不明なユニットが生成されました   作:五足歩行

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なんかもう1ヶ月以上経ってて草
ごめんなさい


Throw Dice!!!

 

 

 

「失礼します。」

 

 一挙手一投足や発言は間違えられない、気付けば背筋を伸ばしてしまう程厳かな空気で満たされた室内に入る。スネイルの執務室だ。

 

「貴方を呼び出した理由は一つ。あのハディーンと解析された不明機体の事です。」

 

 突如として封鎖機構と同じくして湧いて出た目の上のたんこぶ。気にしない訳が無い。

 

「V.VIIIやV.VIからも似た様な報告がありました。アリーナ登録者の何れかのアセンブルを再現した黒いAC、そしてテストという単語。」

「奴らはルビコン3全域に来ている……?」

「その様です。先程ベイラムのG1からも怒号…いえ、連絡が来ました。この後ヴェスパーとレッドガン、両名による一時休戦、共闘協定を上層部に申し入れる予定です。」

 

 なるほど、確かに漁夫の利で奪われてはたまったものではない。俺としてもその協定は願ったり叶ったりだ。このまま合併してくれるとありがたいのだが。

 

「恐らくですが…奴らの目的は勝敗に関わらず我々の戦力を測る事。数を重ねれば重ねるほどこちらが不利になると俺は見てるっす。」

「ほう……それは一理ありますね。」

 

 ここでスネイルの胸ポケットに付けられていた無線機が反応した。よく見るとV.Iのシールが雑に貼られている。直通の専用無線機ってことか。

 

「はい。どうしましたかフロイト。」

『おいスネイル、黒い奴じゃないのが来た。』

「…どういう事です?」

『中身入りの喋るACだ。あいつらの上にいる一人に違いない。』

 

 だとすればラッキーだな。捕らえて情報を吐かせたいところだ。

 

『遊ばず真剣に無力化しなさい。尋問の後ファクトリー送りにします。』

「うるさい。邪魔するな。」

『は?かけてきたのは貴方で………フロイトォ!』

 

 スネイルが怒りのあまり無線機を床に投げつけた。ホントACのことになると自由だな。

 

 

 

 


 

 

 

 

「待たせたな。お前が黒いACの親玉か?」

「お前こそ、ここ、構成変えやがったな!?」

「ほう?よく分かったな。内装を少しイジった*1んだ。これで俺はもっと強くなれる!」

 

(太い逆関節(SPRINGCHICKEN)で後は大豊か。武装はパルスキャノン二門とグレネード。メーテルリンクとペイターを足してゴツくしたような構成だな。)

 

 敵機の構成からなる戦略性を分析する。どう立ち回るかプランを立てていく。

 

(そして左腕に見たことがないパーツ。形状と装着位置からして近接武器か。)

 

「そのパーツはなんだ?」

「これはな、僕が作った無敵の近接パーツさ!」

「パイロットだけでなくアーキテクトも兼ねているのか。面白い。」

 

 一先ずレーザードローンを飛ばして様子を見る。

 

「オービット?違う、自機から自立して動くドローンか!欲しいっ!」

 

 激しく敵機の周囲を旋回するドローンは即座かつ正確に撃ち落とされた。なるほどそれなりの力はある様だと少しやる気を出す。

 

「そんな所から連射して、パルスは集弾性が悪いのを知らないのか?」

 

 パルスキャノンの射程外からアサルトライフルを撃ち続け、機を探る。後の先を獲るようなスタンスで引き撃ち。

 

 突進するようにアサルトブーストしてきたのでバズーカを撃つ。しかし横へのクイックブーストで避けられる。

 

(構えた瞬間横に跳ばれた。反応と言うより読まれたレベル。まぁ比較的分かりやすいタイミングだったが、クイックブーストのリロードが早いな。ラスティと同じブースターでも積んでいるのか?)

 

 起点になるかと思われたが、再度探り合いの時間が訪れる。

 

「喰らえ!」

 

 そうこうしている内に、早速未知を披露してきた。焦らずにまずは観察。左腕の近接武器は全てが高威力だ。モーションをよく見て目に焼きつける。

 

 左腕の近接武器が迫る。半身になり左腕を大きく引き絞り、コアパーツ一点を目掛け振り抜く。後方にクイックブーストを連打していたため、綺麗に空振る。

 

(インパクトの瞬間はパイルバンカー(ボディブロー)に近いが、フォロースルーはレーザーランス(突き)とも似ているな。使い手の癖か?武器の射程は大体50m程度、近接推力は乗っていた。非チャージか?)

