二回目イズクとかっちゃん(♀)   作:規律式足

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 休日でしたので書けました。



第4話

 

 鳴り響く爆音と巻き上がる粉塵を頼りに駆けていった先にあったものは、破壊された商店街と、ヘドロヴィランにまとわりつかれて必死に抵抗して暴れる幼馴染と、有効的な手段がなく棒立ちになるヒーロー達と、観客気分で野次を飛ばす一般大衆の姿だった。

 それは一回目の緑谷出久が見たものと同じ光景。防いだ筈の、阻止した筈の出来事。

 どうして、という疑問から周囲を見れば片手に気絶したいかにもな人相のヴィランをぶら下げて無念そうに傷跡をおさえるトゥルーフォームのオールマイトがいた。

 その姿と彼の性格から何があったかを理解した。具体的に言うと雄英高校でのUSJの時と同じく、ギリギリなんとかなりそうだから無理をしたのだろう。

 

(オールマイトらしいや)

 

 僕はかっちゃん(♀)へと走りながらそう思い、フッと笑った。

 プロヒーローがいる中で、素人が余計なことをしてはならないと説教され学んだ上で、二回目の人生でどうせ助かると知っているにも関わらず、それでもなんで飛び出したのか。

 一回目とは違い客観的に自分を見れるようになった、それなのになんでこんなことをしているのか。

 そんなのは、

 そんなのは決まっている。

 

「馬鹿ヤロー!!止まれ!!止まれ!!」

 

 無力さに歯を食いしばっていたデステゴロの制止の声に振り返ることはない。

 

「イズク!?」

 

 かっちゃんの助けを求める瞳が見えたからだ。だから足が勝手に動いたんだ。

 こんな時に身体が勝手に動いてしまう、僕の性分。それに対して一回目の雄英高校で担任だった相澤先生はこう言ってくれた。

 

『性分を変えられないなら、勝手に動く身体で助けられるくらい、無意識で人を助けられるくらいにその動作を習熟させろ』

 

 あまりにも脳筋過ぎるその教え。

 でも僕は嬉しかったんだ。

 最初は呆れられた僕の性分を認めてもらえた気がしたから。 

 だから今、あの時の教えを活かす時。

 

「大丈夫!!僕が来た!!」

 

 だから言うんだ、あの人のように、憧れのヒーローであるオールマイトのように。

 僕にそんな資格は無いと理解していても、それでも助けにきたヒーローの笑顔に安心することは誰よりも身に沁みて解っているから。

 

「テメェあん時のガキかぁっ!?報復の為に探す手間が省けたぜえっ!!」

 

「嫁入り前の娘に纏わりつくなよド変態!!」

 

「そんな意図はないんですけどっ?!狙った獲物を庇ったコイツを隠れミノにしようとしてるだけだって?!」

 

 なるほどだから男嫌い(緑谷出久、父除く)のかっちゃんがこんな風に纏わりつかれているのか。やっぱり根がヒーローだよね僕の幼馴染は。

 あとね、ヘドロヴィランよ。

 これが勝さん(爆豪父)にバレたら娘を溺愛してるあの人のことだから液体窒素をぶっかけて粉砕するくらいはしかねないからね。

 

「まあいい、特級隠れミノの個性で爆死しろ!!」

 

「逃げ、イズ」

 

 ヘドロ状の肉体に纏わりつかれたかっちゃんの掌が僕へと向けられる。それを僕は風呂敷を巻き付けた右手で握りしめる。

 当然、熱も衝撃も完全には防げない。

 掌からの痛みが電撃のように全身を駆け巡る。

 

「やめて、イズクの手が焼けちゃ」

 

「そんなことで、焼かれる程度のことで怯んでいるようで、助けを求める誰かに手を差し伸べられるかっ!!」

 

 こんな時も僕の身を案じる彼女をヘドロヴィランから引っ張りだす。鍛え抜いた身体は流体からでも彼女を引き抜くことが出来た。

 そして隠れミノを失い宙に浮いたヘドロヴィラン。コイツが次にする行動は予想できる。

 

「なら次の隠れミノはテメェだああああ!!」

 

 風呂敷をかっちゃんにかけてから纏わりつくヘドロヴィランを受け止めつつ前方へと跳ぶ。下手したら巻き込んじゃうからね。

 

「ねえ、お前さ」

 

「なんだクソガキ。そのパワー個性は俺がしっかり使ってやるぜ!!」

 

「いや僕は無個性なんだけど。それは置いといて」

 

 懐から先程も使用したブツをとりだし、その電圧を限界まで上げる。

 

「漫画とかアニメでさ、身体が乗っ取られた時にどうしてるか知らない?」

 

 とある街のフリーマーケットで見つけたスタンガン。売ってたのが発目さんだったような気がするけど、その性能はとんでもない。

 

「は?いやお前まさか」

 

 僕がなにをするのか悟ったヘドロヴィランが慌てて離れようとするがもう遅い。

 

「自分自身に攻撃するのさ!!」

 

