孫悟飯の双子の妹なのに病弱でした。   作:oir.1

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「ベジータ!早く着けてくれ!今の魔人ブウなら直ぐにここに追いついてくる!アイツを倒すにはそれしかないんだ!!」

 

「断る!!貴様…俺との戦いで手を抜きやがって!!何が超サイヤ人3だ!!」

 

龍華を連れて,あの世から戻ってきたベジータと合流した悟空は,何とかベジータにポタラを着けるよう説得していた。

 

「…ベジータ…!本当に全部終わっちまうんだぞ!!ブルマもトランクスも皆魔人ブウにやられちまった!!龍華はそんな皆の意志を継いでずっと…!どんなにボロボロになっても…どんなに魔人ブウとの力の差があっても独りで戦ってたんだ!!それも全部無駄になっちまう!」

 

「…!!」

 

ブルマやトランクスを思い出し,少し意志が揺れるベジータ。

そしてチラリと見た先にいるのは,魔人ブウとの戦いでボロボロになって,回復ができる環境でもなく苦しそうに荒い息をつきながら横たわる龍華の姿。

 

「…!!貸せさっさとしろ!」

 

「ベジータ!!」

 

自身よりも圧倒的に年下であり,サイヤ人の下級戦士の娘である少女が,こんなになるまで戦っていたという事実がベジータの考えを変えたのかは分からない。

だがベジータは悟空の提案を呑みポタラを受け取ろうとする。

 

「させるかぁッ!!」

 

「なっ…もうきやがったのか!魔人ブウ」

 

「ベジータ!早くそれをそっちの耳に!」

 

ゴテンクスとピッコロ,悟飯を吸収し,凄まじい力を得た魔人ブウはゴテンクスの力がまだ健在なのもあり,本来よりも早くこの場へ到着する。

 

このせいで悟空とベジータはポタラでの合体を妨害されることとなる。

 

 

「はぁ…はぁ…わ…たしが…時間を稼ぐ…から早くお父さん…」

 

「龍華…!無茶だ本当に死んじまうぞ!」

 

ボロボロで殆ど動かない体を何とか起き上がらせ,足止めに向かおうとする龍華。

 

「いいから…はやくッ!!どちらにせよ魔人ブウを倒せなかったら全員死ぬんだよ!!」

 

そう言って超サイヤ人になり,魔人ブウの元へ行く龍華

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔だァ!死に損ないが!!」

 

「うッ!!」

 

しかし軽い気弾の一発に今の龍華は簡単に弾き飛ばされる。しかし龍華は折れずに立ち上がる。

 

「ま…て…!!」

 

「チッ!!鬱陶しいヤツだ!望み通り殺してやるぞ!孫龍華!」

 

魔人ブウを羽交い締めにして止める龍華。魔人ブウはそんな龍華にトドメを刺そうと気を溜める。

 

しかし…

 

 

 

 

「ぐッ!!なんだ…!?力が急激に落ちた!!」

 

 

天が味方したのかゴテンクスの合体が解け,魔人ブウの力が大幅に下がる。

具体的に言えば原作での悟飯吸収と同じ程になった。

 

 

 

 

 

「い…ま…だ!!ウゥァァァァッ!!

 

 

最後の気力を振り絞って伝説の超サイヤ人になり,魔人ブウを止める龍華。

その最後の踏ん張りが功を奏し,直後に膨大な気の嵐が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「良く頑張ったな…龍華…本当に凄いぞ…」

 

悟空とベジータの声が合わさったような声と共にとても安心する暖かく強い気を感じる。

 

「チッ!!」

 

魔人ブウが龍華を殺そうとするがもう龍華はいなかった。

 

「なに…!」

 

「よく休め…後は俺がやる」

 

いつの間にかその現れた戦士の腕に気絶した龍華は抱き抱えられていた。そして直ぐにその龍華を瞬間移動で安全圏にいたミスターサタンの元へ置く。

 

「うわぁ!今度はな…なんだ!?」

 

「…お姉ちゃん!」

 

「龍華を頼むぞ…サタン。」

 

マーロンが気絶した龍華に駆け寄る。

そしてその戦士は直ぐにまた魔人ブウの元へ瞬間移動で戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ…さっきまでは随分と楽しそうだったじゃないか…」

 

