「どうしたんだ……?龍華。時間がねぇんだ後でもいいか?」
「ううん……ダメ」
悟空は早くブウの元へ行こうしているため取り付く暇もない様子だ。しかし龍華はそれを止め衝撃的な一言をいう。
「お父さんは行かないで……私が行くよ」
「!」
予想外の一言に面食らう悟空。
すると……
「何言ってるだ!龍華!そんな危険なこと……!」
「龍華ちゃん!これはさっきまでの武道会とは違うんだ……本当に危険な……死んでしまうかもしれない戦いなんだ!」
チチや仲間たちが皆口々に龍華を止める発言をする。
しかし龍華は全く聞く耳を持たない
「孫。俺が止めておく……早く魔人ブウの元へ行ってこい」
「・・・」
「孫?」
ピッコロが龍華を止め,悟空に早く行くことを促す。
「龍華……オラはおめぇが何の考えもなくそんな事を言うと思わねぇ……何でオラじゃなくて自分が行こうと思ったんだ……?もしただの好奇心とかならさすがに父ちゃんも怒るぞ……?」
悟空は何かを考えているかのように龍華に問いかける
「……ベジータさんが死んだんでしょ……?ならベジータさんと互角に戦っていたお父さんが行ったところで死ぬだけのはず……でもお父さんにそんな不安は感じられない。だからきっと何か奥の手があるって事……
でもそれを今まで使ってないって事は……使ってないんじゃなくてあんまり使いたくなかったんじゃないの?」
龍華は父が何か魔人ブウに対して対抗する手段がある事を察した。しかし今まで使わなかった事からそれがあまり使いたくない手段であることも何となくで分かった。
「……そうだよく分かったな……オラはその技を使うと現世に居れる時間が短くなっちまうんだ。だから今まで使わなかった。」
悟空は冷静に自分の事や現状を分析する龍華に素直に感心し,それが正解であることを答える。
「別に何も倒すつもりも……死ぬつもりもないよ……時間稼ぎでしょ……なら今この場でお父さんの次に強いのは間違いなく私。だったら魔人ブウの時間稼ぎは私がやるべきなはず……」
「いや気持ちはありがてぇけど……魔人ブウの強さはそんな甘くねぇ……それにオラの現世にいる時間よりおめぇの命の方が大切だろ?だから心配すんな……父ちゃんを信じろ」
龍華は,この場で生きている者たちの戦力分析をして,驕りではなく冷静に考えて父の次に強いのは龍華だ。その事から自分が行こうとするが,それでも悟空は認めない。
「……それに悟天とお母さんはどうするの……?悟天はまだ小さいし,そんな悟天に全部託すなんて……お母さんだって兄さんが死んだばっかりで参ってるよ。幾らなんでもこれから足止めしてそしてその後すぐにさようならなんてダメだよ。
お父さんはせめてあとあの世に帰るまでの時間お母さんと悟天と一緒に居てあげて
……特に悟天と一緒に」
「・・・」
「お姉ちゃん……」
単純な考えで無く悟空の事とそして何より家族の事を考えて言う龍華に言葉が詰まる。悟天も自身を想う姉を見て何も言えなくなる。
「龍華がそんな事気にしなくていいだ!母さんは平気だから危険な事はしねぇでけろ……!」
「……お父さん……私は知ってるんだよ。入院生活してた時ね。お母さん,お父さんが確か……セルだっけそいつとの戦いで死んでからずっと悲しんでた。私が病院で寝てるとね……横でお母さんがすすり泣く声が聞こえてた……
私ね……お母さんの事大好きなの……ずっと病弱な私の様子を見てくれて何時も頑張ってるお母さんが……だから一緒に居てあげてよ」
龍華は産まれてからずっと自身の面倒を見てくれて,父が死んで未だに悲しみにくれながらも強く頑張り続けている母が大好きだった。だからこそ悟空にはなるべく家族の元に居て欲しい。
「……魔人ブウには生半可な実力じゃ敵わないことはわかるよ。だから……」
