタニードルのコアが取り除かれ、ゼオ・デュラムへと移る。

 

その内、1体のクリスタニードルはコアがなくなったため消滅した。

 

そして移されたコアの力がゼオ・デュラムに注がれ、レベルアップを成し遂げる。

 

 

「アタックステップ!2体のクリスタニードルでアタック!」

 

 

ゼオ・デュラムの効果により、マオのスピリットは0。クリスタニードル2体のアタックはライフで受ける他ない。

 

 

「ライフで受ける!」

 

 

【マオ】ライフ5→3

 

 

2体のクリスタニードルによる体当たりが、マオのライフバリアに突き刺さり、それを破壊する。

 

 

「……へへ、不用意なアタックはコアを与えるんじゃなかったのか?」

「減らず口だな。このままだとなぶりがいが無いからくれてやったのさ。ターンエンドだ」

【紫電】

手札:6

場 :【クリスタニードル】Lv1

:【クリスタニードル】Lv1

:【黒龍神ゼオ・デュラム】Lv2

 

 

ターン04 マオ

 

 

「だったらコイツだ!焔竜魔皇マ・グー!」

 

 

大地に亀裂が入り、そこから現れたのは漆黒の体に赤の文様が刻まれた四本腕の魔竜。

 

魔皇が剣と大鎌を携え、フィールドに顕現する。

 

 

焔竜魔皇マ・グー Lv2(3S)

 

 

「ヘッ、少しはマシなスピリットを出すじゃねぇか」

「マ・グーはLv2から古竜に赤のシンボルを1つ追加する!さらにマジック、ジュライドロー!効果でデッキから2枚ドロー」

 

 

焔竜魔皇マ・グー Lv2→1(3S→1S)

 

 

「アッハハハ!コイツ、バカだぜ!」

「ゼオ・デュラムの効果忘れてんのかぁ〜?」

 

 

紫電の目が少し動き、鋭い眼光を耳障りな取り巻きの2人へと向ける。

 

 

「うるせぇ、黙って見てろ……!!」

「は、はい……」

「サヨさん、コレって……」

「そう、この状況なら間違いなくマ・グーが正しいわ」

 

 

一方、ホウイチとサヨは静かに見守りながらも、この召喚が間違いでは無いことを確信する。

 

 

「アタックステップ開始時、マ・グーの効果でトラッシュのコアを全てコイツに置く!」

 

 

焔竜魔皇マ・グー Lv1→Lv3(1S→10S)

 

 

「マ・グーでアタックだ!」

「そいつは通さねぇ。ゼオ・デュラムでブロック!」

 

 

2匹の竜が対峙し、雄叫びを上げながら牽制し合う。

 

 

「マ・グーのBPは13000!ゼオ・デュラムはBP10000。こっちの勝ちだァ!」

 

 

唸る四本の腕。勢いよく大鎌を振るい、一刀両断。ゼオ・デュラムは爆散……したかにみえた。

 

爆発後の黒煙から姿を現したのは先程、撃破したはずのゼオ・デュラムであった。

 

 

「そ、そんな……!なんで……!」

「残念だったな。ゼオ・デュラムは破壊された時、手札を3枚犠牲にすることで生き残るんだよ」

「……た、ターンエンド」

【マオ】

手札:6

場:【焔竜魔皇マ・グー】Lv3(10S)

 

ターン05 紫電

 

 

「ドローステップ時、手札にある冥猫蛇アイニを破棄することでドロー枚数を1枚追加する。この瞬間、ゼオ・デュラムの効果が発揮、マ・グーのコア2個を取り除く!」

 

 

紫電がドローした事で再びゼオ・デュラムの効果が発揮。マ・グーからコアが2つ取り除かれた。

 

しかし、マ・グーにはまだコアが8個残っており、

そうそう消滅することはないだろう。

 

 

「なるほど、それだけコアが乗ってれば、ゼオ・デュラムの効果じゃ消滅できねぇ。バカの割には考えたな」

「どうだ、オレのフライングは!」

「……マオ、それを言うならプレイングだ」

 

 

マオの言い間違えに、ホウイチが思わず指摘する。

 

 

