シカと和解せよ   作:アラウンドブルー

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タイトルは適当です。何となくでつけてたらシリアス臭くなった。



変わりゆく世界

 

 教室。虎視虎子は机に顔を突っ伏していた。普段優等生として振舞っている彼女がこんなことをするのは珍しい。そのため、周囲はヒソヒソと様子を伺っている。

 

 

(あ゛あ゛〜疲れた。朝っぱらからなんなんだよアイツ。ていうか……)

 

「建御くん、先程の方とはお知り合いではない……アレ?」

 

 

 虎子は隣の席に座っているはずの建御命につい10数分前にあったシカ娘のことを問い質そうと顔を向けるが、そこは空席だった。

 

 さっきは一緒に登校して着席したはずなのに何故? トイレかな、等と考えていると、どこからか『ギコギコ』『ガンガン』『ドガガガ』と異音が聞こえてきた。

 

 音の方に目をやると、そこには教室のドアと壁を工具で破壊している者がいた。

 

 

「っておいっ!! おまっ……建御くん貴方何やっちゃってるの!?」

 

「ああ、虎視。これは必要なことでな」

 

「んな訳あるかい! 教室を破壊するのはやめなさいって!」

 

 

 そう注意しながら未だに作業を続ける腕を掴んで止めようとするが、全くビクともせず教室の破壊活動は続けられる。

 

 虎子はオロオロしていると、やがて担任の鵜飼先生が教室に入ってきた。

 

 

「はぁ〜い、みんな席に着いて〜。あらっ、建御くんそれは……」

 

「せ、先生! 建御くんを止めてください!」

 

「流石! 気が利くわね〜!」

 

「は?」

 

「でしょう? 丁度今、作業は完了しました」

 

 

 壁と扉の一部が奇妙な形でくり抜かれていた。他の生徒は何の形だろうと首を傾げているが、虎子はこの形をどこかで見たような気がした。具体的には十数分前。

 

 誰もこの状況を気にしていない、強いて言うなら何故こんなことをしたのだろうと疑問を覚えている程度。

 

 渋々虎子は自分の席に戻り、HRが始まった。

 

 

「では、今日は皆さんに転校生を紹介します」

 

(転校生? 何かイヤな予感が……)

 

「来るか…………!!」

 

 

 目をカッと開き、ニヤリと笑いながらそうつぶやく命の姿を見た虎子は思わず肩を震わす。

 

 

「さっ、入って!」

 

「はーい!」

 

 

 可愛らしい返事と共に、教室の扉が開かれる。ニコニコと笑いながら、左右に広がっている角を壁と扉にぶつけることなく1人の女の子が入室した。瞬間、クラスが沸き立つ。

 

 

「うおおおおッ! そ、そういうことか!! さっき建御がやっていたことは、あの転校生の角が引っかからないようにするためッ!!!!」

 

「そして幅も細すぎず太すぎず、絶妙に調整されていて角のためだけじゃなく映えスポット的なアレとしても使える神デザイン!!」

 

「先の先を読むその冴え渡った思考!! 流石、虎視さんに並ぶ日野南高校の秀才、建御命ッ!!!!」

 

 

 迫真の説明台詞で先程の建御命の奇行を解説し、これでもかと持ち上げ始める生徒。生徒全員(虎視虎子を除いて)から尊敬と渇望の眼差しが彼に向けられる。

 

 そんな彼はと言うと、

 

 

「フッ……」

 

 

 当然と言わんばかりのしたり顔を浮かべていた。

 

 

(いや誰か一人くらい校舎を破壊していることに突っ込めや!!)

 

 

 なお、もし建御命がシカ娘用に処置を施していなかったらもっと酷いことになっていたということを虎視虎子は知る由もなかった。

 

 

「のつ! 【鹿乃子のこ】です。【のこたん】って呼んでね!」

 

「「「のーこたーん!」」」

 

「わああ! シカの角生えてる〜、かわいい〜」

 

「私今まで犬推しだったけど、これからはシカ推しに変えようかな〜」

 

(えっ、なんで普通に歓迎ムード!? シカだよ? 角生えてるんだよ!? そいつのために学校破壊してる奴もいるんですけど!?)

