空間が爆ぜて,大地が割れ,空気が揺れる。
何度も何度も肉体同士がぶつかる音が聞こえる。
「ぐぅぅッ!オマエは…絶対にコロス…!」
「・・・」
龍華と魔人ブウはぶつかり合うがそれは圧倒的に龍華が優勢の状態だった。
「…………このままじゃお前は私には勝てない。けど油断はしない…絶対にこの場で跡形もなく消し飛ばす…!」
「クソッ!クソッ!」
油断なく魔人ブウを見据え消し飛ばす準備をする龍華。魔人ブウは駄々をこねる子供のように地団駄を踏む。
「行ける…行けるぞ!」
「お姉ちゃん頑張れー!」
「すっげぇ!行けー悟天の姉ちゃーん!」
周りにいたピッコロや悟天,トランクスもその様子を見て歓声をあげる。
そこに更なる希望がやってきた。
「居た…!けどもう決着は着くようだな…」
潜在能力を解放し終えた悟飯が飛んでくるが,今の現状を見てもう決着の寸前だと察する。
「悟飯さん!」
「お兄ちゃん!生きてたんだね!」
「ご…悟飯…なのか…見違えた…」
悟天やトランクスが悟飯が生きていたことに喜び,ピッコロは悟空と見違える程逞しくなった悟飯の姿に驚く。
「…兄さん」
「良く頑張ったな龍華…後はオレに任せてくれ…今までの龍華の事は界王神様達やお父さんから聞いた…後はじっくり休んでてくれ…」
「・・・うん,兄さんを信じるよありがとう」
父である悟空と同じような安心する雰囲気を感じ,悟飯にあとの決着を任せる龍華。
これまでの張り詰めた戦いと緊張感,慣れない強大な力を常にコントロールしていたこともあって心身共に疲れが溜まっていたことからフッと体から力が抜け崩れ落ちてしまう。
「お姉ちゃん!」
「…疲れて眠っているだけだ…休ませてやれ。他の奴らが皆魔人ブウに殺されている中独りで戦い続けたんだ 」
悟天が急いで龍華を抱え,ピッコロがその状態を見て休ませるよう提言する。
「さぁ…随分とボロボロじゃないか魔人ブウ。
オレが殆ど手を出さずとももう龍華で倒せたみたいだが…最後はオレの手で消し飛ばす…!」
「お…オマエだな。ずっと遠くから俺よりも強い気を感じていた…!
あ…あの女も…オマエも絶対…ゼーッタイに許さない!俺は俺よりも強い奴を許さない…!絶対に殺してやる…!」
「やってみろよ…お前にはオレも…龍華も殺せやしない!」
〜〜〜〜〜
「…んぅ…?」
「あ…!お姉ちゃんが目を覚ましたよ!」
龍華が目を覚ますと魔人ブウの気は近くに感じられなくなっていた。周りには自身を背負う悟飯,そしてピッコロに悟天,トランクス。
さらにミスターサタンとその犬,自分が預けたマーロンも居た。
「龍華さん大丈夫ですか…?今治療します」
「…良かった生きてたんだね…デンデさん…」
何よりもどうやらミスターポポによって生き延びていたデンデが居たことに一番の安心を覚える。
…良かったこれでみんな生き返られる。
「お姉ちゃん!大丈夫…?」
「うん大丈夫だよ…マーロンちゃん。
ミスターサタンもありがとうございました。」
「ま…まぁ世界チャンピオンともあろう者が子供1人守れないようではね…!」
自身の心配をして駆け寄ってくるマーロン。どうやら時間もだいぶ経ったからか落ち着いたらしい。
そしてここまでマーロンを守ってくれていたミスターサタンに感謝を述べる。
「…魔人ブウは…?」
「それが…」
どうやら魔人ブウは兄さんに圧倒されていたらしいが結局最後は自爆に近いような形で姿をくらましたようだ。
結局まだ生きていそうだというのが現状だという
そして1時間程経つと…
「…魔人ブウ!今度こそ…!」
「待て…!おいチビ共と女…!俺は先にお前らと決着をつけたい!オマエらが先に戦え…!」
「なに…!」
