奴隷商の建物に到着して、俺は店主の熟女と対面した。
ヌグリとはここでお別れだ。色々とありがとう。
店主はキセルを吹かしながら、こちらに微笑みかけてくる。
「ようこそ、おいでやす。どんな奴隷がご入用で?」
「護衛をしてくれる奴隷で……その、出来れば、可愛い女の子がいいなって……」
「種族に拘りはありまっか?」
「い、いえ、あ、いや、人間らしい特徴が、全くない種族は、ちょっと……」
しどろもどろになりながら、俺は店主に要望を伝えた。
おっぱいが大きいと嬉しいが、そこまで贅沢は言わない。
「ほな、ご紹介しましょか。みんな、入っておいで」
店主がパンパンと手を叩くと、四人の女の子たちがやってきた。
とても身綺麗で、健康状態は良好に見える。
彼女たちは右から順番に、一人ずつ自己紹介を始めた。
「種族は人間、名前はカティアです! 特技は家事全般と弓術。夜のご奉仕も精一杯努めます!」
カティアはクラスで三番目に可愛いくらいの、やや素朴な感じの美少女だ。
夜のご奉仕と言われて、俺の胸は大きく高鳴った。
でも、弓術が特技というのは、ちょっと微妙か……?
街中で暴漢に襲われたとき、悠長に弓矢を構えている暇はないと思う。
それと、彼女はおっぱいが小さい。よし、次。
「種族はエルフ、名前はエルエナリリエです。特技は魔法。故郷を魔王軍に滅ぼされたので、必ず復讐します」
エルエナリリエ。名前が長くて憶えにくいので、エルと呼ぼう。
エルは人形のように精巧な顔立ちの美少女で、クラリステレス姫と同じように、存在そのものが美術品に見えてしまう。
光沢を帯びた水色の長髪は、緩やかに波打っており、翠色の瞳には殺意が宿っている。
この殺意は、魔王軍に向けられているもの……だと思う。俺じゃないよね?
肌が真っ白で、身体は細身なので、戦いが得意には見えない。そこは魔法の力で、どうにかするのだろう。
まぁ、なんにしても、復讐には付き合えないな。却下、次。
「シロの種族は獣人だぴょん! 特技はギャンブルと狩猟! よろしくぴょん!」
「私はクロと申します。種族は獣人で、特技は家事全般と狩猟です。姉さんと一緒に買っていただければ、なんでもします」
シロとクロは姉妹の兎獣人であり、長いウサミミと綿毛みたいな尻尾が生えている。
姉のシロは白髪碧眼で、肌が真っ白だ。
詳しい話を聞いてみると、ギャンブルで抱えた借金を返済出来なくなって、奴隷落ちしたらしい。
しょーもない理由だけど、これくらいの方が気楽でいいな。
妹のクロは黒髪金眼で、肌がチョコレート色だ。
こちらにも話を聞いてみると、姉が心配で一緒に奴隷落ちしたのだとか。
受け答えもハキハキしており、しっかり者で家族思いの妹という、好印象を抱かせてくれる。
「クロっ、アレをやるぴょん……!! 買って貰うには、最初のインパクトが大事だって、店主が言ってたぴょん……!!」
「アレ、ですか……。恥ずかしいですが、仕方ありませんね……」
シロとクロはコソコソと内緒話をしてから、戦隊モノのヒーローっぽいポーズを取った。
そして、威風堂々と声を張り上げる。
「遠からん者は、音にも聞くぴょん!!」
「近くば寄って、目にも見よ!!」
「「我らこそは、天下御免の白黒ぴょんぴょんシスターズ!!」」
俺は二人の背景に、『ドドン!!』という擬音を幻視した。
一応、パチパチと拍手をしておく。
「掴みはバッチリぴょん!」
「やりましたね、姉さん」
シロとクロは、お互いの健闘を称え合って、キャッキャと燥ぐ。
茶番が終わったところで、もう少し話を聞いてみよう。
「──ところで、兎獣人だと、やっぱり耳がよかったりする?」
「はい、肯定します。この耳のおかげで、危険を察知する能力が高いと自負しておりますので、私たちは護衛に適しているかと」
「動きも素早いぴょん! ご主人のピンチに、シュシュッと参上するぴょん!」
更に付け加えると、獣人は人間よりも筋力が高いらしい。
兎獣人の場合、脚力が尋常ではなく、素足で岩を蹴り砕くことも可能だとか。
クロとシロのアピールに、俺の心は大きく揺らぐ。
俺の名字が兎場だから、兎繋がりで縁も感じるし……何より、この二人はおっぱいが大きいんだ。
前向きに購入を検討していると、店主が一つ提案してきた。
「お客さん。護衛は腕の立つ男性の奴隷に任せて、可愛い奴隷は別で用意するのも、一興どすえ」
「ああ、なるほど……」
筋肉ムキムキの男性奴隷だと、外見で周囲を威圧出来るので、護衛に適している。
ただ、むさ苦しい男を傍に置きたくない。可愛い女の子に守って貰いたい。
でもなぁ、身の安全より欲望を優先するのは、流石に間違っているかも……。
どうしたものかと、俺が悩んでいると、シロとクロが焦り始めた。
「クロっ、大変ぴょん! このままだと、いい感じに甘そうでイケメンなご主人が、他の奴に盗られちゃうぴょん!」
「姉さん、こうなったら必殺技を使いましょう」
「必殺技……ッ!? ま、まさかっ、アレのことぴょん!?」
「そうです。ぶっつけ本番ですが、やるしかありません」
今度はどんな茶番を見せてくれるのか、俺は二人に注目した。
すると、二人は俺の左右に立って、おっぱいを押し当ててくる。
「「必殺っ、白黒ぴょんぴょんアタック!!」」
マシュマロおっぱいに挟まれて、俺の男心はぴょんぴょんした。
なんて素晴らしい必殺技なんだと、内心で二人を絶賛する。
「よし、この二人を買います。幾らですか?」
「お客さん、チョロいなぁ……。二人合わせて、金貨百枚でっせ。債務奴隷で十年契約。だから、十年後には解放せなあかんよ」
「分かりました。じゃあ、一括現金払いで」
俺は袋から金貨を取り出して、手早くお会計を済ませた。
「ウチでは、メイド服も売ってはりますけど──」
「買います! 幾らですか?」
店主のセールストークに、俺は光の速さで食いついた。
欲を言えば、バニーガールの衣装も欲しいが、それは売ってないらしい。
「全部合わせて、金貨十枚でっせ。毎度ありー」
オーソドックスな奥ゆかしいメイド服。露出度が高いミニスカメイド服。戦闘用の鎧と複合しているメイド服。
それぞれ二着ずつ、購入させて貰った。