そのメイドラゴンの兄、聖皇にして   作:W297

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…なんか気分が乗ったので書いてみました。

他の奴も更新していかないと…。


1話 システムエンジニア、古田或斗!(普通のサラリーマンです)

「…こんなところ、かな」

 

 俺はそう言いながらキーボードを叩いていく。

 

 この地獄巡商事のシステムエンジニアとして働く俺、古田(ふるた)或斗(あると)はPC画面をシャットダウンさせてふうっと一息つく。

 

「或斗君、お疲れ様。

 

 もう一人前のエンジニアだね」

 

 そんな俺に声をかけてくれた、隣の席の爽やかなイケメンは俺の先輩でもある滝谷(たきや)(まこと)さん。

 

 俺をここで一人前になるまで育ててくれた人である。

 

「いえいえ、滝谷さんや小林さんに比べたらまだまだですよ。

 

 …そういえば小林さん、大丈夫ですか?

 

 さっき所長からすごい数の仕事割り振られてたと思うんですけど…」

 

 俺はそう滝谷さん越しにここの大黒柱、小林(こばやし)さんに話を聞くとPCへの入力を止めずに顔だけこちらに向けて「大丈夫だよ」と返してくる。

 

「さすがにいつもに比べたらしんどいけど、十分対応可能な範囲内。

 

 心配はいらないよ」

 

 「…まあコレ終わったら思いっきりヤケ酒するつもりだけど」と小林さん若干の悲壮感を醸し出しながら再び顔をPCに向ける。

 

「…ホント、アンタ酒癖悪いんですから…。

 

 くれぐれも飲み過ぎないでくださいよ?」

 

「あはは…、善処するよ」

 

 小林さんは俺にそう苦笑いを返してきた。

 

「…それじゃ、俺はここで帰ります。

 

 お2人とも煮詰め過ぎないようにしてくださいね?」

 

「りょーかい、気を付けてね」

 

「うん、お疲れ様」

 

 小林さんと滝谷さんにそう声をかけられて、俺は事務所を後にしていく。

 

「さてと、晩飯なんにしよっかな…」

 

 俺がそう呟きながら歩いていると、俺のスマートフォンが震えていく。

 

「ん…、誰だこの番号…?」

 

 かかってきた番号は俺が仕事関係でも全く知らない番号だった。

 

 若干不思議に思いながら、俺は電話に出る。

 

「…はい、古田です」

 

『やっほー、久しぶりだね』

 

 電話越しに聞こえる声、俺には名乗らなくても直ぐに分かった。

 

「…って、ルコア姉さんじゃないっすか!

 

 お久しぶりです…、ってかなんで俺の電話番号知ってんすか…」

 

 俺がそう話すと、ルコア姉さんは「僕にかかればそのぐらいあっという間だよ~」と返してくる。

 

『ねえ、久々に君と話したいんだ。

 

 このあと君の家に行ってもいいかい?』

 

 ルコア姉さんのそんな頼みに、俺は二つ返事で「了解です」と返していく。

 

「…今ちょっと外にいるんで3分ぐらいかかると思いますけど、先に部屋の中で待っといてください。

 

 たぶんあなたなら余裕でセキュリティ突破できると思うんで」

 

 俺がそう話すと、『オッケーだよ~」と返ってきて通話は切れる。

 

「…さてと、そうなるならさっさと家に帰るとしますか」

 

 俺はそう呟いて大通りから路地裏へと入っていく。

 

「…よっと、『認識阻害魔法』っと」

 

 俺はそう言って周りから自分の姿を消す。

 

 そして再び広い場所へと出てきた俺は、自身にかけている変身魔法を解く。

 

 

 

「こっちの姿になるのも久々だな」

 

 

 黒い肌、そして体の様々なところに付く赤い鎧のような鱗、そして背中から生える大きな一対の白い翼。

 

 それが俺、赤と白のドラゴンとして生を受けた、『ジークフリーデン』の真の姿だ。

 

 

 

「…さてと、ルコアさんを待たさないようにしねえとな」

 

 

 

 俺はそう呟きながら自宅へと一直線に伸びていく空の道を羽ばたいていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…よし、着いたっと」

 

 俺はそう呟きながら自宅のマンションの前に降り立つ。

 

 …そして俺は自身に変身魔法をかけて、認識阻害魔法を解除する。

 

「ルコア姉さんもう来てるかな…」

 

 俺はそう思いながら自室へと向かっていく。

 

 …階段を登り、俺が部屋のドアを開けると、案の定すでにカギは開けられていた。

 

 玄関には俺の靴の他に見慣れない女性の靴があった。

 

 「やっぱりもう来てるか…」と思いながら、俺は部屋に戻っていく。

 

「…ただいま戻りましたー」

 

