オールマインド
「お値段そのままにバズーカ軽くなりましたよ。買い戻してください。」
「泊まっていかないの?」
「明日は普通に仕事っす。」
『…残念です』
「2人してなんすか全く…こちとら企業のリーマンっすよ。」
始業前には居ないとヤベーってのに。
ヴェスパー全員揃ってないとスネイルがうるさいんだよ。
長居は無用。正直眠いし疲れてるからさっさと帰る。
「またね。」
「うす、生きてたらまた会いましょう。」
薄紫色のACが飛び立つ。青色の残光も降る雪と同化して次第に景色に溶けていく。
ヤベぇ、クッソ寝みぃ。フィーカはどこにあったか……
『操縦中の睡眠を確認。電気ショック起動。
3、2、1…』
・・・っぎゃ!?
ゔあ゙ーつっかれたぁ゙ーマジCOMいなかったら事故ってた。雪の一部になるかと思ったぜ。
だが朝礼には間に合った。
「珍しいね、ジンメル君がギリギリに来るなんて。」
「遅れてる暇なんてあったら俺と闘え。」
「1,000,000Cくれたら考えます。」
「チッ」
「そこ、静かにしなさい。」
うへースネイルに怒られた…笑うなペイターさん!
「今日は重要な内容があります。聞き漏らさないように。コーラルが1箇所に集まり出し、カビの生えた企業共も目ざとく追おうとしています。」
「我々アーキバスも出遅れる訳には行きません。既に先行して調査基地を建立しています。残った我々も近々海を越えます。準備はそれ迄に済ませておいてください。」
「また、最近惑星封鎖機構の動向がきな臭くなっています。十分警戒するように。」
「本日の伝達事項は以上です。ジンメル以外は解散。」
あークソ、説教か。
名指しされた小っ恥ずかしさとなんでフロイトは許されてんだとか感情がごちゃ混になってムカついてきた。
「貴方も第9隊長。そろそろ部隊を預けます。何時までも傭兵気分では居られませんよ。」
「…ホッ 了解っす。ちなみに何名くらいですか?」
「志願した者がいて5名程。そこからはどうしようと貴方の自由です。」
「貴方はヴェスパー、つまらない遅刻などで部隊の品位を下げないように。」
「ただ…フロイトの遊び相手になっている事は評価しています。」
それってアンタの私的な評価じゃん。しかし俺にも遂に部下ができた。何教えたらいいかわっかんねぇ。上司へゴマすりの仕方とか?
少し仮眠を取り、部下が集まっている部屋に移動する。
「V.IXジンメルっす。今日からよろしく頼むっ…す…」
あぁ、志願だから何となく予想はついていたけど壁にいた奴らか…おい、隊服着てるけどなんか知ってる包帯の奴がいる。お前グリッドの上層行くんじゃなかったのかよォ!
「ッスゥーそこの包帯のお前、ちょっと来い。他は待っててくださいっす。」
「あら、ジンメルさんったら大胆。」
「違ぇわバカ!」
レイヴンを別室に呼び出す。
「あのさ!何でここにアンタがいるんですか!ウォルターさんに叱られますよ!」
「だって、私だけ海越えの方法が弾丸だもの。カーラに頼んでアルバイトで入らせて貰ったわ。」
RaDの親玉か!なんてことしやがる。スネイルも志願したからってアルバイトを部隊に所属させんな!つーかアルバイト募集してたんかい!
「しょうがないっすね…一応ここの規則として端末は預かっておくっすよ。」
疑いもせずにレイヴンが端末を手渡してくる。引っかかったな!
「もしもしウォルターさぁん!V.IXです!レイヴンがアーキバスに!」
『…何があった。621は近くにいるか。』
「います!スピーカーにしますね!」
『なるほどな…カーラには俺から話をつけておこう。済まなかった、V.IX。』
「やだ…かえりたくない…」
くっつかないで。あっ柔っ…じゃなくて!
