作者はワンピにわか勢ですので、おかしなところがあったら
ぜひ報告してください。
プロローグ
「どこ、ここ……」
大海に浮かぶとある島。その砂浜で1人の男が目の前に広がる紺碧の海を見つめながらそう呟いた。
「俺、確か仕事終わって工場から帰ってる途中だったはず……イテ!!」
なぜ見知らぬ島にいるのか、考えていると突如凄まじい痛み頭に走り、男はその痛みに耐えきれずのたうち回る。頭痛に耐えること約5分。ようやく痛みがひき、男はよろよろと立ち上がった。
「そうか。……俺、“死んだんだ“。家に帰ってる途中で信号無視したトラックに跳ねられて……」
自分が不慮の交通事故に遭遇して死んでしまったことを思い出した男。
「名前……あれ、俺なんて言ったっけ……」
自分が死んだことは思い出したのに、なぜか自分の名前だけが思い出せず困惑する男。断片的ではあるが前世の記憶を思い出せるのだが、自分の名前、そして自分に関する情報だけがすっぽりと消えているのだ。
「だめだ。全然思い出せない……。そうだ、顔を見よう。顔を見たらなんか思い出すかも……」
男はそう言うと、波打ち際へと向かい、海面に映る自身の顔を確認する。
「……え……これ、“うちはオビト“じゃん」
海面に映っている顔を見た男はそう呟いた。
男の今の顔は、前世で男がよく読んでいた少年漫画『NARUTO』の登場キャラクターであるうちはオビトであった。
「え、いやいや、これってどいうこと? てか、服も変わってるし!! あと声も!!」
顔だけでなく着用している服も、第4次忍界大戦時にオビトが纏っていた忍び装束になっていた。そしていつの間にか声もアニメ版でのオビトの担当声優の声に声変わりしている。
「マジでどういうこと、わけわかんないって……ん? なんだ、この木箱?」
自分の姿や声が様変わりしていることに驚いていると、靴先に何か当たり目線を下げる男。そこにはいつの間にか見知らぬ木箱が置いてあった。
「なんだろう、これ……」
首を傾げながら木箱に手をかける。
「浦島太郎みたいに開けたら爺さんになったりしないよな?」
木箱の蓋に手を当てながら男は、開けるべきか開けないべきか逡巡する。しかし、もしかすると食料や水などが入っているのかもしれないと思い、思い切って開けることにした。
「えーい、南無三!」
何も起こらないことを祈りながら蓋を開けた男。開けた途端、中から白い煙が噴出したり、怪物が出てくるなんてことは起こらず、箱の中には巻物が数本と仮面が二つ、それと黒い布のような物が収められていた。
「お、手紙だ。えーっと、なになに……」
手紙を手に取った男は、そこに書かれた文面を確認する。
『これを読んどるということは無事に『ONE PIECE』の世界に『転生』できたということじゃな。
さて、すでに確認しておると思うが、お主の今の姿は転生の儀式の前にお主が希望したように、
『NARUTO』の登場キャラクターであるうちはオビトになっておるはずじゃ。
それと姿だけでなく、ちゃんと忍術も使用できるようにこっちで調整しておいたぞ。基本的な水遁、土遁、風遁、火遁、雷遁はもちろん、お主の身体は柱間細胞でできておるから木遁も使用できるぞ。それ以外の血継淘汰、傀儡の術なんかも修行次第で使えるぞ。それからうちはの血継忍術である写輪眼、そしてその上位である輪廻眼も使えるようにしておいた。
あ、これはわしからのサービスじゃが、箱には忍具を自在に召喚できる巻物と、オビトが身につけていた暁の装束と面を入れておいた。
最後になるが、お主がいるのは新世界にある無人島じゃ。そこに住むもよし、しばらく修行して出ていくのもよしじゃ。それじゃ、第二の人生を存分に楽しめ!
ーーー神より』
「……」
全文を読んだ男は、手紙を箱の中に戻す。
「そっか俺、転生したんだな……。名前を思い出せないのも、転生の影響からか……姿はオビトのまんまだから、よし、今日からはうちはオビトを名乗ろう」
男改めうちはオビトはそう言うと、木箱の中に入っている巻物と暁のトレードマークである黒衣に赤雲が縫われた外套を取り出す。外套だけでなく漢字の『玉』が彫られた指輪も入っていた。
「この忍び装束もいいけど、やっぱ暁の忍び装束もいいな。よし、着替えよっと!」
数分後、暁の忍び装束に着替えたオビト。顔には、トビと名乗っていた時につけていた右眼の部分が空いた面をつけている。
「最後に、えっと確か左手の親指だったけか? 『玉』の指輪をつけてっと……これで完成!」
指輪を通し、両手を空に掲げるオビト。
視線の先には雲ひとつなく、どこまでも広がる青空がある。
「でも、この面すごいな。面をつけてるはずなのに全くつけてる感じがしない。ちゃんと景色が見えてる」
右手を額に当てながらキョロキョロと当たりを見回すオビト。
「さてと、うんじゃ。早速いくつか術をやってみますか! オビトと言ったらやっぱあれだな、“神威“!」
オビトがそう言った瞬間、チャクラが両目へと集中し、うちは一族固有の瞳術である『写輪眼』へと変化する。そしてすぐさま写輪眼のさらに上である『万華鏡写輪眼』へ変貌する。