 

 

 一夜にして世界が変わることは往々にしてある(至言)

 

 席は、と鵜飼先生がシカ娘もとい、のこたんの座る場所を教えようとしたその時、

 

 

「あっ! さっき会ったお兄さん!」

 

 

 先程から楽しそうにしていたのこたんは更に大きく、満面の笑みで建御命に指を指した。そんな命は思わずぶん殴りたくなるようなドヤ顔を浮かべながら無言で頷いた。

 

 

「あらっ、鹿乃子さんと建御くんお知り合い?」

 

「朝、私を助けてくれたんだ!」

 

「それって、パン加えたまま走ってたら曲がり角でぶつかった的な!?」

 

「そう! 電線に吊るされてたところを助けてくれたの!」

 

「わああ〜! 運命的ー!」

 

「私だったら惚れちゃう!」

 

(どこが運命的なんだよ! お前らのセンスどうかしてるっての! てか、私もいたんですけど!)

 

 

 生来の気質ゆえか、突っ込まざるを得ない虎視虎子。

 

 

「うふふっ、素敵ね。それで、鹿乃子さんの席は虎視さんの隣が空いているからあそこよ」

 

 

 まずい。

 

 虎視虎子の脳裏に過ぎったのはその三文字。今は隣の命に目線が行っているが、いずれ必ず自分の存在にも気がつく。そうなったら何かの拍子で黒歴史を暴露されかねない。先手を取らねば。行動に移るのは早かった。

 

 

「ごっ、ご機嫌よう!」

 

 

 目線が虎子に向いた瞬間、すぐさま切り出す。

 

 

「あっ、今朝の!」

 

「貴女、転校生だったのね。私は虎視虎子。一応このクラスの学級委員をやっているわ」

 

「へぇ、そうなんだ!」

 

「そして俺は副委員の建御命。改めてよろしく、のこたん」

 

「うん、よろしく! 【たけみん】!」

 

「たけみん?」

 

「あだ名だよ! 最初に会った時から考えてたんだ〜!」

 

 

 ほわほわとした雰囲気を作り出す2人。そんな彼らに挟まれる虎子は居心地の悪さを感じていた…………わけではなかった。

 

 

(ナ、ナイスよ命! Very Nice!! アンタがこのシカの注意を引いてくれれば、それだけ変なことを言い出す可能性が低くなるってものよ!)

 

 

 ニコニコ顔の裏側で勝ち誇っている虎視虎子だが、そうは問屋が卸さなかった。

 

 

「ところでのこたん、虎視を見てくれ。彼女をどう思う?」

 

「へ?」

 

「すごく……ヤンキーです…………」

 

 

 さながら運命の強制力と言わんばかりに、のこたんから自然かつ強引にヤンキーというワードを命は引き出した。

 

 静まり返る教室、驚愕する生徒と先生。校舎を破壊しても、角の生えた女子高生が入ってきても動じなかった彼らは、優等生の虎視虎子がヤンキーだという暴露には何故か唖然としている。

 

 だが、これで終わりではなかった。

 

 

「あと……お姉さん処女だね」

 

「ハ……ハァ───!?!?」

 

 

 センシティブな事実を公衆の面前で暴露され、絶叫する虎視虎子。一方、建御命は何故か不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

「虎視さんが処女……!」

 

「おお」

 

「おお」

 

「おおじゃねえよ!!!!」

 

 

 一斉に色めき立つ教室。

 

 

「つまり、虎視さんはまだ建御のモノになってない……ってコト!?」

 

「ならば、今こそシカマイスターの彼をモノにするチャンス! 私、建御くんの彼女に立候補しまーす!!」

 

 

 場は混沌としていた。顔を真っ赤にした虎視虎子、のほほんとしたのこたん、自然体の建御命、彼氏/彼女になるチャンスと沸き立つ生徒一同。

 

 

「しょ、しょしょしょ処女って一体なんの証拠があって……」

 

「え? じゃあ処女じゃないの?」

 

 

 ごくりと唾を飲み込む先生と生徒たち。答えを待ち望み、瞬き一つしないその様子は控えめに言ってイカれている。

 

 

