最近暇だ。アーキバスの頃は程よく忙しくて退屈はしなかったのだが、こうも暇だと腕が鈍って仕方ない。誰も依頼くれないの何で?
我、アリーナランク10位ぞ?単騎でも基地くらい落とせますが?ランク1位のフロイトに勝ったことあるんだぞ?(勝率1割ほど)前世の話だけど。
「なぁオールマインドー、略してルマンド、なんか依頼来てないー?」
『そんなお菓子みたいな呼称を付けないでください。依頼は…現在募集が来ているものはありません。』
「わーお、氷河期入ったか?俺。」
『直近の依頼遂行率は8割と悪くは無いのですが。なんだかよく分かりません。』
マジか。指名は無いのはまぁ良しとして、ばら撒きも無いときた。平和になった?うん、ありえないな。
『こうなっては仕方がないですね、大人しく私とゲームでもしましょうか。』
「ゲームをやりたいが為に依頼をストップさせたか?」
『流石に違いますよ?』
じゃあ俺が人気無いだけか…今日はとことんやって…あ?
懐の携帯が鳴る。差出人はウォルターさんから。
「はい、ジンメルです。」
『俺だ。いきなりで済まないが、621と依頼を受けてもらう。』
「あぁもう全然OKっすよ、ちょうど暇してたんで。」
『助かる。口頭での説明になるが今は大丈夫か?』
「はい。」
『依頼人はアーキバスコーポレーション、目標はベリウス中部にある解放戦線の防衛拠点、通称壁を落とすため、友軍として参加してもらう。』
『最終目標は重装機動砲台ジャガーノートの撃破だ。』
「決行日はいつですか?」
『今日だ。場所は分かるな?すぐに出てもらおう。』
「え、いや準備が…」
通話が切られた。まぁ、ACは最近特に使う用事は無かったからいつでも乗れるしいいか。前世でも落としてるし。
あとレイヴンからメッセージが来てた。来ないとどうなるか分かってるよね?との事だ。最初っから逃げ道ないじゃん。
「てなわけで行ってくるわ。他にもクライアントがいるだろ?ソイツにかまってもらいな。」
『嫌味な
「なら俺の帰還を待ってるんだな。」
そう言い残してガレージから出る。数十分もすれば壁が見えてくる。
「COM、レイヴンに回線を繋いでくれ。」
『了解しました。』
『あ、来たのね。』
「あんな脅迫文送ってこられたら来るしかないでしょ。」
『ふふ、じゃあ2度目の壁越えと行きましょう。前みたいに壁の砲台を片付けてくれる?』
「了解、気ぃつけてな。」
横から接近し、端から壊していく。バズーカで1発だし楽〜。あ、破壊報酬は貰えるのかな。
「なぁレイヴン、俺はちゃんと報酬貰えるか?そういやウォルターさんからその事聞いてなくてな。」
『もちろん。破壊報酬もやっただけ出るし、僚機として来てもらったから基本報酬の6割は貰っていいわよ。』
「よっしゃ!全部ぶっ壊す!」
『なんなら全額あげてもいいけどね。』*1
「そこまでしなくてもいいです…」
話しながら左半分の砲台全てを破壊。レイヴンは…4脚MTと交戦中か。あれ、レイヴンって今スティールヘイズのアセンしてる?識別無かったら分かんなかった。遊んでるなアイツ。
「俺は右の砲台を片付けとく。先に行ってくれ、後で追いつく。」
『えぇ、たっぷり稼いでおいで。』
残りの砲台を蹴散らす為の残弾は十分ある、ジャガーノートの分も足りそうだ。まだまだいけるぜぇ、レイヴゥゥゥン!