『621、お前は何をしたのか理解しているつもりか?』
うお、画面越しの圧が凄い。レイヴンが叱られた犬みたいにプルプルしてる。
「電話くらいだったら何時でもOKですから、ね?」
「ほんと?」
「……確証は取れないっすけど。」
まだごねてたからウォルターさんが遂に怒ってレイヴンは強制送還された。
『改めて謝罪しよう。ウチの621が済まなかった。』
「いいんすよ。むしろ忙しいだろうに出てくれてありがとうございます。連絡先交換していいっすか?」
『ああ、その方がいい。621の為にもな。』
ウォルターさんの連絡先を教えて貰った所でようやく部下と話せる。キャラは濃いけどいいヤツらだからな。
「お待たせしました。申し訳ねぇっす。」
「V.IXに色恋沙汰発覚!」
「ジンメルに…黄金の時代を…」
「減給したろかキミたち」
…退屈はしないで済みそうだな。いい意味と悪い意味両方で。
「……んじゃあ今日はこの辺で。皆お疲れ様!」
「(感想会)行けるな?貴様。」
「今こそ舌を噛み、語り明かそう!」
「正面から行かせてもらおう。それしか脳がないのでな。」
「解散解散、ほら戻った戻った。」
隊員の仲も良好でよかった。同じ壁勤務だったのが功を奏したか?
静まり返った部屋の中で電話が鳴る。
「はい、V.IXジンメルです。」
『私です。エアです。』
「あぁ、どうかしました?」
『本日はレイヴンがお世話になったようで、私も挨拶をと。』
えらく丁寧な波形がいるもんだ。レイヴンも見習って欲しい。道徳はエアに説いてもらうか…?
『今日の2人のやり取りも観ていました。まるで漫才でしたね。非常に興味深い経験をさせてもらいました。』
「漫才って…まぁ楽しめたならいいか。」
まともな聖人ウォルター、変人の立場を恣にするレイヴン、丁寧だけど少しズレた感性のエア。
一緒に居ると消費カロリーがとんでもないけどどこか居心地の良さを感じていた。
海越えを果たし、数日もすれば隊員の扱いにも慣れ、出撃時にオペレーターをやって貰ったりした。でも4人で一気に喋らないでほしかった。耳が痛てェ。
そして惑星封鎖機構の基地にて巨大なミミズが出たらしい。名はアイスワーム。ラスティさんが見たって言ってたから本当なんだろう。あとそこにレイヴンもいたそうな。ラスティさんはレイヴンの事を戦友って呼んでるみたい。マジか…じゃあ俺は悪友とでも呼べばいいか?
噂をすれば悪友から電話だ。
「はいよ、悪友サン?」
『えっ。』
「くふっ、冗談っす。本日はどうしました?」
貴重な動揺した声を聞けたから満足。友達の普段見れない一面を見れたらなんか…こう…いいよね。(語彙放棄)
『アイスワームの討伐の話は聞いてる?』
「はい、出撃するラスティさんが狙撃の練習してましたよ。」
『一緒に出撃しない?』
「いやー俺も生でアイスワーム見てみたいんすけど、狙撃担当のラスティさんの護衛することになってまして。」
『…そっちに連れてく。』
「やめよ???エアさんもなんか言ってやってくださいよ。」
『エア…うん、そうだよね…分かった。』
諭してくれたか?
『エアもジンメルのかっこいいところ見たいって。』
嘘だね。嘘だと言ってくれ。…チャットアプリで
「見たいけど違います!!!!!」って来てるし嘘だな。ヨシ!
「残念、エアさんはこっちの味方っす。」
『(´・ω・`)』
「暇だったら励ましの無線入れますから。いいでしょ?」
『ゔん゙っ゙!゙』
「それじゃ、まだ今度。」
プツ。
ん?レイヴンから写真が送られてきた。…このバッジ…俺のファンクラブの証!?*1
うちの隊員の仕業か!捨てろンなもん!
次の日戦闘訓練で皆等しくボコした。貴様らには地面が似合いだ。
ロックスミスまた強くなってら