休日パワー終わり!
あれからレイヴンの事は頭の片隅に入れて置いてはいるが、アーキバスもルビコンでの事業拡大の軌道に乗ってきたのか日々忙しい。
あのフロイトですらスネイルに従っている。でもすれ違った時キマった目で見ないでほしい。そんなにしたいならスウィンバーンさんとでもやっとけよ。あの人押しに弱いから。
今やもう飲めるようになったフィーカを啜りながらルビコンにおける情勢を端末で見る。
ふーん、ベリウス北部のウォッチポイント・デルタで大規模な爆発ねぇ…うわっ、ごっそりえぐれたみたいに地図が変わってら。
これは…ベイラムで新武器と大豊娘娘の展示会?もうそんなに時期か…やべ変なバナー押してもうた。…オールマインドかい!コソコソ透明クソデカバナー使ってんじゃねぇ!*1
っと、時間か…今日は壁の巡回だから最近にしては比較的楽かな?
「V.IX現着した。今日も頑張るっすよー」
「ジンメルさんが来てくれたぞ!」
「カメラはどこだ…撮らなければ…」
「関りやすい人だって話だが、私が絆されるわけねえだろぉ!行くぞおおぉぁあ!!」
「あはは…」
変人が多いけど一応笑顔で手を振っておく。いつの間にできたか知らんがファンクラブあるの知ってっからな。ラスティさんが1番会員多いらしい。逆に1番少ないのはやっぱりスネイルだった。ウけるw
その後は特に異常はなし…まぁメンバーが異常だったが滞り無く終わった。
「そんじゃ、皆さんお疲れ様っす。解散!」
「お疲れ様でした!」
「USBメモリから、データが逆流する!ギャアアアアアアアッ!!」
「(器が)大きすぎる…」
変なのは無視しといて帰ろ。ここにいたら俺の身が危ない。
はぁ…疲れた。大して戦闘もしてないのにね。なんでだろうね。
明日は…っと、あれ、空いてる?ん?間違いか?間違いじゃない!よっしゃ!メチャクチャに寝て過ごすぞ!
ベッドにダイブして微睡んでると、タブレットから通知音が鳴る。
チッ、なんだってこんな時間に…レイヴンか。
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From : レイヴン
For : V.IXジンメル
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レイヴンよ。調子はどう?
私は最近ウォッチポイントでコーラルの爆発に巻き込まれたわ。
返事、待ってる。
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何だこれは…いや何だこれは…
今までレイヴンから来たメールの中でトンチキ具合を遥かに凌駕してるぞ…
しかも爆発って…もしや朝のニュースはレイヴンが犯人か?
返事もなにもしようがあるか?大変だったねって送ればいいのか?
…そういえばガレージに来ないか誘われてたな。明日暇だし行くか。
適当に明日いく旨を書き、返信して眠りにつく。
朝、電話がうるさい。まだ目覚ましも鳴ってないのに…
「ふぁい…べすぱーないんジンメルえす…」
『うふふ、おはよう寝坊助さん。』
「レイヴンさんっすか、まだ7時っすよ…」
「ほら、今日ジンメルが来るから早起きしちゃったの。早速だけど、座標を送るわよ。ACで来て頂戴。」
「うす…」
さっと身支度をして出る。殺されませんように…
到着。ここがレイヴンのガレージ…
「こんちはージンメルでーす。」
重たい金属音を鳴らしながら扉が開く。出迎えたのは身長が高くて包帯ぐるぐる巻きの女性、杖を携えた鋭い視線で此方を見定める老人が立っていた。
「お前がヴェスパーの第9隊長か、壁越えでは621が世話になったな。」
「生身じゃ初めましてね?独立傭兵レイヴンよ。隣にいるのは私の飼い主のハンドラー・ウォルター。」
「V.IXジンメルっす…初めまして。レイヴンさんにもオペレーターがいたんすね。」
ふわりとレイヴンが笑う。てかデカイな…俺とトントンか?俺も180はあるんだが…
「アイスブレイクと行きたいところだが、俺は野暮用で暫く外す。くれぐれも、変な気は起こすなよ?」
「もう、ウォルター。そんな事しないってば。」
なんか親子のやり取り見てる気分。…もう親の声すら思い出せないや。
「ウォルターも出て行ったし、依頼でも行きましょ?」
「えぇ…勝手に行っていいんすか?」
「大丈夫。私にはもう1人オペレーターがいるの。道案内なら任せて。」
「そういう事じゃなくて…」
近くのモニターに情報が映る。
グリッド086?ドーザーの住処に何の用で?げ…依頼主はベイラムかよ。あ、そういやそこら辺はRaDがあるか。12345とか武器名面白いんだよな。
画面が切り替わり、文章がつらつらと書き出される。
オペレーターはエア、事情があって姿を見せられない?でもハッキングや案内は任せてだぁ?なんか怪しい。
「理由は後で説明する。ほら、出撃するよ。」
俺も行くこと確定してんすね…
カタパルトで飛び出した先は、果てしなく広がるメガストラクチャー。早速ドーザーどもが歓迎のミサイルを打ち上げる。
「所詮は酔っ払い。相手にもならねーっすよ!」
「ふふ、カッコイイね、貴方。」
…やりずらい!殲滅は楽勝だけど隣で褒めてくるレイヴンがいると恥ずかしくて熱暴走してしまいそうだ!
