不明なユニットが生成されました   作:五足歩行

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NEST全然マッチしないんだけど


1周目
あなたは誰?


思えば、俺は普通の生活に憧れていたのかもしれない。

 

日が昇る頃に起床し、朝日を浴びながら支度をして、働きに家を出る。

空に紺色の帳が降りる頃に帰宅して、だらだらと過ごす。

 

色のない人生と揶揄されてもいい。小さな幸せを大切に抱きしめて眠りにつきたいのだ。

 

ようやく10代の後半を迎えようとした頃、惑星間の戦争に巻き込まれた。よくある話だ。銃声が聞こえない日なんて無かったし、ガス兵器だの核だので故郷は重篤な汚染被害を被り、家族共々家を捨てることを余儀なくされた。

 

両親はMTら制圧部隊に轢死した。目の前で血肉の塊になっていく親を見て、あぁ、強大な暴力にはどうしようが勝てっこないのだと。同時に俺もその力を振るい、できるものならこいつらに死を与えたいと思った。

 

 

初めは戦地の残骸漁りから初め、親の遺した貯蓄、俺の所持金合わせて9割吹っ飛んだがジャンク品のACを買った。本当は強化人間の手術を経てまともに扱える物らしいが、そんな金は残っていなかった。

 

素人の駆るジャンク品とはいえMTなんかより遥かに強力。呆気なくあいつらに復讐を遂げることが出来た。

 

目的も果たし、何もかも空っぽになった俺は風の噂でルビコン3に莫大な資源があり、上手く行けば一生を遊んで暮らせるらしいと聞いた。

 

企業の資源を運ぶ巨大輸送艦にACごと忍び込み、どうにか密航できた。逆に心配になるくらいザル警備だった。

 

降り立つとそこは灰色の世界。メガストラクチャーがそこかしこに建造されている。

しかし到底金になるとは思えない不毛な大地だ。吹雪が廃墟を揺らし、空は分厚く色のない世界が広がっていた。

 

 

それからは独立傭兵として当面の銭をがむしゃらに稼いだ。

 

ルビコンにはオールマインドが運営する傭兵支援なるものがあり、来てまもない頃は大変世話になった。

 

 

『登録番号 Rb18 独立傭兵ジンメル。新たな依頼が来ています。』

 

「内容は…ばら撒き依頼でアーキバスの保有する前線基地の襲撃か。請け負おう。」

 

 

『返答を確認。ブリーフィング内容を再生します。』

 

 

独立傭兵諸君に伝達!我々ベイラムグループは敵対勢力であるアーキバスが所有している複数の前線基地に同時襲撃を決行する!襲撃する基地の情報は参加した者にのみ共有する!なお、今回MTやヘリに破壊報酬をつけた。良い返事を期待する!

 

 

「場所は…デロイスト基地か、出発しよう。オールマインド、返信しといてくれ。」

 

 

『畏まりました。オールマインドは全ての傭兵のためにあります。』

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「レーダーより探知!独立傭兵のACが単騎!」

 

 

「撃ち落とせ!」

 

 

 

アーキバスのMTが戦闘態勢を取る。当然待つ訳もなく右肩の12連垂直ミサイルが襲う。

 

 

「相手は単騎!囲め!」

 

 

数十体に包囲されては流石にACでも死にかねない。パルスアーマーを起動し、右手のガトリングと左手のデトネイティングバズーカで一気に蹴散らす。

 

 

「パルスアーマーだ!まずはパルスアーマーを剥がせ!」

 

 

一斉砲火をするがパルスアーマーにより僅かな消耗のみで済んだ。たった一人のACにより、デロイスト基地はほぼ壊滅したかに思われた。

 

 

COMより通信が入る。

 

『前方よりACの接近を確認。識別名、V.Vホーキンス。機体名、リコンフィグ。』

 

「こちらV.Vホーキンス現着。MT部隊は早く逃げな。」

 

 

「マジか!企業のACだと!?聞いていないぞ!」

 

 

左肩の盾でプラズマライフルによる攻撃を受ける。相手は4脚、上空に位置づいてプラズマをばら撒いてくる。

 

「チッ、盾が限界か…」

 

 

盾がオーバーヒートを迎えたことにより、プラズマが確実に機体を灼いてくる。有効打は12連垂直ミサイルのみ、ガトリングは射程外で、バズーカはクイックブーストで避けられる。

 

 

「相手が強化人間じゃ分が悪いか…!」

 

 

独りごち、逃走が脳裏にチラついた時、ホーキンスが話しかけてくる。

 