 

「当たらなければ意味はない。どうした、まだ振れるだろ。」

「だ、誰がもう終わりだって言った!?」

 

 振り抜いた体勢のまま、ギィィィと圧縮音が鳴り出す。そして破裂音を立てて飛来した弾頭は、コアには当たらなかったもののロックスミスのヘッドパーツを掠める。

 

「……っ、射出もできるのか!」

 

 パーツの8割が消し飛び、操縦者の眼となる機能は全て死んだ。今やジョイントパーツ部分を残し、首なし機体が出来上がった。

 

(カメラアイがイカれた!なんだその多機能っぷりは、ますます欲しいぞ!)

 

「フーッ、ふふははっ!お前はこれで終わりだ!」

 

 何も見えないフロイトにトドメを刺すべく、パルスキャノンを浴びせてからGOU-CHENが構えられる。トリガーに指をかけた。

 

 

 カチリ

 

 

「そこだな?」

 

 フロイトは瞬時にオートエイムからマニュアルエイムに切り替えた。機体の方向はアシストで常に敵機を向いている、ならば僅かな調整で最善の一手を己の手で手繰り寄せるのみ。

 

 GOU-CHENが発射される寸前にSCUDDERを発射。コックピットしか見えていないというのに正確に狙いを付けられた一発は、砲身から飛び出さんとする砲弾の近接信管部分に吸い込まれるようにヒット。自爆する形となって敵機をスタッガーに陥らせた。

 

「おおぁお前ぇっ!」

「眼は死んでも狙いはずっと外さない。こじ開けろ、ロックスミス。」

 

 ブレードホーミングに身を任せ、急接近。レーザーブレードを水平に斬り払う。後ろに跳んで逃げようとする敵機を追い、思い切り蹴りつけてやると、ちぎれかけていた上部と下部が終ぞ泣き別れた。

 

「き、聞いてないぞ……こんなバケモノ!」

 

 断末魔を上げ、敵機は爆散した。

 

「ふぅ…久々に楽しかった。やはり死線はいい、ドーパミン大放出だ。」

 

 興奮冷めやらぬまま、ふと思い出したかのようにスネイルに無線を繋ぐ。

 

「あーあー、フロイトだ。見てたか今のクリップを、ぶっ壊してやったぞ。」

『はいはい見てました(適当)。帰投し次第敵機の詳細を報告なさい。』

「おっと、忘れ物。」

『聞け!』

 

 瞬間湯沸かしスネイルを無視してTURNERをパージ(-21,600C)。左腕ごと掴み鹵獲品をゲット。

 

「ADD…いや、メリニットなら同じものを作れるか?」

『寄り道せずに私の部屋に来なさい。いいですね!』

「おーけーおーけー」

 

 

ブツッ

 

 

 

 


 

 

 

 あ、メガネにヒビが入った。そしてポケットからスペアを取り出した。何個あるんだ?

 

「…っっ………っこの……バカ…!」

「も、もしもーし、いい加減血管切れそうなんで今回だけは来てもらっていいっすかー?」

『そうか。分かった。』

 

 ホントに分かってんのか?

 

 暫くしてから、ノックせずフロイトが部屋に入ってきた。何やらニコニコしている。AC戦が楽しかったんだろうな。

 

「よぉ、約束通り来てやったぞ。」

「よく頭無しで帰ってこれましたね。帰巣本能っすか?」

「オートパイロットだ。COMは生きてたからな。」

「無駄話は後になさい。アレについて説明なさい。」

 

 フロイトは楽しげに語り出した。

 

「アイツは多分星外の奴だな。それも随分遠く離れたとこだろう。持って帰ってきた武器のロット番号が知らないやつだった。」

「新武器!見たいなぁ。」

「見ないと損だぞ、絶対ビックリするから!」

「ンン゙ッ!」

 

 おっと、話がそれてしまった。新武器と聞いてテンションが上がらない男はいないのだ。いや目の前にいたわ。

 

「言っただろ、星外だって。アーキバスベイラム解放前線封鎖機構独立傭兵、そのどれでもない。」

「予想はしていたが、企業や組織とも違う全くの新勢力ってことか……」

「違いない。MTばかりで暇してたんだ、面白くなりそうでいいじゃないか。」

「どこがです?」

 

 腕を組み、目を瞑って笑みを浮かべている。さっきの戦いの余韻でも味わっているのだろう。

 

「…接敵時に誰かと間違えていたような発言でしたが。」

「ん?俺はあの黒いのとはやれてなかったからな。そういう事だろう。」

「それにしても動き出しが想定よりも早い……もう対策完了とでも言いたいのか?舐めてくれる……」

 

 モニターが突如砂嵐に変わる。ブツりと何かを接続する音が聞こえ、犯人と思しき声が放送される。

 

『ご機嫌よう、ルビコン3の諸君。私の声が聞こえているかな?』

「これは…ハッキング…!」

「ケイト!今すぐ解析を頼む!」

『お任せ下さい。』

 

 直ぐさま通信回線でケイトに解析を当たらせる。

 

『1人先走ってしまったようだ、まずは非礼を詫びよう。』

「またアーキバスを出し抜こうとする輩が…鬱陶しい!」

『勘違いしないで欲しい。コーラルなどと、そんなものは必要ない。我々が望むものはただ一つ、闘争だ。』

 

 コイツ、自分たちが楽しむ為だけにルビコンに来やがったのか?

