大☆大ジョジョファンの幻想入り〜東方星紋痣〜   作:右左

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3.結界を越えて

 周囲にかかっていた朝霧が晴れてきた頃、俺とアリスさんは目的地の博麗神社に到着した。瘴気の影響はまだ消えてないが、神社に近づくに連れてちょっとはマシになったぜ。頭の中がグルグルしてるような感覚はあるが、なんとか吐き気は治った……

 

「ここが博麗神社……」

 

 俺たち二人が降りたのはだだっ広い境内。

 社から鳥居までの距離は結構あって、多分テニスコートとか入るんじゃねぇかな。神社の周りにはすぐ森があるが、落ち葉とかも無くて綺麗だ。

 だが、ちょっと物寂しい雰囲気があるっつーか……。別に寂れてるわけじゃないんだが、鳥居と社と賽銭箱ぐらいしか目につかねぇんだよな。お守り売ってるようなところとか、手洗うところ(手水舎)が無い。他にあるものといえばせいぜい灯篭と、社の横っちょにある倉庫ぐらいしか見当たらなかった。

 

「……今日は結構早起きしたのね」

 

「え? どういうことっスか?」

 

「今たぶん9時前とかだと思うけど、霊夢はこの時間掃除してるかまだ寝てるかなのよ。でも、もう境内が綺麗でしょ?」

 

「ああ、たしかに」

 

 ここに来る道中、アリスさんから博麗霊夢についての話を聞かせてもらった。何でも、この神社で結界を管理してるだけじゃなくて、妖怪退治や異変解決とやらをやってるすごい人らしい。異変ってのは、妖怪や力を持ってる人間が引き起こす事件を括ってそう言ってるみたいだな。

 普段は結構怠けてるらしいんだが、実はめちゃくちゃ強いんだとか。他にも色々説明されたけど、俺になサッパリだな……。決闘の方法? みたいなのを作ったとか何とか言ってたが……

 

「流石にこの時間だと誰も居ない、か。魔理沙や妖精、妖怪も」

 

 アリスさんは周囲を見回しながら呟いた。

 

「え、ここ妖怪出るんスか……?」

 

「人間の参拝客よりずっと妖怪の方が集まりやすいわよ。そもそも人里から離れてるし、霊夢の人間性とかもあって妖怪の方に好まれやすいっていうのもあるし……。まあ、それでも先代までよりかは参拝客も増えたみたいだけど」

 

 へぇ〜〜……。妖怪に好かれる人間性って……何だ? でも話を聞く限り悪い人じゃなさそうだよな。人間にも妖怪にも優しい、みたいな感じなんだろうかね。俺のイメージだと、巫女さんとか神職の人って妖怪と相容れないって先入観があったが……。やっぱり外の世界と幻想郷じゃ違うのか?

 

「……霊夢さんっぽい人、見当たらないっスね」

 

「裏にある母屋に居るんだと思うわ。私が呼んでくる。ここで待っててね」

 

 

「その必要は無いわ」

 

 

「「!」」

 

 アリスさんが神社の方へ行こうとすると、その先から声が響いてきた。声色からして、俺とそう変わらない年齢の女子が声の主だってのが分かった。

 俺たち二人は声のした方へ振り向くと、神社から女が出てくるのが目に入った。ドデカい赤色のリボンをつけて、紅白の衣装を着た……背格好からして、きっと彼女がさっきの声の主。手ぶらでこっちに歩いて来る。

 もしかして、この人が博麗霊夢――――!

 

「霊夢……。アポ無しで来たのに、衣装までちゃんと着て準備万端ね」

 

「……そっちの人が外来人?」

 

「ええ。またいつもみたいに帰してあげてくれる?」

 

「星条常治です! よろしくお願いします!」

 

「…………」

 

 フ……我ながら良い挨拶。

 だけど、霊夢さんどうしたんだ? なんか、俺の顔マジマジ見てくるんだケド……。お、俺の顔に何か付いてる? さっき爆速で顔洗ってきたんだけどな……

 俺の方が背高いから、すっげー見上げてくる……。ちょっと、照れるなぁ〜……

 

「……無理ね」

 

「え?」

 

「え…………?」

 

 え???