「ぐっ…く… 」

 

「見せてやるよ…こいつが超ベジットだ!!!!」

 

その声と共に超サイヤ人に変身する合体戦士ベジット。その様子はやられた仲間たちの…龍華をやられた怒りが感じられた。

……もう魔人ブウが勝てる未来はいまこの時をもってして無くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「………はッ!」

 

気絶から目を覚ます龍華。

 

「いっつぅ…!」

 

「ワン!ワン!」

 

しかしボロボロの身体を咄嗟に動かしたため激痛が走る。それと同時にサタンの犬…べエが龍華に気づいて声をあげた。

 

「あっ……お姉ちゃん!サタンおじさん!お姉ちゃん目を覚ましたよ!」

 

「…マーロンちゃん…あれ魔人ブウは…」

 

「あ…あそこでた…戦ってるよ…な…何が何だか私は分からないけどな…」

 

目を覚ますと近くにはマーロン,そしてミスターサタンとその犬が居た。

そしてサタンに言われた通りその視線の先を見てみると…魔人ブウと…多分お父さんとベジータさんが合体した戦士…ゴテンクスって名前から考えるとベジットとかだろうか?が戦っていた。

 

「な…んでこんな危ない所に…逃げたんじゃ…」

 

「いやぁ…この子がどうしてもと言って聞かなくて…このせめて戦いの様子が見れる所まで来たんだ…それに君も安静にしていないと…というか何でその怪我で生きているんだ…」

 

どうやらマーロンの我儘でここまで来たらしい。よく見るとこの場でできる限りの応急処置が自分に施されて安静に寝かされていた。恐らくミスターサタンがやってくれたのだろう。存外器用な人だ。

 

「マーロンちゃん…危ないでしょ…我儘言っちゃダメだよ…」

 

「だ…だってあ…アイツがパパとママを…それにお姉ちゃんだってこんなに…」

 

泣きべそをかきながら言うマーロンの気持ちも痛いほど分かるため強くは言えない龍華。

それにそもそもどうせ今魔人ブウに負ければ地球はおしまいだ。

そう考えればどこに逃げても変わらないため,まぁいいかと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして身体を安静に休めつつ,戦いの様子を見ていると,何やら戦いが止まり,2人とも空中で立ち止まって何かを話している。

 

 

すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!!お父さん…達が…!」

 

見た事のある肉塊が悟飯達を吸収したようにベジットを包む。

するとその肉塊は魔人ブウの体に戻り吸収された。

 

「……お…おい…ま…またあのピンク色の気味の悪い肉で吸収されてしまったぞ…」

 

「……………」

 

 

ミスターサタンが声をかけてくるが…耳に入ってこない。

ただ龍華の胸にある思いはただ1つ…

 

 

 

あぁ…もうこれは…

 

「…お姉ちゃん…どうしようあの戦ってた人いなくなっちゃったよ」

 

「……………」

 

マーロンが涙を溜めた瞳で龍華を見つめてくる。

 

「マーロンちゃん。大丈夫だよ。大丈夫。」

 

「お…おい…どこに行くんだ…」

 

突然ボロボロの体で立ち上がる龍華に声をかけるミスターサタン。

 

「どこって…魔人ブウを倒しに行くんですよ」

 

「ば…バカを言うな!自殺行為だ!そんなボロボロの体で…しかもビーデルと同い年程の少女がなにを…!」

 

「多分ですけど…緑色の触覚の生えた子…デンデさんがまだ逃げ続けています。ここから東のずっと先です。

サタンさん達はマーロンちゃんを連れて何とかそこまで行ってください。

きっとデンデさんが…ドラゴンボールがあれば何とかなります。 」

 

龍華は危険だと言うサタンの言葉を無視し,デンデの元へ行くよう発言しながら戦いに行こうとする。

 

「お姉ちゃん…ダメだよ!ママみたいになっちゃうよ!」

 

「……大丈夫お姉ちゃんは負けないよ…絶対に倒して戻ってくるからサタンさんと一緒に逃げてて,大丈夫私が…私が魔人ブウを倒す。」

 

 

 

 

 

 

 

 

悟天が…大切な弟がやられた。

 

悟飯兄さんが…優しい兄さんが私を庇ってくれた

 

お母さんが…大好きなお母さんが私に生き残るように言っていた

 