仮面の右目を中心に渦が発生し、その渦にオビトの身体は飲み込まれ、彼はその場から消失した。しかし、すぐさままた渦が発生して再び姿を現した。
「うっひょー! 初手で“神威“成功させるって、“もしかして“ボク“って天才? ってあれ? なんか一人称変わってない?」
いつの間にか一人称が俺からボクに変わっていることに気づくオビト。
「あ、そうか! 多分、オビトになったから彼が演じていた“トビ“の口調に自然となってるんだな。うん、そうに違いない! えっと、右目は正常に動いたから、今度は左目だな」
“術者を異空間に転送する“ことができる右目の能力を確認できたオビトは、次に“物体を異空間に転送させる“左目の能力を発動させる。
「飛ばすのは、えっと……あの岩にしよう!」
砂浜にあった岩を異空間に飛ばすことに決めたオビトは、照準を岩に定めると再び神威を発動させる。岩の中心部分に先ほどと同じような渦が発生し、岩は綺麗に飲み込まれてしまった。
「うん! 左目も問題なし! 原作じゃ、オビトはカカシに移植した左目の能力は使えなかったけど、このボクは両目揃ってるから神威本来の力を存分に行使できる。……待てよ、もしかして“他の万華鏡写輪眼の能力“も使えたりして……」
もしや、うちはマダラやうちはイタチなどその他のうちは一族が開眼した万華鏡写輪眼の能力も行使できるのではないと思ったオビトは、彼ら術を発動していた時の姿を脳裏に浮かべながら意識を両目に集中させる。
瞳の奥が熱くなるのをかすかに感じ、瞼を一瞬閉じる。そしてゆっくり背後へ振り返ってと瞼を上げた。すると、彼の瞳は、先ほどまでの万華鏡写輪眼とは異なる別の万華鏡写輪眼に変化していた。
それは、うちはイタチの万華鏡写輪眼だった。
「“天照“」
オビトがそう告げた瞬間、視線の先にあった木々が漆黒の炎に包まれた。
「うあ! 本当にできちゃった!! てててぇ、ヤバい! 燃えすぎてる!!」
感動も束の間、メラメラと燃える漆黒の炎が次々と森を燃やしている光景に驚愕し、慌てて瞳を通常状態に戻し、天照を解除する。
術の解除と同時に天照によって発生した黒き炎は綺麗に消え去った。
「ふぅ〜危ない危ない、危うく山火事になるところだった。ん? いや違うな ここは海にポツンとある無人島だから、海火事?」
危うく森を全焼させてしまいそうになったというのにオビトは呑気にそう言いながら、今度は海へと歩いて行く。
「さてと次はチャクラコントロールだな。海面歩けるかな、ボク」
少年期のナルトやサスケ、サクラがチャクラコントロールの練習としてやっていた水中歩行や壁面歩行を行うため、オビトはゆっくりと目の前の海へと歩いて行く。
気持ちを落ち着けるため、一度ゆっくりと深呼吸をする。そして気持ちが整ったオビトは海面へと足を踏み出した。
「ふぅ〜、どうやらチャクラコントロールは大丈夫そうだな。まあ、神威と天照使えた時点である程度は大丈夫と思ってたけどね」
チャクラコントロールがちゃんと行えていることが分かったオビトはそう言うと、それから少しの間海面の上でジャンプしたり、ダッシュしたりする。
「よし、チャクラコントロールには問題なしと! うんじゃ、そろそろ戻りますか!」
とぼとぼと海面を歩きながらオビトはこれからこの第二の人生である『ONE PIECE』世界でどう生きていくか思考する。
「『ONE PIECE』は少ししか読んだことないからな。原作もまだ完結してないし。どうしていくかな?」
顎に手を当てながらこれからの行動を考えるオビト。ふと、顔を上げると、砂浜に人のような生物がいるのに気づいた。
「へ? 誰かいる」
人を見つけたオビトは立ち止まりじっと砂浜を見つめる。
オビトは手を挙げて、その砂浜にいる人と思われる物体に向かって手を振る。
「お、振り返してきた。やっぱ見間違いじゃない。あれは人だな!」
砂浜にいるのが間違いなく“人“であることを確認したオビトは、その人物と言葉を交わそうと再び砂浜へと歩みを進める。
「無人島だと思ってたけど、まさか人がいたとわね。まさか海賊とかじゃないだろうな?」
砂浜に立つ人間が海賊ではないか少しだけ不安になるオビト。
「まあ、もしヤバそうな相手なら神威で逃げればいいか」
数多くの海賊達が跋扈する『ONE PIECE』。主人公のモンキー・D・ルフィが率いる麦わら海賊団のような一般人には決して手を出さない海賊もいれば、殺人や略奪などを平然と行う凶悪な海賊団も多数存在する。
砂浜に立っている人物が海賊である可能性を考え、オビトは両目を万華鏡写輪眼に変化させる。
「へぇ?」
砂浜に戻ったオビトはその人物を見て間抜けた声を出した。
「あららら、海の上を歩いているからどんなヤツかと思ったら、なんともヘンテコな面をつけたヤツだなこりゃ、フアアア〜」
オビトの目の前に立つ、浅黒い肌に黒髪をパーマにした、額にアイマスクをつけた長身の人物はそう言うと、眠たげに大きなあくびをする。
「あの〜」
「おっとすまねぇな、俺は海兵やってる“クザン“って言うんだ。よろしくな、仮面のあんちゃん」
パーマ髪をかきながら“青雉“こと海軍大将であるクザンはそう言って自分の目の前に立っているオビトを見つめた。
ありがとうございました。