突然現れた魔人ブウに対して構える悟飯。
しかしその魔人ブウの要求は悟飯ではなく悟天にトランクス…そして龍華だった。
「なんだ怯えてるのか…?早くフュージョンとやらをして俺と戦え!」
「…俺たちが怯えてるだって!やってやろうぜ!悟天!」
「うん!」
何かを企む魔人ブウ。その煽りに乗った悟天とトランクスがフュージョンをする。
「・・・ 」
「なんだオマエもさっきのように変身してみろ…!それとも俺と戦うのが怖いのか…?」
「お姉ちゃんもやろうぜ!俺とあの変身したお姉ちゃんなら魔人ブウなんて余裕だって!」
龍華にも変身を催促する魔人ブウ。龍華は懐疑心からか変身しない。
しかしゴテンクスがそのお調子者の性格からか龍華に戦うよう持ちかける。
「ふっ!!」
渋々龍華も折れて伝説の超サイヤ人へと変身する。
すると・・・・・
「今だ!!」
「お姉ちゃん後ろ!!」
「…!!」
ゴテンクスとピッコロにピンク色の肉塊が飛びつく。
それは龍華にも飛びついてくるが,近くにいたマーロンの声によりギリギリ反応して飛び退く。
しかしそれは一時的に避けただけであり迫ってくるその肉塊からもう逃げられず龍華も2人のように…
「龍華!!!」
「兄さん!!」
龍華もゴテンクスやピッコロのように肉塊に包まれるかと思いきや,龍華を庇い悟飯が代わりにその肉塊に包まれる。
そしてその3つの肉塊は魔人ブウの元へ戻っていく。
「あはァァ」
魔人ブウは不気味な笑みを浮かべると共にその姿は大きく変化した。
その姿は少し知的になり,服装も悟飯と同じ道着を着ている。
しかしそれ以上に気が信じられないくらい増大していく。
「…な…あ…」
「やれやれ本当は龍華くんを吸収して孫悟飯は私自ら葬ってやろうと思ったんだがね…
まぁいい実力だけで言えば一番強かった孫悟飯を吸収出来た。さぁどうする孫龍華くん…最強の魔人が誕生してしまったぞ…」
もう相対しただけで感じてしまう強大すぎる壁。
今の龍華と魔人ブウにはそれくらいの差があった。
逆立ちしても勝てないくらいの力の差が…
余談にはなるが…もしこの世界を観測する者がいた場合補足すると,この魔人ブウは
なぜなら今魔人ブウが吸収したゴテンクスはまだ合体が解けていない。
原作の世界を知ってるものに分かりやすく説明すればゴテンクス吸収ブウに更に悟飯を吸収した状態…文字通り最凶の魔人である。
・・・少なくとも本来手も足も出なかったベジット相手に少し善戦できる程には
「逃げてください・・・」
「あ…あ…りゅ…龍華さん…」
龍華は震える体と声を抑えて,あまりの気に絶望の顔を浮かべるデンデへ小さく呟いた。
「早く
「は…はい!」
そして1人逃げていくデンデ。魔人ブウは特に止めない・・龍華はもう無駄なことだと内心で察していた。
今魔人ブウが止めなかった理由も別に自身を殺して直ぐに追って殺せばいいだけだからだ。
結局この場で龍華が負ければ,いくらデンデが逃げようと絶望的なのである。
「ごめんね…マーロンちゃん,ミスターサタン。
少しでもデンデさんには遠くに逃げて時間を稼げるようにして欲しいからあなた達を連れていかせることは出来なかった。
多分この場で私が負ければあなた達は私と運命を共にする事になる…なるべく巻き込まれないよう離れてて…」
「あ…あぁ…」
「お姉ちゃん…!」
そうして何が何だが分からない呆然とした様子でマーロンと犬を連れて離れていくミスターサタン。
龍華は振り向き魔人ブウと相対する。
「ふっふっふっ…どうした?龍華くん震えているぞ」
「・・武者震いかもね」
構える龍華。自分の体の震えは無視する。今にも瞳から溢れてきそうな涙を意地でも我慢する。
「ふっ!!」
