二回目イズクとかっちゃん(♀)   作:規律式足

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 体調崩した時にどの薬飲むか悩みますよね。
 風邪なのか鼻炎なのか素人には判断できません。かといって病院に行くほどじゃないから困ります。



第8話

 

「担任の相澤消太だ、よろしくね」

 

 雄英高校に初登校してから起きた騒動は廊下で入るタイミングを窺っていたがいつまでも終わらず痺れを切らした相澤先生の手によっておさめられた。

 そして騒いでいた僕達を注意した後、自己紹介する相澤先生。寝袋に入ったまま現れた先生の姿に僕以外の皆が呆気に取られていた。

 そんな中で僕は、五体満足な相澤先生に注意される事が嬉しくて嬉しくて仕方なかった。泣き出しそうになるくらい嬉しかった。だってウソの災害や事故ルーム襲撃事件から先生は常にボロボロに傷だらけになるまで戦っていたのだから。

 

「早速だが体操服着てグラウンドに出ろ」

 

 寝袋からゴソゴソと出した体操服をビッと見せる相澤先生。ちなみに生徒の分は教科書と合わせて机に用意されていました。

 更衣室で着替えた後、僕は二度目となる入学初日の大試練を迎えることになる。

 なお更衣室でかっちゃん(♀)との関係を皆(主に峰田君と上鳴君)に訊かれたけど、

 

「磨き抜かれた鏡のように一つの曇りもないくらい幼馴染だよ」

 

「「「「どんな幼馴染だ」」」」

 

 幼馴染であってそれ以上でもそれ以下でもないくらいの間柄です。

 色々とアレだけどそれでも一回目のかっちゃんよりマシな関係という。

 ちなみに隣の女子更衣室にて同じ質問をされたかっちゃん(♀)は、

 

「将来同じ墓に入る関係」

 

 と照れながら言っていたと後日芦戸さんが教えてくれました。

 そんな関係じゃないから誤解しないでくださいと言ったら、流石に重すぎて八百万さん以外は信じてないと返された。八百万さんなら信じるよなと、頭は良いけど性格は天然な、育ちの良い箱入りお嬢様そのものな彼女のことを思い出して納得した。

 

 

「個性把握テストォ!?」

 

 そんなこんなでグラウンド。

 広い敷地を誇る雄英高校。だからグラウンドにでても入学式に参加している一年A組以外の学校関係者達と遭遇したり、入学式の開催場所の直ぐ側で個性把握テストをすることもない。

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

 麗日さんの当然の疑問は、

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」

 

 雄英の自由な校風を存分に活用する相澤先生が切って捨てた。

 しかし、新入生代表挨拶とかはどうなっているんだろう?多分本来なら体育祭で生徒代表挨拶したかっちゃんとかがやらなきゃいけないことだよね。

 

「新入生代表挨拶なら気にするな」

 

 そんな僕(今年度の新入生代表)の様子に気づいたのか相澤先生が告げる。

 

「例年通り、きちんと替え玉用意してあるから」

 

 

 

 

 場所は変わって雄英高校入学式会場。

 

「新入生代表挨拶。新入生代表緑谷出久君!」

 

「ハイ!」

 

 そちらでは替え玉ことスタンダール事務所所属のヒーロー見習いである渡我被身子が、彼女の個性を用いて替え玉として今年も新入生代表挨拶を行っていた。

 なお今回で四度目となる雄英高校新入生代表挨拶である。彼女自身は雄英高校に所属したことはないのだが。

 

 

 

 場所は戻ってグラウンド。

 替え玉?と全員で首を傾げる中で、相澤先生がこれからやることの説明をしてくれた。

 中学の頃から行っていた八種目の個性禁止の体力テスト(異形系は禁止なんて無理だろと度々この時期にニュースのネタにされる)。

 それを個性を使用して行うのだと。

 

「緑谷と爆豪。個性を使ってソフトボール投げをやってみろ」

 

「「はい!」」

 

 一回目と違って僕とかっちゃんの二人を指名。なんでだろうか?と疑問に思う。

 記録はかっちゃんは球威に爆風をのせて700メートル超え。僕はワンフォーオール80%で投げて4000メートルだった。

 

「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

 比較かな?