「だが、それで勝てる事はねぇ!!…俺はコイツに選ばれた!こい!仮面ライダーサガ!」

 

 

仮面ライダーサガ Lv1(1)

 

 

奇怪な音を鳴らしながら現れる人型のスピリット。

 

 

「仮面ライダー……!?こんなスピリット見たことねぇぞ……!?」

「気をつけろマオ、僕はソイツにやられたんだ!」

「なんだって!?」

 

 

マオの驚愕も束の間。サガから紫のオーラが溢れ出し、紫電へと注がれる。

 

 

「ハハハハハ!最高の気分だぜ……!!サガの召喚時効果でお前のマ・グーを破壊する!」

 

 

サガの手に持つ剣が紐の様に変化し、マ・グーに巻き付く。そして、そのままマ・グーを持ち上げたサガは強烈な一撃を叩き込む。

 

その一撃に竜人の魔皇は跡形もなく破壊される。

 

 

「オ、オレのキースピリットが……」

「さらに破壊したことで、トラッシュの妖蛇を手札に戻せる!俺はさっき破棄した冥猫蛇アイニを手札に戻す!」

 

 

トラッシュの冥猫蛇アイニが紫電の手札へと返って行く。

 

 

「でた!紫電さんの回収コンボ!」

「元々強かった紫電さんがあのカードを手に入れてからはまさに鬼に金棒!負け知らずだぜ!」

「アタックステップ!サガ、奴にアタックだ!」

 

 

主の指示を受け、サガはバトルフィールドを駆け抜けてマオへと迫り来る。

 

 

「フラッシュタイミング!マジック、白晶防壁!」

「……!!」

「効果でゼオ・デュラムを手札に戻す!」

 

 

マオが咄嗟に放った1枚のマジックカード。巻き起こる強風がゼオ・デュラムをフィールドから消し去った。

 

 

「さらにソウルコアをコストにしたことで、オレのライフは1しか減らねぇ!」

「さっきのジュライドローで引いてやがったか。だが、このアタックはライフで受けてもらうぜ!」

 

 

【マオ】ライフ 3→2

 

 

サガから放たれた赤の一閃がマオのライフを斬り裂く。

 

 

「うわぁあああああああ!」

 

 

ライフバリアが発生しているのにも関わらず、身体が引き裂かれるほどの痛みがマオを襲う。

 

 

「マオ!!」

 

 

吹き飛ばされた衝撃で倒れこむマオ。

 

その様子をみたサヨはこのバトルがただ事ではないと理解する。

 

 

「バトルシステムの演出にしてはいくらなんでも衝撃が強すぎるわ……!!紫電君、そのカードなんなの……!?」

「ククク……。コイツはなぁ、選ばれし者だけが使えるカード!今の俺は無敵なんだよ!」

 

 

答えになっていない回答をする紫電。

 

その姿は、まるで悍ましい何かに取り憑かれているように見えた。

 

 

……………

 

 

紫電のカードに大きなダメージを負わされ、その場に倒れ込んでしまったマオ。

 

何故か彼は暗く、閉ざされた空間へと誘われていて………

 

 

「クソっ、身体中が痛くて起き上がれねぇ……ホウイチもこれにやられたのか……」

 

 

突如、壁に架けられていた松明に火が灯り、辺りを照らした。

 

そして姿を見せるのは、豪華絢爛な玉座と、それを取り囲む、19体の人型の石像。

 

 

「ここは、夢で見た場所と同じ……!?」

『その玉座に腰を掛けよ。さすれば絶対的な力を約束しよう』

「絶対的な、力……?」

『だが、最後に待ち受けるのは”孤独”だ。それを受け入れる覚悟が汝にはあるか?』

 

 

夢では答えられなかったが、今ならハッキリと答えられる。

 

 

「正直、何を言ってるのか全然分からねぇ。けど、今はその力が欲しい……!!」

 

 

ホウイチのため、そして自らの欲望のため、マオは気力の限りを尽くして立ち上がり、ためらうことなく玉座へと手を伸ばす………

 

 

「大切なモノを取り戻す力だァァァァァァ!!」

 

 

マオが叫んだ瞬間。右腕の時計が眩く光り輝く。

 

巻きついていた鎖が次々と解放され、秘められていた何かが解き放たれようとしていた。

 

 

「ククク……フハハハハ!」

「な、なんだ!?」

 

 

朽ちる鎖と高笑い。現れたソレは黒い煙となってマオの零時から動くことのなかった時計の針が今、動き出す。

 

 

 

…………

 

「な、なんだ!?」

 

 

マオは時計から放たれた煙に包まれ、気がつけば元の場所へと戻っていた。

 

 

(今のは……夢?とにかくバトルを続けねぇと……!)

