やぁ戦友。メリークリスマス、V.Ⅳラスティだ。
随分と待たせてしまったな、すまなかった。
家探しだのライフラインだのがようやくひと段落着いたところだ。どうにか今日に間に合って良かったよ。
私が居ない間、PS鯖に改造機体が出現しては撃破されているようだな。このラスティも是非対峙してみたいものだが、残念ながら私のランクはDだ。(実力カスティ)しかもPC鯖だ。PS鯖の戦友の撃破報告を待っているよ。
待たせたお詫びと言ってはなんだが、第1隊長フロイトと一緒にスネイルのいつも使ってるヘアワックスを中身だけ業務用に使う樹脂素材のものとすり替えておいた。部屋に隠しカメラを設置したから後で結果を送っておくよ。
ではまた。
オールマインドより迎えに来るから深度1まで頑張って来てね、とのことだったので俺とレイヴンは来た道を戻り現在は深度2にいる。
「なーんかオールマインドにしては過干渉じゃないか?」
「そうね。」
どこもかしこも足場は燃え盛り、アーキバスのMTとLCが封鎖兵器と乱闘を繰り広げている。しかしアーキバス側は押され気味なようだ。ほっといても倒してくれそうだし無視して上に登っていく。熱交換室に通ずるトンネルまであと少し。
『危険です、離れてください!』
あっっっっつぁ!トンネルから勢いよく炎が噴出し、全てを見境なくあっという間に消し炭へと変えた。エアから危険予知の呼び声を聞いていたので俺らは巻き込まれずに済んだがあの勢いだ、ACとて無事ではいられないだろう。
『企業と言えど、統率を欠けばこの程度。崩すのは容易い。』
自慢げにオールマインドがそう言う。エアが言ってくれたから回避出来たものの、もう少し遅れていればこちらも大火傷を負っていたというのによく言うぜ。
火と残骸を避けつつ熱交換室に到着。そこにいたMTを蹴散らし、扉を開けようとすると後ろからLCたちがやってきた。彼らもまた脱出を試みていたようだ。
「前方にACだと…しかも2機!…独立傭兵レイヴンにジンメルだ!」
「くそ、こんな時に限って…応戦しろ!」
敵機の数は3。アーキバスの残存勢力ってとこか。放たれたレーザーを回避し、LCの後ろにいたMTの片割れに爆導索を発射。…地形に当たってしまった。狭いからこいつは封印だな。
「ぎゃああ゙っ゙、熱い゙!」
レイヴンの射撃でMTが爆散し、それにより機械油が広がりさらに引火、視界が赤くなるほど強く燃えあがる。早く倒して扉を開かなくてはこんがりACの包み焼きになってしまう。
火器を使うともっと酷いことになるので蹴って火に追いやり焼いて撃破する。
「来るんじゃなかった…こんな惑星…」
こいつは志願してルビコンに来たのか?甘い罠にでも誘われたか。待っててもひたすらに熱いのでさっさと解錠して進む。進んだ先にもMT部隊がいて俺らを見つけると動揺を隠せずに慌てて攻撃を開始してくる。
『右の部屋の下層にG6レッドがいます。どうしますか?』
エアよりネームドの生存者がいると報告。敵どもをさっくり片付けて下層に降りるとアーキバスMT数機に囲まれながらも応戦しているG6の姿が。
「!?貴様は…G13に独立傭兵か、丁度いい、手を貸せ!」
技研都市から補給無しの連戦続きで弾も少なく、こんな所で無駄使いもできないので蹴りで撃破していくことにする。G6の奮闘もあってか一撃で壊せるのが救いだな。
「済まない、助かった。…思えば貴様達には我が方の依頼を幾度となく遂行して貰ったな。」
「…だが……だが俺は貴様らが死神に見えて仕方が無いのだ!」
「先輩たちが次々に死んだというのに…G13の名を拝しても死なない貴様と、ミシガン総長を殺した貴様らがだ!」
うおっ!豹変して手を出してきやがった!この環境下でパニックに陥ったか…!
「レイヴン!こいつは…」
「もう駄目ね。せめて私たちで葬ってあげましょ。」
至近距離でバズーカを撃ち込んできたので反撃に俺も拡散バズーカを撃つ。閉所だから全弾当たりやすい。
「こいつが…G13がレッドガンにいる限り俺たちの悪夢は終わらないんだ!畜生…家族を残したまま死んでたまるか!」
こいつにも家族が…いや、止まるな。相手はもう壊れている。ガトリングで削り、レイヴンがトドメをさした。
「レッドガンの……悪夢…」
『G6レッドの撃破を確認。先に進みましょう。』
再びゴールを目指す。ここまで来ると敵の姿は見えないな、スムーズに深度1に来れた。で、着いたらリフトが降りてきてそれに乗ればいいらしい。お、補給シェルパあんじゃん。ご丁寧に2つも用意してくれるとは中々ありがたいな。
『目標地点に到着。…5秒後に敵が来ます。油断はせずに。』
まだ敵来るのか…補給したから大丈夫だとは思うが。でももう企業の生き残りってほぼ居なくね?…んー、ベイラムの残党とかか?
