孫悟飯の双子の妹なのに病弱でした。   作:oir.1

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「ちくしょう…!ちくしょう!!」

 

界王神界に辿り着いた悟空はその星を揺らすほどの悔しさを拳に込めて地を叩いた。

 

地球が消滅し,何とか界王神界に無事に辿り着いたのは悟空,ベジータ,デンデ,サタンとその犬,そして…マーロン。…………そこに龍華の姿は無い。

 

 

「カカロット…!貴様ァッ!こんな奴らを助けて何故悟飯やトランクス達を見捨てた!!」

 

身を屈めて蹲る悟空の胸元を掴みあげるベジータ。

 

「貴様が言ったんだぞ…!龍華はずっと独りでどんなにボロボロになっても戦い続けていたと…!!

そんな娘の最期がこれか!?自分の娘に対する仕打ちがこのザマか!!

貴様が今までのアイツの戦いを全て無駄にしたんだ!!なんとか言ったらどうだカカロットォッ!! 」

 

「…ッ…!」

 

ふと悟空の頭に過ぎるのは,自身の手から抜けていく最愛の娘の温もり。

…そして最期に見た穏やかな龍華の表情。

 

「あ…あわわわ…」

 

「落ち着いてください…!ベジータさん…悟空さんも…!」

 

2人の喧嘩に怯えるサタンと止めるデンデ。

 

「…お姉…ちゃん」

 

…………そして龍華に助けられてから現実を直視出来ず呆然とし続けるマーロン。

 

『大丈夫…大丈夫だよマーロンちゃん』

 

自身を安心させるために口癖のように言っていた龍華の言葉を思い出す。

最期に自分を助けてくれた時に見た龍華の表情は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・とても安心したような顔をしていた。

 

 

もう自分からは涙が出ないほど呆然と悲しみと喪失感がマーロンには残っていた。

 

「大丈夫…大丈夫だよ…」

 

険悪な雰囲気に包まれる一同の中ポツりとマーロンの言葉が聞こえる。

 

「大丈夫………大丈夫だよ」

 

震えるように何かを堪えて呟き続けるマーロンに,悟空やベジータも何も言えなくなってしまう。

 

恐らく子供ながらも険悪な雰囲気を察して自分達を落ち着かせるためにマーロンが()()()()()()()()()()呟いているのだろう。

 

 

「…………悟空さんこれを付けてください。またあなた達2人がポタラで合体すればきっと魔人ブウにも勝てます。」

 

界王神が悟空達に対してポタラを差し出す

 

…しかし

 

 

「いやわりぃけどそれはいいや界王神様。」

 

「ふん…俺も貴様なんぞと合体するのは二度と御免だ…」

 

悟空とベジータはそれを断わる

 

「自分の力で決着をつけてぇっていうのもあっけど,龍華は合体にも何にも頼らずあんだけ戦ってたのにさ…

オラが何回も合体に頼って戦うってのは何かちげぇ気がすんだよな。

……龍華の仇の為にもオラ自身の手で魔人ブウを絶対に倒してみせる…だからすまねぇけどそれはいいや界王神様」

 

「…分かりました。私はあなた達を信じます。」

 

悟空の強い意志を感じさせる言葉に引き下がる界王神。どうやら悟空達を信じることにしたらしい。

 

 

そうして着々と戦いはクライマックスへと近づいていくーーー

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

私,死んじゃったのかな…

この感覚は感じたことがある…これは紛れも無く冷たい()()()()

 

 

でも…前のような恐怖は無い…………お父さんがいればきっと大丈夫だろう…それにマーロンちゃんだって最期に助けられた…だからもう思い残すことも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に…?

 

 

 

 

 

 

 

あの魔人ブウを放置して…私はこのまま死ぬの…?

 

 

物語の結末は分からない…その記憶は今は封印されてるから…でも…物語の結末を知ってようが知ってまいが…私は最後までマーロンちゃんを…他のみんなを守りきらずにこのまま死ぬの…?