 俺が部屋の中にいる存在に向けてそう声をかけると、「おかえり~」という声が返ってくる。

 

「…ルコア姉さん、お久しぶりですね。

 

 何十年ぶりですかねホント」

 

「うん、ジーク君も元気そうで何よりだよ」

 

 俺がルコア姉さんと呼ぶいろいろと大きなこの女性、その真の姿はケツァルコアトルという俺と同じドラゴンだ。

 

 俺の師匠的な存在であり、強さや賢さといった面は他の存在を寄せ付けない。

 

 俺が尊敬しているドラゴンであり、本当の姉弟という訳ではないが、俺は敬愛の意味も込めて俺は彼女のことをルコア姉さんと呼び慕っている。

 

「…何も出せなくてすみませんね。

 

 っていうか話って何ですか?」

 

 俺が荷物を置いてルコア姉さんの前に座ると、「ちょっと君に伝えておきたいことがあってね」と話してくる。

 

「…ジーク君、君の家族についての話なんだ」

 

 ルコア姉さんの言葉を聞いたその瞬間、俺の体は硬直する。

 

 そんな俺を見て「続けるよ?」とルコア姉さんは話していく。

 

「…トール君が一人で神に突っ込んでいってやられたんだ」

 

 …あのトールが!?

 

 …トール、俺の妹のドラゴンだ。

 

 正直俺はあいつに兄貴らしいことをすることはできていない。

 

 途中までは確かに一緒に過ごしていたが、俺はその後ルコアさんを慕って混沌勢を去り傍観勢に入った。

 

 何度かルコア姉さんと一緒にトールと会ったときはあいつもそこまでいい顔してなかったし「なんで一緒にいるんですか?」って聞かれたし。

 

 …だが、どんなことがあろうと俺にとっては可愛い妹だ。それは何があっても不変である。

 

 そのトールが、…である。

 

「って、一人でですか!?

 

 他の混沌勢のドラゴンたちはなんで…!?」

 

「さあね、それは僕にも分からないよ。

 

 僕もまだ噂を聞く限り、『トール君が暴走した』ってことしか分かってることはないね」

 

 ルコア姉さんはトールの状況をそう説明する。

 

「…それであいつは、トールは無事なんですか?」

 

 ルコア姉さんは「いや」と首を横に振る。

 

「…神剣を体に突き刺されたらしくてね。

 

 どうやらこっちの世界に落ち延びてきたみたいなんだ。

 

 多分命は結構危うい状態だよ」

 

 …その言葉を受けて俺の体は自然と外へと動いていたが、ルコア姉さんはそうしようとする俺を止める。

 

「ちょっと、放してください!

 

 アイツがこっちに来てるなら…!」

 

「君が行ったってどうすることもできないよ?

 

 神剣が突き刺さったって僕は行ったはず。

 

 君が無理矢理抜こうとすればトール君にも負担がかかるし、何より君自身にも負荷がかかる」

 

「じゃ、じゃあ妹が倒れそうなのに黙ってみてろと!?

 

 嫌ですよそんなの!」

 

 俺はそう叫ぶが、「君が助けに行っても何もできないよ」とルコア姉さんは諭してくる。

 

「僕も情報は張っておくし、何かあればすぐに君に伝えるよ。

 

 …ジーク君、改めて言うよ。

 

 『トール君のことはひとまず僕に任せてほしい』。僕からの頼みだ」

 

 …ルコア姉さんがこういう言い方をするときは本気の時だ。

 

 …正直俺が出来ることはないだろうし、ほぼルコア姉さんの言う通りだ。

 

 俺としてはルコア姉さんにここまで言わせたら動くことはできない。

 

「…分かりました、ルコア姉さん。

 

 トールのことお願いします。

 

 俺もできることがあれば、なんでもやるんで」

 

 ルコア姉さんは「そうしてもらえると嬉しいよ」と続ける。

 

「…それじゃ、僕は行くとするよ」

 

「え、もう行っちゃうんですか?

 

 何ならお茶とか出せますけど…」

 

 俺はそう話すが、「お気持ちだけで結構だよ」とルコア姉さんは歩きながら返してくる。

 

「じゃあね、ジーク君。

 

 トール君のことで何かあればすぐに伝えるからさ」

 

 そう言ってルコアさんは俺の部屋から去っていった。

 

 …ガチャンというドアの閉まる音の後俺は手を目の上に当てて天井を見上げる。

 

「…トール、頼むから生きててくれよ?」

 

 俺はそう呟いた。




彼の人間体と声は流れ星のキリガがモデル(あんまり敬語とか使ってた印象ないけど…)。

そしてドラゴン体はタイトルにある通り『聖皇ジークフリーデン』と言いたいところですがアルティメット化した『アルティメット・ジークフリーデン』の方の姿です。

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