「いや……それは…………その……」

 

「フッ……答えるまでもない、ということか」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

 

 

 トドメを刺す命。そんな彼に、顔をゆでダコのようにしてぽかぽかと胸元を叩く虎子。2人の様子を先生&生徒は生暖かい目で眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は過ぎ、放課後。

 

 それまでの間、虎視虎子の机にのこたんが助けてくれたお礼として大量のシカせんべいを積み上げたり、建御命には自身の角を使ったシカ角アクセサリーをプレゼントしたり、再びヤンキーと口走りそうになったのこたんを虎子がトイレに連れ込んで口封じを仕掛け、逆に【こしたん】とあだ名を付けられたり、のこたんが人ともシカとも思えない謎の生態を見せたり等々、なんてことの無い日常が繰り広げられた。

 

 

(ハァァ〜……今日は朝から疲れた…………つーか命のやつなんなんだよ、アイツ昨日まではあんなキャラじゃなかっただろ。学年に1人はいるような爽やか完璧人間だったのに……まさか、アイツも私と同じようにこれまで猫かぶってたのか?)

 

 

 疲労困憊。ゲッソリとした様子で虎子、改めこしたんは帰路に着こうとしたその時、倉庫から物音が聞こえた。

 

 

「ん? 今の音は……あそこからか!」

 

 

 生徒会長である以上学校内のトラブルは見過ごせない。こしたんは駆け足で異音の発生源である物置に向かった。

 

 

「すみませーん、誰かいるんですか? すごい音がしたけど、大丈夫…………」

 

 

 扉を叩くが返事が無い。様子を確かめるべく開けるとそこには────

 

 

 

 

 ────頭から血を流し、光を失った目を開いたまま力無く横たわるのこたんがいた。そして、こしたんに背を向けるようにして膝立ちしている建御命。

 

 

「ギャアアアアアア!! み、命お前まさか痴情のもつれとかで鹿乃子を……」

 

「ま、待ってくれ! 違う、俺じゃ……俺じゃない! 何もっ、やってないんだ! ただ、のこたんを助けようとしてお、俺は! ……仕方がなかったんだ!!」

 

 

 顔を青くして、冷や汗を流しながらたどたどしく弁明する命。どこからどう見ても現行犯である。

 

 

「あ! こしたん!」

 

「イヤアアアアアア!!」

 

 

 もっとも、のこたんは何事も無かったかのように復活した。

 

 

「し、ししし鹿乃子さん……そ、それ血? なにかあったの…………?」

 

「いやぁ〜、失敗失敗。脚立から落ちて膝擦りむいちゃった」

 

 

 その時である。

 

 怒涛の如く吹き出す血。スプラッタ映画さながらにのこたんは血まみれになった。

 

 

「いや頭頭〜!!」

 

「だから言っただろう。俺じゃないと」

 

「お前はなんで平然としてんだ!!!!」

 

 

 そして、3人は溢れ出た血を処理しこしたんはのこたんに絆創膏を貼ってあげていた。

 

 

「絆創膏かわいい」

 

「うっせ」

 

「これからは持ち歩くようにしないとなぁ」

 

「つか、何してんだよお前ら。こんな使われていない倉庫で」

 

「んー、掃除してた」

 

「掃除? なんのために」

 

「それは終わってからのお楽しみ。もちろん、鵜飼先生に許可はとってあるさ」

 

「ふーん……」

 

「ありがとね、こしたん! よぉーし、お掃除再開!」

 

「おー!」

 

 

 のこたんが号令をかけ、掃除は再び開始された。

 

 が、実際は膝を擦りむいた所ではなかったのこたんは、重いダンボールを運ぼうとするもよろけてしまう。

 

 そんな彼女を見ていられなかったこしたんは、照れながらも支えた。

 

 

「ああ、もう。手伝ってやるよ」

 

「くっ! こしたんに先を越された!」

 

「え! いいの!?」

 

「ケ、ケガしてるし! それに、お前ら2人放置していたら何が起きるかわかったもんじゃねえからな!」

 

「やった〜! ありがとー!」

 

 

 まごうことなきツンデレである。

 

