そうだ、それがある。
洞窟にある大量の鉱石ーーー。これが仮に「魔力を秘めた石」だとしたら。現実でも蛍石などは、紫外線を吸収して発光する性質を持っている。また、石炭や石油のように、死骸などが年月をかけ蓄積されることで、強いエネルギーの源となる鉱物になることも、よくある話だ。
仮に同じように、この石が「魔力が何十年もかけ、蓄積されたことでできた鉱石」、もしくは「周囲の魔力を吸収する効果のある鉱石」だとしたら?
ここが現実ではなく、ファンタジーの世界である以上、そういった鉱物が存在する可能性は十分ある。
今まで触れたり、口に含みなめた時には、魔力が増加した感覚はなかった。だが、それは「魔力を引き出す」という意思がそもそもなかったからではないだろうか。
そう、いや、それしかない。それ以外考えられない。
体に力が入らない中、必死に割れるような頭の痛みを抑え、崩れるようにして腰を下ろし、足元の青白く光る石へと手をやる。
そして、目を閉じ、指先に意識のすべてを集中する。鉱石の中に秘められた魔力…光を取り出す、そのイメージを、頭の中で何度も繰り返す。
自身の持つ魔力を石の中に流し込み、ゆっくりと石の中の魔力を吸い上げるような感覚を思い浮かべる。絶対にできるはずだ。ここはファンタジーの世界、不可能も常識も存在しない。
体の外に温かい何かを感じる。
これか。
それはまるで、懐かしい陽だまりの中にいるような、柔らかな温もりだった。
その温もりがだんだんと湯に浸かるように、全身へと浸透していくのを感じる。全身でその力を受け入れ、温もりが全身へと伝わりきったとき、再び目を開けた。
石の光は消えていた。
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□月$日
九死に一生を得た。
なんとか魔力を増やすことに成功したようだ。ほんのわずかだが、石から魔力を吸い出せたような感覚があった。
石から魔力を取り出し続けると、少しずつ体調も回復してきた。体の中に魔力が溜まるたび、体の錆びつくような痛みが消えていった、
いまになってかんがえると、魔力とは単なるエネルギーではなく、生命そのものに深く関わっているのかもしれない。使い過ぎは避けたほうが良いかもしれない
また、体調が多少良くなって余裕が生まれたからか、ある考えが浮かんだ。そう、仮に魔力が蓄えられたら光を放つのなら、俺も明かりを作れるのでは?ということだ
もう今日は疲れた。いったん寝ることにする。また明日試してみよう。
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□月(日
うまくいった。
正直簡単に行き過ぎて拍子抜けした。今まで何もかもうまくいかなかったから、今回も失敗すると高を括っていたが、意外にうまくいった。もしかすると、俺は魔術の才能があるのかもしれない。
魔力を集めれば集めるほど、光はますますまぶしくなった。また、光を使用しながら魔力の形状を変化させることは、多少であれば可能だった。
この調子であれば、一気に強い光を放ち、スタングレネードのようなこともできるかもしれない、と思って試したが、光を一気に出すためには、長時間の魔力の「溜め」と、膨大な量の魔力が必要なようだ。
だが、光を操れるようになったおかげで、壁に生えているコケや、石の裏に隠れた虫を探すことがより簡単になった。多少は腹の足しが増えそうだ。
とにかく、他にも火や水などを操る魔術が使えないか試してみよう。
そして当初の目的である 魔力感知をなんとか実現させられる目処を立てたい。
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手にとまったハエを叩き潰し、舌でなめとる。まずい。なんというか、淡白なものに内臓のえぐみを混ぜたような、そんな味がする。無論小さな虫なので、味といってもほとんどないのだが。
一応食べる前に舌がぴりつくものは、食べることをやめるようにしている。まあ、仮にそれで大丈夫だと思って食べても普通に腹を下すこともあるわけだが。
とにかく、もう少し食料を増やしたい。しかし、どうやって狩ればいいか。おそらく洞窟内で生きる蝙蝠などの生き物は、眼が退化しているため、この「光」はあまり有効でないだろう。