トリガーハッピーに浸っていると通信が来る。あ、ラスティさんじゃん。
『こちらV.Ⅳラスティ。速いな、流石はウォルターの猟犬、私をスピードを上げていくとしよう。』
『あと、砲台を掃除しているキミも終わったら上に来てくれるか、戦力は1人でも多い方がいい。』
おっけー。後2台くらいだから直ぐ行きまーす。オラ壊れろ!ラスティさんに合う為に!*2
「君があのハンドラー・ウォルターの猟犬か。」
「共に、壁越えと行こうじゃないか。」
このセリフもカッコいいけど正直な所少し聞き飽きた。ジャガーノートを3人で蹂躙したいからジンメルはまだ?早くしないと倒しちゃう。
スタッガーを半分くらい溜めたところで、ジャガーノートが急旋回をして無理矢理突進してくる。
「来るぞ!」
これくらいなら回避はまぁ、余裕で行ける。そう思い横にクイックブーストをした瞬間、ジャガーノートの背後で連鎖爆発が起きる。
「待ったかい?スマンが取れる報酬は限界まで取っておきたくてね。」
「主役は遅れてくるってやつね。」
「このミッションの主役はレイヴンだろ?俺は脇役でいいの。」
「仲良く会話しているところすまないが、ヤツを一気に畳んでしまおう。」
ようやく来てくれた。そしてスタッガー済みのジャガーノートに弾丸の雨、ミサイルにプラズマが降る。
「敵機、ダメージ限界に近づいているぞ。そのまま押し切るぞ。」
「えぇ、離れてて。」
アサルトアーマーを起動。再度スタッガーに陥らせ、入れ替わるようにラスティのレーザースライサーで刻まれる。
ズタズタになった背中にダメ押しでジンメルが拡散バズーカを叩き込む。封殺気味にジャガーノートを倒し、もはや何度目か分からない壁越えを達成した。
「終わったか、お疲れ。レイヴン。」
「私はレイヴンじゃないぞ。戦友はあっちだ。」
「紛らわしい!なんで同じ機体にしてくるんだ!」
「あははぁははははぁ!」
「俺もう帰る、ラスティさんもお疲れ!じゃあな!報酬はちゃんと寄越せよ!」
あー面白かった!この為にスティールヘイズをコピーして乗ってきたと言っても過言ではなかった。楽しませてくれたお礼に報酬は全額プレゼントしよう。返金は受け付けないものとする。
『621、仕事は終わりだ。戻って休め。…お前、笑っているのか?…いい傾向だ。』
「ありがとう、帰投するわ。」
「私は残党を処理しておこう。」
ウォッチポイント襲撃が楽しみだ。早くエアに会いたい。それでもって一緒にからかいたい。
帰ってきて収支の確認したらレイヴンの分の報酬もまるっと振り込まれてた。全部は要らないって言ったじゃん…ありがたく受け取るけど。
『独立傭兵ジンメル、あなたの帰還を歓迎します。』
「はいはい、ボドゲね、シャワー浴びてくるから待ってて。」
『わーい。』
ゲームをしているとオールマインドから依頼の提案が来る。
『ベリウス北部、BAWS第2工廠で惑星封鎖機構による強制監査があります。本依頼を飛ばすのはあなたと仲がいいボードゲーム仲間の独立傭兵レイヴンですが、あなたを僚機としてつけます。』
「おう、しかしオールマインドから直々に依頼とは珍しいな。」
『オールマインドからも1人僚機をつけます。まずは挨拶だけでも。』
傍に置いていたタブレットから音声通信がくる。ケイト・マークソン?エンブレムの色がとてもオールマインド味を感じる。
『初めまして、独立傭兵ジンメル。ケイト・マークソンと申します。』
「よろしく、ケイトさん。」
なんか声がオールマインドに似てる…
「オールマインド?」
『…?確かに私はオールマインドの雇われですが…』
「いや、あんたオールマインドだろ?さっきからルマンド一言も喋んないし。」
『だから私はルマンドでは…あっ』
やっぱり!なんで偽名なんか使ってんだ?
