大☆大ジョジョファンの幻想入り〜東方星紋痣〜   作:右左

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8.秘密結社『蛙手』

「いやぁ……スゲーなお前。あんなに能力持ってる外来人なんて他にいねぇだろうよ。能力一つとっても、幻想郷のやつらに並べそうなレベルのもあったし……変なのもあったけど」

 

 魔理沙に(覚えている限り全ての)スタンドを見せてやった後、またちゃぶ台を挟んでお互い茶を啜る。

 霊夢に並んで、幻想郷で異変解決、妖怪退治を行う魔理沙の目からしても百数十のスタンド能力は凄まじいらしかった。終盤こそ慣れてきてたが、はじめはずっと驚きっぱなしだったからな。

 

「何だっけ? 巷で話題の……反妖怪組織とかいうやつら? あいつらに手ぇ貸してやってもいいんじゃねぇの? もしかしたらお礼に高い金出してもらえそうだと思うけどな」

 

「だとしても、俺はやたらめったらスタンドを使う気はねぇよ。金が欲しいのはそうだが、連中を手伝うかどうかはもう少し見極めてからにしたいんだ」

 

 スタンド紹介のついでに、魔理沙には例の秘密結社『蛙手』のことについて話した。

 他にも慧音さんから聞いたことや、雲雀さんのこと……ローリング・ストーンズで見たことも含めてな。

 魔理沙は一応、組織の存在自体は知っていた。詳しくはなかったが。

 蛙手についてどう思ってるのかとかも尋ねてみたんだが、意外に魔理沙は組織の肯定派らしい。自分で身を守ろうっていうなら良いじゃないか、とか。どうせ賢者には勝てないから放っておいてもいい、とか。どっちかってと興味無さそうな感じでもある。

 魔法使いとはいえ、魔理沙は幻想郷に住む"人間"。アリスさんとは違って種族として魔法使いってわけじゃない。そして慧音さんとも違う。

 これもまた幻想郷の住人の一つの意見……ってとこか。

 

「考え過ぎだぜ、常治。スタンドって一般人には見えないんだろ? 派手にやらかさなけりゃ大丈夫だって」

 

「楽観的だって言われねぇか? お前」

 

「言われん。……それと、その組織の連中のせいで妖怪側がどうこうってことはねぇさ。妖怪は基本強い。特別な力を持たない人間にやられることは滅多にないんだ。仮にやられたとしても、わざわざ人間を襲った妖怪側の落ち度だ」

 

「俺が心配してるのはそこだけじゃないんだよ。人間サイドの被害もだ。里の外に出て妖怪に襲われることだけじゃない。逆に人間からの恐怖を得るために()()()()()()()()殺される可能性だってゼロじゃないだろ?」

 

「んーー。少なくとも里の中でそれが起こることはまず無いな。ゼロじゃないと言えばそうだが……。だがいずれにせよ、大部分は自己責任だ。里の外に出るっていうのはそういうことなんだよ。妖怪と人里のバランスは、人間が守られて保たれてる。それを敢えて妖怪たちに喧嘩を売って、自分らから崩そうってんだからな」

 

「お前……」

 

「勘違いすんなよ? 私は人間の味方で、妖怪は退治する。だからって、馬鹿な人間まで全員守れりゃしないのよ。自分から妖怪に近づいてっちまうとどうしても、な」

 

 魔理沙はぐいっと茶を飲み干す。

 はっきりと言ってくれたもんだな……。

 自己責任ね。一連の話を聞いて、その結論にたどり着くのか。やっぱり、外の価値観を持ってる俺とは全然違う。俺なら心配の気持ちも多少あるってのによ……。少なくとも、雲雀さんに対しては「自己責任だ」なんて言えやしねぇ。

 いや、わかってやってるとは思うんだよ。

 でもあの人は本当にこの里の人のことを思いやって蛙手に手を貸してる。俺が心配するだけして、脅すようにそんなこと言うなんてこたぁ……できねぇ。

 

「……そういえば、魔理沙は人里の外に住んでるんだろ? なのに、秘密結社のことはちょっとは知ってたよな。ある程度は有名なのか?」

 

「有名っちゃ有名なんじゃねーかな。だが評判はアレだぜ。妖怪に反対するだの抵抗するだの言ってる割には何の成果も出してねーし、みんな連中の言うことは大して信用しちゃいねェ。当然と言えば当然かな」

 

「ふゥん……。ちなみに、リーダーの奴とか知ってるか?」

 

「ああ……たしか、六川(ろくかわ)とかいう男だっていうのは知ってるぜ。二代目……だったかな。どこにいるとか、どんな奴かとかまではわからないけど」

 

「に、二代目……? 蛙手のリーダーって代替わりしてんのか?」

 

「私も聞いた話だからなーー。実際のところは知らん」

 

