不明なユニットが生成されました   作:五足歩行

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気付いた方はいると思いますが、前話のアニメ予告風のタイトル

ステップは
テンダーフットでも
()飾れる

そういうこと。


お茶会と舞踏会

 

 さて、先日に封鎖機構の切り札の1つであるアイスワームの存在が確認され、共にコーラルの利権を巡って敵対していたベイラムとアーキバスは一時的に休戦し対策を講じている。

 

「このチャーハンうまいな…ウチのレーションに戻れなくなってしまいそうだ。」

「えぇそうでしょう、大豊を傘下に採り入れた事はベイラムきっての功績の一つ、上質な飯は隊員の士気にも繋がります。」

「個人販売は受け付けているか?」

「勿論承っております。ひと月のセットですと…私からの紹介価格適用でこのくらいとなります。」

「ふむ、少々値が張るが…買った。」

「まいどあり!今後とも何卒宜しくお願い致しますよ。」

 

 お互いに顔見せでレッドガンとヴェスパーは集会を開いており、各々会話を楽しむ。

 

ぶっほ!何だこりゃあ、こんなん飲めたもんじゃねぇぞ!」

「イグアス先輩、汚いです、暴れないでください!」

「まだまだキミはお子様だったってことさ。なぁペイターくん。」

「は、その通りであります。」

「てめぇもさっきから1口たりとも飲んでねぇじゃねぇか!」

 

 …楽しんでいる。

 

「このフィーカは少し冷まして角砂糖を3つ、ミルクを一杯入れるのが定石なのですよ。」

「え、じゃあキミいつも僕の前でブラック飲んでたのは我慢してたってこと?」

「う、いえ、早くホーキンスさんと並びたくて…(嘘)」

「嬉しいこと言ってくれるねぇ。新しいの淹れてくるから待っててね。」

「へっ、墓穴掘ったなぁ?」

「ぐ…この程度、飲めずにヴェスパー上位が務まるものか!…ぶはっ!

「どわぁきったねぇ!」

「ペイターくん!?」

 楽しそう。

 

 この場で真面目に話しているのはミシガンとスネイルぐらい。後ろには壁にもたれ掛かり腕を組んで眠そうなフロイトもいる。

 

「随分とやつれた顔をしてるな?ヴェスパー第2隊長殿。どうだ、今から遠足に行かないか?」

「ここでの社交辞令は不要でしょう、さっさと本題に入りなさい。」

「そうか、あの化け物は2枚のシールドで構成されていると聞く。どうだ、策は持ってきたか?」

「当然です。我々が開発した新兵器で1枚目を削ります。」

「ほぉ、そちらの開発部も優秀だな。して、2枚目はどうする。」

「そこからが問題です。2枚目はより強固になっており、現状は未だ解決策が見いだせていない状況です。」

「やはりか。うちのエンジニア共も手を焼いているのでな。共同開発は…厳しいか。」

「我々が良くても上層部が涎を散らかして吠えますからね…クソ、忌々しい…」

 

 そのまま流れるように愚痴大会へ。スネイルの吐き出した附子()の多さは流石にミシガンも少し引いた。歩く地獄が慰めに回った瞬間である。

 

 


 

 

__同日、時刻は数時間前

 

「よく来てくれたね、またまたアンタらに依頼さ。」

「まさかまた人体実験とかでは無いよな?」

「安心しな、今回はAC一機ぶち殺して奪われた物を取り返せば終わりさね。」

 

 裏切り者に奪われたオーバードレールキャノンを取り戻しにレイヴンとジンメルは汚染区域グリッド012へとやってきた。

 

「随分とまた高い場所だなこりゃ、オマケに敵もわんさかときた。」

「乗り継いで行けば大丈夫。金が欲しいなら時間かけて倒すのもあり。」*1

「邪魔だったら適宜潰してく感じでいいかな。」

 

 

『ようこそビジター!このような僻地に来てくださるとは…感激だ…』

 

「うわ、うるさっ。」

「ブルートゥ、あんたの盗んだ物を返して貰おうか。」

 

『おや?カーラもいるのですね。カーラのご友人たちということは私のご友人たちでもあるということ。全力を以て歓迎いたしますよ…♡』

「チッ、相変わらず頭がイカれてやがる。そいつは無視して先に進みな。」

「人格破綻者って言葉が1番似合うやつだな。」

 

