二回目イズクとかっちゃん(♀)   作:規律式足

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 今回は完全なるギャグ回です。
 完全なるギャグ回で閑話です。
 完全なるギャグ回なので深くツッコまないでくださいお願いします。
 今回の話でヒロアカ登場人物を貶める意図は一切ございません。
 他作品とのクロスオーバーありです。
 ですが一応、閲覧注意です。



第11話

 

 ヒーローは見返りを求めてはならない。

 そんな信条を掲げている鮮血ヒーロー・スタンダールではあるが、法治国家でヒーロー事務所を立ち上げている以上は労働基準法に従って休日を設けなければならない。

 自営業であること、「ヒーロー」という警察・救助隊・特殊部隊を兼ねた特殊な職業であること、現ナンバー1にして「平和の象徴」であるオールマイトが一切守らないこと、から「ヒーロー」における労働基準は大分緩いのだが、それでも最低限は守らねばならない。免許こそ所持しているが未成年のサイドキックを雇っている以上は余計に。

 尤も殆どのヒーローはその数少ない休日を、自己鍛錬、書類手続き、病院へ通院へと当てているので、実質的に休みとは言い難いが休みは休みである。

 その希少な、特になんの予定もない休日。鮮血ヒーロー・スタンダールとその弟子トガヒミコは、自宅兼事務所にて当人達の性格的に極めて珍しいことに、のんびりと過ごしていた。

 事務所にて武器の手入れをしているので、電話番と整備では?とツッコんではいけない。ヒーローにとって自身のコスチュームや装備の手入れは趣味の範疇に分類されるのだ。

 そんな中、ソファに寝転がりながら愛用品であるサポートアイテム、刺した相手から血を抜き取る特殊なナイフを磨いていたトガヒミコは師匠であるスタンダールにある問いを投げかけた。

 

「師匠ぉは、なんで男女交際とか結婚したりしないんですか?」

 

「ヒーロー活動(仕事)と家庭を両立できるほど器用な性格ではないからだが」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 トガヒミコによる、カアイイ知り合いからの頼まれごとである質問はたったの一言で終了した。

 

「あの、師匠。言われたら、だよなあ、で納得できてしまう理由ですけど。

 会話にならないですよぉ」

 

 親しい女ヒーローであるマンダレイから頼まれた。スタンダールは結婚についてどう考えているか訊くこと。この理由では、納得できても受け入れられないだろう。

 

「? 突然どうした弟子。まあ暇だから軽口に応じるのは構わんが」

 

 和紙で愛刀を磨くスタンダール。

 個性の関係上、刀身に付着した血液を舐めるので清潔にしておかねばならない。

 

「えっと、師匠の弟子兼サイドキックとして色んなヒーローと知り合ったんですけど、ヒーローの未婚率が高いなあ、って思いまして」

 

 業界の闇を感じた、とトガヒミコは告げる。

 なにせ、スタンダールの元上司であるオールマイトを筆頭に、サー・ナイトアイとそのサイドキック、ベストジーニスト、エッジショット、ミルコ、リューキュウ、インゲニウム、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ、と幅広い年齢幅ある実力派ヒーロー達が悉く未婚どころか恋人すら居ないのだ。

 そんな連中と付き合っていれば、頼まれ事とは別にそんな問いかけをしたくもなるだろう。

 

「良いことだ。それだけ多くの者達が自身の人生を人々の為に費やしていて、社会に貢献しているのだなからな」

 

「少子高齢化は悪化させていますよ」

 

 同志達の在り方に満足気に笑うスタンダール。その姿をジト目で見る弟子。

 そして国としては優秀な個性持ちはその個性を遺伝させ、真っ当な倫理観のもと育てて欲しいと思っていたりする。その点でエンデヴァーは政府から極めて高い評価を得ているが、それは轟家の内情を知るものが家族とオールフォーワンと緑谷出久ぐらいしかいないからである。

 

「しかしそうだな。なぜ結婚しないか。

 あえて理由をあげるならば」

 

 理由としては最初に言ったものが九割なのだが、年頃の乙女である弟子の軽口に付き合うのも師の務めかと、スタンダールは話弾むような面白い理由を自身の中から探す。

 

(うむ、あったな)

 

 しばらく思案した結果、一つの理由を見つけ出した。結婚しない理由としては誰もが納得できる。そんな理由を。

 

「弟子よ。

 我が憧れにして、指標にして、光にして、元上司であるオールマイト。

 彼はその生涯において、

 女性経験が一度もない」

 

 瞬間、スタンダール事務所に稲妻が奔った。そんなエフェクト演出が発生しそうなくらい衝撃の事実である。

 

