VRMMO作ってみたくない?   作:ゴロゴロ鼠

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多少の狂気があるからとは思うが

シードグループからのライブ配信により発表された『シャングリラ・フロンティア』は日本国内を大きく沸かせることとなった。配信終了後からSNSではシャンフロの話題で持ち切り。ほとんどの人がサービス開始を楽しみにする中で一部、主にパブリッシャーに分類されるゲーム会社の社員達は喜ぶことが出来なかった

 

 

「・・・」

 

「えっと・・・大丈夫かい?クリスティーナ」

 

会議室でシードグループの配信を見ていた葉月とクリスティーナ。クリスティーナは配信にてシャンフロのPV映像が流れた時点で顔を青くし映像が続くにつれ少し涙目に、そして最後に〈管理者〉の新作ゲーム開発決定をトドメに机に伏してしまった

 

「ねえしずく、ゲーム制作が決まった後って何が待ってる?」

 

「え?・・・そうだね、α版やβ版の作成やら・・・ゲームの広告」

 

「そう!普通ゲームの製作が決定したら発売予定の数か月ほど前から広告を入れるのが普通でしょう!?なのに作られている事すら情報が出ていないゲームを一週間後にサービス開始をするって何!?あれじゃあゲームの発売時期をずらす悪あがきすら出来ないじゃない!!」

 

「落ち着いてくれクリスティーナ、気持ちはわかるよ。シードグループがやっている破天荒さには私も驚いているさ」

 

ゲームを売るために必要な事、それはそのゲームが存在すると世間に広める事だ。どんなに人気シリーズ物の作品であっても、どれほど有名な方が制作にかかわった作品であっても知られなければ買い手は現れない。なのでどこの会社も発売前からきっちりと雑誌やテレビなどを使って宣伝を行うのだが

 

「自信があるんだろうね、あれだけの宣伝でも買い手が付くと。まあそれでも一週間前からの宣伝はチャレンジャーだとは思うが」

 

VRゲームはシードグループ以外でも開発が行われているので多少の情報はあるがVRMMOを作ろうとすると軽く100憶単位はかかる。そんな物に多く売れるための事前準備をしっかりと行わないと言うのは買い手側からすれば待たなければいけない期間が短くて嬉しいだろうが同業からすれば完全に狂気の沙汰だ

 

(まあ、あんな作品群を作れるのも多少の狂気があるからとは思うが)

 

しずくがクリスティーナをどう立ち直らせようかと考えていると、携帯の着信音が鳴る。

 

「・・・はい、大和です」

 

形態の持ち主であるクリスティーナが電話に出る、漏れ聞こえる音から電話の向こうは慌ただしい事になっているようだとしずくは把握した

 

「はい・・・はい、分かりました。直ぐに戻ります・・・ごめんなさいしずく、私本社に戻るわね」

 

「何かあったのかい?」

 

「シードの配信よ。『シャングリラ・フロンティア』に会社中慌ただしいみたい。発売日が被ったら間違いなく売り上げが落ちるから緊急会議よ。それじゃあ」

 

「ああ、道中気を付けて」

 

しずくはクリスティーナを見送ると自分のデスクに戻り今後の予定を確認していく

 

(取り合えずイーグルジャンプはこのまま予定通り『フェアリーズストーリー3』の開発を進めて行く。今後の事はクリスティーナとも話さないといけないね)

 

 

一週間後、『シャングリラ・フロンティア』のサービス開始となる本日ユートピア社の社長室に置いてある電話が鳴る。それを一週間前の配信にて『ノーネーム』を名乗った女性、ユートピア社の社長である神代 創世(こうじろ つくよ)が受話器を取った

 

「はい、神代です・・・なんだ涼風さんじゃ~ん」

 

『仲間内だと一瞬で砕けた口調になりますよね』

 

「嫌だった?」

 

『全然。ちょっと様子を聞こうかと思ったんですが今大丈夫ですか?』

 

「ぜんぜん大丈夫~『カーディナル・システム*1』様様で大きな、シャンフロを緊急メンテナンスしなくても問題なくサービスを続けられてるよ」

 

『それは良かった。逐次アップデートを続けているとはいえSAO時代から使っているシステムですからね、シャンフロは初期のSAOと比べてもかなり負荷が大きくなっていたので気を付けてください』

 

「大丈夫!24時間体制で監視は行ってるから。まだ始まったばかりでBAN対象プレイヤーも出てきてないし暫くは余裕をもって運営が出来るかな」

 

その時、ピコンと言う音と共に創生のパソコンに通知が届いた

 

『今の音は?』

 

「シャンフロの通知、ユニークシナリオとかが発生した場合通知が来るように設定してるの、サービス開始から一日も経っていないのにもうユニーククエストが発注されるなんて『兎の国ツアー』かな~?・・・え、えぇ!?」

 

『?どうしました』

 

「えっと・・・あるパーティーが遭遇しちゃったみたい」

 

「遭遇・・・まさか」

 

「そう・・・」

 

『ユニークモンスターエンカウント発生

 

 遭遇プレイヤー名:スペル

      カヴァー

      ライト

      クリック

 

 遭遇ユニークモンスター:夜襲のリュカオーン』

 

『初めて1日にも立たずに夜の帝王様に見つかるとは。ご愁傷様ですとしか』

 

「まあ、問題ないんだけど。もうちょっと我慢して欲しかった感はあるよね~」

 

この後、リュカオーンに遭遇したパーティーは何もできずデスペナルティに合い、このことを掲示板投稿すると瞬く間にリュカオーンの話がプレイヤーに流れて行った

 

*1
ソードアート・オンラインにて登場するゲームバランサー機構




しずくから狂人扱いされている主人公達。まあゲーム業界の人でシードグループの行動見てたら多分全員が狂人判定するでしょ。

運が良いのか悪いのか分からないプレイヤー達でした。原作サンラクの様にマーキングを貰える人間は現れるのか
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