 

 

 

私は弱い…独りじゃ何も出来ないくらいに弱い…前世からそうだった…私は……また何も出来ずに死ぬの……?またーーーちゃんを失った時みたいに……あの時から変わらずに……?

 

……違う……だから私は強くなるために…大切なものを守りきってみせるために神様にこの強い肉体を願った…

 

それに……この世界に来て……ようやく私にとっての本当の強さの答えを見つけた……のに……

 

 

また前の世界のように弱いまま……ーーーちゃんみたいな強い人に成れずに…私は死ぬの…?

 

 

 

 

 

 

 

違う……!今度こそ……見つけたかった答えをこの世界で見つけて,強くなった私が今度…こそ…!あの時のようには…!

 

 

 

 

 

 

でも…もう…多分私は地球の爆発と一緒に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然聞き覚えのある声が頭に響く

 

 

 

『…元々人間にしては強き魂を持っていたが……この世界に転生してより強く,素晴らしい魂になったではないか……

それにしても死に際に随分と未練たらしいな。()()願いを1つ叶えてやろうか……?人間よ』

 

 

 

 

 

こ…の声は…

 

 

 

『さぁ…どうする……?今度は何を願う……ーーーーよ』

 

 

 

 

 

 

 

あの時の…神様…な……んで

 

 

 

 

 

『なんで……か。そうだな……お前の人間性に強く関心を持ったとでも言えばお前のいう()()()()()()?』

 

 

 

 

 

 

……まるで……自分は神ではないかのように言うね……

 

 

 

 

 

『薄々勘づいていたとは思うが……私は神なんぞでは無い……どちらかと言えばお前らの世界で言う……悪魔……などの存在に近いだろうな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なら……何であなたは私をこの世界に転生させたりしたの……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なに……簡単な話だ……偶々下界に人間の身にしては強い魂を持った存在がいたからな……それも丁度死んだようだからその魂を頂こうかと思った訳だが……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………それで

 

 

 

 

 

 

 

 

『ただ死んだだけでは,魂を私が頂く事は出来ないのでな……

ーーー覚えているなお前が転生した際に,その強靭な肉体を得ると共に代償として一時的な病弱状態となる枷をしたはずだ。』

 

 

 

 

 

 

 

それが……何の関係があるの……?

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前はその伝説の超サイヤ人の肉体とサイヤ人の特性……そして病弱状態が偶々お互いに作用しあって寝たきりの身でありながら,その肉体の気は際限なく上昇していった筈だ……

…………………そうしてお前は初めて力を解放した際にその力に呑まれて,理性をなくし,暴走状態となった訳だが……本来私はその暴走で理性を完全に無くさせ,器が無くなった魂を取る事を期待してそれを代償としたのだが……』

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『驚くことにお前はあと一歩のところで理性を無くさずに,それどころかその力を完全にコントロールして見せた。

私の予想を超える人間など初めてだったのでな……今この場に来た理由がお前の人間性に関心を持ったというのもあながち嘘ではないぞ……』

 

 

 

 

 

……そうなんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ほう……怒りの感情を持たないのか……?

要するに私が最初にお前を転生させた時の目的はお前の破滅だったわけだぞ……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別に……いいよ……どうでも……いい。そんな事より……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に……願いを叶えてくれるの……?

 

 

 

『あぁ……お前が望むのなら願いを叶えてやろう……ただし……今回はお前がこの世界で生を受けてから願いを叶えるわけだが……本来はこのような事はルール違反なのだ……

要するに……生半可な代償では願いを叶えられないという事だ……さぁこれを聞いたうえでも願いを叶えるのか……?人間よ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……私に……ちょうだい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私に魔人ブウを倒す力をちょうだい…!!

