【3話完結】仮面ライダーダブル&ビルド   作:アイナll

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ダブルの世界


2話 Bとの出会い/謎の工場を追って

 今日も誰かが突然ドアを叩く。

 

「謎の工場を調べて下さい!!」

 

「工場?」

 

 今回の依頼人は土地の売買をしている男。

 風都の北にあるダムに研究所を併設させる計画が上がり現地へ行ったところ、全く知らない工場が建っていた。

 市役所に調べてもらうも、そこには何も無いと書類が証明して動かなかった。警察にも相談したが、別件の事件で回せる人員がいないと門前払いされた。とある刑事さんに鳴海探偵事務所に行くよう勧められてやってきた。

 

「工場ね〜。こう言うのも何ですが…ご自身で入られました?」

 

「私の同僚が2人入った」

 

「ならその人から、」

 

「2週間音信不通なんだ。それに私は見たのだ。あの工場を徘徊する白いバケモノを」

 

 白いバケモノ。この正体はこの街ではほぼ一つでしか無い。

 どうやら俺の出番のようだ。

 

「なるほど、そりゃ大変だ。ではその依頼、ハードボイルド探偵 左翔太郎にお任せ下さい」

 

 俺は壁にかけてある帽子を被り、件の工場へ向かった。

 

 

 

 風都ダム。

 風都の北部に位置するダムで街の活気を陰で支える発電施設もある。付近には公園が併設され休日は親子で遊びに来れる憩いの場として有名だ。そんなダムの、外れに件の工場があった。

 

 大きさはそこまで大きくない、市街の倉庫一棟くらいだろうか。中からは何かしらの装置が動く音が聞こえ、壁に手を当てると微弱ながら振動も伝わってくる。

 

『バット』

 

 外周を回っていると小さな窓を発見した。ひとまず内部の情報を得るためにバットショットを工場内へ放つ。

 カメラがコウモリに変形したガジェットは自律行動ができる他、リアルタイムの映像を手元の携帯で確認する事もできる。

 

「内部は普通の工場か?」

 

 バットショットから送られる映像を見るに内部には大きな機械が3つほど入っており、それぞれが連動して動いている。

 それ以外に目立った物も無い。依頼人は怪人が徘徊していると言っていたが、そんな影も見当たらない。赤外線センサーや温度感知などもおこなうが、それっぽいモノや罠も見当たらない。

 これなら入っても問題ないだろう。そう判断して小窓から工場内へ潜入する。

 

 内部は映像と変わらない。機械が動いているだけだった。

 

 

 

 不意に、悪寒が走る。

 死神が鎌を振り上げているような、そんな悪寒。

 

 翔太郎は咄嗟にしゃがむ。ヤツの光弾が頭上をかすめる。

 

「やっぱ居たか。ドーパント」

 

 白い怪人。この町ではドーパントという化け物は工場の屋根にぶら下がっており、翔太郎が侵入するのを待っていたのだ。

 ヤツの攻撃で依頼者の同僚はやられてしまったのかもしれない。誤算があるなら、今回待っていたのはヤツ側だけではなかったという事だ。

 

「いくぜフィリップ」

 

 翔太郎は赤いガジェットを取り出し、腰に当てる。ガジェットからベルト状のケーブルが伸び、体にフィットする。

 

『ジョーカー!』

「変身!」

 

 黒いメモリ ジョーカーメモリを取り出し起動させる。間をおかずデータから実体化した緑のメモリ サイクロンメモリをベルトの右側のスロットに挿し込み、ジョーカーメモリを左のスロットに挿し込む。

 弾くように展開し、左右のガイアメモリから得たデータを翔太郎の体へエネルギーに転換して肉体を変化させる。

 

『サイクロンジョーカー!』

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

 右は緑、左は黒の赤眼の戦士。仮面ライダーダブルの登場だ。

 

 

 

『カメン、、、ライダー、、、ユ゛ル゛サ゛ン゛!!!』

 

「うわぁ!何だコイツ!」『仮面ライダーへの並々ならぬ憎悪を感じるね』

 

 ダブルの姿を見た瞬間、ドーパントは滑空し左腕の刃で切り付けてきた。ダブルはこの攻撃をかわし、一撃を入れ込む。しかしあまりダメージにはなっていない。

 ドーパントは口から超音波を放ち、ダブルの足を止める。

 

『逃さない!』

『トリガー!サイクロントリガー!』

 

 黒いメモリは青いメモリへ換装。左側の色が変色し、胸部にあるトリガーマグナムで銃撃する。

 風を纏った弾丸はドーパントに命中する。

 

『アァ、、、カメン、、、ライダー!!!』

 

『ッ!翔太郎!』「なんじゃこりゃ!」

 

 フィリップの合図で辛うじてかわしたダブル。そこにはさっきまで機械だったロボがいた。

 

『さっきの超音波で構造が組み換えられている…面白いメモリだ』「そんな事言ってる場合か!ヒートメタルで片付けるぞ」

 

 ロボは4本の腕を巧みに使い、ダブルの動きを止める。

 

『ヒートメタル!』

『メタル!マキシマムドライブ!』

「『メタルブランディング!』」

 

 巨大なメカに対し、炎を纏った棍棒で応じるダブル。勝敗は言うまでもなくダブルだった。

 機械の構造を組み換えてロボにしたものの材質は変わっていない為、破壊力に長けたヒートメタルの必殺技を耐えきれる訳がなかった。

 

