仮面の海兵   作:ガンオタ

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大変遅くなりました。
少し短いですが、ぜひ読んでくさい。



第4話

第4話

 

 

「ん……」

 

 意識が覚醒し、目を覚ますオビト。

 

「(あれ……ボクなんで……ああ、そっか、ガープ中将の拳骨を顔面に喰らおうとして、慌てて“神威“で異空間に逃げたんだった……)」

 

 覚醒直後で焦点が定まっていない風景を眺めながら、ぼんやりと自分に起こった出来事を思い出す。

 ヘルメッポの次にコビーを“神威“で異空間に飛ばそうとしたが、間一髪のところで割り込んだ、拳に武装色の覇気を纏わせたガープの拳骨をあやうく顔面に喰らいそうになったオビトは慌てて異空間に避難した。

 

「(にしても、ヤバかったな〜。あと一歩遅かったら確実に死んでたぞ)」

 

 自らの眼前に迫る“海軍の英雄“の拳を思い出し、そのあまりの恐ろしさに震えるオビト。しかし、ぼんやりとしていた視界がようやくはっきりし始めたので、意識を目の前に集中する。

 

「あ、起きたよ」

 

「ヨウヤクカ……」

 

 視界がはっきりし始めたのと同時に、うっすらと視線の先に自分を見下ろす人のシルエットが浮かぶ。そして声が聞こえた。

 

「(この声は……聞き覚えがある)」

 

 少年のような陽気な声音とザラザラとした耳障りな声音という2つの声音を耳にしたオビトがそう心の中で呟いた直後、視界が完全に開けた。

 そこには左右を白黒に染めた顔を、まるで食虫植物のような緑色の葉に挟まれた人外の人物が見下ろしていた。

 

「え……なんで“ゼツ“がいんの?」

 

 自分を見下ろす人外の人物の名前を口にしたオビト。

 

「ピンポ〜ン! 大当たり!!」

 

 オビトの呟きを聞き、顔の左半分を白く染めた“白ゼツ“が陽気に答えた。

 

「ウザイゾ」

 

 反対の右半分、黒く染めた方の“黒ゼツ“が耳障りな声音で冷静に突っ込む。

 顔の左右でコミカルなやり取りをし合うゼツの姿を見ながら、オビトはゆっくりと身体を起こす。目の前には自分と同じ“暁“のトレードマークである黒衣の衣を纏ったゼツがいる。

 ゼツ。彼は『NARUTO』に登場する“暁“の初期メンバーの1人で、その身体に二つの人格を宿した人外の忍びである。他のメンバーと違い戦闘能力は高くはないものの、変化の術や物体にそっくりそのまま擬態できる能力などに秀でていたため諜報や後方支援を担当していた。

 

 そんなゼツが、なぜ自分の目の前に立っているのか?

 

 前世で得たゼツに関する知識を頭の中で振り返ったオビトは、目の前でニヤニヤと笑うゼツを見つめながらそう疑問に思った。

 

「あのぉ〜、もしかして、ボク死んじゃいましたぁ?」

 

 ワンピースでの第2の人生が始まって早々に死んでしまったのではないかと思い、オビトはおずおずとゼツに問い掛けた。

 

「ん〜、キミは死んでないよ。だってほら足がまだちゃんとあるでしょ?」

 

 白ゼツがオビトの足を指差しながらそう言った。

 彼の言葉を聞いたオビトは足をチラリと見やった。

 

「あ、ホントだぁ〜、良かったぁ〜。って! そうじゃなくって! ボクは今どんな状況か知りたいんですけど!」

 

 今の姿がトビのためなのか知らないがボケのような受け答えをするオビトだったが、すぐに気を取り直す。

 次にオビトの質問に答えたのは、黒ゼツだった。

 

「安心シロ。オマエハ死ンデハイナイ。ココハ“神威“トツナガル異空間ダ」

 