 そんなこんなで、3人体制で倉庫の掃除が開始された。不要なゴミをまとめ、埃を箒で払い、途中であそび始めたのこたんはこしたんからゲンコツをくらった。

 

 命は腐っても優等生で腕力も十分以上。重いダンボールを両手で軽々と持ち上げるその姿に、のこたんは思わずパチパチと拍手し、こしたんは流石と言わんばかりに感心していた。

 

 途中のこたんが蜘蛛の巣に吊るされるといったハプニングもあったが、掃除も終わり際間近。

 

 

「ヌンヌーン♪ ヌヌンヌーン♪」

 

「掃除なんて雑用なのに、随分と楽しそうだな」

 

「えー! 楽しいよ! だって、こしたんが一緒だし! たけみんもいるしね!」

 

「なっ!? お、大袈裟だな。たかが掃除に」

 

「掃除も誰かとやると、こんなに楽しいんだね」

 

「フッ……だな」

 

 

 何となくいい感じの雰囲気になっていると、倉庫の扉が開いた。

 

 

「あらっ、随分綺麗になったわね」

 

「鵜飼先生?」

 

「お疲れ様です」

 

「先生のつ!」

 

「はいはい、のつ!」

 

 

 ノリの良い先生である。

 

 

「虎視さんも掃除手伝ってくれたのね。ありがとう、大変だったでしよう?」

 

「いえ、これくらい何ともないですよ」

 

「いやー、でも建御くんと鹿乃子さんだけで大丈夫かなって思ってたけど、虎視さんまでシカ部に入部してくれるならもう安泰ね」

 

「そうですね! …………はい? シカ部??」

 

 

 古今東西、S○S団だのご○く部だの奇天烈な部活はあるが、シカ部という直球で意味不明な名称には流石に理解が及ばなかったこしたん。

 

 

「それじゃ、約束通りここは自由に使っていいわよ」

 

「やったー!」

 

「ありがとうございます。必ずや、良い実績を残してみせます」

 

「????」

 

 

 こしたんそっちのけで盛り上がる3人。展開に着いて行けず、思わず思考を止めてしまうが、それはこの世界では悪手もいいところ。

 

 

「ちょ、シカ部って一体何のことです? それに私が入部って……」

 

「あら、聞いてないの?」

 

「これが、さっき俺の言ったお楽しみってやつだよ。のこたんがシカ部を発足したんだ」

 

「「ねーっ!」」

 

(ねーっ! じゃないんだよ、ねーっ! じゃ)

 

 

 その後、ツンデレに加えチョロインなところもあるこしたんは見事、3人に煽てられシカ部への入部が決まってしまった。

 

 

「えーっと、部活名:シカ部。部長:虎視虎子。活動内容:主にシカの世話、と……」

 

「ちょっと待って、どうして私が部長なのかしら!」

 

「部長はこしたんだよ/虎視さんでしょ? /こしたんだろ」

 

「え、なんで私がおかしい感じ? だってシカ部ですよ? シカの鹿乃子さんが部長やらないで誰がやるんですか?」

 

「ああ、そういうことか」

 

 

 ここで、のこたんから説明が入る。

 

 シカ部の活動内容は主にシカの世話。鹿乃子のこはシカ部所有のシカになるため、その世話をする役目である虎視虎子が部長となるのは当然の帰結。

 

 理路整然とした説明を受けるも、こしたんはなおも食い下がった。

 

 

「な、なら建御くんはどうなるのでしょうか!? 彼は鹿乃子さんと仲が良い様子ですし? 私より彼の方が部長としてふさわしいと思います!」

 

「ああ〜、それについてはね」

 

「俺が辞退したんだ。俺はこれでもシカマイスターと呼ばれていて、シカについて誰よりも詳しい……そう思っていたんだ」

 

「シカ、マイスター????」

 

 

 そういえば、朝にクラスの女子がそんな妄言を抜かしていたなとこしたんは思い出す。

 

 

「だがな、お前は俺みたいにシカのプロフェッショナルじゃないというのに、すぐにのこたんと仲良くなった。そして先程、のこたんをマザーテレサのように看病したり、絶体絶命の窮地から救ってみせた」

 

「そんな大袈裟なことしてないんですけど……」

 

「だから、掃除中にのこたんと話してな。お前こそ、シカ部部長に相応しいと決めたんだ。なっ、のこたん?」

 

「うん! こしたんがシカ部の部長だよ! よろしくね!」

 

「くっ! でもやはり、悔しいものは悔しい……!」

 

「大丈夫よ建御くん。先生はいつも、貴方の頑張りを見ているわっ。副部長として、虎視さんを支えてあげてね」

 

「はい……! 先生…………!!」

 

(私抜きで勝手に盛り上がらないでくれます??)