「知ったら物凄く驚きますけど、果てしなくどうでもいい情報ですよぉ」

 

 知らんがな。とすら表情にでてる始末。

 トガヒミコにとってオールマイトは、たとえ血塗れだろうとカアイくないので、かなりどうでもいい存在だったりする。彼の画風が心の琴線に触れないらしい。

 

「古来より、偉大な功績、発見、発明を為した偉人著名人学者発明家には、女を遠ざけ生涯独身を貫いた者達が数多くいる」

 

「遺産とかで揉めてそうですね」

 

「女に現を抜かさぬ姿勢が、その結果を生み出したのだろう」

 

 弟子のツッコミを聞き流しスタンダールは続ける。なお調べたら誰もが知る意外なあの人も生涯独身だったりする。

 

「さらにはヒーローが基本的に戦闘職であることも理由の一つだ」

 

「どおいうことです?」

 

「格闘家や武芸者も試合前に相当な期間色恋を禁じたりしていたりする」

 

 それは色恋に使うエネルギー・精気的なアレを闘争に使うエネルギーとして温存して爆発的な野生の力へと変換するためとされる。

 

「歴史上の武芸者の中でも宮本武蔵とかもそうだったらしいな。女断ちは古来より闘争エネルギーを昂らせる修練の一つだったのだ」

 

「(ドン引き中)」

 

「鎌倉時代、ある一人の武士がこのような格言を残している。

『鎌倉武士は三十歳まで童貞を貫くと、修羅になるのだ』とな」

 

「子をなさないのは武士として失格では?」

 

 トガヒミコはそうツッコんだ。無士官の浪人武芸者ならばともかく一族ある武士では駄目だろうと。

 

「そして弟子よ、その理屈は現代も、ヒーローにも当てはまる。即ち、

 ヒーローは四十歳まで童貞を貫くと、トップヒーローになるのだ!!」

 

 再度ツッコミを聞き流したスタンダールは紙吹雪を蒔き散らしながらそう高らかに告げる。

 皮肉なことにオールマイトが証明してしまった。この世の真理の一つを。

 

「エンデヴァーが聞いたら発狂しかねない発言やめてもらえます?」

 

 ヒーロー業界屈指の子沢山である万年ナンバー2ヒーローが知ったら崩れ墜ちかねない真理である。

 

「ま、そんなわけで俺やサー・ナイトアイは結婚しないわけだ。オールマイトの子に指導したいとかは今も思うが、幸いなことに緑谷出久がいるから満たされはするしな」

 

「もしもしマンダレイですか?トガです。師匠との件ですが、一服盛ってもいいからヤッちゃってください。もうナマケモノもハッスルしちゃうヤバい薬とか使って。この師匠結婚する気ないから、もう既成事実しかないです。イズク君に悪影響出す前にお願いします。コウタ君が会いたがっている?ではマンダレイが師匠襲ってる時にお泊りしますね。襲わない?ヘタレたら一生このままですよぉ」

 

「どうした弟子?」

 

「いいえなんでも」

 

 トガヒミコは師匠にそう返し、電話の向こうで落ち着いてなどと戯言抜かす恋する乙女(三十路)との会話を打ち切った。

 

「師匠」

 

「なんだ?」

 

「トップヒーローにならなくていいんで、女性の想いには応えてくださいね」

 

「貴様ナニを企んでいる」

 

 

 こうしてスタンダール事務所での師弟の時間は過ぎていく。激動たる日々が始まる前の穏やかな一時。

 こんな日常的な会話ができなくなるほど忙しくなることを、師弟はまだ知る良しもないのであった。





 スタンダール事務所での一幕でした。
 オールマイトが女性経験がないという公式設定と、逃げ上手の若君の海野幸康の名言から思いついた閑話です。

 生涯独身の歴史上人物。
 調べたらかなりいました。ニュートン、ライト兄弟、宮沢賢治、上杉謙信、宮本武蔵など。
 女断ちした武芸者に関したネタとしては魔界転生という漫画の影響もあったりします。エログロいから検索注意な作品です。

 マンダレイとの関係性。
 この作品ではスタンダールとトガちゃんがウォーターホース夫妻をマスキュラーから守って撃退したので付き合いがあります。
 また顔を剥いてないこと、ストイックな性格からスタンダールは同世代女ヒーローから狙われてたりします。
 なおコウタ君の初恋はトガちゃんなので、緑谷出久君と揉めます。

 エンデヴァーの万年2位の理由。
 結局ナンバー1になるから適応されないので大丈夫です。今の段階で知ったらヤバいですが。


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