お父さんが…世界で一番強いお父さんが私に地球を頼むと言っていた。

 

他の仲間の人達もみんな私が最後の希望だって言って死んでいった。

…………負けられない。まだ私は絶望してなんかいない

私が諦めない限りはきっとまだ負けてない。

 

私が勝つんだ…身体はまだ動く…震えてなんかいない…怖くなんてない…寂しくなんてない…

私は独りじゃない。きっとみんな見てくれてる。自身が託した想いの結末を見届けるために……

 

 

大丈夫。きっと勝ってマーロンちゃんも守ってみせる。それにまだ他にも生きている地球人の人がいるかもしれない。

幾らドラゴンボールで生き返られると言ってもきっと死ぬ時の恐怖はあるはずだ。絶対にそんな思いはさせない守りきってみせる。

 

そのために私はーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこに行く気なの…魔人ブウ…!」

 

「…ハーッハッハッハ!!また君か孫龍華くん。

残念ながら君の父親やベジータは私が吸収してしまったぞ。これで私を超えるものは居なくなった!」

 

ベジットを吸収し,自身を脅かすものがいなくなり,高笑をあげる魔人ブウ。

 

「まだ…まだ…私がいる!私がお前を倒して地球を守るんだ!」

 

「ふっふっふっ…君が私を?全くしぶとさだけなら一番だな…そんな死に損ないの体で君の父や兄,弟を吸収した私にどうやって勝つと言うんだ!!」

 

 

 

 

 

 

「ウゥアァァァァッ!!」

 

 

 

殆ど空の気を無理やり引き出すように伝説の超サイヤ人に変身する龍華。

その雄叫びには魂が込められていた。

 

 

 

 

「そんな限界の状態で何が出来る!ほら遊んでやる!!」

 

「はぁッ!!」

 

そして最期の決戦が始まる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

 

「あぁ…もうおしまいだ…悟空さんとベジータさんまで吸収されてしまった…!もう地球は宇宙はおしまいだ…!」

 

「・・・」

 

界王神界で地球での戦いを見ていた界王神達は吸収されたベジットを見てもう勝つ術は無くなったと絶望的な雰囲気に包まれていた。

 

「・・・」

 

「ご先祖さま…?」

 

「全く…その水晶をよく見てみろ…まだ諦めぬ者もいるようじゃぞ…」

 

老界王神の視線の先には限界を超えて魔人ブウと戦い続ける龍華が映っていた。

 

「あぁ…ですがもうあの魔人ブウには幾ら龍華さんだとしても…それにもう身体は限界を超えてボロボロです…」

 

「全く驚きじゃわい…」

 

「えっ…?」

 

界王神はまだ諦めずに戦う龍華を見ても,敵わないことは目に見えて分かるため表情は暗いままである。

しかし老界王神は別のことを考えていた。

 

「あの娘…この状況で別に自暴自棄になった訳でも,もう思考停止しとにかく地球を守るため義務感で戦っておる訳でもない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの娘は…まだ本心から諦めておらん…本気で自分が勝ってみせると,魔人ブウを自分が殺すと圧倒的力量差を理解しながらも本当に思っておる…この状況でたった一人にも関わらずなんという精神力じゃ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしかしたら…もしかするかもしれんのう…あの娘にはそう感じさせる程の気迫があるわい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

 

「頑張れ!龍華ちゃん!」

 

「龍華ちゃん!行け!そこよ!」

 

 

一方あの世でも龍華と魔人ブウの宇宙の命運をかけた戦いが見られていた。その中には魔人ブウに殺されたクリリンやブルマといった仲間たちの姿も見られた。

 

 

 

「龍華……」

 

「チチさん…大丈夫ですよ… 」

 

母であるチチ,そしてビーデル。その他の仲間たち全員が龍華を信じて見守っている。

 

 

そして…地獄でも…

 

「行けー魔人ブウ!そんな小娘早く殺してしまえー!!」

 

「チッ……!」

 

バビディを初めとしたかつて悟空達に倒された敵たちもその戦いの様子を忌々しそうに眺めていた。

その中には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん…あれがカカロットの娘か…随分とてめぇに似てるじゃねぇか…ギネ」

 

「そうかい?私はカカロットやアンタに似た雰囲気も感じるけどねぇ…特にあの何があっても諦めないしぶとい所とかさ…」

 