 黒ゼツの言葉を聞き、オビトはくるりと周囲を確認する。

 視線の先には、巨大な黒い四角形の物体がいくつも宙に浮かぶ、まるで暗渠のような世界がどこまでも広がっている。

 

「えっと、その、ボクは死んではいないということでしょうか?」

 

 再び視線を目の前のゼツに戻したオビトはそう問い掛けた。

 

「アア、ソウダ」

 

「でもオビト、“神様の介入“がなかったら下手したらキミ死んでたよ」

 

 ビッシっと指を突きつけながらそう言った白ゼツに、仮面の奥で目を丸くするオビト。

 

「あの、“神様の介入“ってなんでしょうか?」

 

 どういうことかと首を傾げながら問うオビト。

 

「海兵とやり合ってる時のこと思い出してみなよ」

 

「トクニガープ二殴ラレタ時ノコトダ」

 

 ゼツにそう言われたオビトは、右手を顎に当て、ガープとの戦闘時の記憶を振り返る。

 

「(確かヘルメッポを“神威“で飛ばしてる最中に、腕に武装色を纏わせたガープ中将の拳骨を喰らって吹っ飛ばされて……)」

 

 ガープに殴り飛ばされた光景を思い出したオビトは、そこであることに気づいた。

 

「あ、右腕が治ってる」

 

 ガープの攻撃によって粉砕され、その後自ら切断したはずの右腕がいつの間にか元通りになっていた。

 

「今頃気づいたのぉ〜? おっそいよ」

 

「オマエノ右腕ガ治ッテイルノハ、神ノ介入ノオ陰ダ」

 

 ゼツの言葉を聞きながら、オビトは右腕を捲る。右腕は真っ白になっていた。

 

「“神様の介入“ってなんですか?」

 

 真っ白な右腕を見つめながら、オビトは訊く。

 

「“神様の介入“ってのは、文字通りキミをこの世界に転生させた神様によって行われたこの世界への介入のことさ。ちなみにそれが行われたのは、キミが腕を切断するほんの数秒前。そのわずかな時間の間で、オビト、キミの右半身は、原作のうちはオビトと同じように“十尾“から産み出されたボクの半身に変わってるから。にしても、キミも無茶するよねぇ〜」

 

「ダガ良イ判断デモアル。使エナクナッタ腕ヲイツマデモブラ下ゲテイテモ邪魔ナダケダ……」

 

 白ゼツは少し呆れながら、そして黒ゼツはオビトの思いっきりのよさに少し関心しながらそう言った。

 ゼツの説明を黙って聞いていたオビトは、その説明の中で登場した“十尾“という言葉に反応する。そしてまさかと思い、生唾をごくりと呑み込む。

 

「あ、あの……今“十尾“って言いましけど、まさか、あの十尾ですか? 忍びの祖である六道仙人がその身体に宿し、『国造りの神』と恐れられた。あれがこのワンピース世界に?」

 

「うん。その十尾で合ってるよ。あ、ちなみに今はこの世界の秘密の場所で“外道魔像“の状態で封印されてるよ」

 

「人造体ヲ造ルタメニハ必要ダカラナ」

 

 ゼツの言葉を聞いたオビトは両手で頭を抱える。

 

「(確か“外道魔像“って十尾の抜け殻だったよな? てか、あんな化け物がこの世界で暴れてたら一瞬で終わりじゃん)」

 

 十尾。それは『ダイダラボッチ』または『ダタラ』とも呼ばれる強大なチャクラを有する最強の尾獣のことである。『NARUTO』の作中世界に登場する一尾から九尾までの尾獣たちは、その元は全て強大なチャクラを持つ十尾から生まれた。忍界最強とも恐れられた十尾のその力は、作中内での第四次忍界大戦時に人柱力となったうちはオビトやうちはマダラらによってしっかり証明されている。

 その力は一振りで山を吹き飛ばし、海を切り裂き、そしてあらゆる世の理をいとも簡単に超越した。

 

