龍華達は魔人ブウとの決着がつき,蘇った地球に…………そして生き返った仲間たちが居る神殿へとみんなで戻ってきたのだった。
「悟空さ…!龍華!」
「お父さん…!」
「お姉ちゃんも…!」
チチと悟飯…そして悟天が帰ってきた悟空と龍華に飛びついてくる。
「ベジータ!」
「パパ!」
ブルマとトランクスも死んだ父の帰還に喜んでいた。
「マーロン!!」
「良かった…!」
この戦いが始まって最期まで無事だったマーロンがクリリンと18号に抱きしめられる。
「お姉ちゃんがね!ずっとね!守ってくれたんだ!」
「あぁ俺もあの世からずっと見てたよ…」
「・・あの子にはどんなに感謝しても足りないね」
龍華に守られていたマーロンはその勇姿を嬉しそうに語る。クリリンと18号はそれを見て最大限の感謝を龍華に送るのだった。
「いやぁ〜良かったこれで一件落着だな!」
「悟空さ…これからは家族全員一緒に過ごせるんだな…!」
いつものように明るく場を和ませる悟空。
チチは悟空が生き返ってるのを見てこれからは家族全員で一緒に過ごせることに喜びを隠しきれない。
「・・・・」
「お姉ちゃん…?どうしたの?」
何やら悲しげな瞳をチチに向ける龍華。
悟天はその姉の様子に疑問を感じる。
「…………悟天。お母さんにこれからも迷惑かけないようにするんだよ」
「え…?突然どうしたの?お姉ちゃん」
突然の姉の言葉に理解が出来ないとばかりに目を向ける悟天
「龍華…?」
「兄さん…魔人ブウから庇ってくれてありがとう。双子の兄妹なのにそこまで一緒に居た期間は長くないけど優しい兄さんのこと大好きだったよ…ビーデルさんを大切にね…
…………あとサタンさんにも貴方は本当に世界一のチャンピオンでしたって…………私が魔人ブウにやられそうになった時立ち向かってくれて嬉しかったですって感謝の気持ちを伝えておいて欲しいな」
「一体なにを…!?こ…これは!」
突然意味の分からない事を話続ける龍華に近づいていくとその時になってようやく悟飯は気がついた。
…………龍華の身体から漏れ出るように謎の光の粒が出続けていることに
事態の変化を理解した周りの仲間たちも龍華に目を向け,その異変に気づく…
「りゅ…龍華ちゃん!?」
「な…なんだこれ!?」
驚きの声をあげるブルマとクリリン。
他の仲間も似たような反応をしている。
「お母さん…産まれてから病弱だった私を今までずーっと世話してくれてありがとう…いつも頑張ってるお母さんが大好きだよ…
多分私はお母さんが居なかったら…この世界で私が見つけたかった答えを見つける事は出来ずに,この力に呑まれてたと思う…」
「龍華…どうしたんだ?なんで急にそんな最後の別れみてぇなことを…」
龍華に不安そうな目を向けるチチ。
「龍華……?」
「お父さん…知ってる?大きな願いを叶えるにはね…大きな代償も必要なんだよ…だから私ね……願いを叶えてもらう代わりに…」
「自分の命を捧げちゃった…」
「へ…?」
先程までの喜びに満ちた雰囲気が嘘だと言わんばかりに周りが水を打ったように静まり返る。
「え…?お姉ちゃん?」
「龍華…?命を捧げた?何の冗談だべ…そんな心臓に悪い冗談つかないでけろ…」
チチや悟天が信じられないような眼を龍華へ向ける
「……みんな!!急いでドラゴンボールを集めてくれ!!」
悟空の焦ったような声が響く…それは何かを察したような声だった。
「え…えぇここにドラゴンレーダーが…」
「ううん…無駄だよお父さん…」
ブルマがドラゴンレーダーを出すが龍華はそれを無駄だと引き留める。
「神龍よりも…もっともーっと上だと思う存在との………………多分この世界を超越した存在との誓約だからきっと何をしようと私はあと少しで消える…だから最期に家族と話したいの…」
「………………界王神様…オラが老界王神のじっちゃんからしてもらったみてぇにオラの命を龍華にやれねぇか…頼む…」
悟空はそんな龍華の言葉を認めないかのように界王神に必死に詰め寄る。
「…悟空さん貴方も何となく分かっていると思いますが…あの術は魂を入れる器があって成り立つ術。
今の龍華さんは…もう…」
界王神は流石にその立場からか誰よりも今の龍華の状況を理解出来た。
……そして龍華から漏れ出る光の粒が増えていく
「……すまねぇ龍華…オラが本当は太っちょの魔人ブウの時に超サイヤ人3の力があれば…それに龍華と協力すれば…倒せてたんだ…!