 

 

彼は痛みが残る身体を起こし、バトルを再開する。

 

 

「マオ……!!」

 

 

サヨとホウイチは立ち上がったマオを心配そうに見つめていた。

 

 

「フン、精々1ターン生き延びただけだ。次のターンでトドメをさしてやるぜ。ターンエンド!」

【紫電】

手札:4

場:【クリスタニードル】Lv1

:【クリスタニードル】Lv1

:【仮面ライダーサガ】Lv1 疲労

 

 

ターン06 マオ

 

 

彼の付けている時計から現れる黒いモヤ。

 

それが彼のBパッドへと吸い込まれてゆく。

 

マオは気づいていないが、その黒い何かは彼のデッキに大きな影響を与えていて………

 

 

(フフフ……我が分身のカード、存分に使うといい)

 

 

このバトルを見ている何者かがそう呟く。マオはそれに気付かぬまま、己のターンを進めて行く。

 

 

「オレのターン、ドロー!!」

 

 

(何だこのカード……!?)

 

 

このターン、ドローステップでマオがドローしたのは、自分のデッキに入れた覚えのない、見慣れぬカード。

 

 

(まさかさっきの、夢じゃないのか!?……よくわかんねぇ、でも今はオレのデッキを信じる)

 

 

マオは当然困惑するも、このカードこそ、紫電に勝つためのキーカードであることに賭けて……

 

 

「まずはゴラドンを2体召喚だ!」

 

 

ゴラドン Lv1(1)

 

ゴラドン Lv1(1)

 

 

手始めにマオが呼び出したのは、このバトルで2、3体目となるゴラドン。

 

 

「今さらザコスピリットを並べてもムダだ!」

「ザコなんかじゃねぇ!コイツらはオレを勝利に導いてくれる。未来のカードバトラーの王が、自分のデッキのスピリット達を信じなくてどうすんだ!!」

 

 

ゴラドン達を「ザコ」だと一蹴する紫電に対し、マオが声を張り上げ、言い返すと、彼は新たに手札のカードを切る。

 

それは、今後マオと共に多くの苦難を乗り越えて行く1枚。

 

 

「全てを統べる時の王者!仮面ライダージオウ、Lv2で召喚!!」

 

 

仮面ライダージオウ Lv2(2S)

 

 

「サガと同じ仮面ライダーだと!?」

「アイツのデッキにあんなの入っていたか……!?」

 

 

紫電のみならずホウイチすら驚愕する。

 

召喚された未知のスピリット。時計のような頭部とライダーの文字が書かれた奇抜な顔面。

 

これこそ、マオが得た絶対的な力。その始まりの姿である。

 

 

「アタックステップ!仮面ライダージオウでアタック!アタック時効果で1ドロー!さらにジオウはLv2・3の時、フラッシュタイミングを先に行う事ができる!」

「何だと!?」

「マジック、ヴィクトリーファイア!効果で2体のクリスタニードルを破壊だ!」

 

 

マオの手札から勢いよく放たれるV字の炎。

その炎が2体のクリスタニードルを巻き込み、破壊した。

 

 

「これでブロッカーはいなくなったぜ!」

「クソが……!!」

「さらにフラッシュタイミング、【チェンジ】!」

「チェンジ……!?」

 

 

間髪入れずにマオが放ったのは、【チェンジ】と呼ばれる、誰もが聞き慣れない効果。

 

 

「手札にあるクウガアーマーの【チェンジ】効果!このバトルの間、ジオウのシンボルを赤のダブルシンボルにする!」

「なんだと!?」

「そして【チェンジ】の効果で、アタック中のジオウと回復状態で入れ替わる。この時、ジオウの効果でトラッシュのコアを全て自身の上に置く!!」

 