瞬間床が割れ,大気が揺れる。なにかの怒りを現すかのように稲妻が迸る。
バチバチと稲妻が体に走る。そしてとてつもない熱量と圧を放つ龍華。
その姿は超サイヤ人だとは思うが少しオーラが
「……私が足止めしてくるよお父さん。」
「す……すげぇ気だ……た……ただの超サイヤ人なのに……お……オラの超サイヤ人3と同じくれぇの……」
悟空は超サイヤ人になった龍華を見て,その気が既に自身の奥の手……超サイヤ人3と同じ程の力があることを感じて衝撃を受ける。
「お……お姉ちゃん……!?」
「……こ……このとてつもない気は……」
悟天やピッコロ……そしてその他の仲間たちも皆龍華に驚愕の目を向ける。
〜〜〜〜
精神と時の部屋ーーー
『よし……何とかピッコロさんから許可は貰えた……』
神殿へ精神と時の部屋を使う為にやってきた龍華は,何とかピッコロに自分が悟飯の双子の妹だと信じてもらい,その後説得の末部屋を使う許可を貰った。
『ここが精神と時の部屋……確かにこれはキツイなぁ……』
龍華は部屋へ入ってすぐにその環境の辛さに辟易していた。
……しかし龍華がわざわざピッコロに粘り強く説得してまでこの部屋に来たのには理由があった。
『ここなら……めいっぱい解放してみても……どうなるかは分からないけど。』
瞬間おぞましい程の気のオーラが龍華から溢れ出た。
それは今まで必死に抑え込まれていたものが決壊したかのように,濁流の如く溢れ続けている。
それと同時に龍華の髪色が金髪に染まり少し緑がかったオーラに包まれる。
『こ……これは……!!』
溢れてくる力に驚きながら,龍華はそれと一緒に封じられていた記憶が少し蘇った
【……分かった君の望みを呑もう。】
【だが……大きな願いを叶えるにはそれなりに大きな代償も必要となる。】
【だから君に1つ試練を与えよう。
【……何そんなに心配するな。一時的なものだ。
これは君のあの世界で言う戦闘力が一定の強さを超えたタイミングで治るようになってある。】
【よし……君が承諾したのなら君の望み“ーーーーーーー”を叶えよう。
……そうだなあの世界で言う
思い出した……完全に全てをってわけじゃないけど……そうだ私のあの時の神様への願い…転生特典ってやつで伝説の超サイヤ人……ブロリーと同じ肉体を与えられたんだ……
あれ?でも私はなんて願ってこの肉体を……
「がはッ!!!っっ!!!」
龍華の変化は止まらない。その姿は金色の髪色から完全に碧色に染まっていき,オーラもより強く禍々しくなっていく。
それと同時に龍華はもがき苦しむように地に這いつくばり,龍華の体は迸るように惨憺たる碧色のオーラに包まれる。
それは今変身した,ただの超サイヤ人とは違う。それを例えるならば,そう…まさしく伝説の超サイヤ人であるあの悪魔と同じ…
肉体の変化と共に自身の理性が消えていく感覚を覚える龍華。それは自身の内側にいる悪魔が叫んでいるかのような感覚だった。
そうか……!私が病院で生活していた時に苦しんでいたあの何かが自分の中で高まって溢れそうになる感覚は病気のせいじゃなかったんだ……!
あれはサイヤ人の特性……!私が病弱体質で弱る度にそれと一緒に回復も繰り返していったから……!
その度にサイヤ人の瀕死からの復活が適応されて,私のこの伝説の超サイヤ人の肉体が普通のサイヤ人の肉体とは違って際限なくどんどん強くなっていったんだ……!
ずっと寝たきりだったにも関わらずこの特性で肉体だけは強くなって行ったから,神様が言った条件である一定の強さを超えたタイミングであの病弱体質が治ったんだ……!
『この……ま……ま……じゃ……私の意思が……完全に』
瞬間目の前が黒く染まる
ウゥゥォォォォッッッッ!!!