 

『ただ、我々は強くなりすぎた。蹂躙も悪くはないが、やはり純然たる闘争が好ましい。情報収集の礼だ、そちらのパーツを使用するハンデを設けよう。』

「全隊員に通告!常時警戒レベル最大、アーキバスの居地に近付くものは例外なく撃墜せよ!」

 

 回線をオープンにしてスネイルが告げる。

 

『3日後、こちらの総戦力がルビコン3を襲う。それまで対策に励んで頂こう。但し、我々は少しだけ強化してから挑ませて貰う。レイドボスだと思えばいい。』

「ほう、レイドボス!」

『来る血戦を楽しみにしている。』

 

 愉快さを隠しきれていない笑みを最後に、音声が途切れる。モニターは通常の画面に戻った。

 

「ケイト、何か分かったか?」

『はい。先程のはボイスログ。しかしセキュリティが一つも掛かっていませんでした。まるで対策してくれと言わんばかりに……』

「会議室にヴェスパーは全員集合するように。それとケイトとやらも来てください。…全く、ルビコンは遊び場では無いのですよ…!?」

「違うのか?」

「それアンタだけっすよ。」

 

 程なくして会議室にIXからI、ケイトも全員招集された。

 

「揃ったようですね。早速ですが収集した情報を。」

「はい。敵勢力名はノヴムコルプス。V.Iが撃破した者も含め、4名からなる少数の集団です。」

「たった4人?それでルビコン3全域を相手取るつもりなのかい。」

「ですが殊の外侮れません。無人ACのハディーンが多数いますし、彼らの経歴はどれも一線を画すものばかり。フロイトやジンメル並…若しくはそれ以上だと思って頂ければ。」

 

 良く(フロイト)悪く(それ以外)も想像以上の内容に唾を飲む。

 

「それに……彼らには肉体が存在していません。」

「何!?」

「制御下に置かれた無人ACはまだしも、人の思考を持つ無人ACなんて前例がありません!」

「あの動きはそういう事だったのか。だから俺のバズーカにゼロコンマで反応できた。」

 

 様々なMTや兵器を相手してきたヴェスパーだからこそ、その強大さがよく分かる。 

 

「自ら肉体を捨てるとは……利点は何だ?」

「あ、はい。知人(エア)から聞いた話だと、強者の記憶をコピーし、それを管理下に置いて統治を完全なものとする……って。」

「…!ならば第一隊長殿が撃破したACはまだ……」

「コピーされた無数のファイルの一つに過ぎない……という事でしょう。」

 

 どよめきが広がる。

 

「フロイトと交戦したAC、識別名はアルケイックエラ。主格の一人と見て良いでしょう。」

「成程……俺が前に見た流星はそいつだったのか。封鎖機構の探知網をすり抜けるとは、技術力も確かなようだ。」

「現状のプランを見直して早急に次案を立てなければ。愉快犯気取りの野蛮人どもめ……」

 

 

 想定外の規模に緊張は走りっぱなし。強化人間の最適化を図り、戦力増強を主とする方向で話は進められた。

 

 

 

 

*1
ジェネを20S、ブースターをKIKAKUにした




・アルケイックエラ / ピラルバ
幼い頃から軍需品の蒐集家だった彼は
新兵器が出る度に逃さずコレクトしている
そうして獲得した新兵器を惜しげも無く披露し
何度も戦場を更地に変えてきた

(ランカーACを適当に色で覚えていたため、フロイトの事をキングだと勘違いしていた)


・D/MER05
BOMB SPEAR
アルケイックエラが装備していた星外の近接武器

槍の先に取り付けた爆雷を目の前に突き出す
チャージすることで内部圧縮により爆雷を発射
死地に切り込む傭兵の最終手段として一定の人気を得ている



もう先月の話になりますが
ACコンサート、非常に良い体験でした
トレーラーのパイルぶち込むところで早々に泣いた
Rough And Decent好き

極めつけは吉田真理さんと星野康太さんによるCosmos New VersionとDay After Dayの生歌!
終演後即CD買いました。プレーヤー買わなきゃ……
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