 こちらは敵だというのに何故か親しく接してくるブルートゥ。アリーナの説明通り虚言癖かつ人格破綻者であり、それを隠そうともしないその態度、こういうあさっての方向に振り切れた人物は往々にして実力者でもある。

 

 突っ込んでくる浮遊機雷をかわし、浮かんでいる足場に着地。MTが配備されているが大して苦戦もせず撃破していく。程なくしてレーザーセンサー地帯に突入。

 

『遠くから新しい友人、しかも二人も尋ねてくる、なんて素晴らしい一日なのでしょうか…』

 

『この先に四脚MTがいます。撃破して行きますか?』

「しておこうか。」

 

 センサーに引っかからないよう進み次の足場へ。四脚MT一機に普通のMTが数機、レイヴンが惹き付けている間にジンメルが弾を浴びせこれも特に損傷なくクリア。

 

『心よりお待ちしていますよ、ご友人…私は貴方と上手に踊れるでしょうか…けれどそれよりずっとずっと楽しみです。おろしたてのドレスを早くお見せしてあげたいですね…あぁ…緊張で胸が張り裂けそうです…』

「んだコイツさっきからよぉ。キモすぎないか?」

「気持ちは1000%同意するよビジター。でもこいつを殺すまでは耐えてくれ。」

 

『スロー、スロー、クイッククイックスロー。スロー、スロー、クイッククイックスロー 。待ち遠しいですね、ミルクトゥース…』

『なんだか気持ち悪くなってきました。』

「…私も。」

「おいおい大丈夫か?俺一人であいつとやるのかよ。」

 

 なんとここでレイヴンとエアがダウン(仮病)。レールキャノンの未来はジンメルの手に託された。

 

「あぁそうだ、怖気付いて逃げようだなんて思わない方が身のためだと思うよ。あいつを大義名分で殺せるチャンスなんだ、金は払うししっかり働いてもらうよ。」

 

 更に味方から釘も刺された。必然的に取れる動きは一択。腹を括って最奥へと一人孤独に入っていった。

 

『しかしレイヴン、あなたも行かなくて良かったのですか?仮にもランクは相手が上、万が一を考慮して支援はした方が…』

「もう何回相手したと思ってるの。もう聞きたくも無い。」

「あんたも行ってボコボコのスクラップにして欲しかったが、坊やの力量を見るいい機会だ。そこでMT共を片付けてな。」

「全部聞いてるからな!」

 

 狭所に張り巡らされたセンサーMTが犇いており、ギョッと目を見張るが冷静に拡散バズーカでこれを対処。

 

『友人ならばもてなしたい、そんな気持ち、貴方も理解できますでしょう?戸口を整え、花瓶には生きの良いカルミアの花を。そうして来訪を待つ、私はそういった時間を過ごすのが好きなのです。』

 

 ブルートゥの語りを無視して次層も最低限ルート上の邪魔者を破壊して奥へ抜ける。

 

「そこから降りたら奴とレールキャノンがいる。ブルートゥは掛け値無しのクズ、妥協はいらないからとっとと消してやりな。」

 

 ひたすら下へ下へ落ちる。落ちた先には多数のケーブルが繋がっているACよりも巨大な砲が静かに吊られていた。

 

「ここは…工房?それにあの吊られている物…あれがレールキャノンか。」

『砲塔の先端辺りに乗ってスキャンしてみてください。』

 

 スキャン開始。鉄骨上の影に隠れているミルクトゥースを発見。

 

「うわ、隠れていやがったのか。」

「よく見つけたねビジター。先制してやりな。」

 

 オマバズを撃つ。

 

「っな、ご友人、サプライズをさせてくれないのですか!?」

「ブルートゥ!」

「カーラ、貴女はいつも新しい出会いを齎す…さぁ、踊りましょう!」

 

 ブルートゥの反撃で火炎放射器と分裂ミサイルが襲いかかる。

 

「来場するのは二人だと思っていましたが…もう一人は疲れてしまったのでしょうか?いえ、たった二人、暖かな陽が差し込む中で踊るワルツ…素敵なシチュエーションです!」

「喋ってばかりでいいのか?っおら!」

 