 

 

 こしたんの脳は既にオーバーヒートしていた。ろくすっぽ動かない脳で打つ手を考えるが、時すでに遅し。

 

 

「ほい、提出!」

 

「はい、確かに受理しました!」

 

「アーッ、仕事が早いー!」

 

 

 部活届けをのこたんが鵜飼先生に提出してしまい、シカ部が正式に発足されてしまった。

 

 

「それじゃあ部長に副部長、鹿乃子さんのお世話よろしくね!」

 

「よろしくぬん!」

 

「命に代えても」

 

「ぐっ、ぐぬぅ……はい…………」

 

 

 良い笑顔で引き受けた手前、反論できないこしたん。

 

 そして、シカ部結成。扉の上には木製のシカ部看板が掲げられている。自然を感じさせるデザインで良いと思う(小並感)

 

 

(たった1日で予想外の展開になってしまった……)

 

()()、お前の気持ちはよく分かる」

 

「ッ! 命……」

 

 

 ポンと、命はこしたんの肩を叩いた。

 

 

「例えるなら、コズミックホラーの住人になってしまった気分なんだろ。いつも食べている米が実は虫の卵だった的な、狂気の世界に正気のまま入ってしまったアレ」

 

「お、お前イカれてなかったのか!? てか、キショい喩えすんな」

 

「俺は正気と狂気どっちにも移れるみたいだからな。まっ、今日は振り回すことになってしまって悪かった。今までみたいに、なんかあったら助けるからさ」

 

「命……!────ったく、これからも頼むぜ!」

 

 

 夕日に照らされながら、青春の1ページを感じるようなやり取りがこしたんと命との間で繰り広げられた。

 

 

「それじゃあまずはブラッシングを頼もうかな」

 

 

 そんなやり取りを眺めていたのこたんは、こしたんにブラッシングをお願いして動物用ブラシを取り出した。

 

 

「鹿乃子お前ふざけんなよ! そういうのは命に頼め!」

 

「こしたん、お前は部長だろ。部長たるものシカへのブラッシングは必ずマスターせねばならん。10年間ほぼ毎日ブラッシングをし続けたこの俺が技術を継承してやる。修行パートに行くぞ!」

 

「ああっ、もう! ちょっとカッコイイと思ったのにすぐこれかよー! 畜生ー!!」

 

 

 ワイワイと、部室前で盛り上がる3人。そんな様子を校門からひっそりと眺めている者がいた。

 

 

「己……!! 害獣…………!!!!」

 

 

 その顔は、ヒグマをも恐れさせるほど憤怒と憎悪に歪んでいた。

 





 お読みいただきありがとうございました。

 高評価、お気に入り登録、ご感想よろしくお願いします。

 以下、軽くオリ主のスペック

 ・名前:【建御 命(たけみ みこと)
 ・年齢:17歳
 ・身長:182cm
 ・誕生日:12月24日(山羊座)
 ・利き手:左
 ・こしたんとは対象的な銀髪、碧眼の日本人
 ・好きな物:シカ、ミルクティー
 ・座右の銘:シカと和解せよ、さすれば道は開かれん

 『シカと和解せよ』などという幻聴を神託と受け取り、シカと運命的な出会いをすることになると論理を飛躍させ、心・技・体を極限まで高めあげたガンギマリ男。

 もっとも、外ヅラは虎視虎子同様やたら良いため人気者。こしたんとは中学からの仲で、都合良くクラスは3年間同じだったらしい。高校でも同様。

 虎視虎子のことは基本的に虎視orこしたんと呼ぶが、真面目モードや2人だけになると虎子呼びになる。
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