「君ってもしかして素の人間かい?」

 

 

「だったらなんだっ!」

 

 

吠えながら当たってもカスダメにしかならないマシンガンを虚勢で放つ。

 

 

「いやね、素でその動き、まるでウチの第1隊長みたいだなって。流石に劣るけどね。そうだ、ここで死ぬより…どうだいキミ、ヴェスパーに来ないかい?」

 

 

「…は?」

 

突然の勧誘に機体はフリーズ、慌てて操縦桿を握り直すもホーキンスは地上に降りてきて攻撃してこない。

 

「嫌なら残念だけど可哀想な実験室送りだ。生身のAC乗りは良い被検体になるだろうね。」

 

 

「死ぬのはゴメンだ。…今よりも金は稼げるか?」

 

 

「ソレはキミ次第だねぇ。」

 

 

「クソっ…いいぜ、その話、乗った。」

 

 

「それじゃ、また明日ここに来てね。」

 

 

そう言ってホーキンスは引き返して行く。襲撃は失敗となり、任務も当然失敗扱いになったが、破壊報酬のみ支給された。

しめて-17700Cの赤字。

 

 

ガレージに戻り、オールマインドと通信する。

 

 

「なぁ、俺明日からアーキバスに入ることになったんだわ。その場合ってもう支援はなくなるよな?」

 

 

『オールマインドからの返答。企業に属する場合はオールマインドからの支援は打ち切りとなります。なお、本日であればまだ支援は有効です。』

 

 

「そっか、長い事世話になったからさ、1つでも礼を言っとこうかなって。」

 

『こちらも戦闘ログ収集、アリーナによる戦闘検証のご協力、ありがとうございました。』

 

 

「おう。じゃあさ、早速頼みたいことあるんだけど。」

 

 

『畏まりました。オールマインドは全ての傭兵のためにあります。』

 

「このオールマインドから貰ったバズーカ売るから機体修理してくんない?」

 

 

『………』

 

 

 


 

 

 

再びデロイスト基地にやって来た。アーキバスの隊員からはいい顔をされなかったが、仕方がないことだ。

 

 

「おっ、来たね。早速だけど機体をヘリに積んで本部に移動しようか。話でもしながらさ。」

 

ヘリにACを積み、欄干に腰をかけていると

ホーキンスがフィーカを両手に持ちながらこちらにやってくる。

 

 

「はい、まずは入隊おめでとう。」

 

 

「…ありがとうございます。」

 

 

フィーカを受け取り返事を返す。…苦っが。

 

 

「はは、いい顔するね。」

 

 

「飲んだことないんだよ…んで、俺は本部で何をするんだ?」

 

 

「んー当分は私の部隊で活動してもらうかな。ACもあるし、2人で出撃とかね。」

 

 

「パーツを全部アーキバスグループのにでも換装してか?」

 

 

「それはしなくていい。昨日第2隊長に頼み込んだからね。でもそのまんまは許可が降りなかったから、譲歩として幾つかはウチの物を使ってもらうよ。」

 

ほいっと電子カタログを渡される。

 

「なんでも選んでいいのか!?」

 

「そりゃあウチの製品だ。タダで使えるのは企業の特権だよ?それにいきなり全部変えるのは難しいだろう?操作感とか。」

 

目が輝く。見た事ないジェネレータにブースター!レーザーランス!?なんだそれは!カッコイイ!

 

「それじゃ、着くまでに選んどいてね〜」

 

 

 

 


 

 

 

あの後、悩みに悩んで左の腕と肩、頭、ブースターにジェネレータを変更し、ついでにEXPをアサルトアーマーにしておいた。没頭してたのかいつの間にか到着していた。

 

 

「まず第2隊長に挨拶しに行こうか。」

 

連れられて来たのは重厚なドアの前、絢爛な装飾が眩しい。

ホーキンスがノックをして入る。

 

「失礼するよ、新しくウチの隊に入るジンメル君だ。」

 

「初めまして。ジンメルです。よろしくお願いします。」

 

奥に座っているのは眼鏡をかけた陰険そうな男。目線が鋭くてつい逸らしてしまいそうになる。

 

「私はヴェスパー第2隊長、スネイルです。アーキバスに入隊したからには私の指示の元、アーキバスに尽くして貰います。精々励むように。」

 

「私は忙しいのです、わかったらとっととお行きなさい。フロイトめ…また人の事考えずに出撃しやがって…

 

意外と苦労人なのか?