 無理って……か、帰せないってこと……?

 なんで……?

 

「霊夢、無理ってどういうことよ。この人は外の世界から来た正真正銘の外来人よ。いつもと何が違うの?」

 

「帰せない理由は二つあるわ」

 

「理由?」

 

 帰せない理由とかあんの……?

 え、疑われてるのか? 俺が本当に外の世界から来たのか……みたいな? いやいや、でもアリスさんの話聞く限りそんなはず無いし……。とにかく、理由って何なんだ?

 

「あの、霊夢さん? 理由って何なんスか?」

 

「一つは、あなたに問題があるから」

 

「も、問題? 俺に?」

 

「外の世界から来た人間と、幻想郷(ここ)の人間には"区別"があってね。その人の存在自体に『境界』があって……外来人は、この幻想郷では異物として扱われるから、境界が色濃くなるの」

 

「はぁ……。それが、どうしたんスか?」

 

「あなたの境界、幻想郷の人間と変わらなくなってるのよ。つまり、存在としては外来人じゃなくなってるってこと」

 

 えぇ……? どういうこと?

 俺、生まれながらに幻想郷の人間だったってこと? え? 霊夢さん、そう言ってんだよな?

 そんなわけあるかい!! 俺はつい昨日の朝、登校前から小テストの勉強してたんだぞ! そして車に轢かれたんだよ! 俺が今着てる制服もその証拠だろうがよォ〜〜っ! 意味分からねぇよ!?

 

「霊夢、もう一つの理由は?」

 

「昨日、紫に今日のことを教えてもらったのよ」

 

「紫って……あのスキマ妖怪?」

 

 ……ゆかり? 人の名前か?

 いや、妖怪の名前か。スキマ……。隙間ってことか? そんな妖怪が今日のことを……?

 

「『明日ここに来る外来人は外の世界に戻す必要はない』……それだけ言って、消えたわ。何のことか分からなかったけど、今会ってその理由が分かった」

 

「い、いやぁ……でも! 俺は帰してもらわないと困るんスよ! 向こうでの生活もあるし!」

 

「できないことはできないのよ。あなたにはあなたの生活があるように、ここにはここのルールがある。あなたはここに来て、幻想郷の人間になった……。それは、幻想郷がそうなることを望んだからなのよ」

 

 な、何だよそれ……! 意味分かんねぇよ……

 俺は向こうの世界の人間だ。星条家に生まれて、義務教育も終わらせて高校生活ももう半分過ぎた。こうして高校の制服も着てる……。俺は正真正銘、外の世界の人間だ……

 幻想郷が、俺が幻想郷の人間になることを望んでるだって? 知るかよ、そんなこと。それに、紫とかいう妖怪も何言ってんだ!? 俺が何したってんだよ。外の世界に帰してくれよ……。勉強が忙しかったりして、たしかに変わった生活を送りたいとかは思ってたさ。だが、俺が生きた軌跡ってのはそこにあるんだ。そこにしか無い……。軌跡は居場所なんだよ。俺を知ってる人、俺が知ってる人、場所、物。ここには、全部無い。

 それに、俺の好きなジョジョも……

 

「常治……」

 

 

 パアァン!

 

 

「「!?」」

 

 俺は、自分の両頬を引っ叩いた。

 湿っぽいのはあんま好きじゃねぇのさ。もしそうなっても、すぐに立ち直る。ジョジョを読んで、まず、俺はそうやって生きていくことを目標にした。

 自分の歩く道は、自分で切り拓くんだ。

 『越えて行く』。

 

「どーしても帰してくれないってんなら……無理矢理にでも帰るぜ。俺は」

 

「常治!? 何考えてるの!」

 

「……ふーーん。どうするの?」

 

「結界を破る!」

 

 ああ……それしか方法は無い。

 アリスさんが言ってた。幻想郷は結界によって外の世界から隔絶された空間だってな。この土地自体は、外の世界とは地続きだってことだ。つまり、結界を出ればそこはもう外の世界。

 

「あなたには無理よ。もしできたところで、そんなあなたを私が見逃すと思ってるの?」

 

「無理だとか無駄だとか、そんなことはどうでもいい。やるんだよ、俺は」

 