赤いバンダナを巻いたサイヤ人とギネと呼ばれる龍華によく似た女のサイヤ人…いやこの場合は龍華がこのサイヤ人に似ていると言うべきか

 

 

 

「ふん…どんな甘っちょろいガキかと思ったらなかなか見所のある女じゃねぇか…たった一人で大したもんだ…」

 

 

「ふふっ…意外と孫には甘い爺バカってやつなのかい?バーダック」

 

 

「うるせぇ… 」

 

 

界王神界,あの世,そしてその中の地獄でも様々な人物が龍華を見守っている。

 

 

一部の者たちはその龍華の姿に確かに孫悟空と同じ雰囲気を感じていた。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

魔人ブウは焦燥していた。

 

 

「何故だ!!何故オマエを殺せない!!」

 

「はぁ…はぁ…ぜっ…たいに…勝つんだ…」

 

自分よりも圧倒的に弱く,そしてボロボロの死にかけの女に苦戦し,粘られている状況に苛立ちが募る魔人ブウ。

 

「何故だ…何故まだ…立ち上がれる…!!」

 

「はぁはぁ…まもり…きって…みせる…」

 

魔人ブウは理解が出来なかったいつ死んでもおかしくない状態の体で何度も立ち上がり続ける龍華を。

…………龍華の消えない強い眼の光に,何度も立ち上がってくる姿に魔人ブウは生まれて初めて恐怖を感じていた。その思いからか自然と体が後退りをし,その事実が魔人ブウに更なる苛立ちを生んでいた。

 

自分よりも圧倒的に格下であるはずの少女に無意識のうちに感じてしまった恐怖を振り払うように魔人ブウは強硬手段に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ…ふっふっふっ…そのしぶとさには賞賛を贈ろう孫龍華…だが…これは止められるかな…!!!」

 

 

「…!!な…に…!」

 

 

吹っ切れた魔人ブウはその手に高密度の巨大な気弾を作る。

 

 

「もし避ければ!この星ごと木っ端微塵だ!死ねぇぇーー!!孫龍華!!」

 

 

 

「く…そ…うぁぁぁぁッ!!!」

 

 

何とかその気弾を両手で受け止める龍華。

しかし簡単に飲み込まれてしまいそうなほどの膨大な気に徐々に押されていく。

 

「そらそらぁッ!!そんなものではこのまま死んでしまうぞ!!」

 

あまりの熱さと気の量に元々身体が限界を超えていたのもあったのか徐々に感覚が失われていく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……」

 

その瞬間フッと身体から力が抜けて徐々に宙から地面に吸い込まれるように落ちていき

龍華の瞳の光が緩やかに消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシンッ!

 

 

 

 

 

「な…なんだ!」

 

突然体に石を当てられた魔人ブウが動揺する。

 

 

 

 

 

「お姉ぇぇぇちゃぁぁぁん!!!負けないでぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

「マー…ロン…ちゃん…な…ん…で… 」

 

 

「チッ!!待ってろ…すぐにコイツの後を追わせてやる!!」

 

魔人ブウは龍華を殺した後直ぐに殺してやるとマーロンに標的を定める。

 

 

 

 

 

「待てぇぇぇい!!」

 

 

 

 

 

突如鳴り響く怒声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!魔人ブウ!!その子を殺すなら先に世界チャンピオンであるこのミスターサタン様を倒してから行くんだな!!」

 

「ワン!ワン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

身体を恐怖で震わせながらも叫ぶミスターサタン。

 

 

「…自分の娘と同じ程の少女が命をかけて戦っているというのに…このまま逃げ隠れして,たった一人の少女を守れず見殺しにして何が世界チャンピオンだ!!」

 

 

 

 

 

「こい!!魔人ブウ!!このミスターサタン様が相手をしてやる!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

一般人であるはずのミスターサタンの誰よりも頼もしく思える叫びが聞こえた。

 

 

 

「サタン…さん…」

 

 

龍華の瞳に光が戻る

 

 

 

 

 

 

「チッ!次から次へと…!な…なんだッ!!」

 

 

 

 

「ぐっ…うっ…」

 

龍華が再び立ち上がり。その死を振りまく巨大な気弾を受け止める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーそうだ…私の…私の…たった一つの願いは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