しかし、あの蝙蝠は本当にこの小さな虫だけを食べて生活しているのか?確かにクジラなどはプランクトンを食べるだけであれだけの巨体を維持しているが、それだって量が非常に多いからだろう。
この少ない虫だけではあれだけの巨体の維持は困難だろう。もしかして、食物連鎖の中間となるようなほかの生き物が、見つけていないだけで別にいるのではないだろうか。
とりあえず、明日も探索を続けよう、そろそろ水を飲まないと脱水症状で死にかねない、と俺は腰を上げ、メモ帳を服のポケットの中にしまった
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□月&日
やはり、俺には魔術の才能があるのかもしれない。
魔力感知は最初は困難を極めた。石から魔力を取り込むことができるといっても、体外で保持できる魔力の量には限度がある。また、体内での保持できる魔力量にも、許容限界が存在するようだった。そんなこんなで、一度壁にぶつかった。
しかし、ある瞬間、気づいたことがある。魔力から生成した光のさらに外側に、かすかな感覚を覚えると。それは、魔力をはじめに知覚した感覚ににていた。光に手をかざしたところ、ぼんやりとだがその手の輪郭を把握できた。その時、頭の中にある考えが浮かんだ。
原理は不明だが、魔力による光自体にも、魔力としての性質が宿るようだ。この性質を使えば「魔力感知」を実現できるのではないか?
その考えに従い、右手に魔力をため、体の外の感覚に集中するつもりで、一気に光として放った。その瞬間、周囲の地面や壁を肌で触れたように、感覚が伝わってきた。
その感覚は一瞬すぎて、完全には理解できなかった。しかし、目標である魔力感知に大きく近づいたと言えるだろう。多少思い描いていた魔力感知とは違うため、この技を便宜的に「
また、魔力による身体強化も、魔力を腕に集めている際に同時に発見した。いわゆる「身体強化」というやつだが、使ってみるとその汎用性を実感する。
とりあえず、なんとか新たな水場を見つけられたので、今日は一旦ここで筆を置く。
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掌に魔力をため、光に変え、はなつ。一度はなった後も明滅するように、何度も光を放つ。
脳内に情報が入ってくる。
壁、土、泥、岩陰の虫、ヤモリ、鉱石、クモ、行き止まり、杭、添木、分かれ道、鉱石、傾いた道、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠。
ーー暗闇の中で、いままで見えていなかったものが見える。いや、「感じる」。
魔力で強化した手を後ろにふりぬく。湿った感覚が手に触れた瞬間、すかさずそれを掴む。素早く手の内から逃げようとのたうつそれを、歯で頭からかみ砕き、飲み込む。
「あぁ、うまいな」
虫と比べると、ヤモリはだいぶ食べやすい。虫たちは殻と内側のドロリとした汁ばかりで、触感が最悪だった。それに比べヤモリは、まだ骨がある上に、肉と呼べるものがある。皮の感触も慣れればそれほど気にならない。
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□月℃日
先日忘れていた他の魔法を試してみることを試みたが、なんとなく察していたとおりだめだった。
おそらくイメージの問題なのかもしれない。「光」は日常的に浴びてきたため、その性質や、触れたときの温かさ、色などを容易く頭の中で描くことができる。
しかし、火は触れたことなんてないし、具体的な形のものは細部までのイメージや、構造、材質などができていない。そのため再現できないのではないか。
なので、しばらくは魔力の操作の精度や、魔力の総量を上げることを目標としようと思う。
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多少腹が痛む。いきなりいろいろなものを食べすぎたせいか、はたまた生のまま食べたのが悪かったのか。少し腹を下した。
捕った獲物を食べるとき、光を集めることで加熱できないか、と思ったが難しかった。