「神様も言ってたよ」

 

 ゼツの言葉を聞いたオビトは「へ?」と顔を上げる。

 

「“少々やり過ぎたと思うが、これも致し方ない“ってね。てか、こうなったのはキミが転生してすぐにガープのじいさん相手に戦ったりしたからだよ?」

 

「ダガ心配スルナ。ソンナコトガモウ二度トオコラナイヨウニ俺タチガキタ」

 

 ゼツの言葉を聞いたオビトは、仮面の裏側で唖然とした表情をしていた。

 やり過ぎどころじゃねぇ、と心の中で神に突っ込むオビト。

 

「お話を聞くかぎり、えっとまず十尾がこの世界に送られて、それでゼツさんは、その、ボクの保護者的な感じでこの世界に来たということですか?」

 

 これまでの話をざっと整理したオビトはそう言うと、黒衣のコートをはたきながら立ち上がった。

 

「うん、そうだね。まあ、保護者って言うより監視役って方が適切かな? キミは少し抜けてるからねぇ〜。アハハハハ!!」

 

「イチオウ、神カラハオマエノ指示二従ウヨウニイワレテルカラ、ナンデモイエ……」

 

 ゼツはそう言うと、くるりと身を翻すと何も言わずどこかへと歩き始めた。慌ててその後を追うオビト。

 

「い、いや! あのゼツさんどこ行くんすか!」

 

「ん? どこってそりゃキミの神威でここに飛ばしたあの3人のところだよ。今は“2人“が見張ってるけど。えっとガープのじいさんにクザン、それにヘルメット」

 

「“ヘルメッポ“ダ。バカ。」

 

 左右の顔でコントのような会話を交わしながら歩みを進めるゼツ。

 言葉を聞いたオビトは、ゼツの前に急いで回り込む。

 

「あ、あの!」

 

「何?」

 

「ドウシタ?」

 

 ゼツの前に回り込んだオビトは、まるで通せんぼするかのように両手をガバッと前に突き出す。

 

「今、“2人“って言いましたよね?」

 

「うん」

 

「イッタナ」

 

 オビトの言葉に頷くゼツ。

 

「ゼツさん以外にも神様によって送り込まれた人がいるんですか?」

 

「うん。“ペイン“と“小南“だよぉ〜」

 

「流石二オレタチノ分身体ジャ、アノ3人ノ見張リハ二ガオモイカラナ」

 

 ゼツの言葉を聞いたオビトは再び頭を抱えてしまった。

 まさか、あの2人までワンピースの世界にやってきているとは。

 ペインは暁のリーダーであり、両目に輪廻眼という最強瞳術を持つ忍びで、そして小南は暁の紅一点であり、リーダーのペインの補佐役を担当していた忍びだ。

 

「(ヤバいヤバいヤバい!! 頭がパンクしそうだ! え、暁の創設メンバー勢揃いじゃん!)」

 

 ペイン、小南、ゼツ、そしてトビことうちはマダラ。この4人は暁の創設メンバーである。元々暁というのは、雨隠れの忍びである弥彦、長門、小南によって世界平和を作ることを目的として創設されたが、リーダーである弥彦が死亡し、その彼の死で世界に絶望した長門がうちはマダラの月の瞳計画への参加を決意したことによって、Sクラスの抜忍が集う犯罪組織へと変貌した。

 

「(NARUTOファンであるボクからした小躍りしそうな展開だけど、今は不安の方が勝ってうんなことできねー!!)」

 

 荒ぶる心を落ち着かせるためにオビトは一度大きく深呼吸をする。

 

「あ、えっとゼツさん? ペインさんと小南さんをここに呼んでもらえまんか?」

 

 この短時間で幾つもの衝撃を受けたオビトには、それしか言えなかった。

 

 




ありがとうございました。
明日から新たな年度が始まりますね。来年度は少しでも更新速度を
あげれるよう努力します!!
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