 

ジクウドライバーにライドウォッチと呼ばれる時計をセット。ドライバーを回転させると、その姿を赤く変化させる。

 

 

「姿が変わりやがった……!?」

「トラッシュからのコア回収だと!?」

「す、凄い。どれもこれも規格外の効果よ……!」

 

 

ジオウの驚異的な力に、紫電とホウイチ、サヨはそれぞれ驚きの声を上げる。

 

 

「……フラッシュタイミング!トラッシュにあるミストヴルムの効果!手札を2枚破棄することでコイツを召喚し、ブロックだ!」

 

 

ミストヴルム Lv1(1)

 

 

紫電は手札を2枚破棄。咄嗟に即席のブロッカーを用意し、ダブルシンボルのアタックを防ごうする。

 

主への攻撃を防ぐために召喚されたミストヴルムはその身を盾にし、ジオウのキックを受け止めるも強烈な一撃が炸裂。ミストヴルムは爆散する。

 

 

「さすが紫電君ね、いざという時にブロッカーを用意しておくなんて。……けれど、マオはもう止められないわ!!」

 

 

マオのフィールドには3体の回復状態のスピリット。対する紫電にはスピリットは存在せず、手札もない。

 

 

「ゴラドン2体でアタック!」

「ライフだ……!」

 

 

ゴラドン2体のアタック。それぞれ拳で紫電のライフを砕いて行く。

 

 

「こんな素人に、俺が負けるだと……!?」

 

 

【紫電】ライフ3→2→1

 

 

「決めてくれ!ジオウ!」

「ラ、ライフだ……!」

 

 

フィニッシュタイム!

 

タイムブレーク!

 

 

ジオウはベルトのバックルを回転させ、エネルギーをチャージ。その力を足へと集約し、放たれたキックが、紫電の最後のライフを砕いた。

 

 

【紫電】ライフ1→0

 

 

「ぐぁああああああああ!」

 

 

WINNER 皇道 マオ

 

 

「や、やった……!!紫電に勝ったァ!」

「ウソだろ……紫電さんが負けた!?」

「に、逃げろ〜!!」

 

 

紫電の敗北を知った取り巻きの2人。彼らは慌てながら、しっぽを巻いてその場から一目散に逃げ去って行った。

 

 

「フン、リーダーが負けた途端逃げ出すなど、薄情なヤツらだ。大方、彼の腰巾着でオイシイ思いをしていたのだろう……マオ?」

 

 

マオは倒れ込んだ紫電の方へと駆け寄ってゆく。

 

 

「スネーク!お前とのバトル、すげぇ楽しかったぜ!今度は賭けなんかせずにバトルしような!」

「……フン。マオ、その名前とツラ、覚えて置くぜ」

 

 

差し伸べたマオの手を払い除け、紫電は立ち上がる。

 

 

「……コイツは返して置く」

 

 

紫電はホウイチから奪い取ったデッキをマオへと強引に渡す。そして、すぐさまマオの前から立ち去っていった。

 

 

「すごいじゃない、マオ!」

「礼を言おう。それにしてもあのスネークに勝つとはな……」

「いやぁ〜!それほどでもないぜ〜!!」

「フン、シロウトのワリにやるではないか」

「な、なんだよホウイチ。シロウトのワリにって」

「……?僕は何も言っていないぞ」

「じゃあ、サヨ姉?」

「私も何も言ってないわよ?」

 

 

マオは2人に否定され、訝しむ。

 

 

「ええっ?じゃあ誰が……」

「こちらを見ろ、我が下僕」

 

 

マオは声のする方へと視線を向ける。

 

そこには王冠を被り、ふわふわ浮くコアラみたいな何かがいた。

 

 

「我が名はクラウン。全てのライダースピリットを支配する王であるぞ」

「な、何だコイツ〜〜〜!?」

 

 

突如目の前に現れた奇妙な生き物に、驚愕の声を張り上げるマオ。

 

この日より、彼がカードバトラーの王となる物語が幕を開ける。

 

 




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