魔法少女世界の特撮ヒーロー   作:瓶詰め蜂蜜

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EPISODE3 何者ナンジャ?黒の少女

 休日。この世界に転生してからハマってる漫画、『十字仮面クロスファイヤー*1SPIRITS』の最新刊が発売されるので、うきうきとしながら本屋に向かっていた。……そう、向かっていたのだ。

 

「ギョオオオオーン……」

 

 道路に足跡を刻み、街灯や電柱をへし折り、暴れまわる魔物の姿を見て、俺は溜息を吐きたくなった。

 と、そこに青い髪をたなびかせた魔法少女が駆けつけてきた。

 

「皆さん!!落ち着いて避難して下さい!!」

 

 魔法少女ノブレスセイレーン。ここ音夢市を管轄とする魔法少女の一人で、水の魔法を得意とする魔法少女だ。そして……

 

「……相変わらず、クールビューティーだなあ」

 

 俺の最推し魔法少女でもある。

 

 

 

 

 

_____________________________

 

 

 『仮面ライダーキュビズム』として初めて戦ったあの時、何でいつもとキャラが少し違ったのか。それは、最推しの魔法少女が目の前に居たからテンパってたのだ。いや、本当に。

 

「魔物が出たのは不幸だったけど、ノブレスセイレーンさんが見れたから、プラマイゼロどころか、大幅にプラスだよなあ」

 

 ノブレスセイレーンが魔物を討伐した後、目的の本もなんとか買え、ホクホクとした気持ちで帰っていると、不審者が現れた。

 

「……」

「えっと……誰?」

 

 目元だけを仮面で隠した、全体的に真っ黒な女の子は何も言わずに俺を見つめて?いる。

 目の前の彼女は、髪も服装も仮面も黒の比率が多い。服や髪の隙間からほんの少し見える肌や、服を装飾するフリルは白いが、それ以外は全て黒だ。

 しかし、それ以上に彼女を真っ黒だと思った理由は、その、全体的に立ち上っているのだ。どす黒い、闇って感じのオーラが。

 

「……お前か」

「ん?」

 

 少し警戒しつつも、小さな呟きに聞き返すと、唐突に目の前の真っ黒少女から黒い斬撃波が飛んできた。

 

「うおっ!?」

 

 慌てて斬撃を避ける。斬撃の飛んでいった方向をチラリと見ると、思いっきり地面に斬撃痕が残っていた。スッパリと言った感じで。

 

「……え?俺、殺される感じ?」

「……」

「なんとか言えよおっ!!」

 

 たんたんと斬撃を飛ばしてくる真っ黒少女に叫びながら、キュビズムドライバーを実体化。手元に跳んできたライジングヒーローキュービットを掴み、キュビズムドライバーにセットする。

 

「変身!!」

仮面ライダーキュビズム!!ライジングヒーロー!!

 

 普段の変身前のポージングの一連の流れと変身音をを省略し、変身すると、真っ黒少女に突撃する。また斬撃を飛ばそうとした真っ黒少女の腕を掴んで動きを封じ、叫ぶ。

 

「あんた、一体何なんだよ!!」

 

 正直言って、返事は期待していなかったが、真っ黒少女はすんなりと答えた。

 

「私は、アビスマータ。貴方達が人型の魔物と呼ぶ存在、ディメイアを支配する者の一人」

 

 真っ黒少女……アビスマータはそう言うと俺の腹部を蹴って無理やり距離を取った。

 

「私の……私達の復讐に、貴方の存在は邪魔なの。だから……」

 

 「死んで」。その言葉と共にアビスマータは大量の斬撃を俺へ向けて飛ばしてきた。本気で俺を殺すつもりだ。

 

「ちっ!」

 

 今のままでは勝ち目が無い。俺は咄嗟に『ナンジャニンジャキュービット』をセットし、身代わりの術と隠れ身の術を使って逃げ出したのだった。

*1
石ノ森章太郎が萬画『仮面ライダー』を企画する際に出た原案の一つ。この世界ではこの案が採用された




 漸く敵の幹部的な存在が現れました。人型の魔物の正式名称、ディメイアはディメント*1+ディザイア*2+イア*3から来てます。
 因みにアビスあのマータには特に深い意味はないです。

*1
ラテン語で狂気を意味する

*2
欲望を意味する英語

*3
クトゥルフ神話で邪悪な神性に対する崇拝や敬意を示す感嘆詞のようなもの

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