「司令部に報告、V.Ⅲペイター現着した。!?貴様らは…独立傭兵レイヴンに…ジンメルだな!?」
あ?まだ生きていたのかペイター。それにV.Ⅲだと?あ、オキーフ死んだからか。しかもACを捨てて高機動型のLCに乗ってやがる。速すぎて照準が追っつかねぇ。
「そういえば、貴様はオキーフ長官に助けられたようだな。そのお陰で第3隊長に昇進することが出来た。感謝する。」
「は?テメェ…人の死をなんだと…!」
「オキーフさん…う、うぅっ…必ずや私めペイターが貴方の遺志を継ぎます。そしてスネイルの安否が確認できたら…ゆくゆくはアーキバスを!」
昇進欲の化身め…世話になっていた人を足がかりにするとは…
前世からその性格は知っていたが、こうも底が深いとは思ってもいなかった。上に立って実権を握りたいスネイルとはまた方向性が違うが振り切れたバケモンに変わりは無い。
「速いけど要所要所で停止するからそこを狙うといいわ。」
「OK、ソッコー終わらせてやる。」
ガトリングは…まともに当たらないので動きをよく見てバズーカを当てるとしよう。ミサイルはそこまで避けづらくは無いし耐久もHCに比べたら柔らかい方だから苦戦はしないはず。レイヴンなんざバカスカ弾当ててるし。
「この機体でも苦戦はするか…!だがオキーフの雪辱、晴らして見せよう!」
「雪辱?それは違うな。アイツはこの先で起こることを予知して人として死ぬ事を選んだ。
吶喊してガトリングをばら撒き、距離が離されようともアサルトブーストでENが尽きるまで追跡はやめない。EN切れを起こす間際に蹴りを入れ、壁面に叩きつけご自慢の飛行を封じる。
「がはぁっ…あ…何故V.Ⅲであるこの私が!」
よたよたと時折スパークを起こしながらライフルを撃ってくる。やっぱりお前には8番のままが似合ってるわ。
「あばよ。」
デトネイティングバズーカを突きつけ、銃剣の部分を少し刺してから発射する。ひしゃげて使い物にならなくなったがオールマインドにせびればまたくれるだろ。
「おかしいな…道が…崩れて…」
ジェネレータから盛大に爆発。死ぬ間際まで昇進の事考えてるとかいい性格してやがるぜ。
『お疲れ様でした。オールマインド管理権限により、保存されている全てのデータベースを抹消。これで、何人も貴方々の姿を認識することは出来ないでしょう。』
眩い光と共にリフトが降りてくる。なんか…あれだな。昔のSF映画で見たUFOに出くわす瞬間みたいだ。牛とか吸われてくキャトルなんちゃらってやつ。
『おや、ジンメルのバズーカが壊れているではありませんか。ログハントも溜まっているようですし、ここはぜひKRSVを…』
「要らんから同じのくれ、EN足んないからまず装備出来ねぇし。」
『(´・ω・`)』
キッパリ断ってリフトに乗る。懲りずにKRSVを勧めてくるとは、相変わらずだな?オールマインド。
「初めに比べたら強くなったね。ほぼ私の出番なかったし。」
『アリーナランク詐欺ですね。最近でランク1桁台を2機も撃破しているのでもっと上がってもいいと私は思います。』
「はは、いつもレイヴンと一緒にいたからこそ成長できたのさ。」
「それはジンメルの頑張りでもあるからもっと素直に誇ってもいいのよ?」
『時期的にもう意味はありませんが、アリーナのランク順位を上方修正しておきましょうか?』
「たまには良い事言うじゃんオールマインド。やっちゃえ。」
やめろ!あぁいや、今は上がってももう特に関係ないのか。誰も見るやつなんて居ないだろうし、まぁいい…のか?
無事脱出できたあとはガレージに戻った。そんなに長い間出てた訳じゃないのにひっさびさにベッドで休める気がする。
…レイヴンが俺のベッドを占領している点を除けばの話だが。自分ん家のように寛ぎやがって…とっておいたそのナッツもフィーカも高かったのに。
「おいしいねこれ、あげる。」
「いや元々俺の…おっと。」
指で弾かれたナッツをキャッチ。…うん、うまい。あ…袋もう空っぽになってるし。ほっぺたいっぱいに頬張ってお前はリスか。かわいいな。
『そういえば、アリーナはもうご覧になりましたか?』
「まだだったな。…あんま見たくないけど見るか。」
恐る恐るアリーナを開く。怖くて目が開けらんねぇ!半目にして…
9には居ない、8…7…6…………2…2!?