 そう、うし○ととらの蒼○潮がはぐれ外道に乗っ取られた時に獣○槍を突き刺したように。NA○UTOの犬塚○バが右近と融合された時に苦無を刺したように。

 ニヤリと笑いながら、最大電圧のスタンガンを自らに叩きこんだ。

 

「「アババババ!!」」

 

 ヘドロヴィランと共に絶叫を上げる僕。

 ひとしきり叫んで、僕のモジャっとした天然パーマがチリチリアフロになり、口からボフリと黒い煙を吐き出す。

 

「イズクッ!!」

 

「少年ッ!!」

 

 そんな僕に泣いているかっちゃんと、無理してマッスルフォームになったオールマイトが駆け寄ってきていた。

 意識を失ったのかベチョリと地面に落ちるヘドロヴィラン。

 その滴るベトベトを拭いながら、二人に親指を立てながらできる限りの笑顔を向ける。

 僕は大丈夫だよと示すように。

 

(ねえ上鳴君、君との訓練が役に立ったよ)

 

 いや別にハンター○ンターのゾルデ○ック家みたいに拷問対策の耐電撃訓練とかじゃなく、彼との戦闘訓練の結果だけどね。

 記憶だけでも、経験してるから耐えられた。

 抱きつく二人を受け止めながら、一回目の友人との記憶を誇らしく思った。

 

 

 

 この後、ヘドロヴィランはヒーロー達に回収され無事に警察に引き取られた。

 僕はヒーロー達にものすごく怒られ、

 

「すまない、俺達が不甲斐ないばかりに!!」

 

 ることなく謝罪された。

 僕の言葉に思うところがあったみたいだ。

 一回目と違うのは、あの時はオールマイトが解決したからかな?

 そしてかっちゃんは称賛された、襲われた友人を庇ったこと、乗っ取られまいと抵抗したタフネス、強力な個性が評価されたからだ。

 今日日ヴィランに襲われるなんて日常茶飯事。重傷でもないことから(あの電圧でなんでピンピンしてんだコイツとドン引きの目で見られたけど)、軽く警察に説明してその場で解放された。訴えなどの件は後日改めて書類が届くらしい。

 

 そうしてついた帰路。

 クラスメイトの女子二人はヒーローがおくってくれるらしく、僕はかっちゃんと並んで歩いていた。

 

「イズク。私は助けなんて、求めて、なかった」

 

 その途中で彼女はナニかを噛みしめるように、吐き出すように言葉を紡ぐ。

 一回目とは違うことだらけだけど、本来の彼女はプライド高く才能も実力もあり、誰かに助けられることを良しとしない。

 

「イズクが、傷つく必要なんてなかったんだから!!」

 

「うん、そうだね」

 

 その言葉が僕の身を案じていると理解できてしまう。

 

「次は私がイズクを助ける!!私が、俺が成りたいのは、ヒロインじゃなく、オールマイトを超えるヒーローだからっ!!」

 

 拳を突き出しながら彼女の宣言。

 そこに一回目の爆豪勝己を見つけて、懐かしさに似た喜びを僕は感じたんだ。

 

「かっちゃんなら成れるよ」

 

 そう、今度こそ。

 君がナンバー1ヒーローになれる未来へ辿り着くんだ。

 顔を真っ赤にしてから背を向けて走り去る彼女に、僕はそう誓った。

 

「私が来た!!」

 

 ところでオールマイト登場。

 あれ?今回はどうしてだろ。

 さっきまで前回と同じように取材陣に囲まれてたよね。

 

「抜けるくらいワケないさ!!何故なら私はオールマゲボォ゙ッ!!」

 

 いや無理はしなくていいので。

 

「え、っとどうしましたか?」

 

 忘れ物かな?

 

「少年。

 君に礼と提案をしにきたんだ」

 

 これは前回と同じで違う。

 

「無個性である君はやり遂げた。あの瞬間、誰よりもヒーローになってみせた!!」

 

 違う言葉でもあるけど、オールマイトから伝わる想いは同じくらいの熱がこもっていた。

 

「だから私の力を受け継いで欲しいんだ。私の心を動かした君にね!!」

 

 ありえないと思っていた出来事。

 それが再び目の前にあった。

 嬉しい、とても嬉しい。

 けれど僕は、

 

「ごめんなさい」

 

 その提案を断ったんだ。

 

「なんでゲボォ゙!!」

 

 





 緑谷出久。
 オールマイトのはじまりが、アン○ンマンと知って一回目より漫画を読んでいる。
 取り憑かれた時は自傷が定番、なお本当はラッ○ーマンの勝利マンのように自爆を考えたがかっちゃんの手前止めた(ダイナマイト無いし)。

 爆豪勝己(♀)。
 襲われたクラスメイトを庇ってスラ○ムプレイされかけた乙女。ヒロインよりヒーローになりたいが、イズクの前ではヒロインになってしまうので困っている。
 なお帰宅後に両親に説明したところ、母はイズクにでかしたと褒め、父はブチギレて警察署に突貫しようとして母にのされた。

 オールマイト。
 今回やらかした人。
 見つけた後継者候補に断られて血を吐いた。

 
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