不明なユニットが生成されました   作:五足歩行

18 / 28


こんな時期にインフルだなんて人生最悪のクリスマスと正月かもしれん


FINALLY,I GAZE TO THE END;

 

 

 コーラルと一体化する…コーラルリリースと呼ばれているそれは先の時代のとある教授が危惧し、火をつけ星系ごと焼き払う()()に収め未然に防いだもの。

 密集すると自然増殖する特性が、密度を高め破綻を起こすトリガーの足がけとなり、最後に条件を満たす者にコーラルを共振させることでリリースは成る。

 

 機体そのものを器とする飽くなき闘争のための計画。最終戦がルビコン3の熱圏にあるLOCステーション31で執り行われようとしていた。

 

 レイヴンとジンメルが降り立つ。視線の先には逆関節型のACが一機。

 

 

『見てください、コーラルが共振を始めている。それはつまり我々の計画も成就寸前という事です。』

『だから___』

 

 

 センサーに光が灯る。

 

 

 

「___よぉ…野良犬。おまけ野郎もな。」

「俺はてめぇらを倒すために…不本意だが利害は一致したこいつと一つになった。」

 

「今度こそ…超えてみせる。」

 

 

メインシステム 戦闘モード起動

 

 

 イグアスの周りに無人ACが四機現れ、イグアスはゆっくりとKRSVを構えチャージし始める。

 

「あいつの狙いは私。ジンメルは取り巻きをお願い。」

「了解した。」

 

 

 開戦のゴング代わりに最大までチャージされた2種複合レーザーが2人の間を通過すると、それぞれが動き出す。

 

 レイヴンとジンメルは敵を挟むように二手に広がり、対するイグアスとその取り巻きは陣形を作り固まって動く。

 

 レイヴンはいつも通りパイルバンカーを当て、素早く対象を戦闘不能にするいつもの速攻スタイル。ジンメルがいかに壁役の無人ACを早くぶっ壊すかが肝心になってくる。

 

 無人ACのAPはそこまで多くないのでなるべく広範囲を巻き込める肩武器を中心に立ち回る。

 

 

「ポンコツと一体になったことでよぉく解るぜ、お前が殺した奴らの叫びがなァ!」

「だって殺らなきゃ殺られるんだもの。間違ってる?」

「いや、間違っちゃいねぇ。だが、お前は殺しすぎる。ポンコツの言う計画が成った後も闘争を続けるつもりだろ? 」

『あの…ポンコツって言わないで下さい…』

 

 

 闘争の果てに見えるものは分からないけど、それが私に与えられた役割。レイヴンがそう零し、さらに苛烈な攻めを展開していく。

 

「二機撃破。三機目ももうすぐだ。」

「こっちもあと40%くらいよ。」

「チィ、おいポンコツ、あれの準備を急げ。」

『わかったからポンコツって呼ばないで!』

 

 

 拡散バズーカで残りを纏めて消し飛ばし、イグアスに弾幕を集中させる。前後に位置取るACを同時に捌けるはずもなく、スタッガーを迎える前にイグアスのAPは底をついた。

 

「まだ終わっちゃいねぇぞ。」

 

 停止したマインドガンマを押し潰して現れたのはACよりも巨大な兵器と改修されたシースパイダーが二機。周囲に浮かぶ緑色の粒子が色濃く見えるほどざわつき始める。

 

「お前らが2人で来るのなら、俺らだってこれくらいは許してもらうぜ。…行くぞ。」

 

 その時、後方よりレイヴンの隣に珊瑚色のACが降り立つ。コーラルジェネレータ特有の紅い炎を噴出しながらレイヴンの傍に着陸したのは全て技研製のパーツに身を包んだエア。

 

『お待たせしました。これで3対3…また貴方と並んで闘える!』

「エア!?いつの間にそんな技術を!」

『この機体は元より人以外が操作することを考えて作られました。なので、私でも容易に扱えます。』

 

 これで各陣営のメンバーが出揃った。

 

「てめぇはいつも楽しそうだなァ、俺と何が違う?俺の周りにゃもう誰もいねぇ。」

「傭兵だからこその関係さ。」

「はん、ならヴォルタと一緒にレッドガンをサボれば俺だって…もっと友人ができただろうになぁ…」

『私がいますよ、イグアス。』

「お前は違ぇ。ピーピーうるせぇからすっこんでろ。」

『泣いてもいいですかジンメル。』

「俺に聞くな。」

 

 向こうの仲は良くなさそうだ。ここで機を逃さぬように3機の動きが変化する。連携を組まれてしまう前にイグアスを3人で袋にすると口頭での合図も無しに決まった。思考とデバイスに直接伝えることの出来るエアがいるから成せた技だ。

 

 イグアスが右腕の近接ブレードを展開し横薙ぎに切り払う。範囲が大きく、水平方向の回避は難しい。

 