『逃げられたね…』

 

 あのコウモリのドーパントはダブルがメカを相手した数秒でその場から消えていた。

 体の力が抜け、ベルトからメモリを抜く。変化した肉体は風と共に戻る。

 

『あのドーパント…興味深いね。翔太郎、一旦戻ってきてくれ』

 

 ベルトを外そうと手をかけた時、ベルトを介して相棒の意思が伝わる。

 相棒がそう言うなら、と一度探偵事務所に戻る。ロボの残骸からとあるモノを手にして。

 

 

 

「おかえり。翔太郎」

 

「何か分かったのか?フィリップ」

 

 鳴海探偵事務所のガレージに相棒はいる。いつものことながら、壁のホワイトボードにはびっしりと文字が書かれてある。

 

「今回のドーパント。滑空、かぎ爪、超音波…これらの特性からバットのメモリで間違いない。これはいいかい?」

 

「あぁ問題ねぇ。だが、あの機械を組み替える能力はコウモリからは逸脱してねぇか」

 

 戦った感想として、そこが妙に引っかかる。機械に干渉する能力はコウモリではない。かと言ってあの場に別のドーパントが介入して…も無い話ではないが、少なくとも他のドーパントの気配は無かった。

 

「そこなんだ翔太郎。検索してみたところ、どうやらバットはウェザーと同じ…ミュージアムの幹部クラスのメモリなんだ」

 

「なに?」

 

「バットドーパントが活動していたのは1999年、ミュージアムのセールスマンが使用していた。このドーパントを倒したのは仮面ライダースカル…鳴海荘吉だ」

 

「…なるほど」

 

 フィリップは星の本棚という、この星のありとあらゆる事象を検索して閲覧できる。

 今回はバットメモリを検索し、過去の使用者を閲覧したのだ。

 

「自分を倒したスカルへの怨念が時と共に膨らみ、進化したんだ」

 

「となると使用者は組織の残党か。ったく、厄介なもんだぜ」

 

「それが…少し違うようだ」

 

「なに?」

 

 閲覧して知識を得たはずの相棒の言葉は、急にキレがわるくなる。

 

「現在の使用者は最上魁星。彼は財団Xの元研究者なんだが…そこから先が分からないんだ」

 

「検索できねぇってことか」

 

「違うんだ。その…実に言いにくいのだが…経歴、職歴、口癖…あらゆる可能性の最上魁星が混ざっているようなんだ」

 

 人物は同じだが中身が違う?それだとまるで、

 

「ドッペルゲンガーみたいじゃねぇか」

 

「いや違うんだ翔太郎。ドッペルゲンガーというより…他の世界の最上魁星がこの世界の最上魁星と混ざっているようなんだ」

 

「は?なんだそりゃ。ドッペルゲンガーの方がまだあり得るぞ」

 

「おや、君がそれを言うのかい?他の世界の仮面ライダーと共闘したことのある君が」

 

「あ…」

 

 俺はその昔、時代や世界を超えて様々な仮面ライダーと共闘したことがある。そうか、それと同じだとしたら…。

 

「そういえば翔太郎。君はあの工場から何か持って来たのではないか?」

 

 強引に話を逸らされた気がする。

 まぁいい。コレについても聞きたかったんだ。

 

「メカの残骸にあったボトル(?)だ。何か分かるか?」

 

「ふ〜む…内容量は65mlくらい…中に何か入っているな…柄は掃除機?なぜ掃除機なんだ?………興味深いね。これは最上魁星の秘密を解く鍵になりそうだね」

 

 フィリップにそれを渡すと、スイッチが切り替わるようにボトルの分析・検索を始めた。

 いつもならこの勢いでホワイトボードに殴り書きするのだが…今回はぴたりと動かない。

 

「翔太郎…このボトルの正体は分からない。星の本棚で検索しても出てこない辺り、この星・この世界のものでは無い可能性が高い」

 

「なに?!じゃあ手がかりはゼロか…」

 

「いや翔太郎。分からないのなら、分かる人には聞けばいい」

 

 フィリップはそう言うと、ボトルの底に光る赤いランプを指差した。

 俺も似たようなモノを使うからよく分かる。そう、発信機だ。

 

 

 

 コンコンコン

「すみませ〜ん。落とし物を探してるんですけど〜…」

 

 

 

 なるほど。

 どうやらこの事件は、ただの土地問題では終わりそうにないな。




〜プチ解説〜
・左翔太郎/フィリップ…テレビ本編終了後の2人。
・依頼者…土地の売買をしている。警察の門前払いを受け、ツボ押しを持った刑事に鳴海探偵事務所を勧められた。
・赤い革ジャンの刑事…どうやら街中で同時多発的に事件が発生しているらしい。ドーパントの数も相当でその後処理に追われている。どうやら財団が関わっているようで…?
・ミュージアム…風都にてガイアメモリの流通販売していた組織。仮面ライダーダブルに敗れて事実上崩壊した。
・財団X…危険な研究や兵器開発への資金協力を行う組織。かつてはミュージアムにも出資していた。その組織の実態を知る者は誰もいない。
・バットドーパント…かつてミュージアムの販売員が使用していたメモリ。その超音波は機械を操ることができる。仮面ライダースカルによって倒されたのだが…




次回更新 2024/10/6
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