進んだ先に居たランク最下位のラミーを2人でボコした所で広域無線が響く。
『ビジター!好き放題やってくれてるようだね!オマケにヴェスパーの9番まで居るときた!』
俺は強制的に連れてこられただけなんです…
『私らRaDは来る者は拒まないのがモットーだ。せいぜい歓迎しようじゃないか。』
「逃げられなくなっちゃったね。」
「はぁ…ここまで来たんだ。やってやるっすよ。ベイラムに与するのはちょっとヤだけど。」
「いいのよ、私はG13でもあるから。」
G13!?まったく名前の多い人だ…いずれV.Xもこの人になりそうだ。*2
難なく最奥に到着。
『アンタ達はビジターにしては笑えるヤツだったよ。でも、ここでさよならだ。』
広場には両腕にバカでかいチェーンソーを装備し、背中から溶けた鉄が噴き出しているモンスターがいた。
でっか!熱っっつぅ!うおお突進してきた!?あっぶね!
「ジンメル、大丈夫?こいつは背中の炉が弱点。私が狙うから、正面で引き付けて。」
「無茶言ってくれるなぁ!てかなんで弱点知ってんの!」
ガトリングで顔面(かどうかは分からん)を撃ちつつレイヴンによるスタッガーを待つ。
デカブツが大きく姿勢を崩す。
ありったけをぶつけ、スタンバトンの杭も突き刺さる。
「どいて!」
反射的に後ろにクイックブーストを吹かすと入れ違うようにパイルバンカーをチャージしたレイヴンが一撃を叩き込む。
ヤツの顔面がひしゃげ、背中が勢いよく噴火すると動作を停止する。
『参った。降参だ。アンタら2人のランデブー、見させてもらったよ。上層に行きたいんだって?案内してやろうじゃないか。この"シンダー"・カーラがね。』
「ふぅ、お疲れ様。私達、相性が良いのかもね。」
「レイヴンさんが上手かっただけっすよ…あんな動きそうそう真似出来るもんじゃないし。」
「ありがと、じゃあ一緒に帰ろっか。」
「…アーキバスに帰れるのは明日かな。」
ガレージに戻って来た俺とレイヴンはフィーカを飲みながらお互いの身の上話をした。
「ジンメルは元傭兵なんでしょ?傭兵仲間とかいないの?」
「そんときは金稼ぐ事しか考えて無かったっすからねー。あんまいなかったんすよね。」
「でも、ブランチっていう傭兵集団のキングさんと同じミッションした事ありますよ。」
「へぇ、あのブランチが…珍しい。」
「そうだ。私のもう1人のオペレーター。気になってたでしょ?教えてあげる。」
この人いつも唐突に切り出してくるな…俺の話が面白くなかったか!?
「ウォッチポイントで爆発に巻き込まれたのは知ってるでしょ?その時にね、私の脳にコーラルが入り込んできたの。」
「あー、あの。よく無事でいられましたね。」
「でね?そのコーラル、意思を持っていたの。だからRaDのアイツの弱点を知っていた訳。」
は???コーラルが意思?脳内に住んでいる?そんな事があるのか?
レイヴンがタブレットを見せてくると、ひとりでに文字が浮かび上がる。
『私はルビコニアンのエア、レイヴンの中より観させてもらいました。貴方は…愉快な方なのですね。』
これは…マジみたいだな。そしたらグリッドでワチャワチャしてたとこ全部観られてたの!?
「おぉう…知っちゃいけない事を知ってしまった…」
「大丈夫、この事を知ってるのは私と貴方だけよ。」
「尚の事ヤベーじゃないっすか!あ?メール?ちょっと失礼。」
ポケットから通知音が鳴り、アーキバスからかと思い取り出して見るとエアだった。ファッ!?
『すみません。今後レイヴンとの通信が増えそうだったので勝手ながら私との連絡先を交換させていただきました。』
「もう、私が連絡するからそんな事しなくてもいいのに…」
連絡先も登録済みになってる!?コーラルすげェ!プライバシーどこいった!
『レイヴン、ジンメルの過去の履歴から興味深い物を「やめろォ!」』
すんでのところでタブレットを持ち上げる。ンのルビコニアン…!俺からじゃどうしようも出来ないのが憎い!
「あら残念。」
おうち帰りたい…
詰め込みすぎた結果アーキバス隊員が変人の魔窟になってしまった。