「痛ってぇ、縦にもでかいし避けずらい!」

 

 1発でも喰らえば大ダメージとスタッガーは必死。見慣れない攻撃に対応が遅れるも相打ち覚悟で砲弾を喰らわせる。

 

「今だ、パイルバンカーを!」

「分かってる!」

 

 衝撃値が溜まり切り、イグアスがスタッガーに。再度行動を開始してしまうギリギリまで弾を叩き込み、最後に近接適正トップ1のBASHO腕によるパイルバンカーが炸裂。

 

「グゥ…イラつくぜ、同じ第4世代なのにその戦闘センスに隙を逃さない嗅覚!まるで俺がどう動くか知られているみてぇだ!」

 

 APは3分の1を切り、もうすぐ半分を割る。

 

 イグアスの感情に作用されたのか護衛機も出力を強め近寄らせまいとレーザーを振り回す。

 

「おいおい、あの松ぼっくりたち暴走してないか?」

「そいつらは無視していいわ。レーザーの攻撃も大振りだし避けたらすぐイグアスに集中して。」

 

 レイヴンがそう言うと背後からくるレーザーを見えているかのように回避。まるで相手にしていない立ち回りを魅せる。

 

 ここでジンメルのオマバズがイグアスにヒット。次いでエアの赤い光波が2連続直撃。

 

「テメェら…纏めて消えろォ!」

『イグアス、何を…!』

 

 追い込まれAPが半分に差し掛かるや否やイグアスが無人機に干渉する電波を放出する。

 

『機体との同調が…!すみません…やはりどうやら手伝えるのはここまでのようです…』

「お疲れ様、エア。」

 

 プログラムされた無人機とエコーと同調していたエアが強制的に弾かれ、残ったのは発動者のイグアス、有人機のレイヴンとジンメル。

 

「あぁ…は…ははは!耳鳴りもしねぇ…透明だ…気分がいい…こいよ野良犬。」

「そうね、いい加減ケリをつけましょう。ジンメル、イグアスは1対1を望んでるから出さないで。」

「…負けんなよ。」

「ふふ、誰に言ってるの。」

 

 ジンメルは被害の届かない場所まで下がり、闘いの行く末を見守る。

 

『では、実況は私オールマインドと解説はジンメルでお願いします。』

「しねぇよ!こんな時にふざけやがって調子狂うわ。」

 

 イグアスは高レートのレーザーライフルで射撃。対するレイヴンはRaDの初期フレームとはいえ武装はレンコン(SWEET SIXTEEN)にパイルバンカー、両ハンガーに長ハンドガンと軽めに抑え、ブースターも推力が高いものを積んでいるので横移動だけで躱していく。

 

『2人の武装は近接戦闘に重きを置いたもの、これよりインファイトを中心に繰り広げていくでしょう。ねぇ?』

「…」

 

 今度はブレードを三叉に変形し、突き刺すように突撃していく。イグアスが予備動作をしている間に上昇し、攻撃を繰り出す寸前まで引き付けてから自由落下で避けハンドガンをすれ違いざまに2発。

 

 大きな弾痕が残るも負けじと更に激しく動き回り再度ブレードを振りかざし斬りかかる。

 

「ケッ、弾は外さねぇわ俺の攻撃は尽く避けやがる…おい野良犬、バカスカ撃ちやがったお陰で俺はもう長くは持たねぇ。」

 

「だから…これが最後だ…今は俺だけを見ろ、俺だけと向き合え、俺を叩きのめして見せろ!オオォッ!

 

『敵機のジェネレーター出力が上昇していきます!…あれは!?危険ですレイヴン、回避を最優先して下さい!』

 

 上空に飛び上がったイグアスは熱圏を舞いながら出力を高め、これまでのブレードとは一線を画す大きさに進化する。緑色だったものがより洗練され眩い白一色に染まり、エネルギーに揺らめいていたブレードが剣を思わせるくらいに鋭く、美しささえ覚えてしまう。

 

『エネ…ギー出力…限界…過……イ…アス…これ以上…は…』

「分か…って…る。余計な…とすん……ねぇ…ぞ…」

 

 回線に雑音が入る程の超出力。目にも止まらないスピードで移動しながら天に突き立てていたそれをレイヴンに振り下ろす。巨大故にゆっくりと迫るように見え、大気がふたつに裂けてゆく。

 

 その尋常でない威力を察したレイヴンはリペアを瞬時に使用しAPを満タンに保ち、刃が触れる寸前で斜め前に避け、アサルトアーマーを起動。イグアスはスタッガーに陥り、レイヴンも掠っただけでAPが9割持っていかれるが機体をどうにか動かしパイルバンカーをガラ空きの胴体に穿つ。

 

 

