孫悟飯の双子の妹なのに病弱でした。   作:oir.1

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目を開けると真っ白な天井と独特な匂いが鼻についた。

……何時も通りの変わらない景色。

 

しかしその少女の内心は何時も通りではなかった。

 

「あ……私転生した……」

 

傍から聞かれてしまえば頭が可笑しいと思われるような言動をボソりとつぶやく少女。

名は孫 龍華(そん りゅうか)現在三歳の小さな少女である。

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

転生したことを自覚した龍華はグタっとベットの上に寝ころびながら自分の記憶を遡っていた。

 

―――前世の記憶はうまく思い出せないなぁ……

 

龍華は前世の記憶を思い出そうとしたが靄がかかったようにその記憶が思い浮かばない。

自身の性別、名前、友人、恋人、家族どれも思い浮かばなかった。

 

……しかしひとつだけハッキリと覚えている事がある。

それは自身が死んだということ……その時の感覚や感情,想い全てハッキリ覚えている。真っ暗な空間で体の感覚が徐々に無くなっていき、寒い……怖い……という恐怖と絶望に塗られた感情と……そして死にたくないという想いを持って意識が無くなったことを。

 

しかし自身の死因までは思い出せない。

こんなにも分からないことだらけなのに自分の死ぬ瞬間の感覚だけ鮮明に覚えているのは気分が悪いと龍華は思った。

だが別に自分の前世に対する興味や想いは特にない。

思い出せない以上今の自分……龍華にとっては他人の記憶としか思えないからだ。

今はもう孫龍華としての人格があるので思い出せないなら思い出せないでまぁいいかくらいの感覚である。

 

……この軽さは今世の誰かの血筋の影響な気がするが今は置いておくとしよう。

 

今の龍華が考えている事は前世のことではなく、この世界と転生した時のことそして今世の自分についてである。

 

 

 

 

 

―――まぁこの世界については……大体分かるけど

 

 

 

龍華は隣に座ってリンゴを剥いている自身の母……チチを見ながらそっと溜息をついた。

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

オラには最高にかっこいい夫と最高に可愛い男の子と女の子の双子がいる。

 

夫の名前は孫悟空。そして子供の名前は孫悟飯と孫龍華だ。

 

今は家族に囲まれて幸せの絶頂といいてぇところだけんど……そうは言えねぇ

 

その原因は生まれた双子の子……正確に言えばその女の子の方だ。

 

別にその子が悪いわけでねぇ、ただ男の子の方……悟飯が元気に生まれたのに対してその子……龍華は生まれながらに病弱な体だった。

 

お医者様が言うには()()()()……いつ治るかも、治療の方法も分からなかった。

 

一度夫……悟空さがドラゴンボールで龍華の体を良くしようとしてくれたことがある。

 

だけど結果はドラゴンボール……神龍だっけかその龍が言うには『龍華が病弱な原因については()()()()()()』と言われたらしい。

 

……悟空さもこんなことは初めてだと言っていただ。

 

結局龍華が良くなるような目途は立たず龍華は生まれてからずっと病院で過ごしている。

 

龍華は父親である悟空や双子の兄である悟飯にも殆ど会ったことがない。基本定期的に様子を見に来る母親であるオラとしか会ったことがねぇ……

 

龍華の為にも早く家族4人で暮らしていきたいと思うと龍華だけが生まれてからずっと病院で独り過ごしている現状を幸せとはいえねぇ。

 

一刻も早く良くなってほしいモンだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけども最近龍華の様子が可笑しい気がする。一人でボーっと何か考えている時が増えたし、どこか遠くを見ている時が多い気がする。

 

それに前話しかけた時も妙に大人びてたというか……前までは無口でおとなしい子だったんだがなぁ……

 

成長期ってやつだべか……女の子の成長ははやいっていうしなぁ……本当一体どうしたんだべ……?

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

病院の変わらない景色を見ながら日々を過ごす龍華。

龍華はこの世界これから何が起こるんだったかなぁ……と考えていた。龍華の記憶ではここはドラゴンボールという漫画の世界。そして自分の父である孫悟空はその主人公だということは分かる。

 

そしてドラゴンボールの世界はどんどん強大な敵が現れ、それを主人公である孫悟空が強くなりながら倒していく……そしてその過程で自分自身や仲間が命を落としたり果てには地球が滅んでしまうこともあるが願いを叶える球……ドラゴンボールの力で解決するという話だ。

 

龍華は前世では大体の話やキャラクターが分かるくらいにはドラゴンボールを知っていたような気がするが、前世の記憶のように靄がかかってこれから起こる展開が思い出せない。

覚えているのは世界観と自分の家族のことくらいだ。

 

ちなみに転生した時のことについてだが、こちらも殆ど思い出せない。神と名乗る姿が無くピカピカ光る概念的存在と色々話した記憶はある。(ちなみにこれはドラゴンボールの世界のキャラとかではなかった気がする)

恐らくだがその神的存在が私の記憶を思い出せないようにしたのだろうと龍華は思った。神的に前世の知識で私TUEEEE!!とかはNGだったのだろうか

 

というかその神との会話で何か転生する時の特典的な事を望んだ気がするが何を望んだのか思い出せない。

……これくらいは覚えたままでも良かっただろうと龍華は思う。

 

それに何か『自由に自身がしたいように生きろ』とか言ってた気がするけど私滅茶苦茶病弱なんですけど!今のところ自由のじの字もないんですけど!

というか主人公の娘……それも孫悟空の娘とか血筋的にすっごい強い肉体持ってそうなのにまさかの病弱で病院生活なんですけど!?

 

はぁ……いつになったらこの生活が終わるんだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普通の人の感覚ならこのドラゴンボールの世界は危険だらけで如何にアニメや漫画の世界だろうと楽しさより恐怖や不安が勝つのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし()()()私はどんなにボロボロだろうと全力で自由に体を動かし、血肉を注ぐ戦いをするこの世界に強い渇望と憧れそして楽しみな気持ちを持っていた。

 

 

 

 

 

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