「おめでとう。Sランクの傭兵さん。」
『おめでとうございます。なんだか誇らしいですね。』
「賛辞は受け取るが…まさか2て…いいのか?」
オールマインドからもメッセージが来ている。
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To:独立傭兵ジンメル
From:オールマインド
既に確認済かと思われますが、先程の宣言通りランクの昇格を行いました。
直近の成績や、G1ミシガンの撃破など、ランク2の位置に値する強さだと判断した上での結果です。企業に属さない独立傭兵としてはあのレイヴンに並ぶ脅威を持つことでしょう。
ささやかながら、オールマインドよりプレゼントを送らさせて頂きました。このメッセージを見ているときに届くでしょう。
さらなる研鑽と発展を祈ります。
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プレゼント?丁度なんか来たな。はい、あ、サインは…要らないですか?はい、あざーす。
思ったよりも大きめで、両手になんとか収まるくらいのサイズ。KRSVそのものじゃなくて良かったー!
『早く開けてみましょう。楽しみです。』
「隙間なくギチギチに梱包されたステッカーだけとかじゃないよね?」
「あいつだからなぁ…ありそう。」
いざオープン。大小色々入ってる。
「これは…オールマインドのロゴ入りのキャップ?」
「ブランケットか。ロゴの主張甚だしいな。」
『アリーナランカーのエンブレムがおまけのウエハースが箱でありますね。』
他にも幾つかグッズがあった。エンブレムのアクリルキーホルダーとかトートバッグとか。あとやっぱりステッカーは全種揃って入ってた。
「こうして見ると…サンプル品を纏めて送り付けられたみたいな気がするな。」
「非売品かもね。このキャップ似合うかもよ?」
「AC乗る時邪魔くさいから飾っとくわ。」
『お待ちください、そのキャップが邪魔ですと?誰の頭にもフィットするように緻密に設計されたデザイン、凹んでも元に戻る可塑性に防水はもちろん、なんと耐ENコーティングを施しているのですよ?一般的な拳銃サイズのレーザーくらい余裕で弾くことでしょう。他にも…』
「ストップ、これ一つに詰め込みすぎよ。それならもっと軍事用品の開発でもした方が売れるんじゃない?」
『そんなものは他企業に頼んでください。私はまだスウェットやボアフリースジャケットの開発は諦めていません。アパレルブランドとしてもオールマインドは有用だと示してみせます。』
ここじゃファッションのファの字もないからなぁ…みんなパイロットスーツの上にコートとか何か一枚羽織るぐらいだし。デザインが良ければ着てみたい。
今着飾ってるのは前線に出ない地位のあるジジババとか…そういえば出撃しない日のスネイルはいつもカッチリとした高そうなスーツだったような。あいつもあいつで見た目から頑張っていたんだな…誰も話のネタにしてなかったし寧ろメガネのことばっか言われてた気が。
〜ちょっとだけ回想〜
『なぁ、知ってるか?スネイル隊長の部屋には色んな種類のメガネが大量にかかってるラックがあるらしいんだ。これから月末の精算報告書出しに行くからついでに見てくる。』
『…今日のスネイルのメガネ、チンケなマフィアが着けてそうなちっこい丸メガネだった。危うく吹き出して再教育センター送りになるとこだったぜ…』
『おいジンメル、アイツのメガネよーく見てみ。…レンズ入ってなくね?…クッ、ギャハハハ!ス、スネイル閣下!?すみません!』
〜回想終わり〜
よく食堂で話してたメカニック担当のあいつ元気かなぁ…ずっと整備班やってたし死んでないと思うけど。
『さて、いよいよ計画も大詰めです。ザイレムはもう動いているでしょうし、決行は早くても明日だと予想されますので、十分に休息を。』
「あ、はい、計画ってなんですか!教えてください!」
「簡単に言えば全宇宙にコーラルを解き放って新たな人類を創り出すこと。」
「は??????」
「え…あの…それ以外は…」
「無い。」
そしたらこの体はどうなるの?俺もシースパイダーとかの燃料にされるの?ミールワームの餌になってもぐもぐされちゃうの?