 魔理沙は肩をすくめて首を振る。

 二代目となると、蛙手も割と長いこと存在してる組織ってことなのか。

 六川……。所属してる人数や拠点がどこにあるとかも知りたいが、こっから更に情報を手に入れるとなると、そいつが指揮とってるって情報が手に入っただけでも儲けもんだ。

 

「で、結局どうすんのさ。お前も気になりはしてるんだろ? その……ローリングうんたらってやつで見た雲雀の最期も近い時期の話なら、迷ってる暇ないんじゃねーかな。蛙手に手ぇ貸すの」

 

「まぁな。正直、今からでもその六川とかいう奴を探してきたいぐらいだ」

 

 魔理沙の言う通りだ。迷ってられる時間は長くない。

 もし雲雀さんがあの石の通りに……死んじまうとしたら、おそらく次の妖怪狩りとかのタイミングになるはずだ。

 今日はまだ大丈夫。遠隔操作型のスタンドを店に送って様子見をさせたが、まだあの人は店にいる。行かせたのが何てスタンドかは、知らない方がいいかもな。

 とにかく、明日からでも『蛙手』の動向を探るとしよう。

 

「早いとこ俺も行動してみるつもりだ。雲雀さんが手遅れにならない内によ」

 

「そうかい」

 

 魔理沙はそう言うと、格子の外をチラリと見やる。

 そして座布団の上で組んでいた膝を解き、胡座から片膝立ちに姿勢を変えた。

 

「んじゃ……いい時間なんで、私はそろそろ帰るとしようかね」

 

「ああ、色々ありがとな、魔理沙。金のことはアリスさんによろしく頼む」

 

「おうよ。こっちこそ良いもんたくさん見せてもらったしな。秘密結社のことは、まぁ、頑張りな。私もできるだけ見回りの数でも増やしてみるぜ」

 

「ああ、助かる」

 

 魔理沙は帽子を被り直し、帰宅のために立ち上がる。

 俺も見送るために立ち上がって、戸を開くと、外はすっかり日が暮れて灯りが欲しいぐらいには暗くなっていた。

 家の壁に立て掛けてた箒に魔理沙は跨ると、驚いたことに箒ごと宙に浮かんで、そのまま東の空に飛んで行っちまった。灯りも無しで。

 アリスさんと同じ魔法使いとは言ってたが、ありゃイメージ通りのマジの魔女だわ。

 魔理沙の姿が見えなくなって、俺も家の方に向き直る。

 

「さて……俺も夕飯の支度でもしますかね」

 

 だが、その前に________。

 

 

 

「何もんだよ」

 

 

 

「……バレてたのか」

 

 西陽によって死角となっていた家の陰から、人影が現れる。

 声の主は男。細身で背の高い、三、四十代ぐらいのオールバックのおっさんだ。

 そいつは目の前に出てくると不敵な笑みを浮かべて俺を見据えた。

 

「お客さん……じゃあねぇよな。いつからそこにいたんだ」

 

「まず気になるのはそこなのか? 俺が何者なのかは、どうでもいいのか」

 

「客じゃねぇってのはわかったんだよ。俺の想像だと……アンタまさか『蛙手』の人間か?」

 

「フフ……正解だ」

 

 そいつはニヤつきながら答える。

 

「で、いつからいたんだよ。俺と魔理沙の会話、盗み聞きしてたんだろ? 悪趣味だな」

 

「俺がここまで来れたのは、お前の後をついて行ったからだ。そこからは言わなくてもわかるな? 美味い情報を手に入れさせてもらったよ、星条常治クン?」

 

 俺の後をついてきた……ってことは、魔理沙との会話は最初っから最後まで全部聞いてたのか……

 スタンドを魔理沙に見せてたところも、俺が蛙手のことを探ろうとしてたことも、全部……! 

 だが、何でコイツは俺のことを追ってきたんだ?

 

「全く何も呑み込めていなさそうな顔だな? 星条。「どうして俺が追跡されなきゃいけないのか?」「俺のことを探るこいつの目的は何なんだ?」とか、考えてるのは大方そんなところだろう」

 

「……大当たりだよ。で、教えてくれるんスか?」

 

「ふむ、まぁそうだな……。元々お前には霧雨魔理沙が帰ってから接触を図るつもりだった。腹が減ってなければ、少し付き合ってくれるかな? そうすれば追々話そう」

 

 ……こいつ、魔理沙のことも知ってたのか? 

 それに俺に接触してくる予定だったのか。

 何が目的なんだ? 蛙手の人間……。いや、これは良い機会だ。色々な情報がこの男に漏れちまったが、逆にこっちが情報を得られるチャンスでもある。

 スタンドのことが割れちまったのは痛すぎるが、ここは堪えねぇと……

 どこから俺のことを知ったのか、どうして俺を探ってんのか、全部話してもらおう。

 

「わかった。付いてくよ」

 

「よし、それじゃあ行こうか」

 

 

「我々の会合へ」

 

 




久しぶりの投稿です。
リハビリがてら手短に出してみました。ここからはまたちょくちょく出してく予定です。
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