オラが勝手に次の若いヤツらに任せようと思って…!
あん時に倒してれば…!」
悟空から後悔の言葉が溢れる。
「お姉ちゃん…?」
「お…おい…ま…マーロン…」
クリリンがこちらに駆け寄ってくるマーロンと共にやってくる。
マーロンの様子を見るに…まだ状況がよく分かっていないようだった。……すると何かを龍華に伝えたいようだ
「あのね…お姉ちゃんにありがとうって伝えようと思って…!あとねそれとね!」
「うん…どうしたのマーロンちゃん」
今の龍華の状態を上手く理解してないマーロンに少し罪悪感を感じながらも自然に接する。
「マーロンも将来…お姉ちゃんみたいなかっこよくて強い人になれるかな!?」
「…ぁ………うん…なれるよきっとマーロンちゃんはクリリンさんと18号さんの娘だから体だって丈夫だろうし…その強い身体と優しい心を持ってればきっとなれるよ…!」
マーロンの純粋な言葉に,思いがけず自分が目指していた…欲しかった言葉をかけられ…
自分はこの世界で願いを叶えられたのだということを理解して,涙が零れそうになりながらもマーロンに言葉をかける龍華。
「お姉ちゃん!今度マーロンと遊ぼ!」
「………………ごめんね。私,これからとってもとーっても遠い所に行くから多分マーロンちゃんには会えないんだ……」
龍華によく懐いた様子のマーロンに悲しみを堪えながら素直に伝える。
「……うーんじゃあお姉ちゃんがそこから帰ってきたら遊ぼうね!」
「………………うん……また会おうねマーロンちゃん……いつか……」
きっとマーロンが立派に……平和に大きくなってくれることを願って,龍華は自身が守りきってみせた少女に最後にその言葉を伝える。
・・・次第に現状を上手く認識出来ておらず,現実感が無かった龍華の言葉に周りの仲間たちも状況を察して次第に悲壮感に溢れる雰囲気に包まれ始める。
「嘘だべ!!これからやっと家族全員で過ごせるって…それなのに…龍華…」
チチが龍華を抱き締めて悲痛な声をあげる。
……その抱きしめた身体からはもう光の粒と一緒に消えかけていることが分かったが,チチはそれに気づかなかった…否気づきたくなかった。
「お姉ちゃん…嘘だよね…そんなの…ねぇ!!嘘だよね!!」
悟天が龍華の体を揺さぶる。……自身が憧れる強く逞しい兄とはまた違う,優しくそして暖かな雰囲気の自分をよく気にかけてくれる大好きな姉の体にはいつもの姉の温もりは感じられなかった。
「龍華…そんな…何か方法は…!!」
悟飯は諦めずに自身の妹を救う方法を模索し続けている。それはもうどうも出来ないことを優秀な頭脳で理解してしまった故の一種の現実逃避にも近かった。
「龍華…すまねぇ……オラは……おめぇが産まれた時からずっと…………」
自身に謝る父に龍華は優しく抱きついた。
「お父さん…お父さんのせいじゃないよ…私ね…最初はお父さんの事上手く想像出来なくて会うまではイマイチピンと来てなかったけど,お父さんと会って一緒に過ごしてるうちに
その強さの理由だけじゃなくて実際に自分の家族としてのお父さんの暖かさとか優しさとかが分かって…………抱き締めてくれた体の安心感とかも含めて大好きだよ」
「それでね…やっぱり…私…この世界に産まれて…この世界に短い間だけど生きれて良かったって思う。この世界で生きて,お父さんが…大切な家族が居たからこそ私が見つけたかった答えを見つけられたの」
自身の最愛の娘を腕の中に縛り付けるように抱きしめる。
「私がピンチの時に必死に助けに来てくれてとっても嬉しかったし,安心したの…ありがとうお父さん。
私お父さんの娘で良かったよ。…………別にお父さんの事を恨んだりとか責めたりなんてしない
・・・私ね魔人ブウを倒して全部…思い出したから分かるの…多分私がいてもいなくても結末は変わらなかったって…」
「そんな事は…おめぇがずっと戦ってくれてたから…」
「ううん…それで過程は変わっても結果は変わらないよ……今の私にはわかる……」
龍華は魔人ブウを倒して本来の流れを知っている記憶を取り戻したからこそ理解した。
恐らく自分がいなくても結果は変わらないと
「きっと私が命を捧げなくても魔人ブウは倒せたんだと思う…でもね。だとしても後悔はしてないの…