悪魔が産声をあげた。もうそれは止まらない
・・・止まらないはずだった
“君は世界で1番強い人だよ”
〜〜〜〜
何も言えずにいる父を見て,力を抑え通常の超サイヤ人となった龍華は魔人ブウの元へ向かう準備をしながら言う。
「じゃあ……行ってくるねお父さん。今はトランクスくんも居ないんだし,フュージョンの練習は出来ないでしょ。だから悟天やお母さんの傍に居てあげて……」
その瞬間龍華は凄まじい速度で飛び立ち魔人ブウの元へ向かう。その速さであっという間に魔人ブウに近づいていく。
「見つけた……魔人ブウは……君でしょ?」
「な……なんだ!?」
「……!」
突然超スピードで目の前を遮るように現れた龍華を見てバビディは狼狽え,魔人ブウは少し驚いたような顔をしていた。
「うーん……話して時間でも稼ごうかと思ったけど特に話すこともないし……一言だけ……
西の都に行くなら私を倒してから行けってね……!」
「ま……魔人ブウ!よ……よく分からないがやっちゃえ!」
「お前……ちょっと怖い顔してるし……ムカつくから殺しちゃおっと!!」
魔人ブウは龍華を殺そうとすぐにその巨体から想像出来ない速度で近づいてきて拳を振り上げる。
龍華はそれを受け止めるとカウンターとばかりに蹴りをその豊満な腹に叩き込む。
その蹴りによりブウは風船のように吹き飛んでいく。
だが龍華は油断なく追撃をする。
「かめはめ……!!!」
そしてその瞬間宙に居たブウが大きな爆炎に包まれる。
「ブ……ブウ……!!そ……そんな……!」
「さて……足止めだけのつもりだったけど……これ以上被害を出さない為にもここで殺そうか……!」
爆炎で弾けたブウを見て絶望の表情を浮かべるバビディ。
龍華は被害を考え,この場で2人とも殺そうと考える。
「ブウ!!」
しかし弾けたピンク色の肉体がひとつに集まるとブウは問題なく復活を遂げる。
「……!」
「オマエ……強いな……もっとやるゾ!!」
それに驚く龍華と龍華の強さを見てボルテージが上がる魔人ブウ
「……なるほどねどうやらお父さんが言ってた通りそんなに甘くはないらしいね……!」
龍華も構え直し。もう一度ぶつかり合う準備をする。
「ブウゥゥゥ!!」
「……ふッ!!!」
瞬間大気が爆ぜた。
〜〜〜〜
この戦いの結果だが,結局お互い決め手が無いままトランクスがドラゴンレーダーを取ってきた事によって,魔人ブウへの牽制や修行中の悟天やトランクスに力を示す意味を持って超サイヤ人3になった悟空が瞬間移動で龍華の元へ現れ,決着はつかないままとなった。
その際悟空がブウに対して更なる強い戦士が居ることを示唆して破壊行為を止めるよう提言する。
だが悟空の提言は虚しく,この後魔人ブウは自身の主のバビディを殺し,自由に地球を破壊し続けている事となる。
しかし何の運命か魔人ブウがミスターサタンとの出会いによってどうやら上手く抑え込めれているという状況になっている。
このまま何事も無く解決となれば,ミスターサタンは本物の英雄なのだが,そう楽観する訳にもいかずに神殿ではまだ悟天とトランクスに修行を続けさせている。
ちなみに悟空は超サイヤ人3に成らずに済んだことによって,まだあの世へ帰るには時間があるため,龍華やチチ,そして悟天とあの世に帰るまでの時間なるべく傍に居て家族の時間を過ごしていた。
なお龍華は魔人ブウとの戦いから帰ってきた後母からしこたま怒られた。
だがその際母は無事で良かったと龍華を優しく抱き締めてくれた。
父の悟空は龍華に対して実力を見たからなのか,少し言いにくそうにはしていたが「オラがあの世へ帰った後チチと悟天を頼む」とお願いをしてきた。
父は勘なのかこの戦いがまだ一悶着あると推察しているらしい。その為龍華に対しても精神と時の部屋を使っても良いからなるべく修行を積んでいて欲しいとも言っていた。
その際父はまだ龍華が完全に本気を出している訳では無いと見抜いていそうな表情をしていた。
しかしこの力を完全に顕現させれば私はまた……
こうして龍華や悟天,トランクスという次世代の戦士たちが修行を積みつつも,悟空のあの世へ戻る時間が……
そして魔人ブウの肉体にも変化が起きようとしていたーーー