 

 

 

 

 

 

 

『いいだろう……お前を蘇らせ,魔人ブウを倒す力を与える。

…………どちらにせよお前が願いを叶えないという選択をしても,この物語は結末を向かえ,お前のあの世界の家族がお前を生き返らせた筈だ……その場合何も出来なかったお前の後悔や悲しみなどの負の感情を私が吸えたのでな……

要するにお前がどう選択しようと私には利があったという訳だ……』

 

 

 

 

…………本当に神様なんかじゃなくて悪魔的存在なんだね……

 

 

 

 

 

 

 

 

『そういうことだな……さぁ今回は特別に願いの代償をお前自身に決めさせてやる……何度も言うが生半可なものでは代償となりえないぞ。……それともやはり願いを叶えるのをやめるか……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん…叶えるよ…

 

 

 

 

 

 

…じゃあ…願いを叶える代償として私は…

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

『願いは叶えた…全く本当に理解の出来ない人間だ…もうお前と会うことは無いだろう…武運を祈る。お前は今まで会った人間の中で最も興味深く,私にとっても都合が良い人間だった。』

 

 

ありがとう…あなたが悪魔だろうがなんだろうが……本当にありがとう…きっとこれで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間龍華の視界が晴れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちくしょう…もう力が足りねぇ…あともうちょっとなのに…折角…地球のみんなの力を集めて作った…元気玉が…!」

 

場所は界王神界。魔人ブウとの戦いは佳境を向かえていた。

ベジータと魔人ブウが吐き出した元の太っちょのブウの時間稼ぎ…そして英雄ミスターサタンの呼びかけもあり,ようやく完成した元気玉は撃った悟空本人の力がもう尽きかけていたことで魔人ブウに押されていた。

 

 

 

「クソッタレ…ここまでか…!!」

 

「お…おい頑張れ!もう少しだ!」

 

何とかサタンに救出されたベジータであったがその表情は良くない。

サタンは何とか悟空を応援し続けている。

 

 

そしてその少し離れた場所ではミスターサタンと共に界王神界に残っていたマーロンの姿があった。

 

「お姉ちゃん……」

 

自身をどんな時でも助けて,安心させてくれた龍華の姿を思い出す…この絶望的な状況でもう居ないはずの龍華に想いを馳せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助けて…お姉ちゃん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間界王神界に何者かの膨大な気が吹き荒れる。

 

 

「な……だ…誰だ!」

 

ベジータが呼びかけた先にいたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いた…魔人ブウ…」

 

 

 

 

 

どこか覚悟を決めたような表情を浮かべる戦士。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度こそ…私が倒して…みせる…お前を倒すためなら……悪魔にだって魂を売ってやる…」

 

 

そこには鮮やかな気に包まれる龍華の姿があった

 

 

 

「龍華…!?おめぇなんで…!」

 

悟空の表情が驚愕に包まれる

 

 

「魔人ブウッ…!!!」

 

 

 

 

龍華の掌に鮮やかな虹色の気弾が浮かぶ。

それは暖かく強い気を感じると共に龍華の想いや魂が込められているような雰囲気を感じた。

…………そしてそれをここまで戦い続けた魔人ブウに対して,託された想いをぶつけるように構える。

 

 

 

 

 

 

 

これで…最期だァァッッ!!!

 

 

 

 

 

 

その奇跡の気弾は吸い込まれるように魔人ブウの元へ放たれる。

そしてそれが魔人ブウに着弾すると…

 

 

 

 

 

 

「ウギャギャギャギャッッッッ!!!!」

 

魔人ブウが着弾部分から消滅するように鮮やかな気と共に消えていく…

 

 

 

そして…同時にナメック星のドラゴンボールの願いによって悟空の気も元に戻った。

 

 

 

 

「戻った…!!ふっッ!!」

 

黄金の超サイヤ人となる悟空。更に魔人ブウのトドメに後押しするように元気玉に力を込める。

 

 

 

 

 

 

 

「おめぇはすげぇよ…魔人ブウ…最期までよく1人で頑張った…今度は良い奴に生まれ変われよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・またな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして龍華の一撃と悟空の元気玉によって消滅していく魔人ブウ。

今この場を持って長かった魔人ブウとの決着がとうとうついたのであったーーー

 

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