 俺は神社の方に歩いて行く。話によれば、この神社のすぐ裏が結界のはずだ。ここから見える限り、壁みたいなのがあるようには思えない。森がずっと続いているようにしか、見えない。きっと、透明なんだろうな。

 

(……さて、どうしたもんかな)

 

 ひとまず、木々の前までは移動した。

 手を伸ばしてみると……たしかに、木々の間から先へは手を伸ばせない。なんつーか、森自体が俺から遠ざかって逃げてるような……。いや、実際には動いてないんだ。だが、理解できた。これが博麗大結界か。

 これを破れるスタンド能力……。かなり限られてくるな。スタープラチナみたいに、強力なスタンドの腕力で破壊できるようなもんじゃねぇことは分かる。だったら……!

 

 

ザ・ハンド!

 

 

 俺の背後に現れる人型のスタンド。

 体中に金にまつわる記号があしらわれたこのスタンドは、ファンの間でも最強角のスタンドとして扱われることが多い。その能力は、スタンドの右手に秘密がある。

 この右手は、あらゆる物体を削り取る。

 

「このザ・ハンド、空間すらも削り取る。この結界に穴を空けることも、もしかしたらできるかもしれねぇ……!」

 

「常治、そのスタンドは?」

 

「あ、アリスさん。こいつは、何でも削り取って消滅させちまうスタンドです。結界を破れない可能性は、ゼロじゃないはずだ」

 

 後ろからついて来たのはアリスさん、()()()()

 ()()()どこかへ行った。できないと思って、母屋の中に戻って行ったんだろう。まあ、気にしないさ。俺は俺でやる。

 俺はザ・ハンドに念じる。すると、ザ・ハンドは目の前の木々の間に狙いをつけて右手を振りかぶった。

 

 

「削り取れッ、ザ・ハンド!」

 

 

 ガオンッ――――!

 

 

 振りかぶった右手が振り下ろされる。

 掌は確かに狙った木々の間を通り過ぎて…………

 

「うおおっ!?」

 

 グンッと俺の体は結界側へ引き寄せられた。

 だが、木々の向こうへ体が移動するなんてこともなく、ほんの少しだけ木に体が近づいただけで終わった。空間を削り取って起こる、瞬間移動だ。原作でもあった。

 

「……失敗ね」

 

「結界に変わりはないっスか?」

 

「全然。傷一つついてないみたい。どうだろう、私は結界についてはど素人だから……。霊夢からしたらまた違うのかもしれないけどね」

 

「むぅ……」

 

 ザ・ハンドじゃ無理だったか……。削り取るのも無意味。いや、そもそも攻撃自体が結界に届いていなかったのかもしれねぇ。この様子だと、クリームを使っても効かなさそうだな……。くそ、厄介な結界だぜ……

 それだったら、今度は破壊よりもすり抜けていけるようなスタンドで勝負だ。中でも特別なのは……アレだな。

 

キング・クリムゾン

 

「まだ諦めるつもりは無いみたいね」

 

「ええ! 今度はこのスタンドで試してみます!」

 

 俺はザ・ハンドを引っ込めると、次にキング・クリムゾンを出現させる。網目模様の入った真紅の体、そしてギョロリとした飛び出た目が特徴的だが、何よりは額についたもう一つの顔だ。

 このスタンドはさらに特殊な能力を秘めている。大雑把に言えば、未来予知と時間飛ばしだ。ファンの間では、時間を操るスタンド能力はビデオのボタン操作に例えられることが多い。時間飛ばしの場合は、『スキップ』に例えられる。

 そしてキング・クリムゾンは、時間を飛ばしている間、ある程度物体をすり抜けられることができる。作中でも壁や弾丸をすり抜けて見せていた。

 

 

「キング・クリムゾン! 時間を吹っ飛ばす!」

 

 

 俺が叫ぶと、能力は発動する。

 周囲の風景が崩壊していき、周りにはアリスさんだけが残る。だが、この時間はキング・クリムゾンを使う俺だけしか認識しない……。俺が目の前で何をやっても、アリスさんはそれを覚えちゃいない。時間は吹っ飛んでるんだからな。