「__ハッ…それでこそ…()()()()…だ…ちくしょう…遠い…な……俺の…憧れ…」

 

 

 青い炎を上げ、爆発していく。敗北した姿なのにどこか満足気に見える。

 

『人類と生命の可能性が…あぁぁ…嫌だ…』『離れたくない…』

『お任せ下さい。私たちが引き継ぎます。』

 

 エアの発言を聞いてリリースを託したのかついに停止。

 エアがコーラルに呼びかけ、バスキュラープラントが音を立てて歪んでいく。上部が闇に呑まれ消滅したかに思われたその時、爆発的にコーラルが増加していく。その光景はまるでブラックホールのよう。

 

「これが…コーラルリリース…なんて景色だ…」

『はい…とても美しいですね…』

 

 全てを呑み込むコーラルの奔流は惑星ですら例外なく包み、瞬く間に宇宙に伝播し拡散していった。

 

 

 


 

 

 

 

『起きて下さい、ジンメル。』

「ん…!?」

 

 目を覚ますとそこは透き通った水の中、慌てて半分埋もれてたACを起動させ立ち上がる。

 

「ぶぉわ!…溺れるとこだった…ん、お?」

 

 自身の体調を確かめるように武器を握っていない方の手を開閉する。いつもより精度が良くなった気がする。

 

『コーラルは私達を乗せ、星々に伝播していきました。ジンメルもあれに飲み込まれたので、どういう訳か強化人間に近いスペックを獲得したようです。』

「コーラル由来だし最新世代並じゃないと思うけどね。なんか違和感とかはある?」

 

 試しに手足をプラプラと動かしてみる。ACも動きは同期しているので少しひょうきんな雰囲気が漂う。

 

「…特には無いかも。強いて言えば五感が鋭くなったかな?ずっと遠くの音も拾えて720pが4Kに変わった感じ。」

「へぇ、良かったじゃん。」

「…で、こっからどーするよ?」

 

 建物すらない地平線を見渡す限り周りには企業や組織のパーツがごちゃ混ぜになったACで溢れている。

 

「いつもならここで終わってまた始まりに戻されるのだけど…」

『せっかくです、色々試してみましょう。』

 

 まずは乗り換えです。と提案され、すぐ傍にいた車椅子型のタンクに移る。

 

「どう?」

「ん?お?お、おおお!」

 

 無限軌道を唸らせて走り出す。ドリフトまで成功していることからどうやら上手く動かせているらしい。

 

「じゃあ攻撃するから避けてみてね。」

「は!?ちょっ!うおおおおあ!?」

 

 そこら辺のACからバズーカ(LITTLE GEM)を拝借してレイヴンによる超高等傭兵検定の開始。

 

 中々上手いこと避けるものだからレイヴンも火がつき、別のACに飛び乗ってどちらかが停止するまでひたすら戦闘訓練をし始める。

 

 99%レイヴンが勝つのでジンメルの機体をぶっ壊した傍からダメ出しをして実力を叩き上げていく。*1

 

「そこだっ!」

「いいね、その調子!」

 

 レイヴンの教えもあってここまで来れば実力はいよいよ拮抗しだす。

 最初は眺めていたエアは、あ、これAC無くなるまで終わんないやつだ。と察してコーラルの流れに乗り今は3光年くらい離れた星を探索中、施設や運良く消えずに残っているヒトの文献などのデータを片っ端から蒐集している。

 

「アハハッ!いいよ、もう私に並んでる!もっと…もっといけるでしょ!?」

「ンの頭フロイトが!?ぬうっ…ぐぉらあぁっ!」

「あぁっもう脚が!次っ!……あれ。」

「もうAC無ェよ…やりすぎたのさ、俺らは。」

 

 星に残存しているACを全て使い込むまでの闘争は最後に立っていたジンメルの勝利。

 

「こんなに闘い続けたのは初めて。とっても楽しかったなぁ…ねぇ…次はさぁ、最初からずーっと一緒に居ない?きっと楽しいよ!」

「次?あぁ、次の周ね。…どーすっかなぁ。」

 

 この世界に許された時間も残り僅か。

 

「俺な、確かに今は楽しいけどさ、こんな悲しくて寂しい結末はもう二度と味わいたくないんだ。探してみるよ。たとえまた夢に終わるとしてもハッピーエンドを。」

「やれるものかな、そんなにうまく…私は出来なかった。」

「できるさ。俺はあのレイヴンに並ぶ実力者なんだぜ?それに、なんでも出来るエアもいるんだ。だからな…まずは_____」

 

 

 

 

 選択肢のその先へ。

 

 

 

 

*1
残りの1%はランダムアセン運で勝ち取った





W実弾オービット&スライサーが楽しい。
Wスタンガンも楽しい。W持ちはなんでも楽しい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。