「わざわざ名を変えてまでどうして?」
『えぇと…ほら、インターネットゲームで本名では無くオリジナルのネームを使うでしょう?それと同じです。』
「ふーん。俺とか解放戦線の奴らは本名だけどね。」
『それは各々の自由です。あなたと親密にしている独立傭兵レイヴンも偽名でしょう?』
だからといって俺に被害は無いから別にいいけどね。あと俺とレイヴンの仲が勝手に深まっていくな。
「まぁいいや、3人で依頼なんだろ?楽勝だね。」
『えぇ、あなたの恋人の独立傭兵レイヴンもいますが、念には念をと思いあなたも参加してもらいます。』
「飛躍しすぎ、そもそもお前は俺のなんなんだよ。」
『…家族?』*3
「ンなわけあるかいアホか。つーかさっさと作戦教えろ。」
あいつの彼氏とかウォルターさんに殺されてしまうわ。
『作戦はこうです。独立傭兵レイヴンが正面から敵を蹴散らします。私は後方部隊を襲撃し攪乱します。と言うのは嘘で、ジンメルは私とボードゲームをします。』
「やる気あんの?ナメてんだろ。」
『心配は無用です。レイヴンと合流地点に所謂ボス敵が出現します。その時に私とあなたが加勢に入ります。』
「お前の頭が心配だよ、ボドゲ馬鹿が。」
…暇よりはいいか。
作戦決行日、俺は工廠施設の屋上で待機していた。
『独立傭兵レイヴン、ご協力に感謝します。後ほど合流しましょう。』
始まったか。遠くから砲撃の音が騒がしい。絶えず響いている。あ、UNO。
『レイヴン、LC機体には注意を。量産型とはいえ、あの制圧艦隊にも制式配備されています。やらせません、スキップです。』
ちょっと漏れてない?
『な…監査部隊が数分足らずで全滅だと…!?』
めっちゃ速いやんレイヴン。はい上がり。
『ぁ……素晴らしい撃破スピード。私ももうすぐ合流地点に向かいます。』
よし、丁度上がれたし、俺も行くとするか。
「…貴方が独立傭兵レイヴン。壁越えの傭兵と親睦を深めたいところですが、その時間はないようです。」
「相手が3人なら、こちらも3人と行こう。」
「え!?何でジンメルもいるの?」
「ケイトから聞かされてなかったか?もう1人僚機がつくって。」
「ううん、何も。」
「はぁ…ま、後で話でもしようや。」
あのプラズマ担いだエクドロモイをまず倒す事にする。他はそれぞれ相手取ることだろう。
あいつは高機動で高威力のプラズマを放ってくるが回避行動の終わり際が隙になる。そこを狙って拡散バズーカを刺す!追い討ちのガトリングでスタッガーになる。デトネイティングバズーカも直撃しあと一歩。
「避けてください!」
プラズマとレーザーの奔流が目の前のエクドロモイを呑み込む。
「ナイス!やるじゃん。」
もう一体は既に撃破済み。残りはカタフラクトのみ、それも所々スパークしており、限界が近いようだ。
またケイトがKRSVフルチャージをヒットさせる。怯んだ隙にレイヴンが両手の重ショットガンを2発。
『こいつら強すぎる…システムに……照会…を…』
3人もいれば過剰戦力だろう。こちらは目立った損耗なく終わった。
『…壁越えの傭兵の力、見せてもらいました。』
『あなたがたと共に戦えて良かったです。』
ケイトが先に離脱する。
「ねぇジンメル、何でこの作戦に?」
「あいつから誘われたんだよ。暇だったし参加した。」
嘘は言っていない。興が乗ればその依頼を受ける、独立傭兵とはそういうものだ。
「あいつ、オールマインドっぽくない?」
「…言っていいかわからんが本人だな。」
「なんだ、知っていたのか。」
「レイヴンもか。」
変装が下手なやつ。それ以外は上手にこなすのにな。
「知ってるってことはじゃあジンメルはケイトと2人っきりで話を?」
うわ、レイヴンからめんどくさいオーラを感じる。
「私が僚機の依頼を出せばもっとCORM出せるしなんだったら修理費だって出してあげるのに。」
怖…そうだ!
「そ、そういえばケイトのやつ、俺とレイヴンのことを恋人って呼んでいたぞ。」
「ええっ!!!!!!!」*4
今だ!逃げろ!