 

(さて……これで結界を通り抜けれればいいんだけどな……)

 

 俺はキング・クリムゾンと一緒に前へ進んでいく。動いている感覚は水中にいるような、不思議な感じだ。ちょっと浮いてる、みたいな……

 そんなことはいいんだが、とにかく前に進めているのは間違いない。後ろを振り返るとアリスさんはさっきよりも離れた位置にいた。距離を考えると、間違いなく俺は結界の外に出ている。時飛ばしを解除して、俺が森の中に立っていたら成功だ……。よし。

 

「キング・クリムゾン、解除」

 

 

 

「……常治? 今度はそのスタンドで何をするの?」

 

「……ダメだったか……」

 

 能力を解除した瞬間、俺の真後ろにアリスさんが来た。いや、逆だな。俺がアリスさんのどまん前に移動したんだ。結界に弾かれちまったらしい……。キング・クリムゾンでも無理とはな……

 正直言うと、結構自信あったんだ。キング・クリムゾンって結構無法っつーか、正攻法で叩こうと思うとかなり無理がある。ディアボロも、『真実の頂点』って形容するぐらいだからよ……。だが、まだまだだ。

 スタンドはまだたくさんある! 諦めるには、まだ早い……!

 

 

___________________

 

 

 俺はその後、さらに多くのスタンドで結界を越えようと試した。人型のスタンドだけじゃない。現象だけのスタンドだったり、道具型のスタンドだったり、とにかく色々なスタンドでだ。

 ハイエロファントやエアロスミスで結界を攻撃しつつ、先へ先へと進もうとしたり。

 オアシスで地面から越えようとしたり。

 スタプラや世界(ザ・ワールド)で時間を止めて進もうとしたり。

 D4Cで無数の隣の世界から、結界のない世界を探したり。

 だが、全部失敗だった。

 

「…………」

 

「常治。あまりこういうことは言いたくないんだけど、もう、諦めたら……? もうどうしようもないのよ」

 

「……それだけは、御免ス」

 

「私はあなたの向こうでの生活は知らないし、あなたの人となりも完璧に理解できてはいないわ。勝手なことをって思うかもしれないけど、それでもここで生活していくことを私は薦める。それしか無いのよ」

 

 アリスさん……。

 分かってる。彼女は善意で俺にそう言ってる。悪意とか、惑わそうとして言ってるわけじゃない。だから、俺のことを気遣って言葉を選んでるし、幻想郷で暮らしていくことを促しているんだ。

 だけどな、そういうわけにはいかないんスよ。俺は何としてでも外の世界に戻りたい。その理由をアンタは知らないから……

 俺はその場に腰を降ろして、アリスさんに返答する。

 

「俺が好きな漫画、ジョジョはいくつかの物語(部)で構成されてるって話はしましたよね」

 

「え? え、ええ。それがどうしたの?」

 

「第八部、ジョジョリオン。その主人公は、記憶を失った状態で目を覚ますんです。自分の過去、『想い出』を全部失った状態で」

 

「……」

 

「定助には……誰も味方がいないんです。いや、いるにはいるんですよ。でも、想い出が無いから、彼は確かに孤独なんです。本当の親も兄弟も、実際にいたと分かっても、自分に彼らの記憶は無い。目を覚ましたその時が、彼の始まりなんです」

 

 ……そして、俺は昨日車に轢かれた。その後、目を覚ましたらアリスさんの家……幻想郷にいた。それが、俺の()()()

 

「俺が生きた軌跡や、想い出はここには一切無い。アリスさんていう心強い味方はいるものの、昨日会ったばかりで、碌に知り合わない間柄……。今になって、定助の気持ちが分かるんです。俺の始まりは、昨日アリスさんの家のベッドの上で……そして、俺の本当の居場所は、ここには無い……」

 

「常治……」

 

 アリスさんはやるせない表情を浮かべる。

 本当に、優しい人だよ。見知ったばかりの俺に、こんなに同情してくれるんだ。もし幻想郷から出れなかったとして、俺はもう、できる限りこの人に迷惑はかけたくない。

 ……弱音は吐いた。あとは、覚悟を決めるだけだ。最後の手段を取る。

 俺は深呼吸をして、腰を上げる。そして、最終候補のスタンドを背後に出現させた。

 