 体力テストなら僕のような身体能力を強化するタイプが有利。

 だけど発動タイプで工夫して種目に対処することもできるのだと。

 

「なんだコレ!!すげー面白そう!」

 

「個性を思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」

 

 皆がはしゃぎだして場の雰囲気が盛り上がる。無個性だった僕にはイマイチピンとこないけど、個性を存分に使えることそのものが滅多にないイベントのようなものらしい。

 その喧騒が誰よりもストイックなヒーローである相澤消太ことイレイザーヘッドの癇に障ったようだ。

 

「面白そうか。ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?よしトータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」

 

「「「「はあああ!?」」」」

 

「生徒の如何は先生の自由、ようこそこれが雄英高校ヒーロー科だ」

 

 相澤先生の放つ威圧感と型破りな行動。

 それが除籍という普通ならあり得ない事に信憑性を持たせていた。

 驚愕の叫びと理不尽という意見に、ヒーローはその理不尽を覆す存在だと相澤先生は言う。

 そうヒーローとは、自らに降りかかる理不尽ではなく他者に襲いかかる理不尽を自ら意思で跳ね除けに行く存在なのだから。

 

「プルスウルトラ、全力で乗り越えて来い」

 

 一回目を経験したからこそより理解できる。与えてもらえる苦難のありがたさを。現場はもっと遥かに理不尽でどうしようもないのだと。

 

「さてデモンストレーションは終わり、こっからが本番だ」

 

 一回目ではワンフォーオールの制御ができずに慌てふためいていただけの個性把握テスト。

 今回は制御しきった上で乗り越える。

 

 

 そして開始された体力テスト。

 それぞれの個性に適した種目と元から高い身体能力で皆結果を出していった。

 中学で経験した体力テストを個性を用いて行うことで、個性によってどこが伸びたか分かる。それが何が出来て、何が出来ないのか浮き彫りにさせる。

 飯田君がエンジンで走る競技が有利であるように、尾白君が尻尾を使った跳ねるような独特の走りをするように、かっちゃんが爆破で加速するように、工夫して種目を乗り越える。

 一回目では種目を終える毎に青褪めていった僕だけど今の使いこなせる状態ならそうはならない。

 本来なら個性を使用していない中学時代との比較が、僕だけは一回目との比較になって、より達成感が増していた。

 よく思い出せば、一回目もオールマイトの訓練しだした僕とそれ以前の僕も別人レベルで記録が違ったけどね。

 順調に種目をこなし一回目とは異なり最高記録を出し続けていると(というか一切個性を活かせない女子である葉隠さんに負けた一回目の僕って一体)、二人組で行っていた上体起こし終了後に耳郎さんが崩れ落ちていた。

 なんで!?

 前回無かった出来事に慌てて駆け寄る。

 

「どうしたの!?」

 

 まだ自己紹介はしてないから名前を呼んだりはできない。なので身体を起こすように抱き上げたら、彼女は息も絶え絶えながらこう言った。

 

「アンタの幼馴染、ダブルマウンテン(ガクリ)」

 

 あ、はい。

 見れば耳郎さんと上体起こしで組んだのはかっちゃん(♀)。上体起こしは片方が足を押さえて行う種目だから身体を起こすごとにかっちゃん(♀)のダイナマイトボディを直視することになるんだよね。

 同性じゃないと組んじゃ駄目な種目のわけだよ。

 なので美少女だけどスレンダーな耳郎さんは尋常じゃない精神ダメージを負ったみたいだ。

 一回目でもスタイルについて気にしてたみたいだしね。

 そんな前回との違いもありながら体力テストは終了。一回目とクラスのメンバーが変わらない(かっちゃんが女の子であること以外)為、順位は僕がワンフォーオールを活かして1位、峰田君が最下位になっていた。

 一回目では最下位からスタートした雄英高校生活。二回目の今は1位からスタートをきれた。その結果に僕はよりいっそう気合をこめる。

 なお除籍はウソ。

 相澤先生の記念すべき初合理的虚偽にクラスの皆はそれぞれリアクションを取るのであった。

 

 

 初日終了下校時間。

 リカバリーガールの治癒もなく、かっちゃん(♀)と校門をくぐると、

 

「俺もいいかい?」

 

「下校デートの邪魔すんな(ボソッ)」

 

 前回と同じように飯田君が声をかけてきて、かっちゃんが小声でなにやら言っている。

 

「しかし相澤先生にはやられたよ。俺はこれが最高峰かと思ってしまった!教師がウソで鼓舞するとは」

 