おそらくこれもイメージの問題で、俺の光に対するイメージは「明るさ」であって「熱」ではないためだろう。おそらく光を放出することで周囲を把握できるのも、「道しるべ」や「暗闇を照らす」といった、光に対する俺のイメージが影響しているのかもしれない。
しかし、イメージか。イメージに魔力の操作が依存すると言うなら、少し発想を変えるだけで一気にできることが増えるかもしれない。
例えば、魔力を「放出する」もしくは体から「切り離す」というイメージを今までしたことはなかった。なんとなく感覚がある以上、自分の体の一部のように感じていたためだ。しかし、本来もっと自由に扱うことができるのではないか。
そう思い、ふと、魔力の一部を体から切り離した。しかし、一瞬浮かんだそれは、すぐに空気に溶けるように霧散する。2、3度同じことを繰り返すが結果は同じだった。
「光にしないとダメ、なのか…?」
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そもそもこの光…仮に魔力光と呼ぶとすると、これ自体何なのか。いくつかの仮説を立て、考えてみよう。
1.魔力光は、魔力が変化した一つの状態である。
2.魔力光は、何らかの初級魔法の一種である。
3.魔力光は、副次的な産物であり、魔力そのものではない。
おそらくこれのうちどれかではないのだろうか。この内、最も仮定として妥当な気がするのは1の「魔力が変化した一形態」という説だ。
魔力の持つ様々な性質を同様に魔力光ももっているため、3は考えづらく、そして仮に2だったとしてもこの世界の魔法についての知識がまるでない以上、考えるのは無意味だ。
そのため、一旦1の仮説に基づいて、魔力光が体から切り離しても機能する理由を考えると、おそらく光の「高速で動く」という性質に起因するのではないだろうか。
魔力そのものは、体から離れ、数秒で霧散し、操れなくなる。しかし、光は高速で移動し、その一瞬で広範囲を探索する能力がある。
それ故に、「
追記:
先ほど偶然魔力を使用した状態で壁に手をついたところ、壁の中まで感覚を広げられることがわかった。
魔力光が仮に魔力の一形態だとするなら、上手くすれば物体をすり抜けて把握することも可能かもしれない
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□月~日
おそらく出口を見つけた。ここから少し離れた場所で、自分と同程度の大きさを持つ二足歩行の何かが複数動いているのと、風がどこかへと流れていくのを感じた。ほぼ間違いなく人間と、出口だろう。
出口がわかったのはかなり僥倖だが、そこに人間がいるのはあまりいただけない。
現状、外の状況も、自分の扱いもわからない以上、もしかしたら捕まえられ、最悪殺されるかもしれない。
一応反撃、もしくは逃走のための手はいくつか考えたが、正直どれも確実性がない。
このメモ帳はここにおいていく。文字が最初にあったものなら、この世界に読める人間はいないかもしれないが、それでももし俺と同じ立場になった人間がいたら、多少の役には立つかもしれない。
それに、まあ、仮に死んだとしても、何か記録に残せれば、俺の苦痛も、生きたいと願ったことも、決してなかったことにはならないだろうから。
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「それじゃあ、行くか。」
念能力(発)
「魔力光」
変化系。
光を念に、念を光の性質に変える。光から念に変えるときの交換率は高くないが、逆に念を光の性質に変えることはローコストでできる。
攻撃能力はほとんどない
「
変化系・(放出系)
念を光の性質に変え、ソナーのように何度も放つことで、周囲の状況を把握する。
精度はそこそこ。正直円で代用できる気もする。
Tips
「燐鉱石」
内部に光を蓄え、外気に触れることでそれを放つ性質を持つ石。電気を通すことでより強く発光する。
近年まではその希少性もあり、あまり注目されていなかったが、いくつかの地方で大量に採れることがわかってから、代替エネルギー、もしくは電気や簡易的な電池の代わりとして注目されつつある。
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