「どうした!止まって見えるぞ!」
龍華の本気の一撃を軽々と避ける魔人ブウ。
その後の攻撃も全て避けられる。
「…っ!!かめはめッ!!」
「はぁはぁ…」
何とかやぶれかぶれの気力を限界まで振り絞ったかめはめ波をお見舞いする。
もしこれで何とも無い状態だったらもう…
「ふっふっふっ…少し暖かい程度の一撃だな。孫龍華くん…弱い…弱すぎる!いや…私が強くなりすぎてしまったらしい。」
「…はぁ…はぁ…化け…物…!!」
全く堪えた様子の無い魔人ブウに心が折れかける龍華。
しかし諦める訳にはいかずもう一度構える
だが…
「攻撃というのはこうやるんだ…!」
「ーーー!!!」
目にも止まらぬ速さで龍華に接近し,反応出来ずに一撃,拳を腹にもらう。
ゴリィ…
「…………がっ…はっ……」
たった一撃のパンチで心も,そもそも立ち上がるための肉体の気力も砕かれた。
その一撃は簡単に龍華の腹にめり込み,何とか貫通はしなかったが骨を折られ臓器を潰された。
「オェェッッ!うっ…あっ…あァァァッ!!」
びちゃびちゃと嘔吐すると共に大量の血が口から溢れる。感じたことのない壮絶な痛みに喉が裂けそうな程の絶叫をあげる。
何も考えられないほど頭の中で電気が弾けているような衝撃を感じ,瞳からはとめどなく涙が溢れる。
体はブルブルと痛みで産まれたての子鹿のように震えてしまう。
「ハーッハッハッ!!たった一撃で沈んでしまうとは情けないな…さてどう嬲り殺してやろうか…」
「うッ…ぐっ…!!波ァッ!!!」
苦しみながらも最後の足掻きと言わんばかりに何とか振り絞った気弾を魔人ブウの顔に当てる。
…しかし勿論全く効いた様子はない。ただ魔人ブウの怒りを買っただけだ
「全くこれだけの実力の差を見ても諦めの悪いヤツだ…そらぁッ!!」
メリィッ…
脇腹に魔人ブウの回し蹴りが叩き込まれる。
その軽い動作のたったの一撃で再び龍華の気力は砕かれた…
「あっ……ああァァァッッ!!!」
潰された臓器によって苦しさを感じ,折れた骨がその臓器に刺さり更なる激痛を催す。
どんどんぐちゃぐちゃにされていく自身の身体によってどんなに精神を奮い立たせようと物理的に体が動かない。
「ふぅ…この地球に唯一残った玩具として遊ぼうかと思ったが…そろそろ殺すとするか…」
「あ…う…」
「さらばだ…!孫龍華!」
魔人ブウがトドメを刺そうと龍華に掌を向ける。
「ぐッ!」
「龍華!!」
突然何者かが現れ,龍華にトドメを刺そうとしていた魔人ブウを蹴り飛ばす。
「お…と…う…さん」
「ちくしょう…!あの野郎…!龍華。時間はねーんだけど何も言わずこれを…ポタラを付けてくれ!」
ボロボロの龍華の目の前に現れたのは,父である孫悟空だった。
悟空の手にはポタラが握られており,それを龍華に着けるよう急かす。
「これを着けると合体してすげー力を得られるんだ!魔人ブウに勝つにはそれしかねぇ…!
龍華はボロボロだし,それに男女での合体でどうなるかは分かんねーけど…兎に角もうこれでやるしか…!」
「それを聞いてそう簡単にやらせると思うか…!」
色々不安な要素を抱える中でやる合体だが,あの魔人ブウに勝つにはもうそれしか方法はなかった。
しかし魔人ブウはそれを聞いて簡単にはやらせない。
「くそ…!」
「オマエが超サイヤ人3になろうと今の私には関係ない!直ぐに殺してやるぞ!」
悟空は超サイヤ人3になり,応戦しようとするが結果は目に見えている。
もう終わりかと思いきや,悟空はあることに気づく。
「…!この気は」
「な…何!」
悟空を殺す直前に瞬間移動によって龍華諸共一緒に消えてしまった。
「チッ!!絶対に逃がさんぞ!!」
すぐさま魔人ブウは悟空たちの気を追っていったーーー