私は魔人ブウをこの手で倒せて…地球やみんなを最期まで守りきる事ができて嬉しかった。
……最後まで戦って……何よりようやく私の憧れの姿になれた気がして……後悔なんて微塵もない。
だからお父さんのせいじゃない。私が勝手にやったことなの」
「龍華…」
「だから…お父さんも私の事は気にしないで…これからも地球を……みんなを守って欲しい。
私のお父さんは世界で一番強いから…安心して信じられる。」
その言葉と共に龍華の光の粒がより激しく…神々しく溢れはじめる。……その姿は天使や神を連想させるような姿だった。
・・・そしてそれと共に龍華も消えかかっていく。
龍華は父から離れて皆を見渡すように立った
「お父さん……お母さん…兄さん…悟天…それに短い間だったけど他のみんなもありがとう…
私この世界に産まれて良かった……………何も後悔なんてない…ようやく私は……
………………あぁでも…」
「最期にお父さんと組手してみたかったなぁ…」
「龍華ッ!!」
悟空が龍華を抱きしめたと同時に龍華の身体は全て光の粒となって天へと昇って消えていく。
その昇って消えていく光と比例するように僅かに残っていた龍華が居た温もりも自分の中から消えていった。
「嘘だ…こんなの嘘だよ…お姉ちゃん」
「龍華…龍華…」
チチと悟天が呆然と呟く。自身の大好きな姉……娘が唐突に消え,そしてもう蘇れもしない。本当の死……本当の永遠の別れだ。
「・・・」
「…………チッ…腹が立つぜ…殺してやりたいくらい自分自身にな」
何も言えないピッコロと,魔人ブウとの戦いで凄まじい活躍を見せた龍華に対して殆ど何も出来なかった弱い自分への怒りに舌打ちをするベジータ
他の仲間たちも呆然としていたり,涙を流していたり,悔しさから拳を握り締める者たちばかりだった
「………よく…頑張ったな龍華…けどオラは強くなんてねぇ…おめぇの方がよっぽどつえぇし,立派だ…」
「でも…最期に頼まれたんだ…龍華には死ぬまで勝てる気がしねぇけど…オラがこれからもおめぇの意志と一緒に地球を守ってみせる。
…父ちゃんもいつかあの世に行ったら組手しような…だから…」
見ててくれ…龍華
〜〜〜〜〜
冷たく何も無い真っ暗な空間を漂う。……もう体の感覚は無い……今度こそ本当に死んだ事が分かった。
……あぁようやくこれで未練なく…
多分ーーーちゃんには会えないかもしれないけど…でももう大丈夫…私はもう…1人だって大丈夫……
病弱で死ぬばかりの私を見捨て,家族に看取られることも無く,自身を唯一大切に想ってくれていた幼なじみを失い,本来は死んで終わりだった自分が転生というキッカケで再び別の世界で生を得た。
何の因果かそれは主人公である孫悟空の娘だったが……今はもうその孫悟空も自身の大切な……大好きな家族としか見れない。
私はあの世界で過ごして,本当に大切なものと自分が知りたかった本当の強さ…………その答えを見つけ……
……私がずっと成りたかったーーーちゃんのような誰かを助けられる強い人になれた事によって私の願いも叶えられた……
そして最期は大好きな家族に看取られて逝けた。
もう一人になったってかまわないし,未練なんてあるはずがない。
……けど
少し…寂しいな
『見てたよ…ずっと』
私がずっと聞きたかった声が聞こえる…私の前の世界での唯一の大切な人。私の憧れた大好きな幼なじみ。
あぁ…ずっと傍に居てくれたんだ…死んでしまったあの日からずっと…………
『やっぱり君は世界で一番強いよ…』
私は一人じゃないんだ…………ようやく……会えた……私もちょっとはキミみたいに強く……なれたかな……キミみたいに誰かを助けてあげることが出来たかな……?
……いやこれからはずっと一緒に話せるだろうしまずは……
ただいま…ーーーちゃん
“おかえり…
フェンネル・・・日本名:
花言葉:強い意思,力
この小説はドラゴンボールの話をオリジナル主人公が大きく動かしたり,改変したりする話というよりも,“強さ“という1つのテーマを元に前世に未練や後悔がある未熟な人間が,ドラゴンボールの世界やその世界の人物を通して大きく成長し,最期は全てに満足してその最期を迎えるという物語でした。
ここまで応援ありがとうございました。