魔法少女世界の特撮ヒーロー   作:瓶詰め蜂蜜

26 / 77
【コラボ回】EPISODE5 仮面ライダーは永遠に!Ⅳ

「くぅっ……!!」

 

 背後に一を庇いながら、ディメイアとアビスマータの二体の猛攻を必死に受け止める創。幾ら死ぬことも無く傷が癒えるからといっても、痛覚は当たり前のようにある為、既に意識は朦朧とし始めていた。

 それでもなお、無銘剣虚無を握る手は力強く振るわれる。身体から立ち上る炎は悪を焼き尽くさんと燃え上がる。

 

「本当にしつこいですね、貴女」

「それは……こっちの……セリフ……です……」

 

 はぁ……はぁ……と、肩で息をしつつ、アビスマータを仮面の下で睨みつける創。しかし、既に視界には靄がかかり始めていた。

 

(このままでは……不味いですね)

 

 危機感を感じる創。すると唐突に頭の中に声が響いた。

 

『いきなりすまない。声が聞こえるか、白城創』

(ああ……遂におかしくなっちゃいましたか。私の頭)

『いや、君の頭は正常だよ』

(なら、これは幻聴でしょうか?)

『幻聴でもないよ。会話が成り立つ時点でおかしく思ってよ』

(……確かに)

 

 創はそこでその声が気の所為でも何でもないことに気がついた。

 

(貴方は……?)

『私の事は今はいい。時間がないから私の言う通りにやってくれ』

(……私に何をさせる気で?)

『警戒するのも分かる。だけど、仮面ライダーキュビズムを助けるには必要な事なんだ』

(四方田さんを……!?)

『ああ』

 

 頭に響く声は力強く答える。それに、創は漸く声を信用した。

 

(……分かりました。私は何をしたら?)

『簡単な事だ。無銘剣虚無の力を自分の体を通ってドライバーに嵌まったワンダーライドブックに流し込むようにイメージしながら、全身全霊でフェニックス・ワンダーを発動するんだ!』

 

 頭の声がそう言った途端、創は無銘剣虚無を左手に持ち替え、仮面の下で目を閉じた。

 

「……?一体何を……」

 

 訝しげにアビスマータが首を傾げると、カッと目を見開いた創は力強くエターナルフェニックスワンダーライドブックのページを押し込んだ。

 

『エターナルフェニックス!』

 

 すると、ワンダーライドブックから赤く燃え盛る不死鳥が顕現し、アビスマータとディメイアを吹き飛ばし、そのまま旋回して仰向けに倒れ伏す一の腰の、壊れたキュビズムドライバーへ吸い込まれるようにして消えた。

 

「一体何を……!?」

「さあ……?何でしょう?」

 

 アビスマータの苛立ったような詰問に、飄々とした態度で創はそう返した。

 

_____________________________

 

 

Side:一

 

 気が付くと、真っ白な空間に俺が一人で立っていた。

 

「ここは一体……?」

 

 ここが何処かヒントを得ようとキョロキョロと見回すが、真っ白で何もない。

 

「本当にここはどこなんだよ……」

 

 ヒントを探すのは諦め、中心にあった真っ白な台に腰掛ける。思っていたより硬くて冷たい。どうやら石製っぽい。この台。

 

「ていうか、俺、何してたっけ?」

 

 意識を失う前、何をしていたか思い出そうとする。そして……

 

「……っ!?そうだ!!俺はアビスマータとディメイアにやられて……っ!」

 

 そして立ち上がり勢いよく辺りを見渡す。

 

「ここは病院って訳じゃない。……なら、俺は死んだのか……!?」

『いや、まだ死んでないぞ』

「!?」

 

 勢い良く振り返ると、そこには先程まで居なかったはずの鳥がいた。

 全身が真っ赤で、まるで燃えているかのような鳥。それはまさに、伝承で語られるような……

 

「……不死鳥」

『ほう、一目で分かるとは、なかなかやりおる』

 

 愉快そうに笑う不死鳥。そして、俺を鋭い目で睥睨すると、

 

「それで死んでないってどういう……」

『言葉通りの意味だ。しかし、ここで目覚めても、また苦しく長い戦いに逆戻り。このまま転生して次の生に向かった方が得策かもしれんぞ?』

「いや、逃げないよ」

 

 不死鳥の質問に即答すると、不死鳥は驚いた様子で俺を見る。

 

『……本当に良いのか?これから何度苦痛を味わうか分からぬのだぞ?』

「そんなもん、覚悟はとうの昔に出来てるよ。仮面ライダーを名乗ると決めたその時から」

『お前は……』

「それに、大切なものを守るためなんだ。どんなに痛くても、どんなに苦しくても、どんなに辛くても立ち上がるよ。人間は、それが出来る生き物なんだから」

 

 そう言うと、不死鳥はふっと笑みをこぼす。

 

『お前はとんだ馬鹿だな。大馬鹿だ』

「何だと!?」

『だからこそ、あれ程迄に多くの者たちが心から惹かれるのだろうよ』

「それって……」

 

 聞き返そうとすると、不死鳥はそれを無視して、両翼をバサリと開く。そして、

 

『さあ、四方田一。仮面ライダーを名乗る若造よ!精々足掻け、精々苦しめ!その先に貴様の望んだ結末が無かったとしても!多くの者達から後ろ指を指されようとも!……きっと、お前と共に歩もうとしてくれる仲間はずっと側に居てくれるさ』

「それはもう……知ってるよ」

 

 そこで、俺の身体が次第に薄れ始めた。

 

「お、おい……!!これって……!!」

『お前の現実での身体が意識を取り戻そうとしてるんだ。少しは落ち着け』

 

 呆れた様子の不死鳥は、最後に表情を緩め、こう言った。

 

『……四方田一、仮面ライダーキュビズムよ。この私にここまで言わせ、力をくれてやるんだ。無様は晒すなよ』

「結局、あんたは一体……」

『私はエターナルフェニックス。小さな本の中で眠る神獣さ』

 

 そこで、俺の意識は現実の世界へと戻ったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。