???side

 

 

 

降り注ぐ雨の中,突き刺すようなブレーキ音と共に

跳ねられる人の体…そして雨と共に流れる鮮血の中に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の幼なじみがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病弱な私が久しぶりに外へ出る際,いつものように幼なじみのーーーちゃんに車椅子を引いてもらって出かけていた。

 

 

 

 

 

 

いつもと変わらずに終わるはずだった日常がたった1つの居眠り運転という事故によって変わってしまった。

 

車椅子に乗る私を咄嗟に押し飛ばしたーーーちゃん。

振り向いた時に見たその表情はとても安堵に満ちていた。

 

 

『よ…かった…ーーーが…無事で…』

 

そう言ったきり,その瞳の中に映っていた私の姿が影のようにブレて,雨か涙か分からない雫が頬をつたると共にその眼は閉じられ,二度と開くことはなかった。

 

 

『君は世界で一番強いよ!』

 

『ーーーは心が誰よりも強いから!』

 

『だから・・とっても感謝してるんだ…』

 

 

 

 

 

『ぁ……』

 

でもーーーちゃんそれはきっと間違い……嘘だよ。

だって私が本当に世界で1番強かったら君が死ぬ事は無かったはずでしょ。

 

どんなに心が強くたって…しっかりと動く体が無かったら何もできやしない…何も守れはしない…何も…無くなってしまう…

 

 

 

ーーーちゃんが居なくなってからどれくらい経ったか分からないけど結局私の病気も良くなることがないまま私はアッサリと死んでしまった。

 

 

そしてそこでこの世界に転生する事になって

 

 

そして…

 

 

『君はこの世界に行く際になにを願う…』

 

 

 

 

私は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………私は

 

 

 

 

「誰かを守れるくらい強い身体が欲しい…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう願ってこの身体を与えられたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも私はこのドラゴンボールの世界に来て生きていくうちに…ようやく強さの答えを見つけられた。私はーーーちゃんが死んでから誰かを守れるくらい強い肉体さえあればそれが本当の強さだと思っていた。

 

 

けど……

 

 

お母さんや兄さん…悟天。そしてお父さんに出会って…私のこの世界での大切な家族と会って,そして戦っていくうちに分かった。

 

本当に強い人っていうのは心だけが強いわけでも…体だけが強い訳でもない。

 

本当に強い人は大切なものを守るための強い体とその体をコントロールする折れない不屈の強い心を持っているんだ

 

だからこそお父さんは…孫悟空は強いんだ

そう…心身両方の強さを持ってる人が………

 

きっと私が体だけ強くても,この伝説の超サイヤ人の力に呑まれてしまっていただろうし。

心だけ強くても,そもそも戦いに参加出来ず大切なものを守れないだろう。

 

そうどちらかだけでは…ここまでこれなかった。

 

 

この世界でも()()()()()()()()私を大切に思ってくれる絶対に守りたい優しい家族がいたからこそ辿り着いた答え…

 

前の世界から長い時間をかけてようやく分かった私の思う強さ……私が憧れた,強い人に成りたいという願い……

 

 

 

だから絶対に守りきってみせる…地球を…

 

だからこそ…コイツを絶対に倒してみせる…

 

 

 

 

 

だから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を見ていて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……肉体に気が充実する。ボロボロの体が嘘かのように目の前の敵を倒すために,気が溢れ出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識がハッキリと魔人ブウ()を見据えている。絶対に許さない目の前の敵をしっかりと逃さないようその眼で捉える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心が熱く燃え上がる。自身に託されてきた家族や仲間たちの想いが龍華を奮い立たせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッッッ…!!うぅあァァァァッ!!」

 

 

完璧に力をコントロールし,伝説の超サイヤ人の力を限界以上に引き出す,それはある者が見れば原初のサイヤ伝説(ヤモシ)を彷彿とさせるだろう。

 

……まだ誰も到達したことが無い。伝説の超サイヤ人の力を完全に制御した先にある,いわば伝説の超サイヤ人を超えた姿に一時的にではあるが強い感情をキッカケに龍華は至った。

 

 

 

 

 

「な…なに!!!」

 

 

 

 

 

瞬間魔人ブウの放った巨大な気弾が大きく爆ぜた。

 

 