「……これで破れなかったら、アリスさん。俺は諦めます。諦めて、この幻想郷で暮らします」

 

「……!」

 

 俺は自分の左肩に手をやる。

 そして、あるものを取り出して、それを人差し指の先に。結界へ、まっすぐ向ける。その場には、ただ何かが()()()()スピードで回転するかのような音が響き渡る。

 

「……! 常治、それって……!?」

 

 人差し指は回転の振動ですぐブレちまう。

 だけど負けずに、なんとか持ち直して、まっすぐ腕を上げて……狙いをつける。

 

(この距離なら、絶対に外さないだろう。()()()()()()、制御はできない。だが、あらゆるものを『越えて行く』。この結界すらも、きっと……!)

 

 

 儚く、薄く消えかけた定助という存在。しゃぼん玉は、だからこそ極細のひもによって成立していたのだろう。

 そして、彼に混ざった吉良吉影の力。それは爆発的なスピードをひもに付与し、その見えないしゃぼんを生み出した。

 二人から生まれたその能力は確かに存在しており、しかし()()()()()()()。だが存在していないからこそ、何にも縛られることはなく、全てを越えて行ける。

 

 

 その能力こそ――――

 

 

S(ソフト)&W(ウェット)越えて行く(ゴー・ビヨンド)!」

 

 

 

 バチィィン!

 

 

「うぅぅ!?」

 

「常治!?」

 

 何だッ……!?

 お、俺の体に電流みたいなのが走って――――!?

 これ……札!? 俺の腕に貼り付いて、電気を流してるのか!? どっからこんな……!

 なっ……あれは……!?

 

「博麗……霊夢っ…………!?」

 

 あの紅白の衣装……!!なんでっ……霊夢が!? 

 だがそれよりも! ゴー・ビヨンドが外れた……!! 今の札で腕をブラされてっ……地面に向けて撃っちまった! ち、ちくしょおぉ〜〜っ……! 邪魔なんか……しやがってッ…………

 

「う、ぐぅっ…………!」

 

「常治! 霊夢、いきなり何するのよ!」

 

 常治は全身の力が瞬間的に抜けたかのように、その場に倒れ伏せてしまった。アリスはすぐに彼に駆け寄って起こそうとするが、彼が目を開けることはない。アリスは霊夢をキッと睨みつける。

 

「大丈夫、気絶しただけだから」

 

「そんなことは聞いてないわ。なんで手を出したのかって聞いてるの! まさか、本当に結界を破られると思ったから……!?」

 

「……」

 

「挑発したのはあなたの方でしょ!」

 

「わ、私もあそこまでとは思わなかったのよ……! 反省してる……。でも、最悪の事態を避けられたのは事実よ」

 

「最悪の事態?」

 

 常治の最後の攻撃は、霊夢から見ても危険なものだったようだ。だからこそ、彼女は札の力を使って力づくで彼を抑え込んだ。つまりは、そういうことだったようだ。

 

「博麗大結界を破られたら、幻想郷は維持できなくなる。それに、紫が黙ってないわ」

 

「……!」

 

「彼のこと、血眼になって探して、殺すより酷い目に遭わせるかもしれない。それを防ぎたかったのよ……。私が悪かったって思ってる。彼、母屋の方に運びましょ。起きたら、ちゃんと謝るわ」

 

「……ちゃんと、ね」

 

 二人は常治を抱えると、息を合わせて立ち上がる。

 そして母屋に向けて歩き出すが、二人は目線までは合わせてはいなかった。霊夢は博麗大結界のある森の方を。アリスは、常治の左肩から首筋に目をやっていた。それぞれ、思うことがあったのだ。

 

(……まさか、外からやって来た人間にあんな能力があるなんて……。あと一歩遅れていたら、あの一発だけで幻想郷が崩壊していた可能性もゼロじゃない……)

 

 

(……あの時一瞬だけ見えたけど、この肩にある痣、昨日はあったかしら。珍しい……。星型の痣なんて……)

 

 




最近一番好きなキャラなんですよねー。定助。
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