 

 

「…行こうか?」

 

「…そっすね。」

 

 

 

アーキバスに入ってからは毎日がAC漬けだった。主に第1隊長のフロイトによるシミュレータに付き合わされることが多い。他の隊長もキャラ濃いしどうなってるんだ。

 

 

初めての出撃から帰ってきたら出待ちしてて第一声が「お前、新しく入ったAC乗りなんだって?シミュレータに付き合えよ。」だぞ!?

 

 

一息付く暇もない!しかもクッソ強ぇし!本当に俺と同じ生身の人間かよ!?

 

 

「どうした、もっと動けよ。俺と同じ生身なんだろう?できるはずだ。」

 

 

「もう無理っす…」

 

「つまらないな…そうだ。お前強化人間になれ。後でスネイルに言っておくから。いいアイデアだと思わないか?」

 

「は?」

 

 

翌日予定見たら第8世代の強化人間手術を受けることになってた。その後フロイトと戦闘演習する予定も入ってた。泣きそう。

 

 

しかし強化人間になった事で動きの精度が良くなったのも事実。

 

単独でルビコン解放戦線の重要な基地を壊滅させるとこに成功。他にも実績を認められ、晴れてV.Ⅸに就任する事となった。

 

 

「V.IX就任おめでとう、ジンメル君。」

 

 

「ありがとうございますホーキンスさん。でもいいんすか?まだ入ってそんなに経ってないペーペーっすよ俺。」

 

 

「いいのさ、スネイルが決めたことだしね。私らは従う他ないのさ。」

 

 

「なるほど…」

 

 

「お前、第9隊長になったんだってな、戦るぞ。」

 

 

「うわでた!つーかなったからってそうはならんでしょ!」

 

 

ホーキンスさんも可哀想な目で見てないで助けて!

 

 

 


 

 

休憩室で真っ白になっていると誰かが来た。

 

「第1隊長に絡まれて、随分大変な目にあったそうだな?」

 

「ラスティさん…」

 

「ほら、これでも飲んで元気を出すといい」

 

「わ…ありがとうございます。」

 

「ラスティさん、1つ相談があるんですけど、いいっすか?」

 

「いいとも、可愛い後輩の悩みとあれば聞こうじゃないか。」

 

 

フロイトさんの演習相手変わってください。*1

 

嫌だ。*2

 

 

 

 


 

 

 

『登録番号 Rb23識別名 レイヴンによる認証を確認。

安否不明状態を解除、ユーザー権限を復旧します。

 

傭兵支援システム「オールマインド」へようこそ

レイヴン 貴方の帰還をを歓迎します。』

 

 

「お前には十分な経験がある、この惑星にもすぐ適応するだろう。早速だが仕事を取ってきた、確認しろ621。」

 

 

 

…また戻される。私は何度これを繰り返せばいいのだろうか。

 

ウォルターの頼み通り惑星を焼き払い、壊滅させた。

 

友人の手を取り、緩やかに腐る事を選んだ。

 

世界をコーラルで溢れ返させた。

 

どれを選んでもここから始まる。ウォルターが言っていた普通の人生など、送れやしない。

 

慰めにもならないがアリーナでスネイルをボコすことにした。

 

 

…あれ?ラミーのランクが1個ズレてる?V.IXジンメル?今までそんな人いなかった…

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・MATCH INFO

・ENEMYDATA

 

RANK>> 10/B

 

V.IX ジンメル

 

AC// フラグメント

 

アーキバスグループ強化人間部隊 ヴェスパーの第9隊長

 

元々は独立傭兵であり、第5隊長ホーキンスによって実力を買われてアーキバスグループに入隊した

 

第1隊長フロイトの進言により第8世代の強化人間となってからは目覚しい活躍を見せ入隊日数が短い中異例の就任となった

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

新しい…惹かれるな…

取り敢えず戦ってみる。

 

 

確かに独立傭兵上がりだからか混成パーツでできたACだ。

 

 

12連垂直ミサイルで牽制しつつ、マシンガンとハンガーにあるレーザーショットガンでスタッガーを溜め、スタンバトンで叩く構成なのだろう。

 

 

所詮はオールマインドによって作られたデータ、特に苦戦することも無く重ショをぶつけて勝利。

 

 

…どこかで会ってみたいな。

 

 

「どうした、621。V.IXに会いたいだと?…いずれアーキバスグループの依頼も来る。その時掛け合ってみるとする。」

 

 

どうせ未来は変わんないだろうけどね。

*1
懇願

*2
ほくそ笑みながら




思ったより長くなっちった。
続きはfAでオールS取ってから。

ジンメル君の機体↓

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