 

 

 

「ば…バカな!?どこにそんな力が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…お前を…倒す!!!」

 

 

 

 

 

 

まだ一筋の希望が潰えていない

 

 

 

 

 

「ば…バカな有り得ない…私が…オマエ如きのやつに…ぐぅッ…!!!」

 

 

 

魔人ブウは目の前の得体の知れない存在に心の底から震えあがった。

 

……だが突如魔人ブウに異変が起こる

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…今度は…なにを…」

 

 

 

 

 

直後魔人ブウの頭からやかんのように蒸気が吹き出てそれと一緒に何かが飛び出てくる。

 

 

「おっと!危ねぇ!!って龍華か!もしかしてずっと魔人ブウと戦ってたんか!?」

 

「ふん…妙に魔人ブウの体内に入ったとはいえ奴が大人しいと思ったら…俺たちに構っている所ではなかったらしい…」

 

中から出てきたのは吸収されてたと思っていた悟空とベジータだった。どうやらその手に持っているものを見る限り吸収されたみんなを助けていたらしい…

 

「はぁ……はぁ…よ…かった…これできっと…地球は…」

 

「でぇじょうぶか…龍華……………!っておめえ…こんな体で魔人ブウと……」

 

父である悟空が無事であったという一番の安心感から急激に身体から力が抜け,そのダメージが一気に襲ってくる龍華。

悟空は抱き留めた龍華の体を見て,こんな体でずっと自分たちがいない間魔人ブウと戦い続けていたのかと驚愕する。

 

 

「おいカカロット!見ろ魔人ブウの様子が!」

 

 

 

悟飯達を安全なところに置いて龍華を連れながら魔人ブウの元へ向かう悟空とベジータ。

すると体の中から吸収した者達を取り上げられた魔人ブウは体が急激に変化する。

それは最初の魔人ブウの姿では無い…どこか小柄でどことなく不気味さを感じさせる姿となった。

その表情は無に満ちていた。

 

 

 

「…お…おいやったぞ…魔人ブウの気が大きく減った!これなら行けるんじゃないか…!」

 

「へ…へへ…これなら悟飯達でも余裕で勝てるぞ…」

 

気が大幅に減った魔人ブウを見て,クソガキのような煽りをし始めるオッサン2人組。

 

・・・しかしこの魔人ブウが恐ろしい所は()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間魔人ブウが地球を破壊する気弾を何の前触れも躊躇も無く放った。

 

 

 

 

 

「…!!やべぇ!!」

 

「か…カカロット!!」

 

 

悟空とベジータは焦りながらその気弾から逃げる。

悟飯達の元へ向かいながら瞬間移動で界王神界の気を探し続ける途中,ミスターサタン達を見つけた。

 

すると悟空はそのサタン,べエ,マーロンを拾い上げながら悟飯達の元へ急ぐ…

 

 

しかし…

 

 

 

「ちくしょう…間に合わねぇ…!界王神界までの気がまだ…!」

 

地球から界王神界にいる界王神達の気を感知するにはまだ時間がかかる…絶対絶命のその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悟空さん!!」

 

界王神が悟空達の目の前に現れて手を伸ばす。そのもう片方の手にはデンデが居た。

どうやら界王神は悟空達の元へ来る前に真っ先にデンデの元へ向かい救出していたらしい。いつになく有能である。

 

「界王神様!!」

 

そして悟空が手を伸ばし,界王神によって助けられる…

 

 

 

 

 

 

・・・だがそう上手くはいかなかった

 

 

 

 

「あっ…!!!」

 

 

手を滑らしたマーロンが悟空の元から離れてしまう。

 

 

 

「なっ…!!」

 

悟空が一瞬の判断を迫られ,焦燥する中真っ先に飛び出した者がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫…大丈夫だよ…マーロンちゃん」

 

「お…姉…ちゃん?」

 

龍華がマーロンの元へ飛び出し,そして抱き止めたマーロンを悟空の元へ投げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お父さん!!!!」

 

 

 

 

 

「龍華ぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

お互いに手を伸ばす龍華と悟空

 

 

 

 

「…ッッもうこれ以上は…カイカイ!!」

 

 

 

しかし……その手は触れること無く,自身の最愛の娘の温もりが掻き消えると共に地球が爆発したーーー

 

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