休日。この世界に転生してからハマってる漫画、『十字仮面クロスファイヤー*1SPIRITS』の最新刊が発売されるので、うきうきとしながら本屋に向かっていた。……そう、向かっていたのだ。
「ギョオオオオーン……」
道路に足跡を刻み、街灯や電柱をへし折り、暴れまわる魔物の姿を見て、俺は溜息を吐きたくなった。
と、そこに青い髪をたなびかせた魔法少女が駆けつけてきた。
「皆さん!!落ち着いて避難して下さい!!」
魔法少女ノブレスセイレーン。ここ音夢市を管轄とする魔法少女の一人で、水の魔法を得意とする魔法少女だ。そして……
「……相変わらず、クールビューティーだなあ」
俺の最推し魔法少女でもある。
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『仮面ライダーキュビズム』として初めて戦ったあの時、何でいつもとキャラが少し違ったのか。それは、最推しの魔法少女が目の前に居たからテンパってたのだ。いや、本当に。
「魔物が出たのは不幸だったけど、ノブレスセイレーンさんが見れたから、プラマイゼロどころか、大幅にプラスだよなあ」
ノブレスセイレーンが魔物を討伐した後、目的の本もなんとか買え、ホクホクとした気持ちで帰っていると、不審者が現れた。
「……」
「えっと……誰?」
目元だけを仮面で隠した、全体的に真っ黒な女の子は何も言わずに俺を見つめて?いる。
目の前の彼女は、髪も服装も仮面も黒の比率が多い。服や髪の隙間からほんの少し見える肌や、服を装飾するフリルは白いが、それ以外は全て黒だ。
しかし、それ以上に彼女を真っ黒だと思った理由は、その、全体的に立ち上っているのだ。どす黒い、闇って感じのオーラが。
「……お前か」
「ん?」
少し警戒しつつも、小さな呟きに聞き返すと、唐突に目の前の真っ黒少女から黒い斬撃波が飛んできた。
「うおっ!?」
慌てて斬撃を避ける。斬撃の飛んでいった方向をチラリと見ると、思いっきり地面に斬撃痕が残っていた。スッパリと言った感じで。
「……え?俺、殺される感じ?」
「……」
「なんとか言えよおっ!!」
たんたんと斬撃を飛ばしてくる真っ黒少女に叫びながら、キュビズムドライバーを実体化。手元に跳んできたライジングヒーローキュービットを掴み、キュビズムドライバーにセットする。
「変身!!」
『仮面ライダーキュビズム!!ライジングヒーロー!!』
普段の変身前のポージングの一連の流れと変身音をを省略し、変身すると、真っ黒少女に突撃する。また斬撃を飛ばそうとした真っ黒少女の腕を掴んで動きを封じ、叫ぶ。
「あんた、一体何なんだよ!!」
正直言って、返事は期待していなかったが、真っ黒少女はすんなりと答えた。
「私は、アビスマータ。貴方達が人型の魔物と呼ぶ存在、ディメイアを支配する者の一人」
真っ黒少女……アビスマータはそう言うと俺の腹部を蹴って無理やり距離を取った。
「私の……私達の復讐に、貴方の存在は邪魔なの。だから……」
「死んで」。その言葉と共にアビスマータは大量の斬撃を俺へ向けて飛ばしてきた。本気で俺を殺すつもりだ。
「ちっ!」
今のままでは勝ち目が無い。俺は咄嗟に『ナンジャニンジャキュービット』をセットし、身代わりの術と隠れ身の術を使って逃げ出したのだった。