 フラグメントの蹴りがミルクトゥースの側面に入り、体勢が大きくブレる。すかさずガトリングで追撃を入れてスタッガーへ。

 拡散バズーカとオマバズをぶち当てるも撃破までは至らず、ミルクトゥースはリペアを一つ使用して復帰。

 

「そいつはウチで組んでやった機体だ。土建用だが剛性は舐めない方がいいよ。」

「…長期戦になりそうだ。」

 

「情熱的な攻め…そんなにも求めてくださるとは…ならば私も応えなくては失礼に値するというもの。では参りましょうか。」

「スロー、スロー、クイッククイックスロー。スロー、スロー、クイッククイックスロー。心が踊りますね、ご友人!」

「鬱陶しい、もう口を開かないでくれ!」

 

 気が触れてしまいそうな口撃を受けつつも応戦。幸い決め手はチェーンソーと拡散バズーカの2つ、その他はそこまで気にならない。アラートが鳴ったらすぐクイックブーストで避ければいいだけの事。

 ジンメルは前周を含め幾つもの強敵と戦闘をしてきた。その経験が今やアリーナランク以上の実力を誇るルビコン有数の独立傭兵へと進化を遂げさせた。

 

「なんという苛烈さ、私も負けていられませんね…もっと激しく、強かに舞うのです!」

 

 フラグメントも火炎放射器に炙られて熱暴走を起こしかけている。とはいえEXPとリペアは残数2つで磐石の体勢。スタッガーを起こしてもいつでも無かったことにできる。

 

「なぁ、そろそろ精神が汚染されてきそうだ。通信を一旦切るよ。」

 

 カーラが実質離脱。本当に2人きりとなり、遅ればせながら観客のいない舞台が開かれた。

 

 オペレーターがいなくなってもやる事は変わらずひたすら中距離を維持。ガトリングによる継続的な削りに加え、針を縫うように自由な軌道で絡みつく爆導索。ミルクトゥースが最後のリペアを使うのはそう遅くなかった。

 

「名残惜しいですが、幕引きが近くなってしまいましたね。けれど、私は最期まで貴方と踊っていたい…!」

「そうかよ、でももう手遅れだぜ?」

 

 チェーンソーを構え突撃してくる動きに合わせ、至近距離で拡散バズーカを撃ち込みスタッガーへ。

 

「私からの贈り物を受け止めてください!」

 

 スタッガーを確認し、ブルートゥは反射でアサルトアーマーを発動。再度チェーンソーを展開し装甲を喰い破りにかかる。

 

「甘いっ!」

 

 フラグメントもスタッガーに陥るが瞬時にパルスアーマー発動。チェーンソーの刃はパルス防壁の表面を撫でるだけに終わる。無防備を晒した後隙に全兵装掃射。直撃補正が高いオマバズに面での制圧力を誇る拡散バズーカ、弾数の暴力で削り切るガトリングが残りAPを容赦無く吹き飛ばす。

 

「あぁ…ご友人からお返しを頂けるなんて…やはり素敵…だ…」

 

 一気呵成のアサルトアーマーによる抵抗も虚しく冷静に反撃を取られ敗北したというのに晴れやかな態度で爆炎に包まれるブルートゥ。

 

「…おっと、ブルートゥの沈黙を確認した。案外早かったじゃないか。」

『ありがとうございます。今日はよく眠れそうです。』

「私は必ずやれるって信じてたよ。」

「ハァ…お前らなぁ…」

 

 奇人とのダンスはこれにて終演。

 

「そこに吊られてるブツを回収しようか、化け物退治に必要な切り札さ。私は暫く工房に籠るとする。金はもう振り込んであるから用が済んだら帰んな。」

 

「はいよ、じゃあな。」

「お家にれっつごー。」

 

 堅牢なシールドをぶち破るマスターピースを取り戻し、アイスワーム討伐に必要なものは揃った。これを修復して企業に売り出し、あとは手を取り仲良く遠足をするだけ。持ち物の確認と選定は前日に済ませておけ!

 

 

*1
このミッションは撃破報酬が他より1.5倍増し、全部倒せばだいたい50万程加算される




カラードのお茶会もこれだけ平和だとよかったのにね。
「矜恃が要るのか?ウィン・D。」
このセリフ好き。
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