「ウソかね?去年の雄英体育祭。一年がやたらと人数少なかったし除籍はされてんじゃねーの?」

 

「教育機関がそんな暴挙するのか?」

 

「自由らしいじゃねえか」

 

 不機嫌かっちゃんはそれでも飯田君の言葉を無視したりせずに言葉を返している。

 そこら辺がなんだかんだで人が良いよね。

 そして一回目情報だけど除籍はマジです、ただ復籍できるだけで。去年は一体何があったんだろうな。

 

「待ってー!駅まで?私も一緒に混ぜてー!」

 

「君は∞女子」

 

 飯田君による独特なネーミング。ソフトボール投げの記録が∞だったからかな?

 

「イズクに近づくんじゃねえ(ガルル)」

 

 かっちゃんも威嚇しないの。

 

「麗日お茶子です!えっと飯田天哉君に緑谷出久君に爆「緑谷勝己だ」「爆豪でしょっ!?」だよね!!」

 

 麗日さんの言葉に被せるかっちゃんをすかさず訂正する。雄英高校に受かってから行動力増してるなこの娘。

 

「夫婦なのか君達?」

 

「恋人同士?」

 

「その通りだ」

 

「違うから、ただの幼馴染だよ!!」

 

 一回目なら麗日さんから「デクって頑張れって感じで何か好きだな」と言ってもらえた時間。

 かっちゃんからのデク呼びが無いからなくなってしまったことに少し寂しさを感じるけど、それでも一回目と同じ二人の人柄に僕は嬉しくなるのであった。

 

「麗日お茶子、イズクと距離感が近い。要警戒」

 

 君は完全に別人だよね、かっちゃん(♀)。

 

 と、そこで終われば良かったんだけど。

 

「ん?」

 

 突然の浮遊感。

 僕の身体は七代目の個性を使用してないのに浮いていた。

 

「む?」

 

「なんなん?」

 

「イズク!?」

 

 わあ目線までも上がっていくぞお。

 身体は浮き上がり、下校する生徒たちを見下ろす程の高さになっていた。宇宙人に誘拐されているのかな僕。

 

「ふふふ、見つけましたよヘドロヴィランのヒーロー!!」

 

 聞き覚えのある声のした方向を見れば、そこには一回目でお世話になったサポート科の発目明さんがなにやらコントローラーを操作しながら居た。

 身体にかかる引っ張られるような感触と上からの音から、ドローンを複数組み合わせたUFOキャッチャーのようなもので捕まえられてるみたいだ。

 

「あの時にアナタが使用したスタンガンは私が作ったドッ可愛いベイビー。それに耐えきれたアナタを見て確信しました、アナタならどんなベイビーにも耐えられると!!さあ、共にベイビー作りに励みますよ!!」

 

 なるほど、フリーマーケットで購入したスタンガンはやはり発目さんが作った物か。道理で高性能なわけだね。だから他のサポートアイテムも僕で試そうってわけなのか。

 入学式に参加してないのになんで僕が雄英高校にいると知ってんだろ彼女?(答え、渡我被身子が替え玉したから)。

 

「ベイビーだとお!?!?」

 

 ああ、かっちゃん(♀)がかっちゃん(一回目)のような人から外れた形相になっている。

 

「イズクと作るのは私だあ!!」

 

 ここ下校時間の校門だって自覚して(泣)。

 サポート科実習室にアブダクションもとい運ばれる僕を追うかっちゃん(♀)。

 呆気に取られる飯田君と麗日さんに手を振りながら僕はされるがままに流されるのであった。

 

 なおこの後、サポート科実習室は初日から爆裂四散して、パワーローダー先生の胃は死ぬことになる。

 





 緑谷出久。
 五体満足な相澤先生との触れ合いに幸せを感じた。

 替え玉。
 スカイクロウラーの件でスタンダールがイレイザーヘッドに迷惑をかけた為、毎年弟子であるトガヒミコが駆り出される。

 体力テスト。
 基本は原作と同じ。なお授業中まで色ボケする程かっちゃんは緩んでいない。

 耳郎響香。
 上体起こしで瀕死。
 成長格差に絶望。

 デク。
 この世界では一度も呼ばれたことはない。

 発目明。
 ヘドロヴィランの件から緑谷出久をロックオン。

 パワーローダー。
 今回の被害者。
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