「わっけわかんねぇ…ねる…」
なんかもう今日の記憶吹っ飛ばねぇかな、ベッドで寝よう…
「ジンメルはあったかいね。」
「う…勘弁してくれ…」
慣れた動きで隣に引っつかれるけどもう振りほどく元気すらないや。でも密着だけはしないでください。VE-66LRAがチャージを始めてしまいます。え?
『おはようございます。メインシステム、通常モードを起動。おはようございます。メインシステム、通常モードを起動。おはようご…』
ふぁ…朝…いてて、腕が痺れて動けない…
「エア、レイヴンを起こしてくれ…」
『もう起きてますよ?』
「じゃあとっとと離せや…」
「やだ、もうちょっとだけ。」
「俺の腕の何が楽しい…痛いから離して。」
やっと開放された…ふぅ。朝飯朝飯っと。
『早朝に失礼します。想定していた時期よりも向こうの動きが早く、時間の余裕がありません。ですので簡単に説明します。ザイレム制御ブロックに設置されたパラサイトモジュールの破壊をしてください。数は6つ、二手に分かれて捜査すると楽でしょう。』
「朝飯食わせろ。」
『申し訳ありませんが、移動中に補給をお願いします。』
せっかくだから貰ったトートバッグに食料と飲み物を入れて持っていく。移動時間がそこそこあったのである程度食えたから良しとする。
『ザイレムに到着。マーカーを辿り制御ブロックに侵入してください。』
横道から扉にアクセスして解錠、中は立体的な構造で迷ってしまいそうだ。道中にも汎用兵器が配備されているのでスキャンを切らさないようにしないと。
『モジュールから出ている波形をキャッチ、位置を示しておきました。手早く行きましょう。』
「有能すぎんか?」
『もっと褒めてくれてもいいのですよ。』
6つのマーカー情報が表示。後は兵器の破壊をしつつ無効化していくだけ。エアがいないと思うと大変だなこりゃ。
『ヴェスパーのデッドコピーが数体、そっちはどうだ。』
『こっちはレッドガンバージョンさ。チッ…旗色が悪いね…こんな時にビジターと坊やがいてくれれば良いんだけどね…!』
『あいつらはまだ生きている。621の強さは誰よりも俺が知っている。』
どこからともなくウォルターさんとカーラの通信が聞こえる。襲いかかる兵器を相手にザイレムを防衛しているようだ。
『それに、621にも友人ができた。621はもう自由だ、俺がいつまでも縛っていいものでは無い。』
『あいつらだいぶ仲良さそうにしていたよ、フッ、付き合ってもおかしくないんじゃないか?』
『621に…彼氏…だと?…ここは任せていいか。あいつを…消さなくてはならない…』
『この状況でどっか行くのは流石に笑えないからやめておくれよ?』
…暫く隅で丸まってようかな。間接的にガチトーンで殺害宣言されたのは初めてだよ。
『残りあと1つです。ハンドラー・ウォルターとシンダー・カーラはこちらで対処致します。…?ジンメル、隅で何をしているのです?』
「いや、ね?急に殺されるかもしれないし…」
変なことしてたらレイヴンが全部壊し終えてたので、奥に進む。小部屋の中の制御盤を支配すればミッション完了らしい。
『やはり来たか、ビジターにジンメル。ボスからの伝言を預かっている。』
『その選択は、悪いが笑えない。緊急プロトコル発動代行、ザイレム、オールブロック。』
けたたましく警告音が鳴り響くと同時に部屋が赤く染まり、レーザーが張り巡らされる。
『シーケンスの進行を許せばバスキュラープラントへの衝突を許し、アイビスの火の再現が確定します。なんとしてでも止めてください。』
アラートが鳴ったと思うとレーザーに貫かれた。スタッガーにはならなかったが、しっかり痛い。こちらを狙うレーザーが出てる箇所にアクセスして進行を防げばいいんだな?
『発動シーケンス、25%完了。』
「そこにいて、私は反対側に行って対処するから。」
こういう時に2人いると楽だな。
『やはり俺では…済まない…ボ…ス…
『システムダウン、中央のデバイスにアクセスして下さい。』
8回ほど繰り返せば糸のように張られたレーザーも消え、いよいよ本丸にアクセスできるようになる。レイヴンが制御システムに手を伸ばし、改竄を完了させる。
『これでバスキュラープラントへの衝突は避けられました。また、こちらの対処も完了した事をお伝えします。』
『これで最終段階まであと1ステップとなりました。ありがとうございます。』
恐らくウォルターさんとカーラはオールマインドにやられた。あとはコーラルと1つになるだけ…か、どうすればそんな答えに行き着くんだ…
何が正しくて誰が間違っていたのか、たとえその果てに死が待っていたとしても俺はそれを見届ける権利と義務がある。
ジンメルのせいでブルートゥがランク9に…